『メギド72』単独コンサート“プリンセス ヴァイガルド弾丸ツアー”レポート

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 2022年1月10日、東京・新宿文化センター大ホールにて『メギド72』のコンサートイベント“メギド72 the concert ~プリンセス ヴァイガルド弾丸ツアー~ presented by ファミ通”が開催された。本作のコンサートが開かれるのは、2020年1月に行われた初の単独コンサート以来であり、2年ぶりの開催となる。

 本イベントでは『メギド72』の楽曲を数多く手掛ける寄崎諒氏をはじめとした演奏者たちが扮する“エルプシャフト音楽団”による演奏や声優陣による歌唱、そしてコンサートのために書き下ろされたシナリオの生演技などが披露された。ここでは、昼夜2部開催されたうちの夜の部の様子をお届けする。

『メギド72』2年ぶりの開催となった単独コンサート“メギド72 the concert ~プリンセス ヴァイガルド弾丸ツアー~ presented by ファミ通”レポート

 開演時間になるとエルプシャフト音楽団の面々が登場。楽団がチューニングを終えると、演奏とともにデカラビア役の朝霧友陽さん(今回は登場していないがカスピエル役も兼ねる)とバラム/ガープ役の津田拓也さんが登場。

 ふたりともそれぞれのキャラクターの衣装をまとっての登場となり、声が出せる状況であれば大歓声が巻き起こったであろうことは想像に難くない。スクリーンに映し出される画面だけでなく、ステージ上で身振り手振りとともに演技を披露する演者からも目が離せず、どちらを見るべきかとうれしい悲鳴も上がりそうなシーンだった。

 少し話はそれるが、上記写真のスクリーンに映っている巨大な船のようなものは“空飛ぶ乗り物”とされており、蒸気機関車を改造しフォトンの力を使って飛行を可能にしたという逸品だ。今回は公演内容に合わせた脚本になっているため、ゲーム内で登場する際には設定が変わっているかもしれないとのことだが、ゲーム内で登場する可能性があるというだけでも楽しみになってしまう。

 さておき、コンサートのレポートに戻ろう。デカラビアとバラムは、アジトで空飛ぶ乗り物の起動テストを行うが、制御不能に陥った乗り物はふたりを乗せたまま暴走を始めてしまう。そんなやらかし展開でふたりが舞台から退場すると、“ソロモン王の伝説 -承-”の演奏がスタート。バラムたちのドタバタ劇と馴染みある旋律で、コンサートの幕が上がった。

 演奏が終わると、会話劇が再開。どうやら空飛ぶ乗り物は王都・エルプシャフトの近くに墜落したらしく、バラムたちのもとにシバの女王を演じる相坂優歌さんが登場した。バラムたちとの会話から、シバの女王の指輪を使えば乗り物を制御できることが判明。彼女はエルプシャフト音楽団とともに、ヴァイガルド中を巡る弾丸コンサートツアーを行うことになるのだった。

  • ▲エルプシャフト音楽団の演奏につられてフォトンが集まってきた、という言葉に応えるように会場では色とりどりのペンライトが踊った。

 空飛ぶ乗り物の上で風に当たるシバの女王が、「空から見下ろす景色の美しさを皆にも教えてあげたい」とひとり呟いた言葉の後に“My journey”がスタート。疾走感と爽快感に溢れたメロディに合わせ、場内のペンライトは一斉に青く染まった。

 本イベントの入場者特典として配布されたペンライトは、特定の音波に合わせて色の変化や点滅が起きる仕様になっており、“My journey”を含めた一部楽曲では会場中のライトが曲に対応した色になり、雰囲気をより一層盛り上げていた。音波による連動は配信を通しても有効らしく、アーカイブ配信視聴時にも同じ演出を楽しめというのはうれしいところだ。



 弾丸ツアー最初の目的地をエルプシャフト圏内の最果てに位置する国・エンゲルシュロスと定めたシバの女王は、早速空飛ぶ乗り物を動かす。ここで会話劇はいったん落ち着き、エルプシャフト音楽団による演奏が再開。

 まずは、“彼の世界”と“幸福の在り歌”がメドレー形式で続けて披露された。どちらもボーカルを務める寄崎知紘さんの歌声が楽器団の演奏と見事な重なりを見せ、声もひとつの楽器であるということを感じさせてくれた。“幸福の在り歌”の「カトルス カトルス……」と優しく歌い上げる声、そして温もりを感じさせるライティングに涙が込み上げた人も多いのではないだろうか。


 しっとりとした雰囲気になった場内に、今度は不穏なストリングスから一気にアッパーチューンが展開する“#青の組曲”が響き渡る。エレキサウンドが盛り込まれた明るく激しい演奏に、先ほどまでゆらりゆらりと揺れていた場内のペンライトも、一転して縦ノリでリズムを刻んでいた。

 そこに続いたのが、メインクエスト7章ステージ64のボス戦BGMである“老獪な逆月”。軽快なテンポや目まぐるしく展開するピアノのメロディといった楽曲自体への興奮と、ゲーム内での死闘を思い出させて甦る緊張感が混ざり、非常に印象的な演奏となった。プレイ当時の記憶とともに演奏を味わえるのは、ゲーム楽曲コンサートの醍醐味とも言えるだろう。


 インストゥルメンタル楽曲の演奏後、今度は相坂さんとともにサキュバス役の山崎はるかさん、マルバス/アスモデウス役の生田善子さんが登場。「空飛ぶ乗り物を動かすにはまだ少しフォトンが足りない」とシバの女王が呟くと、「そんなの私に任せないよ!」とマルバスが名乗り出る。

 さっそく歌唱……、の前にマルバスに振り付けを教わり、シバの女王とサキュバスが歌のフレーズに合わせたポーズを披露。これで楽曲スタートか、と思いきやバラムとデカラビアも呼び出され、渋々かわいいポーズを取らされる羽目に。

  • ▲“KAWAIIII”ポーズを取る5人。声を出せる環境なら間違いなく黄色い声が上がったことだろう。

 「1回やったことあるみたいによくできてたわよ~」とマルバスからお褒めの言葉をいただいたバラムとデカラビアは、そのまま「感謝感激~」に続く「あらかわいい~!」のコールも強制されてしまう。最初は棒読みで応えるも、「心を込めて」とダメ出しをされた後はヤケになったのか振り切った全力のかわいいコールを敢行。そのコールに応える形で、マルバスの“絶対無敵☆KAWAIIIIガール“がスタートした。


 続いて演奏されたのは、サキュバスの“ふたりでみるユメ”。髪型も含めて全身サキュバスに扮した山崎さんが、マルバスに負けず劣らずかわいさ全開な歌唱を見せてくれた。歌声はもちろん、歌いながら軽やかにステップしてみせる姿も魅力的なので、アーカイブ配信でぜひその姿を見てほしい。


 マルバスとサキュバスのおかげでフォトンが十分に集まると、シバの女王たちはヴェステン公国へと向かう。イベントクエスト“デカラビア、最後の咆哮”の舞台になった地ということもあり、「縁のある地で歌を披露してはどうか」とデカラビアに持ちかけるシバの女王だったが、デカラビアは冷たく拒否。

 そうこうしているところに、怪盗オレイカルコスから“あるもの”をいただくという予告状が届いていたことが発覚する。シバの女王とバラムが楽団に警告をするために離れた一方で、ひとり過去の事件に想いを馳せるデカラビア。そこに演奏が入り、“惡ノ流儀 厄災ノ調”がスタートする。

  • ▲怪盗オレイカルコスの予告状。イベント終了後はお土産としてこの予告状が来場者にプレゼントされた。

 歌唱を終えたデカラビアが「何を盗む気かは知らんが、盗めるものなら盗んでみるがいい」と言い放ち高笑いとともに退場すると、イベントクエスト“心惑わす怪しき仮面”で使用された“It's the perfect SHOW time!”の演奏がスタート。夜を駆ける怪盗を思わせる躍動感と華麗さ溢れるメロディが場内を包んだ。

 演奏が終わったところに現れたのは、オレイ役の大須賀純さん。姿こそないものの、相棒であるカルコスも声で出演した。改めて「この場にいる者から“あるもの”を奪う」とオレイが予告したところで“Who is the Phantom thief?”の歌唱が始まる。


 観客の視線を見事に奪った怪盗が静かに去ると、シバの女王率いるエルプシャフト音楽団は廃都・ペルペトゥムへと向かう。ここでは津田さんがガープの衣装をまとって登場。シバの女王から「歌ってみてはくれぬか」と頼まれ、「俺は歌手ではなく戦士だ」と拒否したガープだったが、「心に残っている歌がひとつくらいはあるだろう」と言われ言葉に詰まってしまう。

 と、そこにアスモデウスとして登場した生田さんが加わり「歌ってみろ」とガープに迫る。「自分が歌うならお前も歌うことになるぞ」と反論してアスモデウスを退けようとしたガープだったが、アスモデウスは「やぶさかではない」と即答。歌うことをあっさり受け入れてみせる。思わぬ返答にたじろぐも、シバの女王たちが去った後、母の子守唄を思い返すガープ。そこに寄崎知紘さんのボーカルが入り、“誓う言葉“の歌唱がスタートする。


 ガープの歌唱に続き、「震えるがいい、フォトンども」という言葉とともにアスモデウスの“混沌より愛をこめて”が披露された。アスモデウスらしい黒と赤の衣装になったこともあるが、先ほどマルバスとしてかわいらしく歌っていた同じ人物とは思えぬ雰囲気の変化はさすがのひと言だ。


 アスモデウスの歌が終わり、悪態をつくバラムも歌ってはどうかと誘われるが、「夢の中でもなければあり得ない」とフラグめいた発言をしながら拒否。コンサートツアーに満足したシバの女王はエルプシャフトに戻ることを決め、一行は帰路に着く。イベントとしてのコンサートも終わりを迎えつつあるところで演奏されたのは、“追放アッパーグラウンド”。『メギド72』を代表する1曲とも言えるこのナンバーを終盤に持ってくるというのもニクい演出だ。

 演奏が終わると、舞台上にはバラム、シバの女王に加えてパイモン役の守川武尊さんとベリト役の宮下栄治さんが登場。空飛ぶ乗り物をアジトに戻しコンサートツアーを振り返るシバの女王だったが、乗り物を動かした疲れもありソファで眠ってしまう(なお、眠りに入るSEには“「おいしい」のレシピ”でフルフルが歌う「グーグーグーグー」のフレーズが使用された)。

 シバの女王が気づくと、「俺様の出番が終わってないぞ」と歌の準備を進めるベリトと、王都に帰還したはずのエルプシャフト音楽団の姿があった。夢の中でコンサートツアーの延長戦とばかりに“永遠意光~Twilight”の歌唱が始まる。


 ベリトが去ると、今度はパイモンとバラムのふたりが登場。「夢の中なら何でもあり」とバラムがパイモンを誘い“変わった世界へ、ひとりごと。”が披露された。ふたりの亡き友にしてソロモン王の祖父であるダムロックに向けた歌詞、そこに込められた想いが伝わる歌声はコンサートを締めくくるにふさわしいものだったと言えるだろう。


 歌唱が終わり、シバの女王が夢から目覚めると、そばにはベリトとサキュバスの姿が。そこでベリトはソロモン王から預かった、シバの女王をねぎらう手紙を読み上げる。コンサートツアーの成果に大満足のシバの女王は、ツアーのきっかけとなった空飛ぶ乗り物を作りってくれたソロモン王に感謝の言葉をもらす。そして彼女が「つぎはお主ら全員でツアーをやるとするか!」と新たな夢を語ったところでコンサートは幕を下ろした。

 舞台上から出演者が去った後も場内の拍手は鳴り止まず、アンコールに応えてキャスト一同が再度登場し挨拶を行った。2年ぶりに『メギド72』の単独コンサートが開催できた喜びや、今後も第3回や第4回、いっそ“第72回”を目指していきたいというコメントもあり、客席もペンライトの輝きで激しく同意を見せた。

 そしてアンコール曲として最後の最後に披露されたのが、声優陣総勢8名による“メギド72”の歌唱だ。単純に歌うことすら難しそうな楽曲だが、その歌声には出演者たちの高ぶりが感じられ、締めくくりにふさわしい盛り上がりを見せた。

 すべての演目が終了し、幕が下りた後には本作のプロデューサーである菅野氏が登場。場内の観客や配信視聴者たちに感謝を述べ、まさかの退場案内のアナウンスまでもこなしたところでコンサートは幕を閉じた。

 本コンサートのアーカイブ配信チケットは、昼の部、夜の部ともに1月17日21時まで販売されている。現場に足を運んだ人も、タイミングが合わず見ることができなかった人も、今回披露された楽曲の数々を堪能してほしい。

 また、コンサートの模様を完全収録したBlu-rayの発売も決定。メモリアルブックレットや特殊パッケージが付いてくるほか、早期予約特典(1月31日23時59分まで)としてオリジナルのフローティングボールペンも手に入る。特典映像としてオフショットやコメント映像も収録される予定なので、こちらも要チェックだ。

■セットリスト
01 エルプシャフト音楽団 ソロモン王の伝説 -承-
02 シバの女王 My journey
03 エルプシャフト音楽団 彼の世界 ~ 幸福の在り歌
04 エルプシャフト音楽団 #青の組曲
05 エルプシャフト音楽団 老獪な逆月
06 マルバス 絶対無敵☆KAWAIIIIガール
07 サキュバス ふたりでみるユメ
08 デカラビア 惡ノ流儀 厄災ノ調
09 エルプシャフト音楽団 It's the perfect SHOW time!
10 オレイ Who is the Phantom thief?
11 ガープ 誓う言葉
12 アスモデウス 混沌より愛をこめて
13 エルプシャフト音楽団 追放アッパーグラウンド
14 ベリト 永遠意光~Twilight
15 バラム パイモン 変わった世界へ、ひとりごと。
16 アンコール メギド72

【メギド72 the concert ~プリンセス ヴァイガルド弾丸ツアー~ presented by ファミ通】概要

会場:新宿文化センター大ホール
日時:2022年1月10日(月・祝)
[昼の部] ロビー開場14:15/開場14:30/開演15:00
[夜の部] ロビー開場17:45/開場18:00/開演18:30
キャスト:相坂優歌(シバの女王役)、朝霧友陽(デカラビア役)、生田善子(アスモデウス役/マルバス役)、大須賀純(オレイ役)、津田拓也(ガープ役/バラム役)、宮下栄治(ベリト役)、守川武尊(パイモン役)、山崎はるか(サキュバス役)、???(カルコス役)
※五十音順・敬称略

演奏:エルプシャフト音楽団(Erbschaft Ensemble)

主催:メギド72コンサート製作委員会
(株式会社KADOKAWA Game Linkage/株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)
制作:エルアンドエル・ビクターエンタテインメント株式会社

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