この恐怖と難易度に立ち向かえますか? ホラー2Dスクロールアクション『Hidden Deep』レビュー【電撃インディー#137】

セスタス原川
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はCogwheel Softwareが開発、Daedalic Entertainmentが発売する横スクロールSFスリラーゲーム『Hidden Deep』を紹介します。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

曖昧だからこそ恐怖が際立つドット絵の世界

 本作は、懐かしさを感じるドット絵で作られた2D横スクロールアクションゲームです。詳細なジャンルはSFスリラーという分類。ドット絵の持つ曖昧な表現を生かして、3Dでは表現できないような恐怖的でグロテスクな世界観を描いています。

 BGMはほとんどなく、聞こえるのはプレイヤーの足音と、洞窟に響く不気味な環境音のみ。この静けさが「何か起こるのでは?」という恐怖を掻き立てます。このドキドキを最大限まで味わいたい方は、イヤホンをつけてプレイすることをオススメします。

  • ▲死亡した場所には血痕が……。リスタート後も倒れた場所には血が残り続けます。

 プレイヤーは調査隊として、謎の地下施設を探索していきます。アリの巣のように地下へ伸びていく施設は、文字通りの地下迷宮です。

 マップの特徴は大きく高低差のついた断崖絶壁。さまざまなアクションを活用して、落下することなく地下へ地下へと進まなければなりません。

 落下判定はかなりリアル準拠に作られており、数メートルの高さから落下しただけで死亡判定になってしまいます。よくある“この高さから落ちてもゲームだからセーフ”という考えは通用しません。細心の注意を払いながら進む必要がありました。

 チェックポイントこそ多いですが、すぐに死んでしまうポイントばかりで、全体的なゲームの難易度はかなり高め。昨今の親切設計のゲームシステムの流行に逆行するような、挑戦精神が求められる高難易度な横スクロールアクションが楽しめます。

 筆者もかなりアクションゲームを遊ぶ人間ですが、それでも何度もゲームオーバーになってしまうほどの難しさです。最初は失敗続きにイライラしてしまうかもしれませんが、難所を乗り越えたときには、先に進めたことに対する嬉しさが沸き上がってきます。この達成感が徐々に気持ち良くなってくる作品です。

アクションと装備を駆使して道を切り開く

 マップ上では、さまざまなアクション・装備を活用して奥へと進んでいきます。

 もっとも使う頻度が高いのが、ワイヤーを利用したロープアクションです。これを活用すれば、本来ならば落下してしまう高さも、スルスルとワイヤーで安全に降りられるわけです。

 ワイヤーの付け根はどこでも刺せるので、慣れてくれば狭い地下を自由自在に気持ち良く動き回れます。

 しかし、ここにも落とし穴が。ワイヤーアクションで移動する際には、振り子の原理で大きくキャラクターが動きます。この際にハイスピードのまま壁にぶつかってしまうと……そのままペシャンコになり死んでしまいます。

 このように、ゲーム中には何も考えずに動くと足元をすくわれてしまうポイントが盛りだくさん。「これをしたら、その後どうなるのか?」という想像力を働かせることが、ゲームをクリアするコツと感じました。

  • ▲気持ち良さ重視でダイナミックに動きたくなる気持ちはありますが、死なないように堅実に動くことが何よりも大切。

 ワイヤーの他にも、暗闇をドローンでスキャンして進んだり、本来は見えない地面の通路を検知して爆弾で道を切り開いたり、装備とアクションの種類は豊富。状況に応じた頭の柔らかいプレイが必要になってきます。

  • ▲ドローンを飛ばせば、危険な場所を先に確認して動けます。

  • ▲爆弾を使えば壁や床を破壊可能。次なる道を発見することができるかも?

  • ▲水中を泳ぐステージもあります。もちろん、潜り続けると酸欠で死ぬ仕組みです。

 さらに、地中にはエイリアンが這いずり回っており、出くわした際にはガンアクションで迎撃しなければなりません。

 エイリアンのデザインは、羽虫のような姿、ウジ虫のような姿から、巨大ムカデのような姿など。動いているだけでかなりグロテスクですが、倒した後も飛び散った死骸が残るので、倒してもなお視覚に刺激を与えてきます……。出くわした際には、殺されるかもしれないという焦燥感と、見たくないものを見せられる不快感を同時に味わうことになるでしょう。


  • ▲頭上からいきなり巨大ムカデが! 初めて通る場所は何が起こるかわかりません。

求められるのは辛抱強さと恐怖に耐える勇気

 本作のプレイは基本1人用で、さまざまなレベルに挑戦して、どこまで進めるかの腕試しが行えます。

 死亡すると直前のチェックポイントに戻るので、難所にはサクサクと何度も挑戦できました。しかし、一定回数の死亡を重ねると完全にゲームオーバーとなり、スタート位置まで戻されてしまいます。

 トライ&エラーを重ねて少しずつ前に進みたいところですが、あまり多く死んでしまうとこれまでの努力が水の泡。この部分くらい親切設計かと思いきや、実は全くそんなことがない鬼畜さには、ため息を超えて称賛を送りたくなります。

  • ▲ベータ版の言語は英語表記がメインしたが、操作説明は簡単な英単語が読めれば問題無くプレイできるレベルでした。

 いわゆる“死にゲー”な本作。プレイ中には、何度も同じ場所で失敗して、机に拳を叩きつけたくなるような気分になることもあるでしょう。それ故に、クリアできた際の達成感は高く、1つのステージをクリアしただけでも、かなりの満足感を味わえました。

 ゲームボリュームとしては、さまざまなマップとレベルが用意されているので、1つ1つのクリアまで時間がかかることを考えると、かなり遊べる作品です。

 ただし、グロい描写と何度も失敗することに耐性がない方は要注意。覚悟を持って臨める方は、ぜひこの恐ろしい地下空間に挑んでみてはいかがでしょうか?


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