『ラピスリライツ』ディレクターにインタビュー。開発リスタートを経て彼女たちの魅力がより伝わるゲームに!
- 文
- セスタス原川
- 公開日時
メディアミックスプロジェクト『ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~』のアプリが12月にリリースされます。
今回は本作にてディレクター兼マーケティングリーダーを務める遠藤峻亮さんにインタビューを実施しました。
インタビューでは、発表からリリースまでの長い期間にどのようなことを行っていたのか。ブラッシュアップを重ねた本作の魅力は一体どこなのか。ゲーム全般に関するお話を伺いました。
クオリティアップのため開発を再スタート
――ついに12月にリリースを迎えますが、心境をお聞かせください。
発表からリリースまで長らくお待たせしてしまった方々に対しては、申し訳ございませんという気持ちでいっぱいです。お待たせしたぶん、満足いくクオリティのゲームを提供できると思っています。
――リリースに至るまで、チーム内ではどのような動きがあったのでしょうか?
僕は2019年入社で、このタイトルは途中参加の人間です。実は、その少し前に作品の根幹を大きく変える事業判断があり、その決断が功を奏して全体的なクオリティの底上げに成功しました。ここまでに最も時間をかけたのは、そのクオリティの追求の部分ですね。
――その決断に踏み切った理由は?
その段階では、当時のプロデューサーが描きたかった世界観がうまく表現できていないと感じており、アドベンチャーパートの見せ方や、3Dモデルのブラッシュアップが必要であると意見が挙がりました。
それはもう大きな変更で、これまで準備してきたものをすべて捨てるレベルの変更でしたね。社内で開発チームの構成の変更もあり、変更前と後の開発スピードを比較すると、あの段階で大きく事業判断できたことは成功だったと思います。
――そこからの期間でリリースまでたどり着くのは大変な道のりだったと思います。
ゲームで使用するイラストも一新しました。マーケティングの方で使用している制服の立ち絵ですが、実はあれが元々のゲーム内のR(レア)のカードのイラストです。
ゲームに実装したイラストは、キャラクターの特徴が際立つ個性を表現しました。例えば、ロゼッタは書類を持っていたり、リネットは本が大好きな子なので本を持っていたり、その子のキャラクター性が伝わるイラストですね。
20人と大勢のキャラクターがいるので、ひと目で個性を知ってもらうために、入手しやすいRカードにこのイラストを採用しました。
――3Dデザインでこだわった部分は?
顔と髪の部分を重点的にブラッシュアップして、より可愛らしく見えるようにしました。アドベンチャーパートでは3Dが多く登場するのでわかりやすいと思いますが、我ながらけっこう可愛くできているなと思います。表情のバリエーションも豊富ですし、手の動きと身体の動きはオーバーリアクションを意識しており、動きを見ているだけでも楽しめる作りです。
――以前に発表された映像などと見比べると、より変化を感じられそうですね。
YouTubeに過去のバージョンの動画も上がっていますが、それと比較するとだいぶ変わったところがわかると思います。大きな変更ばかりでしたが、決断を早くしたことで2021年内にリリースできることになり、なんとかこれ以上みなさんをお待たせせずに済みました。
――本作はどういった遊び方のゲームなのでしょうか?
本筋の遊び方は、メインストーリーにあるクエストを進めていく形です。ストーリーを進めると、その他のさまざまな機能が徐々に解放されていきます。初めての方は、まずはメインストーリーを進めていく遊び方で問題ありません。チュートリアルの段階で、その他の機能についても説明が行われます。
本作はRPGなので、ストーリーを進めながらキャラクターの育成も行います。そして、それとは別にカードごとの育成もあり、2軸の育成を重ねてキャラクターの強化をする形です。
キャラクターの育成はレベルアップ以外にも、アイテムを消費する“宿星”と、重複カードを使う“開花”があります。
――どのカードのイラストもアニメーションのように動いているので、キャラクターの実在感がありますね。
もともとIPのコンセプトとして”魔法感”を重視しています。その一環として、カードはイラストが動くことで魔法らしさを感じられるようにしました。なるべくこの子たちが実在するような感覚を演出していきたいと思っています。
本作のストーリーは、異世界に転生した主人公(先生)が魔女たちを一人前に育てる物語です。その根幹である彼女たちの成長と、ゲームの中での育成をうまく融合させています。
――いわゆるアイドル的なキャラクターたちと、バトルRPGが組み合わさるのは意外でした。
この世界のアイドルである“魔女”は、奉仕活動の一環として、現れた魔獣と戦う役割を果たします。ゲームではその要素をバトル要素として取り入れています。
彼女たちはライブをすることで応援してくれる人たちからのエネルギーをもらい、魔獣たちと戦います。本作では、それをボスライブバトルとしてバトル要素に落とし込んでいます。ここは何度も話し合って、3カ月くらい構想を練ったところですね。
ライブシーンは映像としても楽しめるように、UIを非表示にしてパフォーマンスだけを楽しめるようにもしました。歌詞も表示してMVのような見方もできます。初めて画面を見た人は、リズムゲームと勘違いしてしまうかもしれませんね(笑)。
――バトル中の演出も細かい部分まで美しく描かれていました。
ただバトルするだけでなく、コンボを重ねると複数人でのパフォーマンスが発生して、アイドルのステージらしさを感じられる演出にしています。
通常バトルでも演出はありますが、ライブステージでは別の演出を用意しています。表情もポーズも変わりますし、衣装も変更したものが反映されるので、多彩な演出を楽しんでもらいたいです。
――ライブシーンを最高クオリティで楽しむため、端末の必要スペックなどはどの程度でしょうか?
公式としてはスマートフォン対応OS:iOS 11.0 以降、Android 5.0 以降を推奨しています。私の個人環境ではありますがPhone XSで最高画質でも問題なく動いています。
※推奨環境でのプレイをお勧めしております。
――実際にプレイをしたところ、ゲーム自体の遊びやすさが印象的です。
やはりアイドルゲームやキャラクターゲームは、内容が難しくなればなるほどユーザーさんが離れてしまう傾向があります。基本的にはキャラクターを愛でることが中心になるので、バトルは複雑にし過ぎないように調整して遊びやすいシステムにしました。
いつでも4つ好きなコマンドを選べる、同じ色を揃えればコンボが発生する、MPが溜まったらスキルを使うなど、わかりやすさを重視しています。スキルはMPがある限り何度でも使用できるので、難しいことをせずとも演出を楽しめます。
ライトな人が楽しみやすい仕組みとして、自動選択機能(オート)も用意しています。もちろん、スキルや攻撃のタイミングによってバトルの展開は変わってきますので、しっかりと遊びたい方は戦略的にゲームを遊ぶことも可能です。
――スマホRPGとして欲しい要素はしっかりと抑えているわけですね。
やはりスマホゲームは空いた時間や移動時間でプレイできることが大切だと思います。そこで、必要時間が原因でプレイ意欲を削いでしまわないように、全体的な遊びやすさを追求しました。
――バトル中はキャラクターのスキル演出が楽しめました。
RとSRは4種類の演出。SSRはさらに増えて8種類を用意しています。URに関しては、全カードオリジナルの演出になっているんですよ。リリース後から追加されるURカードも多いので、この部分は開発コストをかなり掛けている部分です。
URは演出も長めで派手な物が揃っています。また、ここのスキル演出は衣装変更が反映されて、そのとき身に着けている服やアイテムが演出で見られるようにもしました。
プレイした方にはぜひともURカードの演出を見てもらいたいですね。ゲーム開始時にミッションを達成すれば、URのティアラが手に入るので、まずはそのミッションを進めていただくのが良いかと思います。
――各カードには個別ストーリーも用意されていましたよね。
カードには、レアリティを問わずイラストに紐づいたストーリーをフルボイスで実装しています。他にも、メインストーリーはもちろん、イベントストーリーもフルボイスなので、全体を通しての収録ボイスはかなりの量になりますね。
カードを獲得すると、まずはカードの演出が楽しめる。そして、カードのストーリーもあり、カードでキャラクターが身に着けている衣装が獲得できます。1つのカードを獲得すると多くの要素を楽しめるので、カード1枚1枚の価値が高く、手に入れたときの嬉しさをより感じてもらえるはずです。
内容を見たときは「全部フルボイス&ユニークスキルか……」と、これから先に待っている開発を想像して衝撃を受けましたが……(笑)。
――衣装の着せ替えも本作を楽しむうえで欠かせないポイントの1つですよね。
衣装は基本的にすべての衣装を着せ替えで使用できる仕組みです。カードで手に入る衣装はそのキャラクターのみ使用できるものですが、他の場所で入手できる共通衣装は全員に着せ替えが行えます。衣装もアップデートで随時追加予定です。
細かいこだわりとして、頭に乗せるアクセサリーなどが髪型によって位置が変わるようにしました。キャラクターによってデザインが少し変わるものもあるので、ぜひいろいろなキャラクターに衣装を着せて楽しんでもらいたいですね。バトルで使う装備も見た目を変更可能で、キャラクターの特徴を捉えたユニークなものを用意しています。
衣装はクエストをクリアした際に手に入るチケットを集めて交換する仕組みです。ショップにあるものは、ゲームをプレイすることで獲得できます。すぐに欲しい人は、課金で衣装を獲得することも可能です。
――ゲームを進めることでプレイできる解放コンテンツはどのようなものがあるのでしょう?
“魔女試験”はいわゆるタワー型のコンテンツです。ステージごとにお題が提示されて、それをどんどんクリアしていきます。
他には“ユニットクエスト”というユニット個別の物語があります。これは、メインストーリーとは別軸で、各ユニットを中心に展開されるストーリーです。メインストーリーだけでは、満遍なくすべてのキャラクターを描くことは難しいので、ここで推しキャラクターのエピソードを楽しんでもらえればと。もちろん、これはキャラクター個別とはまた別のストーリーとして用意しています。
ラピスリライツはユニットごとに何かをする展開が多いコンテンツなので、キャラクター個別ではなくユニットとして好きなキャラクターを選んでもらうのも良いかと思います。
――ストーリーでは、3Dとアニメの両方を使ったリッチな演出が印象的でした。
実は、アニメを取り入れたのは開発の中期以降のタイミングです。それまではアドベンチャーパートを3Dですべて用意していたのですが、それから最も適したシーンを話し合ってピックアップして、アニメ化することにしました。彼女たちの新たな一面や思わずドキッとするような、ここぞという場面でアニメが入るようになっています。
その段階でアドベンチャーパートはすべて収録を終えていましたが、アニメはまた別で収録を行いました。ここは最も手を掛けた部分の1つですね。アニメシーンは、すべてゲームのために用意したオリジナルの映像です。
――メインストーリーの実装スケジュールはどのくらいを予定しているのでしょうか?
配信段階では、第1部の途中までを実装予定です。その後は定期的にシナリオを追加していく想定で、第1部はリリースから近いタイミングで完結予定です。ゲーム機能のアップデートは、もう少し長いスパンで実装したいと考えています。
カードの追加はイベントに紐づいているので、月に最低3枚は新規カードが実装される予定です。イベント用のカードは既にある程度用意してあり、今はスキルなど細かい部分を調整しています。
ストーリーが楽しめる部分を多く用意したのですが、1個1個がそれなりのボリュームなので、実は見た目よりもさらに全体的なボリュームは多くなっています。
――ストーリーを読み終えたタイミングで生徒たちからメッセージが届くのも面白いです。
通話やメッセージは、そのときにクリアしたクエストに沿った内容のものが届くようになっています。ストーリーを終えた後の彼女たちの気持ちを聞けるので、ただ物語を読み進める以上の没入感を楽しんでもらえるかと。
――動きもしっかり文字を書いているように動いていますよね。
メッセージはデジタル的な形で送られてきますが、彼女たちの動きで連絡を取り合っている感を出したかったので、あえて筆を取っているアクションにしています。
――交流も本作のお楽しみ要素の1つですよね。
ゲームとして彼女たちを一人前にするというコンセプトがあるので、その間にコミュニケーションを取る部分は欠かせないと考えています。
――お決まりの体の部位ごとのタッチセリフの違いも確認できました。
はい。しっかりと触る場所ごとにセリフが変わりますし、それも親密度に応じても変化もしますね。お気に入りの子を設定しておけば、ホーム画面から常に交流できるようにしました。
――細かいUI部分でユーザーがストレスを感じないような作りになっていますよね。
他にも、そもそもゲーム立ち上げまでの時間が短いなど、こういった快適なプレイのための機能は多く実装しています。
――これだけキャラクターが多いとお目当てのカードを引き当てるのが大変な印象です。
まだバランス調整段階ですが、最初はみなさんにカードをゲットする機会を多く設けたいと考えています。
20人のキャラクターがいるので、1枚手に入れるのが精いっぱいでは、その後に複数枚獲得して開花させることも難しくなってしまうので、ある程度は課金なしでも楽しめる形にはしたいです。リリース後はユニット限定のガチャなども用意して、狙ったキャラクターのカードを獲得しやすい形も考えています。
――『ラピスリライツ』はメディアミックス作品ですが、ゲームで他メディアとの連携もあるのでしょうか?
ゲーム以外のメディアとの連携企画も考えています。例えば、ライブの際には演者さんが着ているスタッフTシャツを実装したりしたら面白そうですよね。メディアミックス作品なので、そういった連動はしていきたいです。
ゲームを入り口に『ラピスリライツ』の世界へ
――全体的にかなりのクオリティの高いゲームとして作られている印象です。
今後の『ラピスリライツ』の基盤になるのがこのゲームなので、この作品の動向次第で続くコンテンツ全体の動きも決まってきます。そういった意味でも、遊んで満足できるゲームにできたと感じていますので、ぜひプレイしていただければと思います。
ストーリーはフルボイスで、3Dは可愛くて、遊びやすいゲーム性。最近のアプリゲームにおいて重要視されている箇所は抑えられたと思っています。これだけ時間をかけたので、入れられるものは全部入れていこうという気概です(笑)。
――現在多くのアイドルをテーマにしたゲームありますが、それらと差別化を図る独自の強みはどこでしょう?
他のアイドル系の作品との差別化を測る点は、やはり『ラピスリライツ』のテーマである“魔法”ですね。設定とはいえ現実的に難しい演出でも、本作の世界観であれば“魔法”で実現できる。そうすることで、見入ってしまうような美しいライブシーンを演出できています。
――リリース前のプロモーションではインフルエンサーとの動画配信コラボなどもありましたが、今後も他コンテンツなどとのコラボは行うのでしょうか?
ゲーム内のコラボに関しては、まだ社内でも相談中の段階です。コラボをしたいという意見もあれば、『ラピスリライツ』の世界観を大事にしたいという意見も上がっています。リリース前にインフルエンサーさんに動画配信でのコラボを依頼した経緯としては、作品を知らない方に向けた認知が狙いです。
マーケティングリーダーとしての視点で見た場合、『ラピスリライツ』にはストーリーやキャラクター、楽曲や3DCGによるライブ演出など武器は揃っている自信がありますが、認知度は足りていないことが弱点だと実感しています。そこで、今回ゲームをリリースする盛り上げのタイミングで、これまで作品に触れて来なかった方に認知してもらうことに注力しました。一度知ってさえもらえれば、あとは僕たちのコンテンツを通じて魅力を知ってもらえる自信がありますので。
――昔から作品を追いかけている方、そしてゲームから初めて作品に触れる方に、本作の魅力を改めてお伝えください。
昔から追いかけてくださっている先生方にとって、このゲームが一番生徒たちとの関係を感じられるコンテンツになると思います。大変お待たせしましたが、それだけ生徒たちとの関わりを楽しめる作品になっていますので、ぜひお楽しみいただければと思います。
ゲームから初めて『ラピスリライツ』に触れる方には、個性豊かな20人の生徒たちが登場するので、ストーリーを進めたりカードを獲得したりする中で、お気に入りの生徒を見つけてもらえると嬉しいです。アニメを見ていなくても、ゲームだけでしっかりと物語を楽しめるようになっているので、安心してプレイしてください。ゲームの物語を見たら、ぜひアニメの方も楽しんでもらえればと。
――既に『ラピスリライツ』は幅広い展開がされているので、ゲームで作品を知れば、その後のゲーム外の楽しみもたくさんありますよね。
そうですね。YouTubeには過去のライブのダイジェストも上がっていますし、楽曲も多数ありますし、ゲームから『ラピスリライツ』を知ることで、さまざまな楽しみが生まれると思います。
――最後に読者へメッセージをお願いします。
改めて、リリースまで長くお待たせして申し訳ございません。その分、しっかりとしたクオリティに仕上がっています。市場に新しく新規IPを出すにあたり、僕ら作り手やマーケターだけの力では大ヒットは生み出せません。応援しているファンの方々と『ラピスリライツ』を一緒に育てていけるような運用をしていきたいと思っています。ぜひ、生徒たちを一人前の魔女にするため、一緒に協力してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。
※ゲーム画面は開発中のものです。
『ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~』概要
タイトル:ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~
対応OS:iOS、Android
ジャンル:魔女(アイドル)とキセキを起こす育成RPG♪
©2017 KLabGames
©KADOKAWA CORPORATION 2017
©Shengqu Games
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ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~
- メーカー: KLab
- 対応端末: iOS
- ジャンル: RPG
- 配信日: 2021年12月14日
- 価格: 基本無料/アプリ内課金
ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~
- メーカー: KLab
- 対応端末: Android
- ジャンル: RPG
- 配信日: 2021年12月14日
- 価格: 基本無料/アプリ内課金