『EDENS ZERO』真島ヒロさんが語るゲームのこだわりと特徴。原作者のやりたいことをしっかり表現した作品に

原常樹
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 コナミデジタルエンタテインメントから2月24日に配信予定のiOS/Android用モバイルゲーム『EDENS ZERO Pocket Galaxy(エデンズゼロ ポケットギャラクシー)』のインタビューをお届けする。

 同作は、真島ヒロさんによる人気アニメ『EDENS ZERO(エデンズゼロ)』を原作にした見下ろし型アクションRPG。『EDENS ZERO』の世界を体感できるタイトルになっている。

 お話を伺ったのは、アニメのもとになったマンガ『EDENS ZERO(エデンズゼロ)』を手掛ける、真島ヒロさん。ゲーム化に際して相談したことや開発エピソード、ゲーマー目線でのポイントなどについて質問した。

『EDENS ZERO Pocket Galaxy』企画記事

真島さんのやりたいこととメーカーのやりたいことから決まったゲームの方向性

──今回ゲーム化される『EDENS ZERO』は宇宙を舞台にした一大スペクタクルですが、なぜこのような世界にされたのでしょうか。

 今までずっと中世ファンタジーみたいな作品を描いてきたので、「次に描く機会があったら宇宙を舞台にしたら読者が驚くかなぁ……」ぐらいの理由でしてみました(笑)。ただ、宇宙が舞台といってもやっていること自体は、20年ほどあるこれまでの僕のキャリアから大きく離れているわけではなくて、SFといいつつも本質は宇宙を舞台にしたファンタジーだと思っています。

──そんな作品がいよいよゲーム化されますが、最初に企画をうかがった時はどのような印象でしたか?

 初めにいただいた企画と現在の完成形はちょっと違うのですけど、非常におもしろそうだとは感じていました。KONAMIさんの“こういうことをやりたい”と、僕の“こういうことをやりたい”という意見を合わせて、「じゃあこういう方向性でいきましょうか」という流れで動き出しました。

 もちろん、キャラクターのイメージが著しく崩れるようなところがあればやめてほしいとは思っているんですけど、KONAMIさんがそんな提案をされることは一切なく。僕自身も他の原作者だとNGを出すようなことまでOKを出してしまうタイプなので、特にNGらしいNGを出さずに制作が進みました(笑)。

──真島さんの“こういうことをやりたい”というのは具体的にはどのような内容だったんでしょうか?

 まずキャラクターがマップを移動するタイプのアクションゲームにしてほしいとお願いしました。僕が好きなジャンルなので、モバイルで出すのであればそういう形にしてほしいと。あと、「衣装替えができるゲームにしてほしい」とも提案させていただきましたね。僕自身も衣装を替えられるゲームが好きですし、ユーザーさんも好きなんじゃないかなと思いました。

──衣装デザインをされる際に、こだわったポイントは?

 衣装デザインに参加しているのは一部ですけど、ゲームでも映える衣装になるようにこだわりました。普段ゲームをしていて「こんな衣装を着せたいな~」という願望があるので、そういうのを反映した衣装になっています。

 具体的にいうと、女性キャラクターの衣装であればカウガールの衣装やメイドさんの衣装ですとかSFチックなボディスーツとか、男性キャラだったらギャングっぽい衣装ですとか……。作品の世界観は宇宙を舞台にしていますけど、若干ファンタジーっぽい鎧もデザインさせていただきました。

 今後どれぐらいデザインに携わっていくのかはわからないのですが、現時点では女性の衣装が比率的に多いので、この先はよりネタに走ったような男性衣装もデザインしてみたいですね(笑)。

──3Dグラフィックスによる物語の再現やアクションも大きな魅力だと感じています。

 僕はKONAMIさんのスタッフさんが作ってくださったものを監修してOKかNGかを判断するだけでしたが、本来ならこだわらないような細かいところまで再現されていて……。プレイアブルキャラクターのモーションも非常に素晴らしいものばかりで、ほとんどNGを出した記憶がありません。それどころか「こんなモーションなのか!」って驚いたぐらいです(笑)。

──ゲームの内容はアクションゲームとしてのウェイトが重めだとお聞きしています。

 RPGを主軸にした方が間口が広がる可能性はあったんですけど、海外ユーザーのことを考えた時にアクションの方が受け入れてもらえるんじゃないかと思ったんです。それに企画をいただいた時に、僕自身が普通のRPGよりアクションゲームがやりたかったというのも大きいですね。

──ゲームに精通されている真島先生ならではの意見ですね。注目ポイントは?

 ファンにオススメしたいポイントといえばキャラクターボイスの多さですね! 僕から要望を出させてもらったポイントなんですが、KONAMIさんがしっかり対応してくださって、文章に起こせないようなセリフや細かいシーンまでキャラクターがしゃべってくれるので、聴くだけでも楽しい作品に仕上がっていると思います。

──ゲームやアニメでキャラクターが動いてしゃべると魅力が増しますよね。メディアミックスで特に魅力が増したと感じるキャラクターはいますか?

 もともとピーノというキャラクターがお気に入りなんですけど、アニメ化にあたってどんな声になるんだろう……と思っていたら、キャストの井澤詩織さんがとても素晴らしい演技をしてくださいまして! まさにイメージどおりのピーノだと思いますし、とても満足しています。

 それ以外でもメインキャラクターを務めてくださっている声優さんたちの声はピッタリ。マンガを描いていてキャラクターの声が自然と聴こえてくるようにもなり、非常に心地いい感じがありますね。

──ゲームにはオリジナルキャラクターが登場するそうですが、原作へ入るなどは展開としてはありうるのでしょうか?

 原作の展開的には新しいものを入れるスキがない状態なんですが、そういった試み自体は僕は好きですね。お気に入りのキャラクターが出てきたら逆輸入させるのもアリかなと思っています。僕自体は直接書いているわけではないのでどれぐらいのボリュームか把握していないんですけれども、ゲームオリジナルのキャラクターストーリーもかなりのボリュームらしいので、楽しみです。

──オリジナルストーリーには真島先生も大きな期待をされているわけですね。

 そうですね。個人的に自分が作りあげた作品を他の方が仕上げてくれるのはすごくうれしいことだと思っています。もちろん、僕以外の人が作る時点でまったく同じ作品にはなるわけでもありませんし、携わってくださる方のアーティスト性も反映されてくると思います。僕自身がゲーム好きということもあって、こういった形で作品がゲーム化していただけるというのは毎回うれしいです。

──連載が続いていると、なかなかゲームをプレイする時間もとれなさそうなイメージがありますが、どのようなゲームライフを送られているんでしょうか?

 寝る間を惜しんでいるように思われそうですが、睡眠時間は1日7時間ぐらいちゃんと取っています(笑)。そのうえで就寝前の2~3時間ぐらいをゲームにあてているんですが、さすがに忙しい時はそうもいきません。逆に仕事が早く終わってしまった時は一日中ゲームをしていることもありますね。

──KONAMIのゲーム作品で思い出があるタイトルはありますか?

 まず『パロディウス』は印象深いですね。初めてゲームセンターで遊んだ時、2面の中ボスで出てきた“ちちびんたリカ”には度肝を抜かれまして、しばらく頭から離れなくなりました(笑)。ただ、若いスタッフにその話をしたら「ちちびんたリカってなんですか?」と言われてしまって……「若い方だと知らないのか!」と少し悲しくなりました(笑)。

 『SNATCHER(スナッチャー)』も大好きです。今となってはゲーム化が難しいような仕掛けも出てくるのですが、そこをプレイしていて母親に怒られた記憶があります。もちろん他にも『ウイイレ』や『パワプロ』シリーズも好きですし、『悪魔城ドラキュラ』シリーズもやっています……思い入れのあるタイトルを挙げていくとキリがありません!

──最後に「ゲーマー目線で『EDENS ZERO Pocket Galaxy』のここをオススメしたい!」というポイントを教えてください。

 本作はゲームが好きな方でも楽しめる作品になっていると思います。そのポイントは、本格的なハクスラ要素(ハック&スラッシュの略。多くの敵を繰り返し倒してせん滅する様式)とキャラクターのカスタマイズが備わっていることです。

 原作があるゲーム作品ということで、原作を知らない人が遊んでくださるような導入を用意できるかは難しいところではありますけれども、「ハクスラやアクションをちょっとやってみたい」と思う人はぜひ触ってほしいと思っています!

 衣装替えも注目の要素ですし、いずれはユーザーを巻き込んだ衣装のデザインコンテストを実施して優秀作品はゲームに登場させるような試みができたらおもしろいと思っています。

──ありがとうございました。

『EDENS ZERO Pocket Galaxy』企画記事

©真島ヒロ/講談社・NTV
©Konami Digital Entertainment
※画面は開発中のものです

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