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諸葛亮と司馬懿は学友だった!?【三国志 英傑群像出張版#3-3】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 今回も、前回に引き続き、孔明の伝承をご紹介していきます。

諸葛亮が奇書を手に入れる

 諸葛亮と司馬懿といえば、敵同士であることが知られている。二人は子供の頃、学友だったという話がある。

 この師は素晴らしい本を持っており、それを元に天文学や地理学、武器使用や用兵を二人に教えた。

 老齢で子供もいないため、以前から愛弟子に譲るつもりでいたが、誰に渡せばいいだろう?  間違った人に渡したら、国にも民にも害になるし、自分の意にも反する。そこで彼は二人の道徳的、倫理的な志を試した上で決定することにした。

 ある日、二人を自宅の裏山に連れて行き、軍隊の使い方を教えた。反対側の崖で、薪を割っていた木こりが、誤って崖から落ちるのを目撃する。それを見ていた三人だが、師匠は動かずに講話を続けた。

 司馬懿が穏やかに講義を聞いている間に、諸葛亮は木こりを助けるために丘を駆け下っていった。その後、師は司馬懿を案内して丘を下り、諸葛亮が木こりを家に返すのを手伝います。

 しばらくして、諸葛亮は家族から「父が重病なので、会いに帰ってほしい」という手紙を受け取る。そして、諸葛亮は涙ながらに別れを告げて慌てて帰省した。その後間もなくして、父親が亡くなる。

 葬儀を終えて後、孔明はまたこの師の元へ戻ってきた。数日後、運良く司馬懿の元にも手紙が届き、母親は重病なので家に来てほしいとあった。このまま帰ると孔明に奇書を渡すことになると思い帰ることを拒み手紙だけを送った。

 その後、師は病気になり二人が看病した。しかし、年をとって体が弱くなり、どんどん病気が進行していった。

 ある日、諸葛亮は彼のために薬草をとりに出かけ、司馬懿は枕元で待っていた。司馬懿は師の意識がないのを確認すると、書斎に忍び込み小さな箱を探した。開けてみると小さな箱があり、開けてみると本があった。そのまま本を彼は持ち出した。

 諸葛亮が戻ると師は別の箪笥から本を取り出し、諸葛亮に渡し「私が死んだら、家と私の体を燃やして消えるように」と指示しました。その言葉とともに、彼は息を引き取った。

 司馬懿が家に逃げ帰り、盗んだ本をみると、"役人になるには、民を愛し親に孝行しなければならない、この二つがなければ、どうしてそれになれるだろうか "という言葉が書かれていた。怒った司馬懿は、部下を率いてその師の家に行き、彼を殺して本を奪おうとした。

 しかし孔明は跡形もなく消えてしまっていた。

諸葛亮の竹筒

 赤壁の戦い後、荊州を占領した劉備。呉の周瑜は孔明が劉備の元を離れたと言う話を聞き、孫権の名をかり劉備を「望江楼(ぼうこうろう)」での酒宴に招いた。

 劉備を脅して荊州を奪おうと考えたのだ。劉備は趙雲を孔明の元へ走らせた。孔明は趙雲一人がついて行くように指示し竹筒を託くした。

 劉備と趙雲が「望江楼」の酒宴の席につくと周瑜と呂蒙が出迎えた。周瑜は孫権を迎えに出るといって呂蒙に相手を任せ退席し、呂蒙も外が騒がしくなったので叱るふりをして退席した。

 外を見るとこの楼閣の下に柴が敷かれそこには呂蒙と兵がいた。今にも火を付ける勢いである。

 兵は「荊州を返すように命令をしていただくしか身の保証はできませんな。荊州を返すと書いた書面に署名捺印いただこう。」と言う。

 開放を願う二人に呂蒙は「【周都督の令字旗】が無い限り自由にはできん」と言う。

 そこで趙雲は孔明にピンチの際に開くようにいわれた竹筒を開けてみた。そこにはなんと【周瑜の令字旗】が入っているではないか。

 趙雲はそれを呂蒙に見せる。呂蒙が確認するが本物である。周瑜になにか考えがあるのかと呂蒙は悩み、命令に従わないわけにはいかず、二人を開放した。

 岸までくると孔明が船で迎えに来ていた。「私が草船で矢を借りた(10万本の矢を集めた)時に、都督から令字旗を借りておりました。今日返すことになるとは」と笑った。


 最近は、映画・ドラマなどで同タイトルの別作品における矛盾などは、パラレルワールドだということで説明するワザ(手法)が出てきました。(パラレルワールドとは、並行して存在する別の世界(時空)を意味します)

 パラレルワールド全開といえば、最新映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』はまさにそんな感じでした。繋がりのない過去映画作品からどんどん敵があらわれて……って話。パラレルワールドだと考えると矛盾点を許せたりしますね。

 諸葛亮の民間伝承も史実とは矛盾するところがありましたが、パラレルワールドと考えて楽しんでいただければ幸いです。

 また次回も三国志民間伝承を紹介していくのでお楽しみに!

“春の三国志会”開催のお知らせ

 KOBE鉄人三国志ギャラリー恒例の「春の三国志会」を3/27(日)に開催します!

 開催時間は11~17時で、講座、講演、朗読、三国志テスト、造形教室などを実施予定です。

 ぜひ会いにいらしてください!

場所:KOBE鉄人三国志ギャラリー(神戸市)
開催日時:3月27日(日)11時~17時
備考:マスク必須、検温実施
詳細:春の三国志会HP


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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