アニメ『ルパン三世 PART6』大塚明夫の考える次元大介の演じ方とは?

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 『ルパン三世』アニメ最新作『ルパン三世 PART6』で次元大介を演じる大塚明夫さんのインタビューが公開されました。

 以下、リリース原文を掲載します。

【次元大介の歩き方】とは? 「小林次元のトレース」と 「大塚次元の進化」で新章に挑む 二代目:次元大介役 大塚明夫インタビュー

 世界的大泥棒アルセーヌ・ルパンの孫である「ルパン三世」と、「次元大介」「石川五ェ門」「峰不二子」ら仲間たち、そして宿敵「銭形警部」など、個性豊かなキャラクターたちが織りなすハードボイルドで、スリリングで、コミカルで、エキセントリックなモンキー・パンチ原作の物語『ルパン三世』。1971年に放映された初のテレビアニメ版『ルパン三世 PART1』を皮切りに、長年、時代の空気を取り込みながら幾度となくアニメーション展開され、世界中のファンを虜にしてきた。

新作テレビアニメ『ルパン三世 PART6』始動 日本を沸かせた「次元大介の声優交代劇」

 そして迎えた2021年10月。【アニメ化50周年】という大きな節目を迎えたアニバーサリーイヤーに、テレビアニメシリーズ最新作『ルパン三世 PART6』が満を持してスタートした。

 1クール目は〈ミステリー〉をテーマに、『PART1』以来〈原点〉とも言えるエメラルドグリーンのジャケットに身を包んだルパン三世の登場、シリーズ構成の大倉崇裕が描く世紀の対決「ルパンVSシャーロック・ホームズ」、加えて辻真先、芦辺拓、樋口明雄、湊かなえ、押井守など小説界・アニメ界を賑わす豪華脚本家陣によるオムニバスエピソード回への参加など、話題の尽きない最新シリーズの幕開けになった。  

 その中でも、放映開始前から日本中の話題となったのが「次元大介の声優交代劇」だったのではないだろうか。1971年のテレビアニメ放送開始から約50年に渡り「次元大介」に命を吹き込み続けてきた小林清志。<初代>に変わり次元役のバトンを受け取ったのは「大塚明夫」だった。

 今回、2022年1月からの<新章>スタートを前に、「次元大介を引き継ぐ」大仕事からスタートした1クール目を走り抜けた今の率直な気持ちや、2クール目に臨むにあたり次元大介に対する向き合い方や心境に変化はあったのか、など話を聞いた。

どの時代の次元大介でいるべきなのか。『PART1、2、3』の頃の次元に近づこうという想い

 昨年、約3ヶ月に渡り放映されたテレビアニメ最新シリーズ『ルパン三世 PART6』の1クール目が幕を閉じた今、「1クール目は無我夢中で、常に「もっとやらないと」という気持ちが溢れて、走り終えた感じは全くないんです。

 次元大介の背中が少し見えてきているので、輪郭がぼやけてしまわないうちに、早く追いつきたいという焦りでいっぱいです」と話す大塚。しかし、焦りの中でも「次元大介への向き合い方」に変化はないと断言する。

 「「次元大介は永遠であれ」という、10年20年そこらではない”オールドファン“の気持ちを持っていますので、どこまでも清志さんの作った次元を大事にしていきたいという想いがあります。次元への向き合い方は、やはり変わらないです。

 特に、清志さんは50年間も次元を演じ続けてこられたので、どの時代の次元大介でいるべきなのか、をすごく考えます。これから自分も歳を重ねていけば、音の出方やいろんなものが変わってくると思うのですが、変わっていく前の”次元大介の原型”のような部分にいつも思いを飛ばしていないと、それていってしまうのではと。だから、『PART1、2、3』のころの次元に近づこうと思い続けています」

【次元大介の歩き方】目指す次元像に近づくためのユニークなアプローチ法

 自身も『ルパン三世』のオールドファンだからこそ、目指す「小林次元」のイメージを明確に持ち、大切に守りながらアフレコに挑む様子がうかがえる。

 想い描く次元に近づくために、実際、日頃心がけていることなどを問うと、心理的な面からフィジカルな面まで、ユニークなアプローチ法が見えてきた。

 「昔の『ルパン三世』シリーズをYouTubeでランダムに観ています。清志さんの音をコピーするという意味合いよりは、『ルパン三世』の世界、空気感を胸いっぱいに吸ってからアフレコに臨みたいと言う気持ちです。

 また、形から入ることも大事なことだと思っています。全国のコスプレイヤーのみなさんは分かってくださると思うのですが(笑)、収録の際は、次元の気分になるためにも、やはり黒いハットはかぶりたいなと思っています。栗田貫一さんは「リアル次元大介!」と言ってくださいました(笑)。
 
 それから、次元のセリフではなくても、例えばハードボイルド小説にある決め台詞を次元大介風に言ってみたりしています。清志さんはとにかく決め台詞がかっこよくて、昔のニッポンの大人たちの“やせ我慢のかっこよさ“の部分が、ハードボイルドなものにも通底して流れている。

 遊びの延長で始めたことですがなかなか面白くて、次元の良いエクササイズになっているといいなと思います。次元はすべてが決め台詞なわけではなく、ある意味、抜けたところも出来ないといけません。難しいのは、その部分です。力の抜け方みたいなところが、日常の中のなんでもないイメージトレーニングも含めて、やはりこれから身につけていかなければいけないところだと思っています。

 自分のオリジナルの役ではなく、“次元”がやるわけですから……やはり道は細いです。少しでも油断すると、踏み外してしまいます」

 声優として長年の幅広い経験値を持つレジェンドでありながらも、50年の歴史ある次元大介役を前にしては、その道は少しでも油断すると踏み外してしまうほど細いと語る。

 様々な角度から真摯に、時に遊び心も織り交ぜながら、次元というキャラクターを掘り起こすべく独自のアプローチを生み出し、向き合う日々。その中で、次元大介に近づくための最も大切なハウツー、すなわち【次元大介の歩き方】が見えてきたと語る。

 「清志さんをトレースしていこうとする中で、どうしても滲み出てきてしまうのが、”大塚明夫版 次元大介“になっていくと思うんです。最初から”大塚明夫版”を意識すると、出来上がったものは次元と違うものになってしまう。

 だから、あくまでも清志さんの次元をトレースしていこう、というアプローチは忘れずにいたいです。そのアプローチをブラさずにいけば、次に次元大介を引き継ぐ人に、成功すれば伝えられるし、もし失敗したら違うんだと伝えられる。「次元大介の歩き方」みたいに(笑)その上で、進化もしていかないと。雑になってしまったり、前のが良かったなと思われないようにしていきたいですね。難しいです」

 ユニークなアプローチ法の根底に変わらず流れる「小林次元をトレースする」という気概と、常に気を引き締めながらも「大塚次元の進化」にも挑む姿が垣間見ることができたインタビューとなった。

 いよいよ2022年新たな1年の幕開けと同時に、<2クール目>へと突入するPART6シリーズ。<女>をキーワードに浮かび上がる、ルパンの「幼少の記憶」、そして「母親の存在」—。

 未だ開けられることのなかった、ルパン三世の新たなる過去の扉が開く『謎』の物語が展開する新章には、次元大介とある女とのハードボイルドなロマンス回もあるのだとか。

 「小林次元」を踏襲しつつ、独自のアプローチから滲み出す「大塚次元」の部分も織り交ぜ、今後の進化がとても楽しみな次元大介。先代の小林清志から、次元は「江戸のイキ、江戸っ子で、雰囲気はJAZZにも似ている」というヒントを受け取ってから、心の持ちようが変わったという大塚。

 1クール目とは違う次元が2クール目では見られるかもしれませんね、と問いかけると、「視聴者の皆さんに判断していただくしかないのですが、まだ少し固いと感じる1クール目より、僕は少し楽になったと感じます」と笑顔をのぞかせた。

 2022年、ルパン三世の、そして次元大介=大塚明夫の新たな始まりを、ぜひ目に、耳に、焼き付けたい。

 『ルパン三世 PART6』新章を、お見逃しなく!


原作:モンキー・パンチ ©TMS・NTV

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