『リトルウィッチノベタ』はカワイイ魔女のノベタちゃんが活躍する高難易度アクション【電撃インディー#136】

豊臣和孝
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は『Little Witch Nobeta』のレビューをお届けします。


 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

ノベタちゃんを操作して古城の奥へと突き進む

 本作は、魔女ノベタちゃんを操作して古城を探索するアクションゲーム。ゲームの目的は、自分自身にまつわる謎を解き明かすため、古城の奥にある台座を目指すというもの。詳しくは後述するが、ファンシーでかわいいグラフィックと反比例するかのように、ゲーム本編なかなかのハードテイストだ。

 難易度は、初心者向けの“STANDARD”、アクションが得意な人向けの“ADVANCED”から選択可能。“ADVANCED”を選んで「これはキッツイ!」となっても、途中で設定を“STANDARD”に変更できるので、アクションにある程度自信がある人は最初から“ADVANCED”でチャレンジしてみるのもいいかもしれない。

 なお、本作に武器や鎧といった装備は登場しないが、ノベタちゃん自身の能力は敵を倒して得られる経験値のようなもので少しずつ伸ばせる。「ここはちょっとキツイなあ」と感じたらゲームオプションの“女神像に戻る”で、何らロストすることなくセーブポイントからやり直すことで、地道なパワーアップが可能だ。

ソウルライクらしい高難易度! 最初から敵が容赦なし!

 本作は、いわゆる“ソウルライク”と呼ばれるジャンルの作風で、古城の中は手強い敵がウヨウヨ。それもただ漠然と配置されている敵はほとんどなく、遮蔽物の影で待ち伏せ、物陰から突然出現、見づらい場所にコッソリなどなど、どいつもこいつも実にいやらしい。

 このへんは俗に“死に覚えゲー”と呼ばれるタイプで、場所や動きのパターンを把握して各々しっかり対処していくイメージ。少しでも気を抜くとザコ相手でも大ダメージをくらうので、それぞれ敵の動きや攻撃パターンにあわせた慎重かつ正確な立ち回りがとても重要になってくる。初見殺しの敵や配置も、一度わかってしまえばこちらのものだ。

攻撃は魔法メインだが近接の杖も重要

 ノベタちゃんの攻撃手段は、アウトレンジから攻撃できる“魔法”と、近接攻撃の“杖”の2つ。高難易度ゆえにザコ相手でも大ダメージをくらうので、遠くからチクチクやれる魔法がメインになる。魔法には4元素があり、種類や威力はゲーム中にアイテムを拾うことで最大4種類、各レベル3まで成長する。

 どの魔法も頼もしい威力だが、使うたびに画面中央上にある青い“マナ”ゲージを消費するため、乱発するとすぐ底をついてしまう。

 マナゲージの主な回復手段は、消費アイテム、詳しくは後述する回避やパリィの成功、そして杖攻撃がある。

 杖は攻撃力こそ少ないが、これで敵を殴るとマナが少し回復する。つまり、杖は敵をやっつけるためではなく“マナ回復”が目的となるのだ。遠距離攻撃が強すぎると近接攻撃が空気になってしまうため、このへんはいい塩梅だと感じられる。

 魔法攻撃は“詠唱”でさらに威力がアップ。ただし、詠唱の完了には一定の時間が必要で、それまでは敵の攻撃にさらされるなど、このあたりもリスクリターンの考えが丁寧に織り込まれている。

回避こそすべての要! パリィを狙えるようになればもっと楽しく!

 冒頭で“ソウルライク”と触れたように、本作はザコやボスの攻撃がとにかく強烈なので、ゆえに“回避”がとても重要。多くのアクションゲームは敵からダメージをくらうと一定時間無敵の猶予が与えられるが、本作はそれもなく連続攻撃はそのままヒットして大ダメージ。よって、とにもかくにも“的確な回避”が最重要になってくる。

 ノベタちゃんの回避は、動作に入ればモーションの最後まで無敵時間が持続する優秀なもの。ただし、回避のたびに画面中央上の黄色い“スタミナゲージ”が消費され、尽きるとノベタちゃんは転んで起き上がるまで無防備状態に。このモーションがまたカワイらしいのだが……状況としては最悪の一言。

 “ソウルライク”の基本は、敵の攻撃パターンを見切った回避に尽き、特にボス戦は体力減少で段階的に厳しくなっていく攻撃にこちらも回避をあわせていかないと到底その先に進むことはできない。

 アクションに不慣れな人には厳しいかもしれないが、それでも本作をやるならぜひ覚えたいのが“魔力吸収陣(パリィ)”だ。

 道中であるアイテムを拾ってから使えるようになるシステムで、やりかたは敵の攻撃がヒットする直前にこちらの杖攻撃をあわせるだけ。成功すると、激しいエフェクトとともに敵にダメージを与えつつヒットポイントとマナが少し回復。詠唱中であれば、完了時間が一気に短縮するというスグレモノ。

 ただし、タイミングはシビアで、失敗すれば敵の攻撃をモロにくらってしまう。このあたりもリスクリターンの考えがハッキリした“らしい”作りと言えそうだ。

価格以上のクオリティ! もう少しボリュームがあれば最高だったかも?

 モデリングやグラフィックに関しては、本記事のスクリーンショットのとおり“素晴らしい”の一言。魔法や敵ボスの攻撃エフェクトはケレン味にあふれており、バリエーション豊富ではないが質感を重視したアクションも操作していて素直に楽しい。

 アーリーアクセスとはいえ、これがSteam販売価格990円(セール時はもっと安くなる!)なのだから恐ろしい。

 手放しにすべてを褒めたいところだが……2020年6月のリリース以来、本作をプレイされた方々の多くが“ボリューム不足”を指摘しており、これは筆者も同様に感じられた。ヘタクソで苦戦しまくった筆者が言えた義理でもないが、アクションゲームが得意な人なら半日もあれば隠しボスまで余裕でクリアできるボリュームで、特にソウルライクなジャンルのヘヴィユーザーには物足りなかったのではないかと推察される。

 個人的に価格から「これ以上の質や量を要求するのはちょっと酷かな?」という気もしたが、手触りや仕上がりの素晴らしいゆえに「もっと遊びたい!」となるのは痛いほどわかる。

 9月に開催された東京ゲームショウ2021オンラインにて、2022年正式版リリース決定がアナウンスされている。さらにはNintendo SwitchとPS4への移植、新ボスやVチューバーグループ・ホロライブ所属タレントのコラボなどが明らかにされたが、多くのユーザーにとって最大の注目点は“アーリーアクセス版は30%程度の完成度”という内容が、どれだけボリュームアップあるいはアップデートされるか、ではないだろうか。

 いずれにしても続報を心待ちにしたい。

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