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『ファークライ6』はオープンワールド屈指のやり応え。カリブ海の独裁者と戦う物語も深い【海外ゲーム名作案内】

柏又
公開日時

 海外ゲーム大好きな担当ライターが実際にプレイして気に入ったタイトルを紹介する“海外ゲーム名作案内”コーナー。今回は、ユービーアイソフトより好評発売中のPS5/PS4/XBOX Series X|S/XBOX ONE/Windowsソフト『ファークライ6』をとりあげます。

 本作は、敵勢力に制圧された地域で孤軍奮闘するオープンワールドFPSシリーズの最新作。このシリーズは、主人公の敵として“ヴィラン”と呼ばれる非常に個性的なキャラクターが登場するのが特徴で、今作はカリブ海の架空国家“ヤーラ”を支配する大統領“アントン・カスティロ”と息子の“ディエゴ”が登場します。

 プレイヤーは、ヴィランの独裁政府に立ち向かう革命組織“リベルタード”の一員となり、カスティロを倒すのが目的となります。

 今回は、PS5製品版をもとにゲームの魅力をお届けします。

過去シリーズとは異なる相対的な敵役感の強いヴィラン

 アメコミに登場する敵キャラクターのように、敵役ながら主人公に劣らないキャラクター性があり、人物として評価できる存在をヴィランと呼びます。『ファークライ』シリーズでは、『3』あたりからヴィランと呼ぶべき敵役が登場するようになってきました。

 新たな『ファークライ』のヴィランであるアントン・カスティロは、1967年に革命が起きて以来、経済制裁により疲弊したヤーラを立て直す人物として、大統領に当選しました。しかし、彼はアウトキャスト(追放人、浮浪者の意味をもつ)や貧困層、孤児などを徴用、彼らの強制労働によって国家を再建しようとしていたのです。

 主人公たちリベルタードは、カスティロ率いる国家から搾取される側として革命に身を投じます。物語では、カスティロが権力者として圧政を行う一方、疲弊した国家を立て直しこれまで制裁を行ってきた周辺国へ立ち向かう“強力な指導者”としての一面も描かれます。

 弱者を虐げることは絶対的な悪だが、その犠牲をもって大多数の人が生活する国家を繁栄させるのは果たして悪なのか? 今作のヴィランであるアントン・カスティロ個人は、主人公にとっては打倒すべき敵ながら、ヤーラを経済的、外交的に救う唯一の存在であるという、相対的な敵役としての印象を強く受けました。

 そしてアントンの息子のディエゴは、13歳の少年らしく弱者を犠牲にするアントンの振る舞いに疑問を持ち、ゲーム冒頭では主人公と同じ船でヤーラからの脱出をはかります。

 父の権力を継ぐべく英才教育を受けながら、大統領の息子であるがゆえに逃れられない運命と、虐げられる人に対するやさしさの間で揺れる姿が主人公として振舞うプレイヤーの心に刺さることでしょう。

 ゲームを進めるうえでカスティロを打倒する流れに変わりはないのですが、革命の果てに主人公とカスティロ親子が織りなす物語は、最後まで飽きることなく楽しめるはずです。

遊びつくせないほどのアクティビティが詰まったオープンワールド

 オープンワールドゲームの金字塔といっても過言ではない『ファークライ』シリーズ。その最新作だけあって、本作のアクティビティの数は半端ではありません。

 上の写真はストーリークリア後のマップですが、国防軍基地や検問所といった占領するタイプのアクティビティの他、空中投下された物資を横取りしたり、敵の拠点に奇襲をかけるショートミッションが無数に用意されています。

 ここからマップを拡大表記すると地形のなかに巧妙に隠されたアイテム入りの箱やレース、野生動物の狩場などさらに多くのアクティビティが確認できます。これらすべてをクリアする必要はありませんが、目的を達成することで武器などの改造に使える素材や、主人公がランクアップするために必要なゲリラ経験値を獲得できます。

 ゲリラ経験値と主人公のランクは重要な要素です。本作には地域ごとに敵のランクが設定されていて、ストーリーを進めるごとに敵のランクが強化されていきます。プレイヤーは、各地に点在するアクティビティを達成、ランクアップすることでより攻略が楽になるというわけです。もちろん、敵の強さが気にならないのであれば、どんどんストーリを進めてしまってもいいでしょう。

 なお、ストーリーをクリアすると地域の一部がリベルタードに蜂起する“反乱”が発生。反乱がおきた地域内のアクティビティをクリアし、敵勢力のリーダーを倒すと週替わりで報酬を獲得できます。

忙しい人でも素材集めができる“海賊団”ミッションが便利!

 ゲームを進めると、主人公は自分の指揮下で動く”海賊団”を編成、行動を選択するテキストアドベンチャー形式のミッションに送りこめます。実施にはリーダーと配下となる新兵が必要です。送り込むとミッションを開始するまでリアルで数時間かかりますが、ミッション開始後はいくつかの選択肢を選ぶだけなので短時間で完了します。

 ミッション開始までにかかる時間はゲームを終了している間も経過するので、朝晩にちょっとだけプレイして素材やお金を稼ぐのに便利。普段の仕事や学業が忙しくて平日はプレイ時間を確保できない人でも素材を集めて、ストーリーやアクティビティの達成に時間を使うことができます。

スプレーモ&リゾルバー武器によるヒャッハープレイが楽しい!

 本作のアクション面での特徴は、ゲージを溜めて機能を発揮するバックパック“スプレーモ”とユニークな改造武器“リゾルバー武器”でしょう。

 スプレーモは、ストーリー序盤で入手できるバックパックで画面右下のゲージがフルの時にL1+R1ボタンでさまざまな機能が発動します。最初に手に入るスプレーモなら前方の敵にホーミングするロケット弾を大量に発射します。

 スプレーモにはロケット弾の他、毒ガスや火炎、EMP攻撃を周囲に放射するもの、体力回復や自身を強化できるものまでさまざま。基本的には最初に入手できる“エクステルミナルドール”が安定して強いですが、挑戦するアクティビティの内容に合わせて選んでみたくなる魅力がありますね。

 リゾルバー武器は、日用品を組み合わせて作られたゲリラならではの改造武器。見た目はもちろん、性能もユニークで使っていて楽しくなるものばかりです。火炎放射やEMPといった属性を持つものもあるので、対車両や敵の集団などと正面から渡り合う際に役立つでしょう。

 ステルス性に欠けるのですが、ついつい活用したくなってしまうパワーに満ちあふれた性能です。

カワイイけど頼りがいのあるアミーゴとともに戦おう

 『ファークライ』シリーズではAI操作の味方といっしょに行動できる点も魅力です。今作では“アミーゴ”と呼ばれる動物と同行できます。

 アミーゴたちは、自己回復やステルス、アイテム探しなどそれぞれ得意な能力を持っていて、特徴を生かして行動させるとより便利な能力を習得します。プレイスタイルに合わせて呼び出すと強力な味方となってくれますね。

 また、戦わなくてもかわいがったりいっしょに歩くだけで楽しいのも動物の相棒ならでは。プレイスタイルだけではなく、見た目で選んでいっしょにいるのもアリかもしれません。

追加コンテンツでは過去作のヴィランが主人公のDLCを配信!

 本作では発売後に配信される追加コンテンツとして、過去作のヴィランが主人公のシナリオが配信されます。現在は、『ファークライ3』のヴィラン“バース・モンテネグロ”が主人公の“バースの狂気”が配信中です。

 バースの狂気では、『3』の主人公ジェイソンに倒されたバースが、自身の精神世界をさまよいます。彼の心のなかにあるゲームの舞台・ルールアイランドを探索し、この世界から脱出する方法を探すのが目的です。

 このDLCでは、主人公が倒されると所持金と一部アイテムを失って最初からやり直しになるシステムを採用。所持金を使って恒久的に残るステータス強化を行いながら少しずつクリアへ近づいていくローグライクな内容で、『ファークライ6』本編とはまったく異なる楽しみ方ができるのです。

 シナリオ的には、ノリノリでしゃべりまくるバースのセリフはもちろんのこと、やはりバース視点でのシトラが見られることがポイントですね。海賊団のボスであるバースは、かつて島の神官だったシトラと兄弟だったのですが、そのあたりの関係は『ファークライ3』では語られていなかったと思うので、過去作をプレイした人には興味深い体験になると思います。

 なお、今後は『ファークライ4』の“パガン・ミン”が主人公の“パガンの支配”、『ファークライ5』の“ジョセフ・シード”が主人公の“ジョセフの崩壊”が配信される予定。どんなアプローチのストーリーとシステムで遊べるのか、非常に楽しみです。

 ここまで紹介してきました『ファークライ6』。シリーズを重ねただけあって、オープンワールドを堪能できるアクティビティの物量は十分以上。ストーリーも深みがあって、カスティロ親子のことをもっと知りたいと思えるでしょう。

 グラップリングやパラシュート、ウィングスーツといった移動を快適にするツールの数々も健在で車も含めて移動が楽しい出来になっています。

 発売当初は、いくつかの不具合に悩まされた時期もありましたが、現在では修正されておりプレイしていて不都合を感じることは少なくなったと思います。

 シリーズを通してプレイしている人ならぜひ遊んでほしい1本ですし、難易度を下げられるので初めて『ファークライ』を遊ぶ人、オープンワールドゲーム未体験の人も歓迎の内容です。

 大作ならではの安定したおもしろさを感じられますし、長く遊べるボリュームも満点ですので、年末年始にガッツリ遊びたい人にもうってつけのゲームです!


© 2021 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubisoft and the Ubisoft logo are registered or unregistered trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli.

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