ロボットもの王道の絶望感満点。アトラス×ヴァニラウェア『十三機兵防衛圏』体験版レビュー!!【TGS2019】
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- 電撃PlayStation
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2019年9月12日~14日に、千葉・幕張メッセにて行われている“東京ゲームショウ2019”。セガ内アトラスブースでは、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』と並び、アトラス×ヴァニラウェアの新作『十三機兵防衛圏』の試遊体験会が行われました。
体験できたのは、発売中の『十三機兵防衛圏 プロローグ』内ですでに語られた“南 奈津乃”、“関ヶ原 瑛”、“比治山稔二”の3人の“追想編”冒頭に加えて、“薬師寺 恵”、“鷹宮由貴”の本編エピソードの一部、そして崩壊編(戦闘パート)の6つでした。本記事では、戦闘パートのプレイレポートならびに、初出となる薬師寺と鷹宮の本編体験版の概要をお伝えしていきます。
スピード感と爽快感の融合した
アクションのようなシミュレーション
世界を滅亡から救う要(かなめ)とされる“ターミナル”を守る、と報じられてきた本作のバトルパート。じっくりと考え、チェスのように進めるシミュレーションやタワーディフェンスのようなものかと想像していましたが、いざバトルが始まったらそんな先入観は吹き飛ぶことに!
本作のバトルフィールドは、一見すると“なかなか広そうだな”と思ったのですが、機兵の移動速度はかなり素早く、同時に怪獣の移動速度も、種類によってはかなり速い! ぼーっと見ていると、あっという間に怪獣の集団にターミナルに接近されてしまう……というスピーディで手に汗握る展開に、まず驚かされました。
また、敵の数もいわゆるヘクス制のシミュレーションゲームと比べるとかなり多く、さらに定期的に増援が出現し、ターミナルの四方八方から押し寄せて来ます。その絶望感たるや、宇宙人や正体不明の敵と戦うSFアニメの人類側蹂躙シーンを思い出させるもの。あわてている間も怪獣たちがどんどん接近してきて……!? とはいえ、こちらの防衛戦力となる機兵の強さもなかなかのもの。以下で、今回の試遊で操作できた機兵と、それに搭乗するキャラクターたちを簡単に紹介していきましょう。
フィールドには“道”が存在し、陸を移動する怪獣や機兵はそれを辿ることになります。これが以外に重要で、慣れると(道沿いに進む)怪獣の進撃ルートを予想できるようになるため、そこをふさぐように機兵を配置したり、一直線に並んで渋滞を起こした怪獣を砲撃一発で一掃したりといった、戦術らしきものを駆使できました。とくに“通せんぼ役”に向いているのが、第一世代機兵。派手な飛び道具はありませんが、一発の威力が高いパンチやキック攻撃で、誘い込んだ敵を確実に処理してくれます。
遠距離攻撃に秀でた第三世代機兵は、機動力は乏しいものの、射程距離が長くて怪獣が接近する前に一方的に攻撃できるのが利点。また、一方の怪獣を撃破したら、向きを変えるだけで別方向の怪獣を引き続き攻撃可能です。一撃の破壊力は第一世代機兵に劣りますが、広範囲攻撃でザコ怪獣を一掃したりといった、幅広い運用に向いた機兵ですね。今回体験できたバトルでは、ワーカーやハンターといった歩兵(ザコ)タイプの怪獣がわんさか出現することもあり、八面六臂の活躍ぶりでした。
飛行支援型の第四世代機兵(飛行能力のある怪獣も)は、道を無視して移動できます。道に縛られているほかの機兵や怪獣とは一線を画した機動性があり、ピンチに陥った僚機をすかさず援護したり、絶好の攻撃ポイントに急行して攻撃するといった、臨機応変な動かし方が可能です。
このように、タイプの異なる機兵をうまく組み合わせて動かすことで、何倍もの怪獣に攻め寄せられても、なんとかギリギリ処理できるようにうまく作られていると感じました。最初に情報が解禁された第二世代機兵(基本的に何でもこなす万能型)が今回、居ないのも、機兵ごとの特性をより強調する形で本作の戦闘を体験して欲しいという、開発スタッフさんの狙いが感じられます……!!
どれだけスキルを効果的に発動できるか
本作のバトルの要となるのは、スキルの戦術的かつ効果的な使用にあります。たとえば南のスキル“E.M.Pスタナー”は、周囲の怪獣の動きを止めるだけでなく、飛行怪獣を落下させることもできます。怪獣が落下し、道に連なったところに強力な前方長距離砲を打ち込んで一網打尽にする……といった戦術が、かなり効果的でした。
さらに、強力な近接攻撃を繰り出そうとしている怪獣に対し、接近してラッシュを当てることで、怪獣の軸(攻撃の位置や角度)をズラすことも可能でした。これによって怪獣にダメージを与えつつ、怪獣の攻撃も避ける、といったトキッリーな戦法をとることも可能です。相手の攻撃の“タイミングをズラす”というリアルタイムならではのおもしろさや、まだまだあるであろう“小技”にはワクワクさせられました。
出現した怪獣の動きや特性を確認&予測し、より効果的な攻撃を繰り出す――。シミュレーションゲームではままある駆け引きですが、本作の戦闘はそれがリアルタイムで進行するため、よりダイナミックかつ臨場感のある攻防を楽しむことが可能です。とくに自分の作戦がキレイにハマって、大型怪獣を撃破できた時の爽快感は、その派手な演出と相まってひとしおでした!
なお、各スキルにはクールタイムや効果時間が存在するので、刻一刻と変化する戦況の把握と予測が重要になります。最初は展開の速さに戸惑うかもしれませんが、プレイヤーはキャラクターの行動を選択している時はゲーム内の時間が止まるので、じっくりと使用するスキルや移動先の候補を考えることも可能です。
慌てずに怪獣と対峙すれば、「すぐに攻撃せず、あえて数秒待ってから、撃つ」といった駆け引きを、まるでロボットバトルアニメの主人公や司令官になったかのような気分で楽しむことも可能です。ちなみに、こういった動きに複雑な操作は必要なく、方向キーの左右で簡単に指示を出すキャラクターを切り替えられるなど、視覚的で分かりやすい操作方法が採用されているのもポイントです。最初こそぎこちない操作とちぐはぐな指示のせいで怪獣にターミナル近くまで攻め込まれることもありましたが、数分もすればすぐに慣れ、いっぱしの傭兵気分を味わうことができるようになりました。
繰り返しプレイしたくなる不思議な魅力
ともあれ、シミュレーションバトルのように戦術を練ったり、アクションや対戦格闘といった“急かされる”タイプのゲームが苦手な筆者……。この体験版も時間内にクリアできるか密かに心配していたのですが、各機兵やキャラクターの特性を知れば知るほど、さまざまなスキルを試したくなったり、(じっくりと考える時間も用意されているので)試してみたい戦法がいろいろ浮かんできたりと、気が付けば非常にワクワクとした気持ちで4体の機兵に指示を出していました。
「もう一度! もう一度プレイすれば、もっと上の戦果を達成できるはず!!」とコントローラを離さないで何度も遊びたくなる、爽快かつ不思議な魅力を持ったバトル――。一応私でもクリアできましたし、本編では3つの難易度が用意されているので、シミュレーションバトルが苦手な方も、きっとちょうどいい緊張感とともに楽しめると思います。
今回のプレイでは、使用しきれなかった機兵スキルもたくさん。また、ターミナルの強化やメタゲージを使った効果的な支援などもできず、心残りが……。登場人物たちの秘密はもちろんのこと、バトルについても新情報の公開や、11月の発売日が楽しみになりました!
新たに判明した、
薬師寺と鷹宮を取り巻く謎
さらに今回は、何人かの主人公のエピソードも体験できたので、以下で簡単に紹介していきます。
薬師寺恵は恋する魔法使い!?
1985年。十郎(声:下野紘)に想いを寄せ、記憶を失くした十郎を守るために“しゃべる猫”と契約を結んだ少女・薬師寺 恵(声:内田真礼)。発売中の『十三機兵防衛圏 プロローグ』では、その契約の瞬間までしかプレイできず、内容については謎めいたままでしたが、その断片が“本編体験版”で明らかになりました。
しゃべる猫“しっぽ”は彼女に“魔法の銃”を渡し、“魔法使い”を撃って力を封印しろと命じます。最初の標的は、郷登蓮也(声:福山潤)でした。横柄な態度で薬師寺に指示を与える猫は、何者なのか? はたして“魔法”とは何を示しているのか――。謎は尽きません!
鞍部十郎の家に無理やり同居する彼女に対し、十郎の態度は思春期の恥ずかしさからくるものなのか、それとも戸惑いからか、少しそっけない感じです。いっぽうで、冬坂五百里(声:種﨑敦美)と十郎の仲にヤキモチを妬く薬師寺の愛情は、ちょっと“重く”て……!?
時代は飛んで2025年、怪獣侵略後の咲良区。“和泉”十郎としての記憶を失う以前の彼は、機兵に搭乗して戦いに挑んでいました。結果、脳に深刻なダメージを受け、駆け付けた薬師寺の腕のなかで倒れることに。どうやら機兵に搭乗することは、たとえ短時間であっても脳へかなり大きな負荷が掛かるようです。そんな機械に搭乗し、戦う彼らの行く末は……。
消えた親友を追う鷹宮由貴の探偵物語
正義感が強く、他校にも名が知れ渡るほどの腕っぷしを持つスケバン、鷹宮由貴(声:小清水亜美)。『十三機兵防衛圏 プロローグ』では、彼女が政府のスパイ組織の潜入捜査員の1人として、咲良高校へと転校してきた経緯が語られました。
転校先には、唯一の親友・南 奈津乃(声:佐倉薫)が在籍していましたが、久々の再会も程なくして、南の失踪事件が発生。彼女はスパイとして与えられた任務とともに、親友の行方も追うことになります。聞き込み中に知り合った少女・相葉絵理花に懐かれ、行動をともにするようになるも、推理小説好きという彼女は天然ぎみで……!? どこかズレた推理を得意とする彼女に翻弄されながら、鷹宮は調査を進めます。
聞き込みを続けるうちに、鷹宮は“北校舎の女子トイレのボヤ騒ぎ”へとたどり着きます。どうやら南の様子がおかしくなったのは、そのボヤ騒ぎの直後らしいのですが……!? 爆発があったとか、放火であったとか、噂は絶えません。騒ぎの噂とともに、南が何かの事件に巻き込まれているような証言が相次ぎ、やがて鷹宮は真相へと迫っていきますが――。
足を運んだ噂の現場は、火事とは思えない暴力的な有様でした。そこに落ちていたのは、如月兎美(声:M・A・O)のものと思われるメガネ。彼女は現場には行っていないと主張しますが、怪我をした如月が南を追いかけていたという目撃情報があり、そのいっぽうで、その時間に彼女は別の場所にいたというアリバイ証言も……。食い違う証言、つながるようでつながらない、点と点――。
はたして南はどこへ消えたのか? “2人の如月”の目撃情報の謎は? 鷹宮は、いったいどんな真相へと辿り着くのでしょうか……。
明かされるごとに深まる謎と考察
上記エピソードの体験プレイはほんの15分ほどのものでしたが、その中にも凝縮された“解明の鍵”と“より深まる謎”とが潜んでいると感じました。例えば、東雲諒子は事故をきっかけに頭痛に悩み、投薬によって意識を保っている少女ですが、関ヶ原の「機兵に搭乗することで脳がダメージを負う」という言葉が真実であれば、東雲を救いたいと思う関ヶ原が、機兵の活動を本当に妨害している可能性も……(現時点では私の勝手な妄想)など、いろいろと考察がはかどります。
十三人の主人公たちはどのように出会い、なぜ機兵に搭乗して戦うのか――。そのいきさつや“時間を飛んで”展開される物語の時代的な前後関係にも興味がわいてきます。各登場人物の物語の始まりを楽しめる発売中のタイトル『十三機兵防衛圏 プロローグ』と合わせ、今後の情報はもちろん、2019年11月28日の本編の発売が今から楽しみです!
なお電撃屋では、東雲と森村先生が描かれた描き下ろしB2タペストリーと特製ロゴTシャツ(仮)、“食べ物”じゃらじゃらメタルチャーム(仮)の3点がソフトに付属する『電撃スペシャルパック』の予約が受付中なので、あわせてチェックを!!
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十三機兵防衛圏 プレミアムボックス
- メーカー: アトラス
- 対応機種: PS4
- ジャンル: ADV
- 発売日: 2019年11月28日
- 希望小売価格: 14,980円+税
十三機兵防衛圏
- メーカー: アトラス
- 対応機種: PS4
- ジャンル: ADV
- 発売日: 2019年11月28日
- 希望小売価格: 8,980円+税