『Voice of Cards できそこないの巫女』リリース記念! 6人のキーパーソンが本作の魅力を語る

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 すべてがカードで構成された異色のRPG『VoC』シリーズ第2弾として登場した、スクウェア・エニックスのNintendo Switch/PS4/PC(Steam)用ソフト『Voice of Cards できそこないの巫女』。

 リリース直後となるこのタイミングで、本作を手掛けた6人の主要開発スタッフに、今のお気持ちから本作のこだわりポイント、おもしろ開発エピソードまで、さまざまなお話をおうかがいしてみた。

クリエイティブディレクター:ヨコオ タロウさんへのQ&A

Q:『Voice Of Cards できそこないの巫女』のリリースおめでとうございます。ヨコオさんが考える、このゲームの最大の魅力はなんでしょうか?

ヨコオ:「カードを並べて地形を表現する」という、実際にやるとクソめんどくさいことを、声優の速水さんがやってくださるところです。

Q:印象に残っている開発エピソードは何かありますか?

ヨコオ:シナリオを書いた和田さんが、深夜に家に帰って寝るだけの日々を過ごした結果、ご家族から「哀れな虫のようだ」と言われてしまったエピソードが胸に刺さります。

Q:本作を楽しみにしていたユーザーさんに向けて、ヨコオさんがとくにアピールしておきたいことはなんでしょう?

ヨコオ:若手中心で作ったので、年寄りがシャシャリ出るのはよくないと思うんですが、黙ってると「ヨコオはやる気ない」みたいな事言われるので困っています!! いや、やってる! 仕事やってる! でも、若手が作ってるから、やってないのよ!! そのへんの複雑な乙女心をわかって欲しいです。

Q:シリーズ第2弾という立ち位置ですが、前作とのつながりはどれくらいあるのでしょうか? 極端な話、前作をまったく知らなくても楽しめるのか、それとも遊んでいるとつながりが感じられる部分があるのかが気になります。ヨコオさんが手掛けてきた他作品との繋がりなども含め、構想をお教えください。

ヨコオ:何か考えた気もしますし、まったく関係のない世界観にした気もします。どっちだったっけ……すみません、覚えていないです。

Q:今後、この『VoC』で成し遂げていきたい野望などはありますか? カードゲームやゲームブックといったアナログゲームへの転進や『NieR Re[in]carnation』とのコラボなどをイチファンとして期待してしまいますが、ヨコオさんのお気持ちとしてはいかがでしょう?

ヨコオ:やー、いいですね! 『リィンカネ』とかコラボしないかなあ。いや、皆さんが思うほど、コラボ先とか僕は選ばないんですよね。実際のアナログカードとか、ゲームブックもいいなあ。どこかで出版してもらえませんかね……。

エグゼクティブ・プロデューサー:齊藤 陽介さんへのQ&A

Q:『できそこないの巫女』のリリースおめでとうございます。齊藤さんが考える、このゲームの最大の魅力はなんでしょうか?

齊藤:やはり他にあまり見ないゲームデザインであること。慌ただしいゲームが多いなか、自分のペースで遊べるところに最大の魅力があると思っています。

Q:印象に残っている開発エピソードは何かありますか?

齊藤:めちゃくちゃタスクが混み合っているスタッフが多く、開発の優先順位を決めるのがたいへんだったなぁと。それでもエイリムの皆さんや若いスタッフたちが頑張ってくれて完成できたので、「若い力こそパワー!」だなと思いました……。おっさんの出番はあまりないです。

Q:前作に引き続き、異例の垂直立ち上げとなりました本作ですが、そもそも前作を遊んだプレイヤーさんからの反響はいかがでしたでしょうか?

齊藤:色々なご意見をいただきましたが、遊んでいただいた方には総じて好評だったと思います。ゲームのテンポにもパッチをあてることで、もう死角なしなんじゃないでしょうか? ……というのは冗談として、未体験の方にももっともっと遊んで欲しいですね。

Q:ゲームマスターが速水奨さんと、前作の安元さんから引き続き「いい声」枠の声優さんがご担当されており、テンションが上がっています。速水さんにお仕事をお願いすることに決まった理由はなんなのでしょうか? 収録現場での思い出などもあれば合わせて教えてください。

齊藤:スタッフの希望を色々聞いた結果、速水さんにお願いすることになりました。例によってわたしはコロナの影響でスタジオに入る人数を絞らなければならず、立ち会うことができませんでした(号泣)。

Q:今後この『VoC』シリーズはどのように展開していくのでしょうか。さらなる新作など、商品展開について齊藤さんのお考えを教えてください。

齊藤:前作『ドラゴンの島』とこの『できそこないの巫女』がたくさん売れたら考えます。「ハリーポッター」シリーズが目標ですw

ミュージックディレクター:岡部 啓一さんへのQ&A

Q:『できそこないの巫女』のリリースおめでとうございます。岡部さんが考える、このゲームの最大の魅力はなんでしょうか?

岡部:グラフィックや音楽を含めた、独自の世界観のゲーム体験だと思います。

Q:前作のサウンドは岡部さんをはじめとする複数人のMONACAスタッフが制作を手掛けていましたが、それは本作でも踏襲されているのでしょうか?

岡部:はい。前作と同じく瀬尾とOliverと私の3人で制作しています。

Q:“声によって導かれていく”という独特の世界観のなか、岡部さんたちがサウンドを制作するにあたり、とくに気を配った点やこだわっている部分などをお教えください。

岡部:声が主軸になっている曲も多いですが、いわゆるポップスのようなボーカル楽曲にならないよう、メロディーのありかたやバックの楽器の音との兼ね合いは意識しています。今回歌唱していただいているKOCHOさん、折田さんは世界観との相性はもちろんですが、エアリーで主張しすぎないテイストで歌っていただけるお2人なので、お声がけさせていただきました。

Q:中世ファンタジー的な世界観が印象的な『VoC』ですが、岡部さんの考える中世っぽさやファンタジー感ってどんな部分でしょうか? 現代ものやSFものと比較して、音楽的な表現や演出で何か変わってくるものがあれば教えてください。

岡部:ケルト音楽自体が中世ヨーロッパの音楽なので、そういう音楽や音色のテイストを入れたオーケストラサウンドにすれば中世ファンタジーっぽさは出ると思います。前作は正攻法でそういうテイストを入れましが、本作は2作目ということもあり、前作からの中世ファンタジーの要素にラテンのテイストを入れて、ミクスチャーの面白みやバリエーションを出しています。

キャラクターデザイナー:藤坂 公彦さんへのQ&A

Q:『できそこないの巫女』のリリースおめでとうございます。藤坂さんが考える、このゲームの最大の魅力はなんでしょうか? 

藤坂:ゲームマスターが温かくプレイを見守ってくれるところですかね?

Q:印象に残っている開発エピソードは何かありますか?

藤坂:ボス周りの仕様がヘビーめで、描くのがたいへんだったなーと。どんどんイラストの枚数が増えていって、描くのがたいへんだったなーと。

Q:『VoC』シリーズ第2弾となる本作ですが、今回新たに登場するキャラやモンスターはどれくらいの数をデザインされたのでしょうか?

藤坂:『ドラゴンの島』から続けて登場するものも多いのですが、結局前作より数は多く描いてる気がします。

Q:藤坂さんがデザインするコスチュームの意匠などに、どことなく『DOD』の風味を感じてしまうのですが、ズバリ、藤坂さんのなかで過去のヨコオさん作品のデザインとのつながりを意識していたりしますか?

藤坂:逆にそのへんの指定はまったくなかったので、自分が感じたまま、デザインにつながりがあっても良いのではと思ったものには自由に取り入れているかもしれません。モンスターなどは、デザインがほぼ一緒というやつもいたりします。

シナリオライター:和田 侑樹さんへのQ&A

Q:『できそこないの巫女』のリリースおめでとうございます。和田さんが考える、このゲームの最大の魅力はなんでしょうか? 

和田:物語がカードだけで表現されていることで、遊び手自身が想像する余地がある……という点が魅力かなと思います。イラストや音楽、ゲームマスターの声など、グラフィックやサウンドも豊富なゲームのはずなのに、人によって思い描くキャラの仕草や世界の情景が異なっていそうなところが面白いと思います。

Q:印象に残っている開発エピソードは何かありますか?

和田:とあるボスエネミーのカードイラストを藤坂さんにお願いしたときに、予想の遙か斜め上を行くとんでもないものが出てきまして……(笑)。シナリオ側でもしっかり意味を与えて描かなければ、というプレッシャーを一人感じていました。
しかも、そんなことが一度だけでなく二度くらいあり……お客様にもプレイ中に驚いてもらえるんじゃないかなと思います。

Q:『できそこないの巫女』というタイトル名は、なかなかエッジの利いたネーミングだと思うのですが、こちらを決めたのは和田さんになるのでしょうか?

和田:はい。自分がいくつかタイトル案を考えて、『できそこないの巫女』がオススメですとヨコオさんに承認をもらいました。“できそこない”という言葉はただの誹謗でなく、どこか儚さや孤独感のようなニュアンスも含まれている印象があり、本作の雰囲気にピッタリかなと感じています。

Q:キービジュアルやゲームシステムを見た印象として、今回は「ペア」にスポットが当たっているように思いますがいかがでしょう? 

和田:本作では“巫女と従者”というペアのキャラクターたちを中心に、物語が展開していきます。主人公とラティは、航海の中でそれぞれのペアと出会い、本物の巫女たちが背負う覚悟や想いを知っていきます。

Q:本作のシナリオを手掛けるにあたり、ヨコオさんや前作『ドラゴンの島』のシナリオを手掛けた松尾勇気さんとはどのような打ち合わせが展開されたのでしょうか? 前作とのつながりや違い、物語を作り上げていく過程でこだわった部分についてもお教えいただければと思います。

和田:ヨコオさんとは、どの順番で各巫女のエピソードを語っていくか、各ダンジョンにどんな遊びを入れるかなど、物語の大枠の設計について相談をさせてもらいました。松尾さんとは、前作に登場する「あるキャラ」と本作に繋がりを持たせたかったので、キャラ設定について打ち合わせをした覚えがあります。

 前作は愉快な主人公たちによるコミカルな展開が多かったのに対し、本作の物語はしっとりとした淋しげな雰囲気になるよう差別化を意識しました。4組の“巫女と従者”たちのエピソードもそれぞれ異なる味わいで、最後には少し考えさせられるようなお話になるよう心がけています。

各キャラクターの人となりとデザインについて(和田さん、藤坂さん)

Q:ここで和田さんと藤坂さんに質問です。和田さんには、ユーザーさんがプレイする前にお読みいただくことを前提に、各キャラの人となりや物語のなかでの役割などを答えられる範囲で教えてもらえませんか? また藤坂さんには、各キャラのデザインの趣向やこだわりを簡単でも結構ですので教えていただけますか?

バラン

和田:本作の主人公で、プレイヤーの分身となる青年です。不得手なくなんでもでき、一緒に旅をするラティたちをさまざまな困難から救います。

藤坂:ふんわりオーバーサイズのトップスで柔らかい印象にまとめてみました。

ラティ

和田:声を失っている、謎の多い女の子です。他人のために一生懸命になれる、優しい性格をしています。

藤坂:スパッツにざっくりニットをあわせてみました。

フィーラ

和田:からかい上手なお姉さんです。誰に対しても笑顔を絶やさず、楽しいことを求めて日々を過ごしています。

藤坂:自分なりの可愛いを詰め合わせてみました。

ハイド

和田:冷静沈着なインテリ青年です。普段はクールですが、たびたびフィーラからいじられて焦った姿を見せます。

藤坂:じつはスカートでユニセックスな感じなのに、男の子っぽさが出るようまとめてみました。

ラック

和田:ぬいぐるみ姿のマスコット的なキャラです。精霊だと自称しています。口が悪く態度が大きいですが、怖いものを前にするとすぐに隠れます。

藤坂:ブス可愛さにチャーミングな赤鼻をプラスしてみました。

ルビア

和田:考えるより先に体が動くような、元気で熱血な男の子です。まだまだ未熟ですが、強くなるために日々剣の技を磨いています。

藤坂:”鳥籠のような武器が彼を象徴しているのでは?”をまとめてみました。

グラジオ

和田:百戦錬磨の壮年の騎士で、ルビアに戦いの技を伝授しています。常に仮面を被っていて、表情を見せることはほとんどありません。

藤坂:ちょっと和風な甲冑騎士にまとめてみました。

クイーナ

和田:おっとりしていて、誰にも分け隔てなく優しいお姉さんです。不幸体質らしく、何もないところで転んだり沼にはまったりします。

藤坂:カチューシャ、オンザマユゲでよく描くやつにまとめてみました。

ブライト

和田:魔法の扱いに長けた青年です。普段は無愛想ですが、クイーナのことを心配し大切にする一面も見せます。

藤坂:眼帯をとり、タトゥーに変化をつけてまとめてみました。

ランカ

和田:高飛車でツンツンした性格の女の子です。巫女という自身の運命に誇りを持つ、高貴さも合わせ持っています。

藤坂:白の教団とあの人でまとめてみました。

クリム

和田:ちょっぴり鈍臭く、失敗してばかりの女の子です。よく失敗をランカに怒られ、頭をグリグリされたりしてお仕置きを受けています。

藤坂:まとめてみました。

ディレクター:三村 麻亜沙さんへのQ&A

Q:『できそこないの巫女』のリリースおめでとうございます。和田さんが考える、このゲームの最大の魅力はなんでしょうか? 

三村:ボードゲームの拡張パックのようなイメージで、同じようなパーツを使っていても物語の描き方や組み立て方で、違う世界が表現できる仕組みがこのシリーズ最大の魅力だと思っています。挑戦的ではありますが、引き続き楽しんでいただければいいな、と思います。

Q:印象に残っている開発エピソードは何かありますか?

三村:本作はメインシナリオライターの和田さんの個性で、色の表現が多い作品になったなと思います。藤坂さんもそれを汲んで、色がキーとなるキャラクターを作ってくださっていますし、UIやエフェクト表現であまり色を多用しないことでお馴染みのヨコオさんも「普段の自分だったらこんなに色を使わないかも」とおっしゃるなか、どこまで表現していいかを互いに提案していきました。個人的には、見た目だけでなく文章表現も前作と違った個性があるなと感じています。結果、前作に比べて鮮やかな印象になっているのではないかなと思います。

Q:ゲームシステムは前作を踏襲しつつ、高速化などの遊びやすい要素も盛り込まれ、より進化を遂げたように見えます。三村さんたち現場の開発スタッフがとくにこだわった部分をお教えください。

三村:先ほどの質問で拡張パックという例を出しましたが、前作から使える部分はあっても、新しい物事を追加してしまいたくなるのが人の性というものなので、本作で新規追加したものも多数あり……苦労はいっぱいしました。細やかなものが多いので「これ!」と限定するのは難しいのですが、表現の幅が広がっているのではないかと思います。

Q:巫女と従者の概念が盛り込まれたことで生まれた新システム“連携スキル”が目を引きますが、具体的にはどのようなものになっていますか?

三村:物語を進めていくと習得することができます。大技になっているので魔石が多く必要になりますが、その分効果が強く、演出も独自のものになっていますので、ここぞという時に使ってみてもらえればと思います。

Q:本作ではじめてカードバトルを体験する人に向かって、ゲームシステム的に心がけておきたいことや、強敵に勝利するコツなどを伝授していただけますか?

三村:前作と同様なのですが、内容はかなりシンプルで、運要素も絡んでいますし、自身のレベルや装備品でバランスを調整することもできるので、「カードバトル!?」と身構えずに触っていただければいいなと思っています。前作の体験版もありますので、ぜひ!

 ……以上、6人の主要スタッフへのQ&Aをお届けしました。この『できそこないの巫女』はすでにリリース済みですので、記事を読んで興味がわいた方はぜひ遊んでみてくださいね!

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