『FFクリスタルクロニクル リマスター』開発陣インタビュー。開発秘話や気になる追加要素に迫る【電撃PS】

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 2003年にニンテンドーゲームキューブ向けソフトとして発売された『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル(以下、FFCC)』がリマスターされ、2020年1月23日にPlayStation4、Nintendo Switch、iOS、Androidで発売されます。

 本作のプロデューサーを務める荒木竜馬氏のほか、キャラクターデザインの板鼻利幸氏、サウンドの岩﨑英則氏らに、オリジナル版制作当時の思い出やリマスター版の新要素などをうかがいました。

  • ▲左からキャラクターデザイン板鼻利幸氏、プロデューサー荒木竜馬氏、サウンド岩﨑英則氏。

『FFCC』は開発スタッフ陣も思い入れが深い作品

――E3 2019にて『FFCC』のリマスターが発表され、懐かしい気持ちになりました。リマスターの企画は、どのような経緯で動き出したのでしょうか?

荒木竜馬氏(以下、荒木。敬称略):前のプロジェクトが終わって何をやろうかと考えていたとき、社内のIPを生かした企画を進めるという部内の方針もあり、僕の方から『FFCC』を提案させてもらいました。

 僕はオリジナル版の開発にはかかわっておらず、当時は他社でCGデザイナーとしてゲームキューブの作品などを作っていました。当時からスクウェア・エニックスの技術力や表現力はすごいと感じていて、それを学びたいと思い『FFCC』が発売された2003年に、弊社の門をたたいたんです。『FFCC』にはあこがれや思い入れが強いので、リマスターをするならこの作品だと思ったんです。

――16年前の作品ということもあり、リマスター版で初めて作品に触れる方も多いと思います。改めて『FFCC』の魅力はどこだと思いますか?

荒木:遊んでいる方によって意見が違うと思いますが、僕自身はみんなでワイワイ遊べる点が一番の魅力だと感じています。現代にこの作品を蘇らせたとき、一番お客様に刺さるのもそこだと考え、より多くの方にマルチプレイを遊んでいただけるように、今回オンラインプレイを実現しました。

――マルチプレイは複数のハードウェアで遊べることなどもあり、ゲームキューブ版よりマルチで遊びやすくなっているようですし、今の時代にも合っているように感じます。

荒木:当時遊んでいただいた方はもちろん、初めて遊ぶお客様も、今のゲームとして楽しんでいただける内容になっていると思います。

――今回リマスターで、グラフィックや音楽がどのように変わっているのかとても楽しみです。

荒木:板鼻の提案で、新しいキャラクターデザインを作ってもらったり、知らない間に音楽がリアレンジされていたりもしました(笑)。2人からの提案でパワーアップした部分も多いです。

板鼻利幸氏(以下、板鼻。敬称略):開発メンバーも思い入れが深い作品です。また当時遊んでいた方が今でも集って遊んでくれていたり、独自にファンイベントをしてくれていたりと聞きます。その方たちがリマスターを遊んだときに喜んでもらえるものとはなんだろうと考えて、キャラクターの新デザインやパワーアップしたサウンドなど、いろいろ提案させてもらいました。

――『FFCC』は、ナンバリングタイトルとはまた違った雰囲気を持つ作品です。開発当時の思い出などはありますか?

板鼻:僕は途中からプロジェクトに加わりました。『FF』シリーズと違ってヒーローが決まっておらず、プレイヤーが自分たちで役割を決めていくんです。そのためデザインでもヒーローやヒロインを立てるのではなく、個性が違う種族を作るという、いつもとは違う方法で作業を進めていきました。開発メンバーのなかにもユーク派、セルキー派など、種族選びでプレイヤーの個性が出ていて、おもしろかったですね。

――かわいく、どこか懐かしさを感じるデザインです。

板鼻:リアルなデザインは追及せず、人形劇や絵本を作るような気持ちでデザインにしました。

荒木:頭身が絶妙ですが、最初からこのバランスだったんですか?

板鼻:最初はもう少し頭身が高いデザインも検討したのですが、当時プロデューサーだった河津秋敏が、このバランスがいいと。リアクションもさせやすく、表情の変化なども伝えやすくていいですよね。

――音楽面では、どのようにリマスター版を作られていったのでしょうか?

岩﨑英則氏(以下、岩﨑。敬称略):音楽は当時好評だったので、ガラッと変えることは絶対にしたくないと、作曲家の谷岡久美さんとも話したんです。世界観を壊さないように、追加曲を制作しました。追加の曲は新曲もあれば、オリジナル版をパワーアップしたものもあります。

 パワーアップも闇雲に追加するのではなく、当時ハード性能の問題でカットしなければいけないフレーズを再現するなど、オリジナルの世界をそのまま進化させたような形になっています。

荒木:ある日、岩﨑に呼ばれてリアレンジされた曲を聴いたんです。聴き比べもさせてもらって「すごい! これで行こう」とスタッフで盛り上がり、ほかの曲もこの方向性で進めましょうという話をしましたね。

岩﨑:最初は新曲が2曲で、谷岡さんに書いていただき、僕がリズムをアレンジ&ミックスして終わりのはずでした。でも思い入れがあるタイトルだったので「当時のデータを使って、今作るとこうなるんだよ」というものをこっそり作っていまして、願わくばサウンドトラックが出たときに2、3曲ボーナスで入れられたらいいな、と考えていたんです。荒木に曲を聴かせたところ、すごくいい反応が返ってきて、じゃあこの方向性を全ステージでやろうということになりました。

荒木:深みが増していて、新バージョンの曲がいいなと思ったんです。でも冷静になると当初の想定にはなかった実装なので……完璧にのせられましたね(笑)。

クロスプラットフォームで、どの機種でも友だちと遊べる

――リマスター版は、PS4、Nintendo Switch、iOS、Androidで発売されます。企画の段階からクロスプラットフォーム対応は計画されていたのでしょうか?

荒木:企画の段階から、全機種で発売することを目標にしていました。プラットフォームを限定してしまうと、持っていない友だちは遊ぶことができず、みんなで遊ぶというテーマに到達できません。なかなか実現させているタイトルは少ないのですが、本作ではやるべきところだと考えました。

――複数のハードウェアでオンラインマルチプレイを可能にするのは、技術的にも大変だったのでは?

荒木:技術的な難しさもありましたが、各プラットフォームとの調整には一番時間がかかりました。また、同時進行で複数のハードウェア向けに開発しなければいけなかったので、技術よりも物量的な作業の大さのほうが大変でした。

板鼻:ハードウェアごとに、UIや操作性なども異なりますからね。

――スマートフォン向けはコンシューマよりも価格が安く、「一部のプレイは無料で遊べる」ようですが、仕様にどのような違いがあるのでしょうか?

荒木:スマートフォンは画面が小さいぶん圧縮率も高く、グラフィックにも差があるので価格に差をつけました。ゲーム性はコンシューマと同じですので、自分のプレイスタイルにあったものを選んでいただけたらと思います。またスマートフォンは手軽にダウンロードしてもらいたいので、ある程度のところまでは無料で遊べるようにする予定です。詳細は、今後の情報をお待ちください。

板鼻:ハードごとに製品の購入は必要ですが、ほかのハードにセーブデータを移行することもできるので、外出先ではスマートフォン、家ではコンシューマという遊び方もできますよ。

追加要素が冒険をさらに楽しくする

――リマスター版ではボイスが追加されますが、こちらも当初から計画されていたのですか?

荒木:企画書の段階から、ボイスを追加したいと考えていました。絵本や童話のように物語を楽しんでいただきたいので、登場人物たちがより生き生きと感じられるようにしたいと思ったんです。作品に思い入れが強い方のなかには、ボイスが不要だと思う人もいるかもしれないので、ボイスはオンオフ機能も実装しています。

――高難易度ダンジョン&ボスも用意されているとのことですが、どのようなダンジョンなのか? 入手できる装備は? 具体的なところを教えてください。

荒木:クリア後に遊んでいただけるオマケ的な要素で、ソロではなく、マルチプレイで遊んで楽しめる難易度にしています。新緑のリベール街道が高難易度ダンジョンになると紅葉になっていたり、雪が降っているようなダンジョンがあったり、オリジナル版とは違った雰囲気のフィールドで冒険できますよ。入手できる武器や防具も、より強いもの、戦いで役立つものを用意しました。デザインは板鼻にお願いしています。

――ちなみに追加される高難易度ダンジョンでは、音楽はどのようなものになるのでしょうか?

岩﨑:オリジナル楽曲をリアレンジしたものを、全ダンジョンぶん用意しました。基本的にはオリジナルのイメージを崩さないようにリアレンジしたのですが、谷岡さんと一緒に聴き比べたところ「違いがわからないかも?」という話になり、一部だけはガラっと変えた楽曲などもあります。実際にどのようになっているかは、発売を楽しみにしてください。

――プレイアブルキャラクターも、各種族で男女ごとに1キャラずつ、新デザインが追加されました。こちらのデザインは、どのように決めたのでしょうか?

荒木:昨年の東京ゲームショウのときに、新しいキャラクターバリエーションを追加してみてはどうかと、板鼻から提案されました。むしろ描いてもらえるのかと驚きましたね(笑)。

板鼻:長く遊んでくださっている方もいるので、気分が変えられるものを追加しました。新デザインはオカッパなど、特徴が際立つ今回オリジナルなものや、『FFCC』シリーズ作品をモチーフにしてデザインしたものも用意しました。

――今回、改めてキャラクターをデザインしてみていかがでしたか?

板鼻:最近、この頭身を描いていなかったので難しかったですし、懐かしくもありました。すでに発売されているタイトルなので、キャラクターはユーザーさんのものなんですよ。そのため、何を足していいのかは、とても悩みました。

 弊社のスタッフのなかにも作品のファンがいて、リマスターを喜んでくれています。新しいバリエーションの話もしたんですが、もともと使っているキャラクターへの愛が強い人が多くて「オリジナル版を使います」と言われました(笑)。オマケ要素として、楽しんでもらえたらうれしいです(笑)。

――発売を楽しみにしているファンの皆さんに、メッセージをお願いします。

岩崎:東京ゲームショウ2019のステージで、新主題歌をYaeさんに歌っていただくので、ぜひチェックしていただきたいです。新曲も楽しみにしてください。

板鼻:パッケージイラストも当時を振り返りながら描きました。これから新しく遊んでいただく方はもちろん、オリジナル版を遊んでくださっている方も、思い出の冒険にもう一度チャレンジしていただけるとうれしいですね。

荒木:東京ゲームショウ2019のステージでは、Yaeさんの歌のほか、できるだけ新しい画面を公開したいと思っています。ステージは配信もあるので、会場にお越しいけない方はそちらでチェックしてください。マルチプレイを体験できる試遊も用意していますので、会場へお越しいただける方は、ぜひスクウェア・エニックスブースまで足を運んでいただけたらと思います。

 また現在公開されている情報以外にも、さまざまな要素を用意しています。発売に向けて順次公開していきますので、楽しみに待っていただけるとうれしいです。

(C) 2003, 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: Toshiyuki Itahana

※本作は2003年に発売した『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』に、新たな要素を追加および一部改変したリマスター作品です。
※インターネットに接続することで利用できるサービスは、ゲームの発売から期間が経過すると終了する場合がございます。
※オンラインマルチプレイの利用には、インターネットへの接続および、Nintendo Switch版ではニンテンドーアカウントの作成(無料)と「Nintendo Switch Online」への加入(有料)、 PlayStation4版ではPlayStation™ Networkのご利用(無料)とPlayStation Plusへの加入(有料)が必要です。
※オンラインマルチプレイのマッチングは、同じリージョン(地域)のソフトを使用しているプレイヤー間で行われます。※通信状況によってオンラインマルチプレイにタイムラグが発生する場合がございます。
※画面は開発中のものです。
※家庭用ゲーム機(Nintendo Switch / PlayStation®4)とスマートフォン(iOS / Android)の画面構成・デザイン、解像度には差異があります。

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