『KHIII』最新情報も! 70以上の楽曲が響きわたった“KHオーケストラコンサート”をレポート【電撃PS】

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 4月27日と28日の2日間、東京国際フォーラムにて、スクウェア・エニックスの人気RPG『キングダム ハーツ(以下、KH)』シリーズのオーケストラコンサート“KINGDOM HEARTS Orchestra -World of Tres-”が開催されました。

  • ▲Photo by Shinjiro Yamada

 2016年の“KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-”、2017年の“KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-”に続く3回目のオフィシャルコンサートとなる本公演。会場にはあたりを埋め尽くすほどの観客が集まり、シリーズの人気の高さがうかがえました。

  • ▲会場に並ぶ、色とりどりのお祝いの花。スマホアプリ『KH ユニオン クロス』の運営からはチリシィも贈られていました!
  • ▲グッズ販売コーナーには常に長蛇の列が。
  • ▲会場にはフィギュアやアクセサリーなどのグッズも展示されており、公演終了後も大勢の人が撮影していました。

 この記事では、そんな公演初日の夜の部の模様をお届け。後半には作曲を手掛けた下村陽子さん、石元丈晴さん、関戸剛さんのインタビューも掲載していますので、お見逃しなく。なお、記事中には『KHIII』のネタバレが一部含まれていますのでご了承ください。

メドレー中心で奏でられるシリーズ楽曲

 1部と2部に分けて演奏された“KINGDOM HEARTS Orchestra -World of Tres-”。そのセットリストは以下のとおりです。

セットリスト
【1部】※各メドレータイトル下の楽曲を含んだ構成。
1.Dearly Beloved from KINGDOM HEARTS III
(作曲:下村陽子/編曲:和田薫)
2.Music from KINGDOM HEARTS
(作曲:下村陽子/編曲:和田薫)
 ・Destiny Islands
 ・Traverse Town
 ・Hand In Hand
 ・Friends in My Heart
3.Music from Re: Chain of Memories
(作曲:下村陽子/編曲:和田薫)
 ・Scent of Silence
 ・Castle Oblivion
4.Music from KINGDOM HEARTS II
(作曲:下村陽子/編曲:亀岡夏海)
 ・The Afternoon Streets
 ・Working Together
 ・Reviving Hollow Bastion
 ・Cavern of Remembrance
 ・Deep Anxiety
5.Music from 358/2 Days
(作曲:下村陽子/編曲:宮野幸子)
 ・Critical Drive
 ・Sacred Moon
 ・Musique pour la tristesse de Xion
6.Pretty Pretty Abilities from coded
(作曲:下村陽子/編曲:亀岡夏海)
7.Music from Birth by Sleep
(作曲:下村陽子/編曲:マリアム・アボンナサー)
 ・The Worlds
 ・Dearly Dreams
 ・Destiny's Union
 ・Night in the Dark Dream
 ・Night of Tragedy
8.Music from Dream Drop Distance
(作曲:下村陽子・関戸剛/編曲:竹岡智行)
 ・Dream Eaters
 ・Sweet Spirits?
 ・Majestic Wings
 ・Link to All
9.Music of Another Time
(作曲:下村陽子/編曲:亀岡夏海)
10.Diabolic Bash
(作曲:下村陽子/編曲:山下康介)
 ・Destiny's Force
 ・Shrouding Dark Cloud
 ・The Fight for My Friends
 ・Vim and Vigor
 ・The Encounter
 ・Another Side -Battle Ver.-
 ・Unforgettable
 ・Rage Awakened -The Origin-
 ・L'Impeto Oscuro

【2部】※メドレータイトルのみ表記。
11.Face My Fears -KINGDOM Orchestra Instrumental Version-
(原曲:宇多田ヒカル/編曲:和田薫)
12.Symphonic Suite: The Worlds of Tres I -Of Gods and Toys-
(作曲:下村陽子・石元丈晴・関戸剛・Disney/編曲:亀岡夏海)
13.Symphonic Suite: The Worlds of Tres II -Tangled with Scares-
(作曲:下村陽子・関戸剛/編曲:亀岡夏海)
14.Symphonic Suite: The Worlds of Tres III -A Frozen Fracas-
(作曲:下村陽子・石元丈晴/編曲:宮野幸子)
15.Symphonic Suite: The Worlds of Tres IV -A Pirate's Tale-
(作曲:下村陽子・石元丈晴/編曲:竹岡智行)
16.Symphonic Suite: The Worlds of Tres V -A Hero's Journey-
(作曲:下村陽子・石元丈晴・関戸剛/編曲:山下康介)
17.Overture to the Decisive Battle
(作曲:下村陽子・石元丈晴/編曲:マリアム・アボンナサー)
18.光 -KINGDOM Tres Orchestra Instrumental Version-
(原曲:宇多田ヒカル/編曲:和田薫)
19.Rhapsody in Tres for Piano, Chorus and Orchestra
(作曲:下村陽子・石元丈晴/編曲:西木康智)
20.アンコール:誓い -KINGDOM Orchestra Instrumental Version-
(原曲:宇多田ヒカル/編曲:和田薫)

 公演は、シリーズを象徴する楽曲の1つであり、タイトル画面の曲でおなじみの“Dearly Beloved”(『KHIII』ver.)からスタート。“KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-”のときと同じく舞台上には映像も映し出され、観客の耳と目はゆっくりとコンサートの空気に包まれていきます。

 1曲目の演奏が終わったところで、シリーズの作曲家である下村陽子さんが登壇。下村さんは『KHIII』発売の年に3年目のツアーが開催できたことを心からよろこび、「これもひとえにファンの方々の応援のおかげです」と感謝の言葉を述べました。

 さらに、今回の公演は1部が『KHIII』につながるこれまでの物語、2部は『KHIII』本編を思い起こさせるような構成になっているとコメント。「本公演でみなさん『KH』の物語を再体験してほしい」と思いを口にしました。

  • ▲下村陽子さん。

 2曲目からは、シリーズの作品ごとにメドレーが演奏されていきます。“Music from KINGDOM HEARTS”では“Destiny Islands”や“Friends in My Heart”、“Music from Re: Chain of Memories”では“Castle Oblivion”、“Music from KINGDOM HEARTS II”では“The Afternoon Streets”など、物語上で重要なワールドやイベントシーンの曲が主にピックアップされていました。

 オーケストラアレンジされた楽曲もさることながら、映像に合わせて完璧なタイミングで曲を切り替える演出も素晴らしく、観客はドンドン引き込まれていきます。映像はユーザーにとって印象的なシーンが多く、キャラクターのセリフが頭のなかで再生された方も多かったと思います。

 1部の中盤までは比較的シリアスな曲や静かな曲が多く、“Music from 358/2 Days”でシオンのテーマ曲“Musique pour la tristesse de Xion”が流れたときは、会場のあちこちから鼻をすする人も……。

 かと思いきや、続く“Pretty Pretty Abilities from coded”では一転してコミカルな明るい曲が演奏されたり、“Music from Dream Drop Distance”では愛らしいドリームイーターの曲や映像が流れたりして、観客の心を大いに揺さぶります。

 “Music of Another Time”では『KH ユニオン クロス』『KH キー バックカバー』『KH0.2』の曲が演奏され、これで『KHIII』につながるタイトルの楽曲をひととおり網羅。

 そして、1部最後の曲“Diabolic Bash”では、8曲ものボスバトルメドレーが奏でられました! 留まりし思念戦の曲“Rage Awakened -The Origin-”やヤング・ゼアノート戦の曲“L'Impeto Oscuro”など、ファン人気の高い楽曲が組み込まれており、演奏終了後はひときわ熱い拍手が送られていました。

DLC続報も飛び出た『KHIII』パート!

 公演後半となる2部は、ファンが待ち望んでいたであろう『KHIII』の楽曲がふんだんに演奏されました。最初に披露されたのはOPテーマ曲“Face My Fears”(Instrumental ver.)で、ソロバイオリンをフィーチャーした美しいメロディが観客を魅了します。

 2曲目からは、『KHIII』のワールドに焦点を当てたメドレーを計5曲演奏。例えば“Symphonic Suite: The Worlds of Tres I -Of Gods and Toys-”は、ワールド“オリンポス”と“トイボックス”のフィールド&バトル曲を中心にしたメドレーになっており、同じような形で主要ワールドすべてのフィールド&バトル曲が続々と奏でられました。

 ワールド曲とワールド曲の間にはグミシップやボス戦の楽曲もあり、どのメドレーもぜいたくな詰め合わせとなっています。『KHIII』の発売からまだ3カ月なので、観客はコンサートを聴きながら当時のプレイ体験を鮮明に思い出していたことでしょう。

  • ▲ワールド“トイボックス”のフィールド曲では、メロディに合わせて奏者の方々が指を鳴らすという演出も!

 ワールド“アレンデール”の曲を扱った“Symphonic Suite: The Worlds of Tres III -A Frozen Fracas-”が終わると、下村さんが再び登場。『KHIII』で一緒に作曲を手掛けた石元丈晴さんと関戸剛さんを壇上に招き、今の心境を語りました。

 「作曲というと華やかな印象がありますが、実作業はパソコンの前で1人でカチャカチャやることが多いです」と切り出した石元さん。自身は音楽の生演奏が好きであるとも語り、「こういう特別な演奏を大勢の人が共有する機会はなかなかないので、今日は楽しんでください」とコメント。

 関戸さんはオーケストラアレンジされた自分の曲を聴いて、「とても素晴らしくて天にも昇るような幸せな気持ち」と表現。また、今回の曲はメドレーが多いことに触れ、「これを生演奏するのは高い技量が必要だと思うので、そういう意味でも大変興味深く楽しませてもらっています」と感想を述べました。

  • ▲主にワールド“ザ・カリビアン”や“サンフランソウキョウ”の曲を手掛けた石元丈晴さん(中央)と、主にグミシップ、ミニゲームや汎用エリアの曲を担当した関戸剛さん(左)。

 公演も佳境に差し掛かり、ゲーム終盤で訪れる“ザ・カリビアン”や“サンフランソウキョウ”、“終わりの世界”に“キーブレード墓場”といったワールドの曲が次々に演奏され、曲調も徐々に重く激しいものになっていきました。

 そして“Overture to the Decisive Battle”では、ゲーム終盤のボスラッシュを思い出させるようなバトルメドレーが展開! ヴァニタス、ロクサス、シオン、アンセム&ヤング・ゼアノート&ゼムナスなどのバトル曲が、壮大に力強く、ところどころせつなさも交えて響きわたります。

 手に汗握るバトルメドレーのあとは、エンディングにも使われた“光 -KINGDOM Tres Orchestra Instrumental Version-”が奏でられました。やはりファンにとってこの曲は特別感が強いようで、演奏中に感極まって泣く人も。

 その後、『KH』シリーズのキーマンとして橋本真司氏、間一朗氏、野村哲也氏が順に登壇。これまでエグゼクティブ・プロデューサーを務めてきた橋本氏は、その立場を間氏にバトンタッチすることを話しました。

  • ▲橋本真司氏(左)。なお、橋本氏は今後も『KH』シリーズのブランドマネージャーとしてバリバリ働くとのことです。

 シリーズディレクターの野村氏からは、『KHIII』のDLC(ダウンロードコンテンツ)についての情報が! 語られた内容は、以下のとおりです。

有料DLC“KINGDOM HEARTS III ReMIND(仮)”

※以下の内容をセットにして販売予定。

・追加シナリオReMIND(仮)

・リミットカットエピソード&ボス

・シークレットエピソード&ボス

・英語ボイスへの切り替え

・そのほか

無料DLC“新キーブレード&フォーム”

※配信時期や価格は未定。

 現時点で明かせるのはここまでで、いずれも予定とのこと。ちなみに、“雨が多く降るようになる時期”には次の情報もお届けしたいとコメントしていました。

  • ▲『ディシディアFF』や『FFレコードキーパー』などでプロデューサーを務める間一朗氏(中央)と、『KH』シリーズディレクターの野村哲也氏(左)。

 公演も終わりに近づいたタイミングで、『KHIII』のエンドロール曲“Rhapsody in Tres for Piano, Chorus and Orchestra”を披露。ピアノはなんと下村さんが担当し、ファンに見守られながら最後のメドレーを演奏しました。

 曲を終えて下村さん、石元さん、関戸さんがファンにメッセージを送ったあと、アンコール曲として“誓い -KINGDOM Orchestra Instrumental Version-”を発表。

 映像は『KHIII』のエンディングで“誓い”が流れたシーンが使われており、ほかにも過去作でソラとカイリが掛け合うシーンがつなぎ合わされているという、ニクイ演出っぷり。割れんばかりの拍手が巻き起こり、公演は大盛況のうちに幕を閉じました。

 公演終了後、野村氏と間氏からコメントをいただいたので掲載します。

【ディレクター/野村哲也コメント】
 というわけで、前回来られた方も今回いらっしゃったでしょうか? 自分も来ていました。

 さすがに毎回登壇するので、「どうせまた出て来るだろうな」という空気をひしひしと感じました。

 自分自身、慣れてしまったせいか、ついついしゃべりすぎ予定を押してしまいました。次回あたりからはあえて登壇を控える回を作り、「出るのかな? 出ないのかな?」という感じにしていこうと考えています。次回があればですが。

 さて、本題です。コンサートの準備も、実は本番の3週間前から編集が始まり、数日前まで映像の編集がかかってしまい、絵と音をシンクロさせるこのコンサートの形式からいえばオーケストラの皆さんには大変な思いをさせてしまったかと思います。

 にもかかわらず、本番では映像にぴったり合わせて演奏していただき、とても感動的なコンサートになっていました。

 また次回があれば、今まで来てくださった方も、まだ一度も来ていない方も、ぜひ会場へ足を運んでいただければと思っています。

 ただその時、自分は出ないかもしれません。以上です。

【新エグゼクティブ・プロデューサー/間一朗コメント】
 担当とはいえ日が浅く、正直未だ何のお手伝いも出来ていないのですが……素晴らしいコンサートにございました! お呼びいただきまして、光栄です。

 壇上からもお話しさせていただきましたよう、演奏、映像はもちろん、グッズ等の細部に至るまで、会場すべてをもって“キングダム ハーツ”を体感出来たよう思います。ご来場の皆さんにおかれましても、きっとそうだったのではないでしょうか。

 なお自身にとっては、おおいに幸せ! であるだけでなく、これからを思うに身の引き締まるひと時でもありました。心より、この素晴らしい空間にて、また皆さんとお会いいたしたく存じます。

下村さんと野村さんの“やりたいこと”が融合したコンサート

 最後に、下村さんと石元さんと関戸さんのインタビューをお届け。『KH』シリーズのファンはお見逃しなく!

  • ▲左から石元丈晴さん、下村陽子さん、関戸剛さん。

――公演を終えた感想をお聞かせください。

下村陽子さん(以下、敬称略):私がやりたいことと哲さん(野村哲也氏)がやりたいことを混ぜた結果、スケジュール的にたいへんでしたけど盛りだくさんの内容になりました。これだけの規模のものを大きなミスもなくみなさんにお届けできて、今は本当にホッとしています。

石元丈晴さん(以下、敬称略):音楽の究極ってライブやコンサートだと思うんですよ。お客さんは9,000円のチケットを買って来てくださるのに、手元には何も残らないわけですから、少しでも記憶に残るものをお届けしなくてはなと。

 3時間近い公演のなかで、さまざまな楽器が奏でる曲をみんなで共有する感動は、あの場にいる人にしか味わえないと思います。僕個人も、聴いててとても感動しました。

関戸剛さん(以下、敬称略):指揮者の方も含め、演奏者の方々のプロ魂に心が打たれましたね。それをお客さんと一緒に自分も味わうことができて、もうこの先これ以上幸せなことは訪れないんじゃないかと感じるくらいでした。

――国内では3回目となる公式コンサートですが、開催の流れはどのように決まったのでしょうか?

下村:コンサートの計画自体はずっとありまして、『KHIII』の発売に合わせて新しく開催しようと動いていました。ただ、準備期間はかなり限られていたので、慌しい日々が続きましたね。

――今回のプログラムのコンセプトは?

下村:1部は特定の何かに特化しないような曲構成にしました。私自身、自分が手掛けた曲のなかからどれかだけを選ぶというのが苦手なんですよね。なので、ディズニーのワールドの曲などをピンポイントで選ぶことはせず、ゲーム中で汎用曲と感じられるようなものを中心にしました。

 2部のほうは1部と対照的に、『KHIII』のワールドの曲を全部詰め込みました。これはもう最初からそうしようと決めてました。それもフィールド曲だけのメドレーやバトル曲だけのメドレーという形ではなく、すべてフィールドとバトルをセットにして、その世界にいるような気分を味わってもらいたかったんです。

 哲さんからの要望でワールドとワールドの間にグミシップやボス戦の曲も入り、まさにゲームで冒険しているような感覚になれたんじゃないかと!

――石元さんや関戸さんは、自分が手掛けた曲が会場で流れるのを聴いていかがでしたか? あらためて感じたことがあればお聞かせください。

石元:ワールド“ザ・カリビアン”の曲に関していうと、みなさんが聞き慣れている“パイレーツ・オブ・カリビアン”の曲とは違うので、受け入れてもらえるかプレッシャーはありました。でもそのプレッシャーを原動力に変えて曲作りができましたし、実際にコンサートで流れるのを聴いたら、引き受けた甲斐がある仕事だったなと思います。

関戸:アレンジャーや演奏家の方々の技量に、ただただ驚くばかりでしたね。僕も演奏を少しやるからわかるのですが、とくにアンサンブルの技術の高さに感動しました。世の中すごい人はたくさんいるもので、自分と同じ時代に生きていてこんなにすごい人がいるのかと驚きます。何食べたらそんな風になるんだろう……(笑)。

――今回のコンサートで下村さんがやりたかったこと、野村さんがやりたかったこととは?

下村:私は当初は『KHIII』の楽曲をメインにして、ちょこちょこと過去作の人気曲をはさもうと考えていました。公演の1部も2部も『KHIII』尽くしで、フィールド曲やバトル曲もたっぷり入れたかったんです。でも哲さんはこれまでのシリーズの曲を1部に、『KHIII』の曲は基本的に2部にすると決めていたようで、そこは譲りませんでした。

 とはいえ、オーケストラコンサートなんてめったにあるものではないので、私もあきらめきれなくて。なんとか私のやりたいことも叶えようとあがいて、後半に『KHIII』の曲がギュッと盛り込まれました。1曲ずつ演奏する尺はなかったので、いくつかを組曲にして、なんとか詰め込んだ形です。

――実際に公演を聴くと、“オリンポス”から“サンフランソウキョウ”までのディズニーのワールド、そして“終わりの世界”や“キーブレード墓場”といったゲーム終盤へつながっていく流れが見事に表現されていました。

下村:ユーザーさんが本編をプレイしていて、実際にたどるであろう道のりを再現したつもりです。ボス戦の曲もそのワールドに合わせて組み込んだんですけど、ちゃんと合ってたか今さらドキドキしてきちゃった……(笑)。

――オーケストラ用にアレンジされた楽曲は、石元さんと関戸さんも監修されたのでしょうか?

石元:監修というほどでもないですね。できた曲を聞いて、ひと言ふた言返したくらいです。僕があれこれ口出しするまでもなく、納得のアレンジでしたし。

関戸:僕も同じです。ただ、グミシップの曲は1曲が長いので、アレンジャーの方には苦労をかけてしまったと思います。

――セットリストはメドレー中心でしたが、総曲数はどれくらいだったのでしょうか?
下村:最終的に少し入れ替えが発生したので正確かどうかはわかりませんが、セットリストを組む段階で数えたら77曲でした。

――ものすごい曲数ですね……。

下村:自分で言うのもなんですが、「本当にこれをコンサートでやるの?」と思っちゃいました(笑)。あと、コンサートはなにより時間との戦いがありまして。決められた公演時間のなかでこれだけの曲を演奏するので、時間配分をどうしようかも悩みました。

――下村さんから見た、関戸さんと石元さんの楽曲の魅力を教えてください。

下村:関戸さんの曲は、まず要素がとにかく多い! 楽曲に含まれる要素が膨大で、聴いている側の耳にいろんな音が出たり入ったりします。あと、担当される曲が明るくワクワクするものが多いですね。

 聴いてて元気になるような明るい曲なのですが、バトル曲はきちんとバトルしてるといいますか。普段はギターを弾いてるという関戸さんからは一見想像できませんが、色彩豊かでとても好きです。

 いっぽうの石元君の曲は、言い方が難しいのですがドストレートでシンプルという印象。聴く人にまっすぐガツンと訴えかける楽曲だなと感じます。かっこいいですよね。

 2人の曲は本当に対照的で、昼の公演ではカワイイ系(関戸さん)とカッコイイ系(石元さん)ですと紹介してました(笑)。でも、カワイイ曲のなかにカッコイイ面があったり、その逆もあったりして、どちらも『KH』にすごくマッチした曲だと思います。

――逆に関戸さんと石元さんは、下村さんの楽曲にどんな印象をお持ちですか?

関戸:まずカッコいいピアノとキャッチーなメロディですよね。キャッチーな曲って覚えやすいぶん飽きられやすさもあるんですが、下村さんの曲はキャッチーなのに飽きないのがすごい。それが気になって、前に下村さんの曲をいくつか解析したことがあるんですよ。

下村:えー、何それ怖い!

関戸:仕事も少しありましたが、基本的に個人の勉強用として(笑)。それでわかったのが、下村さんの曲は時間の経過とともにハーモニーが頻繁に変化するんです。

 僕が好きなロックやポップスなどはコードで曲を表現する場合が多いのですが、例えば1小節に1つのコードがつくと、その小節は1つのハーモニーで表現されます。でも下村さんの場合はそれより短い間隔でハーモニーが変わっていくので聴いてて飽きないんだと思いました。

石元:研究しすぎじゃないですか?(笑)

関戸:同業者としては、「すごい!」と思うと同時に打ちひしがれましたから。ほかの作家さんのよい曲は飽きるまで聴かないと気が済まないタイプで、いつまでも飽きない曲があるとくやしくて悶々としちゃうんですよね。下村さんの曲もそうなんです。(笑)

下村:ありがとうございます(笑)。

石元:下村さんの曲といえば、やはり“下村節”が強みだと思います。僕にとって下村さんは、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)入社時に面接官を担当していた方で、僕は作家を始める前から下村さんの曲には多く触れていました。

 『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』から一緒のお仕事が始まり、『KH』ではずっと下村さんの曲を身近で聞いてきたので、下村節というものはなんとなく把握していました。でも、下村さんはそれで収まらず、別のタイトルでは新しい音楽性を出しているんです。

 『ディシディアFF』で『FFXV』のアレンジ曲をやることになったとき、下村さんが作った原曲を聴いたら、今までと全然違うことをやっていてビックリしました。

 これだけ多くの人に愛されてワールドツアーまでするほどのタイトルですから、きっとみんな下村節がクセになってるんですよね。メロディを聴いたときに、「あの人が作った曲だ」と感じるような域に達しているのが純粋にすごいと思います。

――応援しているファンの方々に向けて、メッセージをお願いします。

関戸:1作目から最新作までのメドレーということで、お客さんのなかには感極まって涙している方もいらっしゃいました。僕自身も、演奏中のコーラスや分厚いアンサンブルを聴いているだけで目頭が熱くなってきまして。自分だけでなくファンのみなさんも感動しているのがわかり、あの場にいて本当に幸せでした。

石元:作家としてだけでなくイチファンの目線でも今回のコンサートを聴きましたが、この感動は言葉では言い表せませんね。音楽を表現するなら生で披露する、音楽を味わうなら直接聴く、というのが一番なんだなとあらためて感じました。なんだか、音楽における究極を目の当たりにした気がします。

下村:1作目を作っていた当時は、続編が出ることもこんなコンサートを開催できるなんてことももちろん想像していませんでした。本当に夢のような出来事で、自分の人生にこういうことが起きたのがいまだに信じられないぐらいです。

 それもこれも全部ファンの方々のおかげで、3年目のコンサートを開催できたのも、これまでのコンサートにみなさんが足を運んでくれたからです。これを受けておごったり舞い上がったりせず、応援してくれているファンを裏切らないような曲作りをがんばっていきます。……でも、今だけはちょっぴり舞い上がってもいいかな(笑)。

 これからも、ゲームも音楽も含め『キングダム ハーツ』をよろしくお願いします!

KINGDOM HEARTS Orchestra -World of Tres-
<大阪公演概要>
日時:2019年11月30日(土)
演奏:大阪交響楽団
会場:グランキューブ大阪
料金:全席指定 9,000円(税込) 未就学児入場不可
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(全日10:00~18:00)
◆主催:La Fée Sauvage
◆主管:Disney Concerts / The Walt Disney Company (Japan) Ltd.
◆協力:SQUARE ENIX
◆運営協力:キョードー大阪/キョードー東京

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