浪川大輔さん、斉藤壮馬さん、内田雄馬さんが鬼気迫る演技を披露! 『文アル』朗読イベントをレポート

ガルスタオンライン 、近藤智子
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 DMM GAMESがおくる、文豪転生シミュレーションゲーム『文豪とアルケミスト』(通称:文アル)。そんな本作の朗読イベント「文豪とアルケミスト 文士劇 夏夜怪綺談」が2019年8月24日に東京・日本教育会館 一ツ橋ホールで開催されました。ここでは、夜の部をレポートします♪

 昼の部には、夢野久作役の浪川大輔さん、江戸川乱歩役の斉藤壮馬さん、萩原朔太郎役の野島健児さんが登場。夜の部は野島さんと小泉八雲役・内田雄馬がバトンタッチし、怪綺談の世界へとファンを誘います。

夏の夜にぴったりな怪綺談を3人のキャストが朗読!

 物語は、正体不明な謎の本が見つかるところからスタート。江戸川乱歩は新たなトリックが浮かびそうだと楽しそうに話し、3人はその本へと潜書。その先にはロウソクやあばら家が並び、荒廃した世界が待っていました。怪談に相応しいと夢野久作や小泉八雲も喜びますが、不思議と侵蝕者は出現しません。先へ進んだところ、この世界は異なる作者で綴られたアンソロジーで、とくに“怖い話”が集められていると判明します。

 そんな中、落ちていたのは1冊の本。それを夢野久作が開き……ここから「ドグラ・マグラ」の「巻頭歌」「キチガイ地獄外道祭文(一部)」の朗読が始まります。非常に難解ながらテンポのいいリズミカルな文章と、耳に残る“チャカポコ”というフレーズが印象的でした。浪川さんが滔々と読み上げるうちに、自然と「ドグラ・マグラ」の怪奇な世界に飲み込まれていきます。

 続いて披露されたのは、作者が素晴らしい探偵小説を書きたいと願っている「書けない探偵小説」です。美人を殺した犯人が素人探偵を装って自分の犯行を暴露する、名探偵を殺そうとする極悪犯人であり昔の恋人、未亡人と命を狙われる娘を助ける探偵の恐るべき真実……といった、想像力をかきたてられる6つの展開が並びます。
 こちらは前半と対照的に、探偵小説のアイデアを描写した文章はかなり抑揚がつけられ、作者の心情は「書きたいのに、書けない」といった苦悩がありありと伝わってくるような、消え入りそうな声で語られました。大人のおとぎ話のような心理描写だ、一体何を書きたいのか……という作者の嘆きで朗読は終了しました。

 ここで、江戸川乱歩と小泉八雲が2作品を講評します。常人には想像できないような「ドグラ・マグラ」の描写や、書けないといいながら書き上げた探偵小説という作風を高く評価しました。文豪同士が作品の感想を語り合うのも「文アル」らしいですね♪

 次の朗読は江戸川乱歩の「白昼夢」で、ある人物が体験した夢とも現実とも分からない光景が語られていきます。大通りで騒ぐのは、自分の妻を殺して店に飾っていると話している男。誰もまともに取り合っていませんが、覗いてみると確かに人体模型があり……という、どこかうすら寒くなるストーリーです。
 斉藤さんは子どもや男、野次馬まで丁寧に演じ分け、目の前にノスタルジックな風景が浮かぶほどの臨場感を味わうことができました。時には足を大きく踏み鳴らすほど鬼気迫る演技を見せつけ、これには思わず息を呑んでしまうほど……!

 夢野久作は「これぞ乱歩さんの描く狂気狂」と大興奮し、うっとりと酔いしれます。一方、小泉八雲は「なぜ男は妻を殺してしまったのか?」と疑問を抱きますが……そもそも、どこからどこまでが白昼夢だったのか誰にも分かりません。そうして彼らは、さらに本の奥へと歩みを進めていきます。



 小泉八雲の「雪おんな」の朗読の前に、内田さんが「ココからは少しダケ聞き取り易くなりマス!」と告げると、これまで緊張に包まれていた会場から大きな笑いが。しかしそれもほんの一瞬で、ゆっくりとした語りにぐいぐいと物語の世界へ引き込まれていきます。
 大吹雪の中、真っ白な美しい女と出会った巳之吉。この日に見たことを絶対に誰にも言わないと約束させ、女は巳之吉を殺さずに立ち去りました。やがて月日が流れ、巳之吉は美しいお雪と出会い、結婚。子宝にも恵まれ幸せに暮らしていましたが、巳之吉はつい昔出会った女の話をしてしまいます。その話を聞いたお雪は「それは私」と叫び、子どもに免じて巳之吉を殺さず姿を消してしまいました。

 「まるで雪女に息を吹きかけられたかのよう」と例える夢野久作に、江戸川乱歩も「さすが異国から来た怪談王」であり、人の琴線に触れる繊細な魂の物語だと絶賛しました。そんな中で見つけた本を開くと、3人は外に引きずりだされてしまい……!

 ここで江戸川乱歩が「……という物語でした!」と高らかに宣言して、2人に触発されて書いた「文士劇 夏夜怪綺談」という作品だと話します。敬愛する相手に自身を書いてもらえるなんてと感動した様子の夢野久作、とても素晴らしいと感動する小泉八雲。2人は口々に感想を伝え、お互いの作品についても改めて褒め称え合いました。

 ちなみに“文士劇”とついているのは、図書館にエンターテインメントが足りないため、文豪たちが演劇をしてみたらという思い付きだそう。3人は劇を行うため、司書のもとへと向かうのでした。


内田さんが語る怖い体験は!? 3人の好きな○○もトーク


 斉藤さんが小泉八雲のような独特の口調で挨拶をし、和やかな雰囲気でトークコーナーが始まります。つい口調が移ってしまうだけでなく、セリフを噛んでもうやむやにできると内田さんが続けると、ますます笑いが大きくなりました。

 初の朗読劇での感想を求められると、内田さんは朗読CDの際もキャラクターで読むのか、自分自身で読むのか考えたと話し、今回はキャラクターもいるため急に切り替えるのもどうかと一言挟んだと言います。

 ここで怪談にちなみ、話題は“怖い体験”へ。内田さんは中学生の時、遊びに行った友人の家の外階段に日本人形を見つけたそうです。しかし後日遊びにいったところなくなっていたので聞いたところ、友人やその家族にまったく心当たりがないと言われてしまったと話します。

 斉藤さんも母方の実家に人形が飾られている部屋があり、夜中に起きると人形が移動しているそうです。これは妹のイタズラだと考えているようですが、やはり「人形はちょっと怖い!」とちょっぴり震えあがります。

 再び、浪川さんから朗読劇の感想を聞かれた斉藤さんは、後半は酸欠になったと明かします。そんな斉藤さんを内田さんも「呼吸感がすごい!」と褒めちぎります。また、浪川さんは自身が朗読した「書けない探偵小説」に「書きたいしか言ってない(笑)!」とコメントしてファンの笑いを誘いました。

 ここで、影響を受けたものについて話していく「好きな○○」のコーナーがスタート。斉藤さんはやはり文学を挙げ、中学生の時に「ドグラ・マグラ」を読んだと話します。やや刺激的な表紙が照れくさく、別の本と挟んで隠しながら買ったのが印象深かったそうです。

 内田さんは好きなお肉の部位を聞かれて「タンが好き!」と即答。しかし浪川さんから「ハンバーグはデミグラスソースと和風どっちが好き?」と聞かれた際は「一朝一夕では答えが出せない……!」と、ものすごく悩んでしまいました。このほか、内田さんは勧善懲悪のようなハッピーな展開が好きだと話してくれました。浪川さんは志賀直哉を演じる前野智昭さんの発言を引き合いに出し、好きな女性の仕草について暴露。前野さんへの謝罪も、とても投げやりだったためステージを含めて大きな笑いが起きました。


 第9弾まで発売している朗読CDの紹介では、斉藤さんが自身のCDよりも花江夏樹さん演じる北原白秋をアピールし、ここでもファンは大笑い。「小泉八雲の口調で朗読!」といった展望も飛び出し、今後もシリーズが続いていくよう応援してほしいとファンにお願いします。こうして文豪たちの作品の魅力に改めて触れられたイベントは、大きな拍手に包まれながら終了しました。

公演概要

公演名:
朗読イベント「文豪とアルケミスト」”文士劇 夏夜怪綺談”

開催日時:2019年8月24日
<昼の部>開場14:00 開演14:30
<夜の部>開場17:30 開演18:00
会場:日本教育会館 一ツ橋ホール

出演者:
※昼の部
浪川大輔(夢野久作役) 斉藤壮馬(江戸川乱歩役) 野島健児(萩原朔太郎役)
※夜の部
浪川大輔(夢野久作役) 斉藤壮馬(江戸川乱歩役) 内田雄馬(小泉八雲役)

(C)DMM GAMES

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