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まもなく発売する10万円台ゲーミングノートPC『Victus 16』で第一次世界大戦に参戦してみた

澤田真一
公開日時

 大手PCメーカー“HP”が『Victus』というゲーミングPCブランドを立ち上げました。それに伴い、来年3月までに『Victus 16』が市場投入される予定です。

 これはゲーミングノートPCの中では低価格帯に位置する製品で、今回はIntelモデルの『Victus 16-d0135TX』をお借りしました。早速ながらその性能・機能を確認してみたいと思います。

上品な印象のゲーミングノート

 さて、筆者が今まで触ってきたゲーミングノートPCは、ブラックもしくはグレーのカラーリングが大半でした。特に全面ブラックのカラーはスポーティな印象で、「まさにゲーミングノート」という具合です。

 しかし今回の『Victus 16』はセラミックホワイト。ぱっと見、これがゲーミングノートとは思えない印象です。そのままオフィスに持ち込んで、仕事用に使っても違和感はないでしょう。

 画面は16.1インチワイド・フルHD非光沢・IPSディスプレイ。低価格帯の製品とはいえ、リフレッシュレートは144Hzを確保しています。『Victus 16-d0135TX』のプロセッサーはIntel Core i5-11400H、グラフィックスはNVIDIA GeForce RTX 3050 Laptop。メモリ16GB、ストレージ512GB SSDという組み合わせです。

 重量は約2.48kgで、これは若干重めのような気もします。バッテリーの最大駆動時間は約5時間30分です。外に持ち出すよりも、室内でどっしり構えさせたほうがいい製品と筆者は感じています。

 ですが、一番肝心なのは「ゲームをプレイして楽しいと感じるかどうか」です。今回はオンラインFPS『Verdun』をやってみましょう。

塹壕戦テーマのFPS

 第一次世界大戦の西部戦線は「塹壕戦」でした。

 イギリスやフランス、ドイツ、ロシア等の列強国にとって、この戦争は「同盟国のそのまた同盟国の争い」でした。オスマン帝国の衰退に端を発するバルカン諸国の独立闘争は、やがて近隣同士の領土争いになり、泥沼化していきます。それがオーストリア・ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント大公が暗殺された「サラエボ事件」をきっかけに、巨大な火焔となってしまいました。

 ただし、イギリス人もフランス人もドイツ人も同盟国への義理さえ果たせば戦争はすぐに終わると考えていました。そして彼らは、家族や恋人にこんな約束をしました。

 「クリスマスにまた会おう!」

 しかし実際は、大戦勃発年のクリスマスどころか4年以上の渡る苦しい戦いが続きます。機関銃の運用により、生身の兵士が敵軍の塹壕に近づくことは不可能になりました。すると両陣営が塹壕の中でいつまでも消耗戦を続ける、という状況が生まれます。Steamで配信されている『Verdun』は、地獄のような塹壕で戦うゲームです。

 何しろ100年以上前の戦争ですから、大抵の兵士が持っているのは単発式の歩兵銃か拳銃。銃弾が飛び交う中、自陣営の塹壕から飛び出して敵陣営の塹壕に突撃します。プレイヤーのライフゲージなどというものはなく、銃弾を1発食らえば高確率で戦死してしまいます。

地獄の戦場を生き抜くために

 『Verdun』には、何と毒ガス攻撃というものもあります。不吉な色の空気が漂ってきたら、それは毒ガスです。すぐに防毒マスクを装着しないといけません。

 銃を取って突撃し、死んだら別の兵士としてリスポーンし、また突撃して……という戦闘を長時間繰り返します。にもかかわらず、結果が「引き分け」ということもよくあるのがこのゲーム。あれだけ戦死者を出したのに寸土も得られなかったというのは、実際に西部戦線で頻発したことです。

 『Verdun』は塹壕戦故に接近戦闘になりがちで、一瞬の動作が生死を分けます。正直、リフレッシュレートの低いPCではだいぶ不利です。144Hzあればそれなりに戦えるかな、というのが筆者の感想。言い換えれば、『Victus 16』は『Verdun』のオンライン対戦を楽しむのに必要なスペックを確保しているということです。筆者のダメダメな腕前でも、塹壕の曲がり角で敵を待ち伏せして一気に3人討ち取るということができました。

パフォーマンスは及第点

 『Victus 16-d0135TX』のメーカー希望小売価格は16万5,000円。冒頭に書いた通り、来年2022年3月までの発売を予定しています。

 「初めてのゲーミングPC」を求める人にとっては適度な丈の製品と感じましたが、欲を言えばもう少し軽量にできれば……とも思います。今や2kgを切っているエントリー向けゲーミングノートは珍しくないため、このあたりは懸念材料として指摘されてしまうかもしれません。

 とはいえ、20万円を下回る価格帯の製品としては申し分ないパフォーマンスを発揮してくれました。今後は『Victus』ブランドに大きな期待を寄せるべきと、筆者は考えています。

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