『天使は炭酸しか飲まない』丸深まろやか先生が目指す作品とは?
- 文
- 電撃オンライン
- 公開日時
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。今回は、『天使は炭酸しか飲まない』を執筆した丸深まろやか先生のインタビューを掲載します。
本作は、不思議な力を持ち、天使と呼ばれている主人公“明石伊緒”が、“柚月湊”の異常な惚れ癖を直すために力を貸す、すこし不思議な青春ストーリーです。
恋多き少女との不思議な青春物語を描いた丸深先生に、本作が誕生したお話を伺いました。
──この作品を書いたキッカケを教えてください。
もともと恋愛ものは大好きなので、次もラブコメを書こうとは思っていました。
ただ今回は、恋愛以外の人間関係や感情もたくさん書きたいな、という気持ちがあり、それができるお話ってどんなものだろうと考えて、今回の作品が生まれました。
──作品の特徴やセールスポイントを教えてください。
読んでいる人が、まるで彼らの一員になったように、一緒に本気になれるような作品を目指して書きました。
爽やかで、優しくて、ドキッとして、グッとくる。そんなお話になってると思います。
──作品を書くうえで悩んだところは?
キャラクターの行動と、その動機や感情に説得力を持たせるところです。
特に主人公とヒロインは、設定も事情も特殊なので、彼らがなにを考えて、どうしたいのか、対話に時間がかかりました。
ただ、生きたキャラクターを書くのには必要なことなので、うんうん唸りながら考えてました。
──執筆にかかった期間はどれくらいですか?
キャラクターやお話の展開を作るのに四ヶ月、本文の執筆と修正に三ヶ月ほどかと思います。
書いている時間よりも、考えている時間の方がずっと長かったです。
──執筆中のエピソードはありますか?
お話の筋は全部担当編集さんと相談して決めたのですが、唯一ラストシーンをどんな感じにするかだけは、編集さんにもあまり伝えずに原稿を書きました。
というのも、原稿をチェックしてくださる編集さんにも、お話を読むのを楽しんで欲しかったからです。知ってる展開だけじゃつまらないだろうな、と思い、あえて一番美味しいところだけはボカしていました。
うまくいったかどうかはわかりません(笑)。
──本作の主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
出会うのは偶然でも、そのあとで関わっていくのは必然、そんなふたりになってくれるように考えました。
自分の過去と必死に戦っている彼らが、作者ながらに好きです。
彼らが幸せになって、多くの人に愛されてくれたら嬉しいです。
──特にお気に入りのシーンはどこですか?
終盤、主人公とヒロインが、お互いに秘密を打ち明ける場面です。
その前後のシーンも合わせて、いい空気感が出せたと感じています。
一章のラストも好きです。自分らしさが出たシーンだなと思っています。
──今後の予定について簡単に教えてください。
続きを書かせてもらえたときのために、1巻の彼らと、新しいキャラクターを掘り下げています。
読者さんたちとまた会えたら嬉しいですね。
──小説を書く時に、特にこだわっているところは?
①キャラクターの言動に、リアリティが感じられるように書く
②どんな人に楽しんでほしいのか、しっかり決めて書く
たくさんありますが、大きいのはこのふたつかなと思います。
──アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
最初のアイデアはふとしたときに頭に浮かぶので、必ずその場でメモを取ります。
そうして浮かんだアイデアを深めるときは、とにかく長い時間考えます。
集中するのは、実は苦手です(汗)。
ただ、何時までしか作業をしてはいけない、と決めると捗る気がしてます。
──学生時代に影響を受けた人物・作品は?
作家の辻村深月さん。特に講談社さんから出されている作品群が大好きで、畏れ多いですが、作品にもご本人にも、影響を受けまくっていると思います。
ペンネームにも「深」の字を勝手に取らせていただきました。
また、恒川光太郎さん、本多孝好さんの作品も同様に、今でも愛読してます。
作品を読んだときのあの興奮が、今でも小説を書く原動力になってます。
──今現在注目している作家・作品は?
『千歳くんはラムネ瓶のなか』の裕夢先生。完全にファンです。
それから、『わたし、二番目の彼女でいいから。』の西条陽先生。尊敬してます。
──その他に今熱中しているものはありますか?
マーベル・シネマティック・ユニバース。出てくるもの全部がおもしろすぎて、今の生きがいのひとつです。
創作者としても、いちファンとしても、圧倒されています。
──最近熱中しているゲームはありますか?
Apex Legends以外にはハマらないように気をつけてます。
ただ、それでも時期によっては全然プレイできないので、上手くなれなくて悲しいです(泣)。
──それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
「これは自分のために作られた物語だ」。そんなのあり得ないのに、でも、そうとしか思えない。そういう出会いはありますか?
この『天使は炭酸しか飲まない』が、あなたにとってのそんな作品になればいい、と思います。
そしてもし違っても、きっといつか、そういう出会いが訪れることを、ひとりの物語ファンとして心から願っています。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
『天使は炭酸しか飲まない』
- 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
- 発売日:2022年1月8日
- ページ数:328ページ
- 定価:726円(税込)