【男性目線の『アイナナ』レポ】帰ってきたモンジェネおじさんが語る『アイドリッシュセブン』の魅力。第11回

原常樹
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 みなさん、こんにちは! 自称“モンジェネおじさん”ことフリーライターの原 常樹です。
 すっかり『アイドリッシュセブン』にハマってしまったひとりの男性マネージャーが「アイナナはここが素晴らしい!」ととりとめもなく語りつつ、【男性のマネージャー】、また【男性に布教しようとしているマネージャー】を応援するというのがこの連載のコンセプトです。



 実は先日、友人に誘われてプライベートで池袋・アニメイトカフェさんで開催されていた『チャイナナカフェ』にオジャマしてきました

 中華風×アイナナというのも新鮮でしたが、中華風の衣装を身にまとったアイドルたち、マネージャーたちがこれまたかわいい! ちびキャラでは(男性視点から見ると)やっぱり紡ちゃんのかわいさに目がいってしまうものですが、それと同じぐらい姉鷺さんに目を引かれたのも事実。かわいい。あの月雲了もちびキャラになると憎めない感じになるのが不思議です。あんなにサイコパスなのに! 非常に惹かれるちびキャラばかりでしたが、九条(鷹匡)さんがいなかったことだけは残念です……。

  • ▲ランダムでメニューについてくるコースターは、いつものように壮五くんが来てくれました。うん、やっぱり天使だね。

 もちろん、メニューもいつもながらに美味しかったです! 個人的には、ドリンクの『永遠性理論』(シャンパン風ゼリー+クランベリードリンク+ブルーシロップ+ソーダ+ホイップクリーム+クッキー)が夏らしい爽やかなテイストで好みでした。
 記事掲載時にはコラボカフェは終了していますが、またこういう楽しい企画に期待したいところ! そして、また機会があればこっそり足を運びたいと思っております。

 近況報告はこれぐらいにしつつ、第3部の振り返りも進めていきましょう。前回、IDOLiSH7の中では明らかに秘密を抱えている様子の大和さんに対して、三月くんとナギが不信感を抱くようになりました。大和さんに対してどうアプローチするかでふたりは揉め始めます。
 自分から話すまで待つと三月くんは主張しますが、それに対してナギはしっかり話をして彼を助けたいと説得。こういうときのナギの話術は本当に素晴らしいというか……感情的でありつつも理路整然として、さらには“まだ話していない自分の過去”もにじませた説得には文章を読んでいるこちらとしてもただうなずくしかありません。三月くんもついには自分から大和さんに話をしに向かいます。

しかし、「好奇心で首を突っ込みたがっている」と大和さんには取りつく島もありません。さすがにこれには三月くんも語気を荒げますが、大和さんはのらりくらりといつものようにそれをかわし続けようとします。そして、なおも食い下がる三月くんに苛立ち、同じメンバーとして言ってはならない言葉を口にしてしまいます。
 その結果、ついに三月くんは大和さんに手をあげてしまいました。第3部までずっと物語を追いかけてきましたが、三月くんがここまで怒鳴っているシーンを見るのは新鮮です。言葉の端々にこらえきれないほどの怒りと悲しみがにじんでいます。そして、大和さんもそれに対して気持ちをむき出しにする……。なんとも辛いシーンです。

  • ▲この場面の声優さんたちのお芝居がまたすごいんですよ。三月くん役の代永翼さんは音割れしてもおかしくないような怒気を放ちながらも相談してくれない大和さんへの悲しみを滲ませているし、大和さん役の白井悠介さんもセーブしきれないイライラを感じさせながらも言い過ぎた自分に一瞬焦っているような様子もあり、痛いほどに感情が伝わってくる──まさに匠の技。

 一方、TRIGGERの龍くんは、八乙女社長の紹介で本物のセレブである御堂虎於と出会っていました。彼は龍くんがセレブのフリをしていることを見抜いた上で、そこに罪悪感はないのかと語り掛けてきます。それに対して龍くんは苦しみや申し訳なさはあるとしつつも“自分自身がいろいろな人の知識や経験で作り上げられたエンタメなんだ”と説明し、本当の自分を仲間たちが理解して支えてくれていると胸を張ります。
 この「仲間にだけ打ち明けられる秘密が絆にさえ思える」というのは、仲間にすら明かすことのできない秘密をひとり抱え続けて苦しんできた大和さんとの対比構造になっているんですよね。両名をザッピングに近い形式で追っていくというのは、さすがアイナナ。そして、龍くんと別れたあとに虎於が不穏な動きをしているという“危険なくだり”があるのもまたアイナナ……。


 話はIDOLiSH7サイドに戻り、ついに大和さんと三月くんは完全に決裂。ふたりは別々に寮を出ていくことになります。三月くんは、出ていく三月くんを放っておけないと追いかけた一織くんと一緒に通りがかった百さんの世話になることになり、大和さんは千さんの家に転がり込みます。残されたメンバーは事態の悪化を避けて静観しますが、料理担当のメンバーがいなくなったことで(文字面どおりの意味での)台所事情が大変なことになったのは言うまでもありません。

  • ▲仲たがいをしたとはいえ、三月くんの大和さんに対しての真っすぐな想い、そしてそれを彼に届けることができない無力な己に対するいら立ちもダイレクトに伝わってきます。その気持ち、わかる……わかるぞ……。

 大和さんは千さんの家で重苦しい話をしていました。過去に千葉志津雄の家に出入りをしていた千さんは大和さんの秘密を知る人間のひとり。千さんは「愛されたいけれど、愛される努力はしたくない。そんな自分が恥ずかしい」、「だから、作品で愛されようとしている」と大和さんを評します。この意見は的を射ているわけですが、だからこそこの言動が大和さんの逆鱗に触れてしまいます。すっかり頭に血がのぼった大和さんは千さんの首を絞めるも、すぐに我に返ります(そして、そのことを覚えていないという……)。映画の役作りで猟奇殺人犯の心理を学んでいる途中だったということを差し引いても、それだけ彼が切羽詰まった状況に置かれているということが見てとれます。

 状況は好転せず、番組の収録で顔を合わせた大和さんと三月くんは、収録中にもかかわらず水面下で“大人の喧嘩”を始める始末。ただ、残りのメンバーに対する気遣いは欠かさず、三月くんは“甘口”の食事レシピを壮五くんに渡し、大和さんは食事の面倒を見るのが大変だろうとお金を置いていきます(お金で解決しようとするあたり血も感じますが)。残るメンバーのことを考えているという点ではふたりとも共通しているという。さらにいえば、怒りの方向が最終的に自分に向いているというあたりも共通している部分なんですよね。
 そして、大和さんは道端で出会った百さんに対しても、過去の話(第2部)を持ち出して暴言を吐くことに。失言にすぐに気づく点も含めて、普段なら言わないような言葉なだけに完全に彼が参っているという証左になる場面でもあります。
 しかし、そんな暴走しっぱなしの大和さんを「自分のことを否定ばっかりしていたらしんどくなっちゃう」と百くんはやさしく受け止めます。裏切り続けた負い目のある三月くんたちでもなく、事情をすべて知っていながらも本質を突きすぎる千さんでもなく、大和さんの心を解きほぐすことができたのはほかならぬ百くんでした。

 この説得シーンは実にグッと来ます。自己肯定をうながす彼の言葉は“万理さんの代わり”であることに悩んだ百くんだからこその言葉でしたし、大和さんのみならず多くの人の心に刺さったはず……。
 かくいう僕の心にもあのシーンはダイレクトに刺さりました。おじさんも仕事だけを誇りに生きてきたタイプの人間なのでたまに自分自身の価値がわからなくなるんですが、このやりとりからは間接的に自分を好きになってもいいのかなという“赦し”をもらえた気になったというか……。この場面を反すうするだけで明日への活力がもらえる気がするんですよね。
 千さんに本音を打ち明け、ついには寮のメンバーと話す決意を固めた大和さん。このとき千さんは『Mission』の主題歌である「NO DOUBT」のデモを作っていたわけですが、冷静に「NO DOUBT」の歌詞を見直すと大和さんへのエールのようにも見えるんですよね……。自分たちの楽曲であり、劇中劇(映画)のタイアップでもありながら、そこに別の想いも潜ませる──勝手な妄想かもしれませんがRe:valeの千さんならもしかしてと、つい思ってしまいます。

  • ▲千さんは廊下で遭遇した万理さんに「僕が川だったら?」という百にもした質問をします。その答えには百くんとは違った意味での絆が感じられました。

 最終的にナギの謀略(?)でIDOLiSH7のみならず、TRIGGER、Re:valeを総動員して大和さんが秘密を打ち明ける会が開催されることになります。意を決して大和さんはすべてを打ち明けます。メンバーに素性を隠し続けたことへの背徳感やメンバーに対して謝りたいという気持ちを包み隠さず露わにして……。しかし、大和さんを責めるメンバーは誰ひとりいません。

 『IDOLiSH7』は仲間と育む絆が血の呪縛にだって抗ってみせるストーリー。ほかのメンバーたちも大和さんのことを理解できないわけがないんです。そういう意味で大和さんの“本当の自分がみんなに受け入れてもらえないんじゃないか”という心配は杞憂でした。それどころか、ほかのメンバーは千葉志津雄と和解するように大和さんの背中を押します。そして、その結果、大和さんは見事に父親と話し合うことができました。
 のちに大和さんはマネージャーに「違う名前だったらもっと早く、無責任にグループを抜けたかもしれない」と感謝の気持ちを示します。IDOLiSH7というメンバーの人数が入った、誰も欠けることを想定しないグループ名をつけてくれたことは彼にとっても大きかったわけです。その想いを受けて「……終わらせない、IDOLiSH7を」とつぶやく大和さんはこのタイミングで本当にリーダーになったのだなと個人的には感じました。こここそが大和さんの再出発点、リスタートポイントだったのかなぁと。

 千葉サロンのスキャンダルに関しては月雲了も暗躍を続けていました。彼の目論見は“千葉サロンの実態の暴露による星影の弱体化”であり、Re:valeに接触しつつ、その火種を作るように脅しをかけていましたが、その前に千葉志津雄は引退を表明します。これはもちろん、愛すべき息子に火の粉が降りかからないようにするための“父親の決断”でもありました。親子の和解がなければ、IDOLiSH7はもっと大変なことに巻き込まれていたことでしょう。
 目論見が外れた月雲ですが、これで終わるわけはありません……。

 ──といいところではありますが、ちょっと長くなりすぎてしまったので今回の連載はここまで! ŹOOĻ記念日に合わせてŹOOĻの活躍なども振り返りたかったんですが、第3部は本当にボリューミーですね……。いや、すごいことなんですけど!
 次回はRe:valeの原点を振り返るあたりのストーリーを追っていきたいと思います。それでは、また次回この連載でお会いしましょう!

(C)アイドリッシュセブン

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アイドリッシュセブン

  • メーカー: バンダイナムコオンライン
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2015年8月20日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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