謎解き豊富な冒険は好きですか? アクションRPG『オーシャンズハート』をレビュー【電撃インディー#195】
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- ophion
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はNintendo Switch/PC(Steam)用アクションRPG『Ocean’s Heart(オーシャンズハート)』を遊んだ感想をお届けします。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
クエストではっきりと目的を提示してくれるRPG要素重視のアクションRPG
本作は、ピクセルアートが特徴の2DアクションRPG。故郷の島が海賊に襲われた主人公・ティリアが、海賊を追った父親を捜すため冒険の旅に出ます。
スクリーンショットを見て、何か別のタイトルをイメージした人はおそらく正解。剣や弓、爆弾を駆使して戦ったり、謎解きをしながら部屋ごとに区切られたダンジョンを探索したりと、随所に某タイトルからリスペクトを受けたことが感じられます。
ボスによっては単に避けて斬っての立ち回りではなく、独自のギミックを用いる必要もあり。
一方で、プレイヤーの目的が豊富なクエストとして提示されている印象。
さまざまな村を巡るなか、父親の手がかりを探したり、困っている住民たちを助けたりと今するべきことがはっきりとわかるので、ゲームの進行に迷いにくい作りになっています。
複数の目的から自分ですることを選べる楽しさ
そして、クエストはほとんどの状況で複数同時に提示されている様子。
本作には大きく分けて、海賊や父親の手がかりにつながるメインクエストと、町の住人を助けるなどのサブクエストが用意されています。
例えばある町では、“東に海賊に襲われた村がある”、“北に海賊の情報を持っている人物がいるらしい”とメインクエストが同時に2つ解禁。さらに、“近場でモンスターに襲われている人がいる”、“町に現れる窃盗犯を捕まえるのに協力してほしい”といった町の人々を助けるサブクエストが複数解禁されます。
これらのクエストをどんな順番で進めるかは自由です。何をしたらいいかわからなくなるような投げっぱなしではなく、かといって一本道でもない。
クエストがあって目的地があってと誘導されているのは確かですが、こなすクエストを自由に選べるのが冒険をしている感を強めています。
また、武器や防具も物語の進行で自然に強化されるのではなく、鍛冶屋でお金を支払うなどで強化していく形。ときには、少ない資産で何を強化するかを悩むこともあり、こちらもまたプレイヤーが冒険のなかで選んでいるという気持ちにさせてくれます。
豊富なテキストが奥深い世界を作る
また、各種テキストが非常に充実しているのもポイント!
例えば、上記のようなちょっとしたサブクエストは最低限「南の釣り場にモンスターがいる。倒してほしい」という最低限の状況説明に“はい”か“いいえ”で答えられれば成立しますよね。
物語に大きくかかわらない人なら、クエストをこなして報酬を受け取ってさよならでもとくに気にしないでしょう。
ですが、本作の場合クエスト受注の対象の人となりや、普段なにをしていたかなどのフレーバーテキストにあたる部分まで語られており、全体的にテキスト量が豊富になっています。
さらに、ほぼすべての住民にもちょっとした会話が用意されており、それがクエストのヒントになっていることも。自分で情報を集めないと行き詰まることもある、ある種少し古めのRPGが持っていた楽しさを味わえます。
また、ゲームの進行にかかわらないオブジェクトにも、本や紙なら書かれている内容、家具ならそれを見たティリアの感想と、フレーバーテキストがばっちり。調べるものによっては、ティリアから見た印象とそれに対する家主からの回答。さらにそれを受けてティリアが感想をこぼすといった具合にかなりのボリュームになっています。
場合によってはティリアが辛辣なコメントをすることもあるのですが、そこもまた彼女の人となりが見えてきて楽しいポイント。とにかくテキストが豊富なので、NPCの家に入れば目立つ家具は調べたくなり、ダンジョン内でも敵の生活に紐づいていそうなものはなんとなく調べたくなります。下に会話の一例を載せるので、テキストの豊富さを感じ取ってもらえればと思います。
そして、テキストの豊富さはダンジョン内のギミックに関するフォローにも生かされています。
謎解き要素があるアクションゲームのプレイ経験があれば、ダンジョン内に“ギミックを起動させると地面に沈みそうな障害物”と“なにかのスイッチになっていそうなオブジェクト”があれば、なんとなくオブジェクトに攻撃すると障害物が地面に沈むだろうということは察せますよね。
そういったゲームをプレイする人にはなかば常識になっているギミックも、あえて攻撃せずに調べると“剣で攻撃すればなにかが起きそう”といったメッセージが表示されます。
正直なところ、自分は上記のような“察すること”ができてしまうため、こういったギミックにテキストによるフォローが必要なのかはわかりません。本作の開発者もギミックを用意している時点で“察すること”ができる人でしょう。
ですが“察せない人”がいるかもしれないと、あえてテキストを用意していることに開発者の説明できることはしようというこだわりが感じられます。
テキストの内容については、ローカライズタイトルでしばしば見られる不自然な改行はあるものの、翻訳の内容に違和感はなし。
アクションと探索に加えて、RPGらしい情報をもとにした調査と3つの要素がバランスよく楽しめるタイトルですね。
©Max Mraz
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