『FFオリジン』発売直前インタビュー! アクションならではのテンポ感はシナリオ作りにも影響した

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 スクウェア・エニックスから3月18日に発売予定のPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用アクションRPG『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN(ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン)』(以下、SOPFFO)。その開発者インタビューを掲載します。

 スクウェア・エニックスとTeam NINJA(コーエーテクモゲームス)がタッグを組んでお届けする本作。製品版へ引き継ぎ可能な無料体験版(※無料体験版のプレイ可能期間は4月19日(火)15:59までの予定。)が配信されているほか、ダウンロード版を予約した人は3月15日0時からアーリーアクセスでプレイできるとあり、期待が最高潮に高まっていることでしょう。

 そこで本記事では、発売直前インタビューを掲載。スクウェア・エニックスの藤原仁プロデューサーと井上大輔ディレクター、コーエーテクモゲームスの安田文彦プロデューサーにお話をうかがい、まもなく解禁される『SOPFFO』の魅力を掘り下げていきます!

野島一成さん主導でテンポのいいシナリオを目指す

――まもなくの発売となりますが、開発作業はまだ何かしら続いているのでしょうか?

井上大輔氏(以下、敬称略):いろいろあって、作業はまだ続いています。発売当日にDAY1パッチが当たる予定なので、その調整なども含めてですね。

――配信中の無料体験版では、ゲーム冒頭からステージ3つ分の“西の城”まで遊べてボリュームたっぷりでした。無料体験版にどこまで入れるかという基準は、どのように決めたのでしょうか?

藤原仁氏(以下、敬称略):無料体験版の範囲をどこまでにするかは悩みどころでした。最初は“海賊のアジト”までにする案もあったのですが、すでに遊んだ方はご存じのとおり、そこまでだとカットシーンが多めなんですよね。『SOPFFO』がムービーメインのゲームだと思われたくなかったので、その次の“西の城”まで盛り込みました。

 ちょうどストーリー的にも「いざ、カオスを倒しに行こう!」という流れで終わりますし、ステージの遊びごたえも十分出せるのがあの範囲だったという感じです。

――実際に遊んでみると、アクションのおもしろさだけでなくストーリーも気になるポイントでした。RPGではなく、アクションゲームとして『FF』のストーリーを描くうえで心掛けたこととは?

井上:シナリオを野島(本作のメインシナリオを担当する野島一成氏)さんにお願いする際、今回はアクションゲームだとお伝えしたら「じゃあ、ストーリーのテンポ感はアクション向けに意識しないとダメですね」と野島さんのほうから提案していただきました。従来のRPGとしての『FF』ではなく、アクションとしてテンポよく楽しめる構成で最初から進めてくれたのでありがたかったです。

 こちらから野島さんにシナリオの路線を変えてもらったことはありませんが、キャラクター間のやり取りを修正してもらった部分はあります。本作は装備品によって見た目が変わって、それがイベントシーンにも反映されるので、そのあたりを考慮してキャラクターの絡み方が不自然に映る箇所は変更してもらいました。

 今までのようなRPGの『FF』だったら、登場キャラすべてにスポットを当ててそのバックボーンまで見せていくやり方なのでしょうが、『SOPFFO』では主人公のジャック1人に焦点を定めてストーリーを描いています。ほかのキャラクターも“ジャックに対してどう思っているか”を軸に描くようにしていて、このようにキャラクター1人に焦点を当ててシナリオを作っていくのは野島さんにとっても新鮮だったようです。

 ちなみにですが、本作のシナリオは『キングダム ハーツ』の小説などを手掛けている金巻ともこさんがプロットを担当していまして、そこから野島さんがシナリオに落とし込んでもらっています。

――ストーリーは気になる謎や伏線などを出しつつ、とてもテンポよく進んでいくのが印象的でした。

井上:お話のテンポ感はとくに重視しました。普通のRPGなら語るであろう部分はフレーバー的に抑えつつ、あくまでジャックを中心にストーリーを構成しています。野島さんは「自分に求められているのはこういうものだろう」と分析したうえで執筆されていたので、シナリオには“野島さんらしさ”がにじみ出ているかと。

――物語にはルフェイン人も登場するようですが、こちらはやはり重要な存在に……?

井上:見逃せないポイントだとは思います。

藤原:『FFI』においてもルフェイン人はオーバーテクノロジーを持った古代人として重要な存在でしたが、本作ではジャックとルフェイン人のやり取りにも注目です。ファンタジー世界のなかに、現代的な格好のジャックたちが紛れ込んでいるところと関係があったり……。

――細かい部分ですと、作中に登場する4体のカオスのCVが伏せられているのも気になります。

井上:まあ、隠しているということはネタバレ絡みですよね(笑)。現時点の情報でもある程度察することはできるかもしれませんけど。

藤原:たぶんスタッフロールを見なくても、ストーリーを進めればそのあたりはどういうことなのか理解できると思います。

多彩なジョブとパーティプレイがバトルに深みをもたらす

――Team NINJAが作る洗練されたアクションを『FF』で味わえるのが本作の魅力ですが、アクションを主体とした『FF』を制作するうえで一番苦労された点は?

井上:本作はもちろん『FF』の名を冠するタイトルではありますが、まずはそういうことを抜きにしてアクションゲームとしておもしろいものを作ろうと立ち上げ時に話しました。そのうえで一番苦労したのは、やはり多彩なジョブが登場することによるバランス調整ですね。

 開発過程で「このジョブのこの戦法だとカンタンになり過ぎる」というものも見つかったのですが、それはユーザーが発見した解法なのでむやみに潰すことはしないようにしました。あまりにも理不尽感が強いものは、手を入れていますが。

安田文彦氏(以下、敬称略):アクションのベースとなる部分は基本的にTeam NINJAに任せてもらえましたし、アクションゲームとして作るならここはこうしたほうがいいなどの提案もさせてもらいました。ストーリーやRPGに定評があるスクウェア・エニックスさんと、アクションが得意なTeam NINJAでうまく軸足がそろいながら制作できたと感じています。

――ジョブの多さにはプレイしていて驚かされましたが、始めからあれだけのジョブ数を出そうと考えていたのでしょうか?

井上:そうですね。ジョブ主体のアクションにしたいという気持ちが最初からあったので、数はなるべく多く出そうと。当初は下位互換や上位互換といった形でどんどんグレードアップさせながらジョブを出すつもりだったので、今よりもっと数が多かったです。ですが、Team NINJAさんのほうで全ジョブをちゃんと使えるような調整にしてもらった結果、現在の27種類+αというジョブ数に落ち着きました。

――バトルでは仲間キャラクターの存在も大きいと感じましたが、仲間の強さの調整についてはいかがでしたか?

安田:パーティプレイは『FF』の重要な要素でもあるので、本作でも外せないなと考えていましたが、仲間の調整はだいぶ難航しましたね。活躍しすぎてもよくないですし、足手まといだとプレイヤーに好きになってもらえませんし。アクションとしての歯ごたえを残しつつ、仲間キャラクターもしっかり活躍できるよう調整するのは難しかったです。

 操作するのはあくまでジャック1人ですが、探索時やバトル中にも仲間とのやり取りが発生するので、パーティで旅をしている雰囲気は感じられると思います。

――バトル中に仲間に指示を出すこともできて、これを使用するとパーティプレイ感が強まりますね。

安田:仲間キャラクターはAIで動くので、どうしても立ち回りに限界がありますが、そこにプレイヤーが限定的とはいえ干渉できるシステムを入れました。これのおかげで、アクションとしても仲間の役割としても深みが増したかと。プレイヤーと仲間でパーティプレイをしたいというのはスクウェア・エニックスさん側の強い要望でしたので、うまく形にできてよかったです。

――ストーリー目当てで本作を遊ぶ人のなかには、どうしてもバトルで行き詰まる場面があると思います。そんな人に向けて、最後にちょっとした攻略アドバイスやメッセージをお願いします。

井上:アクションに慣れていない方でしたら、仲間を活用するのがオススメです。近接戦は仲間に任せて、自分は安全な位置から遠距離攻撃に徹するとか。近接ジョブでも、例えば槍士などは槍を敵めがけて投げる“ランスハーラー”で離れた位置から攻撃できるので、こういった点を意識すると序盤は進めやすくなると思います。

 中盤になってゲームのシステムをある程度理解してきたら、回復手段のあるアビリティを織り交ぜつつ戦ってみてください。戦士の“ウォークライ”やリジェネ効果のあるアビリティなどを使うと、生存率も上がりますよ。ジョブの数だけ発見がありますので、ぜひいろいろなジョブや武器を試してバトルを攻略してください。

安田:一番こだわって作っただけあって、やっぱりジョブには注目してもらいたいですね。シチュエーションごとにジョブの有利不利はありますが、どのジョブでもクリアできるよう入念に調整しています。戦闘中は2つのジョブを瞬時に切り替えられるので、勝てないときは効果的なジョブの組み合わせを模索してみてください。

 あと、『SOPFFO』はマルチプレイもすごく盛り上がります。『仁王』シリーズにもマルチプレイはありましたが、本作だとユーザーごとのロール分担がより明確になるかと。『FF』という誰もが知る有名IPで、ナイトやモンク、白魔道士などのジョブになりきってアクションを楽しめるのは本作ならではですよ!

藤原:自分はどちらかというとアクションがあまり得意ではない人間で、そんな僕からアドバイスを送るなら“HPをちゃんと確認する”ですかね。何を当たり前のことをと思うかもしれませんが、アクションに慣れていない人って自分の残りHPを気にせず突っ込んで、やられてしまうというパターンが多いと思うんですよ。

 まずはHPが半分を切ったらポーションを使うぐらいの心持ちで、チラチラHPを確認しつつ戦ってみてください。基本的な戦い方を十分押さえたら、ジョブにも目を向けていただければと。たくさんのジョブと、それに呼応した無限大の遊び方が待っていますので。みなさんにとって、『SOPFFO』が特別な『FF』になることを願っています。

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