ゲーム『FAIRY TAIL』に真島ヒロ先生からアドバイスが! 物語やバトルを菊地Pらが解説【TGS2019】

電撃オンライン
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 東京ゲームショウ2019のコーエーテクモゲームスブースで行われた、PS4/Switch/Steam用RPG『FAIRY TAIL(フェアリーテイル)』ステージ。イベントに登壇した開発者へのインタビューを掲載する。

 『FAIRY TAIL』は、原作漫画が全世界累計発行部数6,000万部以上であり、世界中で人気のアニメーション作品。ゲームはその世界観をベースとしたRPGで、2020年に発売予定。

 菊地啓介プロデューサー、青野元彦ディレクターダーにタイトル発表後の現状やコンセプト、バトルなどについて質問。さらに、真島ヒロ先生とのやり取りについても迫っている。

 なお、インタビュー中は敬称略。

――人気タイトルのゲーム化に驚いたのですが、御社から提案されたのでしょうか?

菊地:講談社さんからお話いただいたのがきっかけですが、我々も大好きな作品ですし、世界の方々に人気のあるタイトル。最終的には相思相愛のような形で、決まりました。
 ただ、どのような形でゲーム化をするのか、時間をかけて検討を重ねました。今回ゼネラルプロデューサーが鯉沼(コーエーテクモゲームス代表取締役社長の鯉沼久史さん)でして、さまざまなコラボタイトルを手掛けてきました。ファンが何を求めているのか、ゲームでしかできないことは何なのかこのゲームの意義・意味について問いかけていました。
 最終的に、私は『仲間と絆を育んで最強のギルドを作ること』をゲームで体験していただきたい思いました。

青野:私はもとからアニメやコミックのファンでしたので、正直、この話を聞いた時は「えっ? 『FAIRY TAIL」を自分たちでやれるの?」と驚きました。ただ、そこから試行錯誤の連続で、どんなゲームにするのか、ジャンルが決まってからはどう落とし込むのか……タイトルをお借りする以上はうまく原作のよさを引き出していきたい。チーム全員で話し合い、知恵を出し合いました。

菊地:今は笑って話せていますが、かなり厳しい時期もありましたね。

(一同笑)

青野:そうですね……鯉沼や菊地からアドバイスをいただき、ここまでこぎつけました。

――いつごろから作られていたのでしょう。

菊地:数年前から相談を進めさせていただき、、少し前から現実的になり始め、1年ほど前から本格的な開発に着手しています。

――国内だけでなく海外でも人気のコンテンツですが、海外展開も予定されているのでしょうか?

菊地:はい。海外で真島先生のファンは多く、アニメが人気ですので、その方たちにもしっかり届けたいと思っています。また、私も前からガストのタイトルを海外でももう少し展開していきたいということを考えていましたので、今回は絶好の機会だと考えています。
青野:海外と同時発売になるように頑張って開発を進めています。

――発表時の海外の反響はいかがでしたか?

菊地:ヨーロッパ、アジア地域、アメリカともども、熱い反応をいただいています。実は海外ではコンシューマ版では初のゲーム化なんです。そのため「まさかゲームになるとは思わなかった」という喜びの声が多かったです。

 他にもいろいろな意見もあるのですが、はげみにして開発に取り組んでいます。

――本作のコンセプトは?

菊地:『FAIRY TAIL』の世界観が持っている、ファンタジー世界と魔法バトルはゲームと親和性が非常に高い。そのため、そこをゲームとしてしっかりと楽しめるようにしたいと考えました。

 また、真島ヒロ先生の描く物語はとにかく熱いので、それをゲームでも体感してほしい。ガストは力のあるイラストレーターさんの描くデザインを3Dモデル化で表現する技術を培ってきたので、そこをしっかり出して、多数の魅力的なキャラを表現していきたいと考えました。

――御社にはアクションゲームを作るチームもありますが、今回はRPGということでガストに決まったのですか?

菊地:本作をどういう切り口でゲームを作るのか、いろいろと検討しました。1人のキャラを操作してアクションすることも、その1つの選択だとは思いました。
 ただ、今回はキャラたちが力をあわせて敵と対峙すること、キャラやギルドが育つことをゲームとして構築して遊んでいただきたかったんです。あと、原作漫画やアニメファンでゲームが初めてだという方々が、複雑な操作ができなくても、コマンドバトルとしてすごい魔法を放てたり、気持ちよさを実現させれば、楽しさを味わえるだろうと決めました。

――物語はどこが描かれるのですか?

菊地:長い物語の中盤で、ギルド“妖精の尻尾(フェアリーテイル)”が落ちぶれて、リスタートする時です。そこから人気エピソードの“大魔闘演武編”をゲームの前半として用意しています。このあたりで、キャラクターが多く描かれ、エピソードもあるということで、チョイスしました。
 どこまでのエピソードが描かれるのかや、どんなオリジナルエピソードがあるのかは続報で公開していきます。

――ギルドを再建していくところから始まるわけですね。

菊地:ただ、チュートリアルとして天狼島でのハデス戦も用意しています。

 ベースは原作漫画やアニメで描かれた物語になるのですが、ゲームとアニメでは文法が異なります。どこまで表現して、どこは切り取るのか、そしてオリジナル要素をどのようにからませるのかは、試行錯誤の連続です。

 また、ガストのタイトルはクリア後にも楽しめる要素を用意しているので、今作も何かしらオリジナルの楽しみを用意できたらと考えています。

青野:開発としても、原作漫画やアニメの表現をどこまでできるのかは未知数でした。描かれているのは一部なので、どうするのか……。同じ尺でやるとちょっと違ってしまうんですね。

――原作者の真島ヒロ先生はかなりのゲーム好きとして知られています。どのようなやり取りがありましたか? プレッシャーはありませんでしたか?

菊地:プレッシャーは当然あります。キャラデザインや演出などは監修していただいているのですが、さらに内容をプレゼンテーションした際には、企画についてフィードバックをいただいています。真島先生はファンを大事にされているので、どのように映るのかが1つの基準となっているようです。
 そのうえで、ゲームユーザーとしての目線も持たれています。実は『アトリエ』シリーズをいろいろと遊んでいただいているので、開発中のものを触っていただいた際にはユーザー目線の意見をズバズバといただいています。

――原作者とゲームユーザーという2つの意見を持っていると。

菊地:クリエイターなので、意見がすごく建設的なんです。開発の制約なども理解してくれて、「これはできないと思うので、例えばこれではいかがですか?」などの提案をくださるので、物作りをしていくうえで非常にプラスになっています。とても尊敬できるクリエイターです。

 もちろん、ハードルは高いと認識しているのですが、真島先生が納得していただけるものを作れば、ファンにも届くだろうと。

青野:ファンの目線を持ちつつ、ご自分がプレイする際の目線もあるので、いろいろとアドバイスをいただいています。あと、ゲームの知識が豊富で、「このイメージはあのタイトル」など言ってくださるのが、とてもわかりやすいですね。

 また、それらの指摘にしっかりとした理由があるのも助かっています。

――ゲームでプレイアブルキャラはどれくらいいるのですか?

菊地:本作には、ファンに人気のキャラが10名以上登場します。さらにギルド“妖精の尻尾(フェアリーテイル)”だけでなく、それ以外のギルドからも登場し、ゲームならではの展開もあります。

――バトルシーンでは5人まで描かれていましたが、最大5人になるのですか?

菊地:バトルは5人パーティとなっています。ストーリー上、指定されたメンバーで行くこともありますし、プレイヤーが自由に組むこともあります。

――バトルの特徴について教えてください。

青野:属性と効果範囲とパワーがあるので、どの敵から倒していくのかを楽しめます。キャラの魔法によって、範囲は異なるので、それで選ぶのもありです。

菊地:敵を倒すとMPが回復する仕組みです。MPを使わない攻撃もあるのですが、そこまで頻繁に使うものではないかと。

――それは原作漫画やアニメを意識しての仕様でしょうか。

菊地:そうですね。魔法がカッコいいし強いので、ガンガン使ってほしい。MPを使わない攻撃もありますが、そこまで重視していません。そこは作品のイメージに寄せています。

 攻撃をしたりダメージを受けると、画面の右下にあるゲージが溜まっていき、連携攻撃を出せて、まとまったダメージを叩き出せます。何よりもいろいろなキャラが攻撃をしていくのがカッコよく、気持ちいいです。そのような演出も楽しんでもらえるかと。

――クエストに行くフィールドでは主に敵とのバトルがあるのですか?

菊地:クエストの目的で行くことがあれば、バトルすることもありますし、アイテムを手に入れることもあります。アイテムは研究所ができると使えるようになります。

――『アトリエ』シリーズの調合や『よるのないくに』の従魔(セルヴァン)のような、ガストならではの要素はありますか?

菊地:本作にガストならではの要素はありません。ただ、ワールドのマップの移動やキャラの見せ方など、作っていくうえでのノウハウの蓄積はあるので、似たところはあると思います。

青野:作っているメンバーは同じなので、考え方のベースには“ガストの作り方”というものがあると思います。

――公開されている3Dは派手で表情が細かく動いています。キャラを作る上で、こころがけていることは?


青野:登場キャラは表情が豊かなものが多いので、原作漫画やアニメを表現する際に、表情は外せないと思いました。さらに、それぞれにユニークな魔法があって、そこには力を入れて作っています。モードチェンジだったり、パワーアップなどはその1つです。

――ギルドが成長することで、具体的には何が変わるのですか?


菊地:落ちぶれてしまったギルドが成長していくところを、実感してほしいというのがまずあります。RPGの成長要素の1つがあるようなイメージです。
 例えば依頼をこなしていくと、リクエストボードがアップグレードされると依頼を受けられるようになったり、ショップを発展させると買えるアイテムが増えたり、研究所を作っていくと装備のラクリマを作ることができるようになったり……ギルドの発展はゲームと密接に関係しています。

――マグノリアの街はその大きさも再現されていますね。

 なかなか大きい街になっています。街の中心にあるカルディア大聖堂だけでなく、いろいろな市民の生活も見ていただけます。
 前半ではフェアリーテイルが差し押さえられているシーンもありますし、さらに進めていくと街の中で戦闘になることもあります。

――初報の段階から気が早いかもしれませんが、キャラの人気が高いタイトル。衣装を好きに変えて遊べるなどは予定されていますか? それこそダウンロードコンテンツで配信するなど。

菊地:もちろん、キャラクターの人気があることはわかっているので、有料、無料に限らず、何か用意したいとは検討しています。

――開発として、現状アピールしたいところ、見てほしいところはどこになりますか?

菊地:今回、魔法の演出だけを見ていただきました。ただ、マグノリアの街をはじめ、キャラ同士の会話の様子や『FAIRY TAIL』の世界に入っていける仕組みがあるので、浸かってほしいです。

 初報時の皆様の反応は、大変うれしいものでした。すでに作っているのですべて反映できるわけではないのですが、もし意見があるようでしたら、いただければ幸いです。

青野:正直、言いたいことはたくさんあります! それぞれの項目を話す時に詳細を出していきますので、期待していてください。やはり、ユーザーが気になる、ゲームならではの要素……原作漫画やアニメで会話していないキャラの絡みがどうなるかなどは、考慮しているので、情報をお待ちください。

菊地:10月には生放送をやる予定で、そちらでは実機プレイはじめ色々な新情報を出していくので、ぜひご覧ください!

©真島ヒロ・講談社/フェアリーテイル製作委員会・テレビ東京
©コーエーテクモゲームス

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