人類が滅びた(?)地球でレッツゴルフ! スポーツゲームというより、むしろパズル+ドラマが魅力の良ゲーをレビュー【電撃インディー#182】

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、一風変わったゴルフゲーム『Golf Club:Wasteland』のPS4版を紹介します。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

廃墟となった地球でレッツ・ゴルフ!!

 本作は、人類がいなくなり、今や超富裕層のためのゴルフコースとなった地球を舞台にした、シンプルかつストイックなゴルフゲームです。

 ラウンドするのは、破壊された公園や、崩れかけたショッピングモールなど、廃退したディストピア的な雰囲気が漂うコース。こうしたコースを巡りながら、流れるラジオや日記から、この地球で起きたことに思いをはせていくことになります。

簡単そうで一筋縄ではいかないシステム

 システムはとにかくシンプルで、基本的に、左から右へ向けてボールをショットしていく、横スクロールのゴルフゲームです。コースのどこかにあるホールに入れたら、次のコースへと進んでいきます。

 ショットのシステムは、角度と方向を決めて、ボタンを押すだけと超シンプル。しかも、クラブは1本しかなく、状況にあわせて切り替える必要すらありません。

 ただし、コースには高さの概念があり、建物から動物まで、さまざまな障害物があるため、なかなか一筋縄では行きません! 巨大な建物のなかで、各フロアを上下移動しながらショットを進めていくなんてコースもあります。

 もちろん、バンカー(砂場)や水場もありますし、排水管にボールを入れことで別の場所に出たり、ボールをスイッチに当てることでシャッターが開いたりなど、ポスト・アポカリプス的な世界観を生かした、さまざまなギミックも登場します。

 方向と強弱しかないので、ボールの軌道を計算しながらショットしていく、ある意味パズルゲームといえます。

 クラブを変えたり、芝を読んだり、風を読むといった、戦略的な部分はすべてオミットされており、まさに潔いまでのストイックさです。もちろん、成長要素もまったくありません。

 ゲームとしては、いかに少ないショットでホールに入れるか、ただただそこを楽しんでいくことになります。

独自の世界観と物語にハマる!

 本作のシンプルなパズル性も十分魅力ですが、最大の魅力といえば、やはりその世界観でしょう。人が住んでいない地球は、独自の色合いのグラフィックもあり、廃墟の寂寥感をうまく醸し出しています。

 巨大な動物がいたり、怪しげな影が横切ったりと、何やら怪しげな演出もあり、ちょっとした不安要素も、この不思議な世界を彩ってくれます。

 また、コースごとに短めのナレーションがあり、それがなんとなく、物語になっているのです。

 断片的で、一見意味のない内容ですが、この不思議な世界観にマッチしている点がポイント。これがとても高い没入感を生み出してくれるのです。

ラジオや日記で奏でられる世界

 本作ではプレイ中に『ラジオ・ノスタルジア』というラジオが流れます。このラジオがまたいい味を出していて、なんとなく聞き入ってしまう魅力を持っています。

 ラジオの内容は、ゲームのヒントでもなんでもないので聞く必要はないのですが、とにかくゲームの雰囲気作りに一役買ってくれます。そして、このラジオもまた、この世界のことがなんとなくわかる内容となっているのです。

 また、スコアによって日記のページが解放されていき、そこでもちょっとした物語を知ることができます。

 先述したナレーションに加え、日記とラジオ、3つもソースがありますが、伝えられるのはいずれも断片的な情報ばかり。それがまた、想像力を掻き立ててくれるのです。

 ちなみにラジオでは、語りのあと音楽も流れるのですが、この音楽も、世界観にピッタリ合っています。

世界が気に入ったら、まったり遊びたい!

 総合的に、先述したように、ゴルフのルールを借りたパズルゲームといった方がしっくりきます。その分、本格的なゴルフゲームを期待すると、満足できない可能性はあります。

 しかしこの世界観は、人によってはかなりハマれる可能性があります。画面を見れば、その独特な雰囲気は感じ取れると思うので、画面でビビっときたなら、ぜひ挑戦してみて下さい。

 ちなみに、各コースのパット数は決まっていますが、基本的にゲームオーバーにはなりません。それどころか、ある程度パット数が増えたら、諦めて次のコースに進むこともできるのです。

 このため、ゴルフが苦手、あるいはまったく知らなくても、問題なく楽しむことができますよ!


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