『GT7』は星空にもこだわりが……シリーズP山内氏が語る最高峰クオリティの秘密

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 1999年12月にプレイステーションでシリーズ第1弾が発売されて以来、ハードウェアの進化とともにアップデートを繰り返し、リアルを徹底的に追及する独自のスタイルで「レースゲーム」というジャンルに新風を巻き起こしたリアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモ(以下、GT)』。

 誕生から25年を迎える2022年、過去作をはるかに凌駕し、まさにシリーズの集大成と呼べるタイトルに仕上げられた『GT7』が、ついに発売されます!


 ゲームの発売に先駆け、1月31日に『GT』シリーズ・プロデューサーの山内一典氏によるオンデマンドメディアブリーフィング、2月1日に山内氏とのLIVE Q&Aセッションが行われました。そこで明かされた最新情報を紹介しつつ、『GT7』に盛り込まれた魅力の数々を紹介していきます。

PS5の性能を引き出したグラフィック&演出に注目!

 まるで実写のような美しいグラフィックは『GT』シリーズの大きな見どころですが、さらに本作では最新のビデオゲームのトレンドであるレイトレーシングを採用。これにより物体の見え方やライティングによる光の反射、車体への写り込みなども現実さながらに表現され、もはや実写の映像と見分けるのが困難なほどのクオリティに!

 フレームレートは秒間60フレームが基本ですが、フレームレートを優先するモードとレイトレーシングを優先するモードが用意されており、プレイヤーのニーズに合わせて選べるようになっています。


より高品質な「空」を表現するために……

 『GT7』では過去の膨大な気象データをもとに、それぞれの地域ごとに湿度、気温、気圧を設定。雲が発生する過程もシミュレートされ、日本の空は日本らしく、カリフォルニアの空はカリフォルニアらしく表現されています。

 さらに星空も大切に考えられており、日の出、日の入り、月の出、月の入りはもちろん、恒星や惑星の動きもシミュレート。大気の状態によって瞬く星の色も変化するなど、より高品質な「空」を表現するため細部にまで力が注ぎ込まれています。

 また、雨が降ってくると場所によっては水たまりができたり、雨があがったあと、乾きやすい場所から路面が乾いていくなど、そういった変化も自然に起こるようになっています。

 さらに時間や天候の変化は単純にビジュアルが変化だけではなく、気温、路面の温度、路面の摩擦係数などに作用。タイヤのグリップ、エンジンパワーの上がり方、スリップストリームの効き具合など、自動車物理シミュレーションとも密接に関係してきますので、走るうえでのポイントになりそうですね。

音とコントローラの振動で、没入感を増大

 本作では3次アンビソニックスと呼ばれる3D音響表現手法が採用されており、コースの上空を飛行するヘリコプターの音、雨がルーフを叩く音、ウィンドウにぶつかる音など、周囲の異なる方向から聞こえてくる音も忠実に表現しています。

 さらにタイヤが縁石を踏む音が、正確にタイヤのトレッド面、つまりドライバーから見ると斜め下方向から聞こえてくるというからオドロキですね。

 それに加えて放射された音が何かに反射して戻ってくる音も表現。反射音は、フェンス、コンクリートウォール、タイヤバリアなど、当たった物の材質によって変わるなど、そのあたりのこだわりもハンパではありません!

 そして振動に関しては、PS5のコントローラの機能であるハプティクス(Haptics/触覚提示技術)により、路面の微妙な凹凸で感じられるかすかなフィードバック、縁石に乗ったときの大きなフィードバック、さらにアンダーステアが出たときに発生する断続的な振動など、サウンドでは表現しきれないようなフィードバックがハプティクスによって体感できるようになっています。

 さらにアダプティブトリガーの機能を利用し、クルマごとにブレーキの重さが微妙に違ったり、アンチロックブレーキが作動したときの断続的なブレーキロックの振動なども忠実に表現。

 プレイヤーの没入感を1つ上の次元に引き上げるための演出があらゆるところに盛り込まれています。

ワールドマップで施設を選び、ステキなカーライフをスタート!

 ゲームはワールドマップで利用したい施設や場所を選んで進めていきます。『GT7』で初登場の要素であり、本作におけるキャンペーンモードの窓口になっているのが「カフェ」。

 こちらを訪れるとメニューブックを渡され、プレイヤーはクエストとして記載されたレースに参加。レースで目的を達成するとメニューブックにクルマがコレクションされ、これを繰り返すことで『GT7』の広大な世界への理解を深められるように設計されています。

 クルマをコレクションすると、カフェのマスターから自動車の背景であるとか文化について話が聞けたり、クルマをデザインしたご本人が登場し、そのクルマについての思い出を語ってくれることも!

 なお、本作には明確な終わりがないものの、メニューブックの全クエストをクリアすると、1つのエンディングを迎えることができます。



未来を感じるコンセプトカーから往年の名車までズラリ勢ぞろい!

 相棒となるクルマは、ゲームの発売日初日から60以上のブランド、400車種以上を準備。新車が販売されているブランドセントラル、中古車が安価で入手できるユーズドカーディーラー、伝説的な名車だけを取り扱っているレジェンドカーディーラーを訪れ、レースなどで獲得したクレジットを消費して購入するのが基本となります。

 中古車の中にはプレミアムな価格が付いたものもあり、商品のラインナップは毎日更新されるとのことです。





チューニングしだいで埋もれていたポテンシャルを引き出すことも!

 クルマのパフォーマンスを向上させるチューニングパーツは、1台あたり60種類以上を準備。チューニングショップでパーツを購入し、ガレージでセットアップする際に「計測」のボタンを押すと、パーツによるパフォーマンスの変化を事前にグラフで確認することができます。

 あれこれ試行錯誤してセッティングシートに保存したり、実際にコースで走ってみてその成果を確認しながら最高のセッティングを模索するのが、『GT7』における楽しみ方の1つになってきます。



カスタマイズで自分だけのクルマに仕上げよう!

 クルマの外見は、カーカスタマイズによって自分好みに変えることができます。エアロパーツは650種類以上、ホイールは130種類以上、ペイントカラーは1200色程度が準備されており、1台あたり平均すると数十種類のカスタマイズパーツを使って愛車をドレスアップすることが可能。

 また、車種によっては内装にロールケージを取り付けたり、ワイドボディにするといったカスタマイズも行えます。そのほか車体にステッカーなどを貼り付けてデザインするリバリーエディターも進化。

 過去作ではステッカーを貼ることができなかった場所にも貼れるようになっていたり、1台のクルマに貼れるステッカーの上限も増えていますので、より手の込んだデザインに仕上げることも!



それぞれのスタイルで世界中のコースを満喫!

 コースは実在するものと架空のもの、全世界34のロケーションに97のレイアウトが準備されていて、ワールドサーキットから地域とコースを選んで参加します。過去作と異なる点は、いろいろなレースやアクティビティが各コースごとに開催されているところです。

 おなじみのサンデーカップやクラブマンカップはもちろん、コースを練習するためのサーキットエクスペリエンスもコースごとに存在します。そのほか、ドライビングテクニックを1から学べるライセンスモード、ユニークなイベントを集めたミッションレース、ドリフトのテクニックを競うドリフトトライアルなどもあり、じっくり走りを楽しめるようになっています。

 なお、車種やコースは、発売後のアップデートで追加予定とのことで、そちらも楽しみですね。





スケープスやレースフォトモードでハイセンスな写真を撮影!

 スケープスは、世界各地で撮影された風景(スポット)の中に所有しているクルマを配置し、フォト撮影が行える機能です。配置できるスポットは2500以上あり、そこにクルマを配置して光源や光量を変えたり、エフェクトを追加してHDRの美しい写真を撮ることができます。

 そのほか、自分が走行したレースの映像をあとから再生して撮影するレースフォトモードも健在。本物のサーキットに行って実際に写真を撮るのは非常に困難ですが、このモードを利用すればプロのフォトグラファーでもなかなか撮影できないようなダイナミックで美しい写真を簡単に撮ることができます。

 なお、自分が走行したレースのリプレイ映像や撮影した写真、作成したリバリーなどは、ショーケースに保存することが可能。それらをほかのプレイヤーに公開したり、逆にほかのプレイヤーがショーケースで公開している作品を見たり、ダウンロードすることができるようになっています。


『GT7』の新要素「ミュージックラリー」にも期待が高まる!

 『GT7』では、早く走ることよりも音楽を楽しむことを目的としたミュージックラリーが搭載されました。こちらは早く走るよりも音楽を最後まで聞くことがクリア条件になっていて、決められた初期ビートを持った状態でレーススタート。ビートは時間の経過によって減少し、コース上に設けられたエクステンドゲートをくぐることで加算されます。

 そして音楽が終わるまでビートを維持していればクリア、逆にビートが0になると音楽が止まってゲームオーバーになります。美しい景色を眺めながら、好きな音楽を流しながら、愛車とドライブがしたい! そんなプレイヤーの要望に、ダイレクトに応えるモードになっています。


山内氏によるLIVE Q&Aセッションでの質問&回答は?

 メディアブリーフィングを体験した世界中のメディアから寄せられた質問に、山内氏が回答したLIVE Q&Aセッションの様子も少しだけ紹介しましょう。

Q:カフェで体験できる要素は、キャンペーンモードをどのようにサポートしていますか?

A:『GT7』は非常に巨大なタイトルなので、いろいろなシステムを理解しながらプレイヤー自身が遊び方を見つけていくと、何年でも遊んでいられるようなタイトルなんですね。

 おそらく1年経ってから気付くような、そういう機能なんかも入っていると思いますが、それがあまりにも巨大で複雑なので、カフェはいうなればシステムを理解するまでの道しるべとして機能することになります。カフェでメニューブックをもらって次の目標が指し示される。

 それらは、それほど難易度の高い目標ではありませんが、それを順番にこなしていくことで、最終的には『GT7』の世界で何ができるのか? ということを理解できるようになる仕組みになっています。

 あともう1つ大事な機能がカフェにはあって、プレイヤーがコレクションしたクルマについての解説をカフェのマスターから聞けるんですけど、それに加えてその車をデザインしたデザイナーであるとか、エンジニアであるとか、そういった人たちがカフェに現れて、そのクルマについて話してくれる。

 これはどういうことかというと、それもまたクルマの文化の1つなんですよね。『GT SPORT』からミュージアムというセクションが加わりましたが、それと同じように『GT』のなかに、あるクルマにかかわった人が登場する。そういうことがすごく、今後の『GT』にとっても重要だと思います。

 クルマが収録されているだけではなく、そのクルマを作った人、デザインした人っていうのも今後どんどん増えていくっていうのが『GT7』の世界ですね。

Q:『GT7』のAIはどのように進化したでしょうか?

A:『GT SPORT』と比べると、よりアグレッシブに、人間のラップタイムに近づくような走りができるようになっています。それに加えて、複雑なシチュエーションにおいて、より的確な行動ができるようになったこと。

 ユーザーと競り合うこと。あるいはユーザーに不快な思いをさせないこと。いろいろな要件がありますけれども、そういった細かい部分で進化しています。でも、これがパーフェクトだとはまったく思っていませんけどね。

Q:私も星空が大好きな人間なんですが、夜空を再現するデータはどこから集めて、どのように制作されたのでしょうか?

A:基本はNASA(アメリカ航空宇宙局)が公開しているデータを使っています。いわゆる天文学的にアカデミックなシミュレーションを行いまして、惑星や月の位置であったり、あるいは太陽の位置であったりっていうものをレンダリングしています。

 夜のレースなどで見える星っていうのは明るい星、一等星とか0等星以下の星だけですけれども、例えばフォトモードに入ってシャッタースピードを遅くしていくと、本当に天の川が見えてきますから、そういった楽しみ方もできるんじゃないかと思います。

Q:過去の『GT』には隠された要素やおもしろい要素が隠れていたりしましたが、『GT7』にも用意されていますか?

A:ありますが、申し上げることはできないですね。

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