これ、すごく面白い。愛って何? を深く描く、強くはないけど優しい人々の魔法学園RPG『アイケンフェル』【2021年おすすめ傑作選(3):電撃インディー#166】
- 文
- まさん
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は2021年に発売された(移植、リメイクなども含む)オススメのインディーゲームを取り上げる特別企画第3回をお届けします。
今回は、12月9日に日本語版が配信されたばかりの最新作(海外では2020年に配信済み)、PS4/Nintendo Switch/Xbox One/PC(Steam)で配信中のRPG『Ikenfell(アイケンフェル)』です。
『Ikenfell(アイケンフェル)』は、カナダ・バンクーバーのHappy Ray Gamesが開発した2Dドット絵のタクティカルRPG。主人公のマリットと仲間たちが冒険を通して紡ぐ友情と、心温まる“愛”の物語が描かれていきます。
タイミングよくボタンを押してダメージを与えていくアクションコマンドとシミュレーションRPGを混ぜ合わせたような戦闘や、パズル仕掛けのダンジョン。温かみのあるドット絵が、どこか懐かしくも新しい素敵な作品です。
魔法の力に目覚めた少女が、傷ついた人々と助け合う優しい物語
音信不通となった姉・サフィーナの消息を知るために、魔法学院・アイケンフェルを訪れた少女・マリット。魔法の力を持たず“マホウレス”として追い返されそうになった彼女は、なぜか戦いの途中で“火の魔法”を使う魔女として覚醒します。
誰も使えないはずの火の魔法。学院で起きている不可解な出来事。マリットは、学院の生徒たちと協力しながら姉の行方を追うのですが……。
このゲームにおける最大の魅力は、やはりマリットを中心とした物語でしょう。
魔法の力を使えず傷ついていたマリット。奥手で主張できないペトロネラ。マリットのことが大好きな雷使いの元気少女ギルダ。個性的だけど本当は深く傷ついている人々とマリットが出会い、お互いに反発や認め合いながら支え合う物語が、とても優しいのです。
男女の仲だけではなく、ノンバイナリーや性的マイノリティの人たちも自然に登場し、それをテーマではなく当たり前のものとして描いているのも、本作が家族愛や隣人愛、誰かが誰かを愛する当たり前の“愛”を描いていることでもあります。
人は相手を許しきれなくても、認め合えなくても、協力して支えて助け合うことはできる。傷つき、悩んでいる人たちにこそ遊んで欲しいRPGです。
ショックを受けないように“キャラクターが物理的、または精神的に傷つく”場面の前には警告が発生するのも親切。ゲームそのものが優しさに満ちています。
優しさはバトル面にも及んでいます。本作の戦闘は、タイミングよく特定のアクションを入力することでダメージが増えるコマンドバトル。
失敗(MISS)や成功(NICE)では状態異常を防げなかったり、ダメージが低めだったりと大成功(GREAT)が前提となっているので、ガチで戦うとシビアなバランスです。
アクションが得意でも大変なのですが、なんとオプションで入力しない設定にできちゃいます。必ずGREATになって追加入力が必要ない“AUTO”で遊べば、SRPG風の移動が挟まる純粋なコマンドバトルとして楽しめるので安心。
バトルに自信がある人は、自動的にNICEになって手動で成功するとGREATになる“SEMI-AUTO”もアリでしょう。後半は敵の数が多くて強いので、“MANUAL”はあまりオススメしません。この2つのどちらかで遊ぶのを推奨します。
また、バトルを飛ばして一瞬で勝利する“ヴィクトリーコマンド”も存在。これを使えば面倒なレベル上げもサクサクですし、ラスボス戦だって飛ばせちゃいます。バトル自体も面白いのに、飛ばしても良いゲームなのです! 優しい!!
魔法学校を舞台にした、強くはないけど優しい人々の愛と冒険の物語。年末年始の休みを利用して、じっくりと『Ikenfell(アイケンフェル)』の世界に浸ってみてください。パズル的なギミックがあるのでちょっと難しく感じる人はいるかもしれませんが、そこもまた楽しさです。
『Ikenfell(アイケンフェル)』商品情報
ハード:PC(Steam)、PS4、Xbox One、Nintendo Switch
ジャンル:RPG
メーカー:Humble Games
開発:Happy Ray Games
価格:1,980円(税込)
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