江戸の町で隠密行動&暗殺。緊張感と戦略性のある和風ステルスゲームをレビュー【電撃インディー#180】

セスタス原川
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は江戸時代の日本を舞台とした人気ステルス戦略ゲーム『Shadow Tactics: Aiko's Choice』を紹介します。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

江戸の町の包囲網を隠密行動で突破

 本作は、江戸の町を敵にバレないように駆け巡るステルス戦略ゲームです。

 登場人物は、将軍・武源(ブゲン)と、彼に忠を付く忍・愛虎(アイコ)。そして、忍者の隼人(ハヤト)を始めとする仲間たち。各々の得意分野を生かして、隠密行動、暗殺、妨害などを行い、敵に見つからないように任務を達成していきます。

  • ▲戦いへ挑む直前に武源一行は敵の襲撃に遭い、隠れながら町を脱出することを余儀なくされます。

 敵と真っ向から戦うこともできますが、操作するキャラクターの体力は少なく、攻撃を受ければすぐに倒されてしまうので、強行突破は非現実的。シビアなゲームバランスのステルスゲームとなっています。

 ゲームの難易度は3段階から設定可能。推奨はノーマルですが、操作や攻略になれるまではイージーでプレイすることをオススメします。


  • ▲ゲームはセーブ&ロード、クイックロード&セーブに対応しているので、こまめなセーブを行えば少し難易度を抑えられます。

 任務の最終目的は、仲間を死なせることなく目的地まで全員で辿り着くこと。イージーでもミスをすれば簡単に失敗してしまうレベルなので、ゲームの難易度はかなり高めです。

 そのため、基本的には“どうやったらバレないか”を最優先で考え、やむを得ない場合に暗殺をして、目的地を目指す進め方が基本となります。

 どうやって敵の包囲網を潜り抜けるか、綿密な計画を立てる必要があり、プレイ中はつねに頭をフル回転するので、遊び応えは抜群でした!

  • ▲暗殺をするにも、敵の背後から近づく、しゃがんでゆっくり近づくなど、見つからない工夫が必要です。

 敵の索敵範囲はかなり広め。こういったステルスゲームでは「今の明らかに見つかっているでしょ!?」みたいな易しいシーンも少なくありませんが、本作は遠目でも見える範囲になれば見つかってしまいます。慎重すぎるくらいのプレイが丁度良い印象でした。

 加えて、死体が見つかった後や逃げ切った直後など、警戒度が高まっている状態では、敵が入念に物陰や草陰まで探索を行うこともあります。普段であれば見つからないからといって、常にそこが安全とは限らないのです。

 これは日本人、というか筆者の独特な感性かもしれませんが、日本を舞台にした作品が海外から生まれる、ということ自体が嬉しいですよね。街並みも、我々が思い描く江戸の町にピッタリで、制作陣も日本が好きなのだろうな……といろいろな想像が膨らみます。

 表示言語とボイスは日本語に対応済み。スキルやアクションが多く最初は混乱しますが、しっかり読みながら進めれば問題なくプレイできます。

  • ▲マップのロード画面の日本地図も味があって良いですね!

キャラクターのスキルと連携が生存の鍵

 キャラクターはそれぞれ異なる性質を持っています。例えば、愛虎と隼人は忍者なので、道具を使って屋根上に飛び乗ったり、逆に飛び降りたり、自由自在な行動で町中を駆け巡れます。

 一方で、武源は重い甲冑を身に着けているので、動きに関してはせいぜい梯子を上り下りできる程度。アクロバティックな動きはできません。そのため、多くの移動が必要な隠密行動は忍者衆に任せることになります。

 では、忍者以外が活躍できないのかと言えば、そんなことはありません。

 キャラクターはそれぞれスキルを持っており、愛虎たちは暗殺や妨害に特化している一方で、武源は目の前の敵を一度に倒せる戦闘面に特化したスキルを持っています。

  • ▲ゲームの最序盤の包囲を突破する際にも武源の攻撃は重宝します。

 1人で見張りをしている敵は、屋根から忍者の暗殺術で倒す。正面突破するしかない場合は、増援が呼ばれないうちに大技で葬る。このキャラクターの特技を生かした使い分けがクリアの鍵となります。

  • ▲隼人は石で回りの注意を引いて、武源は酒瓶おとりに兵士を呼び寄せらます。攻略方法は1つではないので、さまざまな方法で敵の突破を考えてみましょう。

 そのため、各々が得意な役割を果たすために、全員が固まって動くよりも、バラバラに動いた方が良い場面も多くありました。離れていても、お互いがお互いのために動く……そんな連携力が試されます。

 最初に操作できるのは、愛虎、隼人、武源の3名。ゲームを進めるにつれて、他の能力を持つキャラクターも使えるようになっていき、より戦略の幅が広がっていきます。



 また、本作はコマンド式ですが、素早く入力を行えば同時行動も可能なリアルタイム制がおもしろさのポイントです。

 スピード感がありおもしろいポイントでもありますが、速度が求められるがゆえに、指示が遅れてタッチの差で敵に見つかってしまう、倒されてしまうなど、己のコントロールミスで悔しい思いをする場面もありました。

 大まかな操作は、1~4の数字キーで操作するキャラクターを決定して、ASDFGキーで使用するスキルを決定。移動はマウスクリックで行きたい場所を選択して行います。

 さらに、キャラクターを中心にカメラを合わせるためにWキーも必要。ここまでで察しの良い方はわかるかもしれませんが……このゲーム、実はめちゃくちゃ手元が忙しいです。

 難易度高め×操作複雑という観点から、ゲームとしてはやや玄人向けの部類。逆に、キーボードマウス操作の複雑感が楽しめるので、PCゲーム好きのコアファンが好むタイプの操作と言えます。忙しい操作を面白く感じる、リアルタイムストラテジーゲームが好きな方にはグッと刺さるゲーム性に違いありません。

 和風×ステルス×ストラテジーの組み合わせで成り立っているこの『Shadow Tactics: Aiko’s Choice』。プレイして特に面白く感じたポイントは、プレイ中に手に汗握るほどの緊張感です。

 「この敵を倒したら見つかってしまうのか……?」「危ないけどここを通ればかなりショートカットできる」など、まるで隠密行動をしているキャラクター自身の心情が伝わってくるようでした。

 それに加えて、勢いだけではクリアできない戦略性もあり、戦略と動作の両方を求められる二面性が、ゲームの歯ごたえを生み出しています。

 失敗を繰り返してしまうほどの難しいので、クリアした際の達成感も十分。緊張感のあるステルスゲーム、難易度の高いストラテジーゲームが好きな方には、ぜひ一度触れていただきたい作品です。


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