『ライザのアトリエ』トリダモノさんが一番聞いたユーザーの声はやっぱり……

電撃オンライン
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 現在東京・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2019。9月14日の一般日初日には、コーエーテクモゲームスの『アトリエ』シリーズ関連のイベントステージが開催されました。

 ステージは、9月26日に発売されるPS4/Nintendo Switch/Steam(Steamは10月発売)用ソフト『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~(ライザのアトリエ)』と、現在サービス中のiOS/Android用錬金術オンラインRPG『アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~(アトリエ オンライン)』のステージが開催され、さまざまな情報が公開されました。

 そこで今回は両タイトルでプロデューサーを務める細井順三プロデューサーと、『ライザのアトリエ』でキャラデザインを担当するトリダモノさんにお時間をいただき、TGSのイベントステージでの手ごたえや発売前の意気込みなどを伺いました。

  • ▲細井順三プロデューサー(左)とトリダモノさん(右)

『ライザのアトリエ』はチャレンジしたことへの反応がすごくよかった

――『ライザのアトリエ』が無事完成してのTGSになりましたが、今の率直な気持ちからお願いします。

細井プロデューサー(以下、細井P):正直“やっと完成した”という安堵の気持ちでしょうか。ですが、ゲームはユーザーさんの手元に届いて初めて完成すると思いますので、今はユーザーさんの反応に不安もありつつ、期待もありつつという感じで、気持ちがぐるぐると回っている状態です(笑)。

――トリダモノさんは今回初めてTGSのステージに立たれましたが、いかがでしたか?

トリダモノさん:緊張はしましたけど、これだけ作品に興味を持ってくださっている方がいらっしゃるんだなと、あらためて思いました。生のユーザーさんの顔が見られてよかったですね。

――今回TGSで試遊プレイをされたユーザーさんの声を聞かれましたか?

細井P:Twitterなどを拝見して、新しいシステムやグラフィックの面など、概ね好意的に受けとってもらえてるという印象です。それに関しては我々もよかったなと思っています。

――本作が発表されたタイミングのインタビューでは、「今回ははすごく批判を受けるかもしれない」という言葉もありましたが、そこに対しての反応はいかがでしたか?

細井P:基本的にはすごくよかったですね。我々が心配していたよりは、思った以上に受け入れてくださっています。とはいえ、新作ですのでプレイを進めていくうえで、何かしら不満というものが出てきてしまうかもしれないと思っていて、発売後の反応こそが本物なのかなと考えています。

 ですので、我々としては発売後にしっかりユーザーさんと向き合い、ご意見、感想をいただいたものを見て変えていくという、これまでの『アトリエ』シリーズとしての作り方は変えずに続けていくつもりです。

――そんな多くの点がチャレンジ尽くしとなった『ライザのアトリエ』ですが、細井さん的に一番手ごたえを感じている部分はどこでしょうか?

細井P:今回我々が手を加えたところは、すべてを見直したという部分でもあります。そのなかでもグラフィック表現、そして戦闘システムに関しては、これまでと違った体験をユーザーさんに与えることができるのではと考えています。

 ターン性RPGという部分が、『アトリエ』シリーズではよかった部分であり、その点を変える部分は非常に不安でした。ですが、みなさんの反応を見る限り、変えてよかったのではと思っています。

――ある意味企画がスタートしたときの構想は達成できた感じでしょうか?

細井P:そうですね。すべてというわけではありませんが、ユーザーさんに自信をもって出せるところまでは、作り上げられたと思っています。あとはやはりキャラクターデザインを担当してくださったトリダモノさんのイラストのおかげで、新しいユーザーの方にも届けられそうな手応えです。その点も非常にありがたいですね。

――トリダモノさんは、ユーザーさんの声で一番印象に残っている言葉はありますか?

トリダモノさん:一番聞くのはやはり太ももですよね。むしろ、太ももくらいしか聞かないかもしれません(笑)。

――ライザだけでなく、リラのデザインも大きな話題になっていました。

トリダモノさん:リラもけっこう「好き」と言ってくださる方が多いですね。自分のある種、趣味じゃないですが好きなポイントがわかってくれる方もいてくれて、少しうれしかったなと。

――トリダモノさんは配信などでも自分の作業過程を流されていますが、そこでの反応などは『ライザのアトリエ』以降でお客さんの感じが変わったなどはありますか?

トリダモノさん:いえ、とくにそういうことはなく、人が増えただけですね(笑)。客層はあまり変わっていない感じです。

――注目度はかなり高くなったと肌で感じますか?

トリダモノさん:そうですね。ただ、自分としては少ししっぽりと言いますか、静かにやっていたい感じでもありました。だからうれしい反面、少し気恥ずかしい感じでもあります。

――TGSのイベントステージでは、冒険のプロローグ的映像を初出しされていましたが、こちらを用意した狙いを教えてください。

細井P:やはり『ライザのアトリエ』は新シリーズになるので、なぜ彼女たちがそんな風に至ったのかという心情を含めて表したかったんです。ストーリーを最後まで進めてからあらためてこの映像を見ると、「ライザはそのときはこんな風に思っていたけど、最終的にはこうなるんだな」という形で、二度楽しんでいただけるものになると考えたので、あえて今回はこのような動画を作ってみました、

――TGSで公開中の等身大フィギュアをはじめ、そういった意味でさまざまな本編以外のPR施策が今回印象的ですが、そこは力を入れているのでしょうか?

細井P:そこは今回みなさんがおっしゃってくださってうれしいことなのですが、我々としては今年発売した『ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~』『ルルアのアトリエ ~アーランドの錬金術士4~』も同様に力を入れています。

 ただ、『ライザのアトリエ』に関しては、新シリーズで新しい試みをしようと宣伝チームと話して、彼らが開発の意図を想像以上に汲み取ってくれて、いい形の宣伝に昇華してくれたんじゃないかなと思っています。

 我々としては、最高のものを最高の宣伝をして売るというスタンスは、どの作品でも変わっていません。今回はあくまで新しいことをしているからこそ触れる機会が多くなったので、今後もそこは勉強させていただいたので、どんどん継続して続けていくことは変わらないです。

 あともう1つは、ライザというキャラクターをみなさまに受け入れてもらえたので、それが拍車になって企業様、ユーザーさんからオーディエンスをいただきました。だからこのような形になっているのかなと思います。ただ、先ほども言いましたが『ネルケと伝説の錬金術士たち』も『ルルアのアトリエ』に関しても、PR面でまったく手を抜いていません。そこだけは誤解していただきたくないです。

――実際にご自身がデザインしたキャラクターが、こういった等身大フィギュアになっていかがでしたか?

トリダモノさん:もう感動ですよ(笑)。願ったり叶ったりで。私はフィギュアが好きで、ずっと自分のキャラクターがフィギュア化したらうれしいなと思っていました。まさかこんな等身大でフィギュア化されるとは思っていませんでしたし、好評だったのでバッチリです。

――ワンダーフェスティバルでも、ライザのスケールフィギュア化が発表されていましたね。そちらも監修されているのでしょうか?

トリダモノさん:はい。まだ原型ではありますが、ものすごく楽しみですね。

――発売後はダウンロードコンテンツ周りの予定はあるのでしょうか?

細井P:予定はしています。あとはユーザーさんに喜んでいただけるような、無料アップデート企画も用意しています。こちらは20日くらいに発表させていただきますので、楽しみにお待ちください。

――お答えしにくいかもしれませんが、『アトリエ』シリーズの作品は続編があることがある意味前提な感じです。今回のこの評判を受けて、そのあたりはいかがでしょうか?

細井P:私自身は「ハリーポッター」シリーズのような、同じ主人公が成長していく物語が好きなんですよ。『アトリエ』シリーズは、それができる作品ではと思っています。ただ、これを『ライザのアトリエ』でやるのかはわかりませんが、私はそう考えているという点が現時点で言えることですね。

――そうなると、もしかしたら数年後のライザを描くことがあるかもしれませんね。

トリダモノさん:自分としてもどんな姿になるのか、描いてみたいですね。

――成長という意味では、一番タオが変わりそうですね。イケメン化するかもしれませんし(笑)。

細井P:わからないですよね(笑)。ただ、1つ言えることが“師匠と弟子の関係”というのは、テンプレート的になりすぎていまして。ユーザーさんとしてもサプライズ感がなくなってしまっているなとは思っています。

『アーランド』シリーズでロロナがトトリの師匠として出てきたときは「スゴイ!」みたいな話になりましたし、あの当時はすごく好意的に受け止めていただきました。現状では少しそれを続けすぎたかなと、我々は思っています。

――「そこが鉄板で安心する」という、私のような方もいるとは思いますので難しいですね。

細井P:そうですね。だから先ほどもユーザーさんの反応を、という話をしましたが、その点も含めてユーザーさんと対話ではありませんが、反応を見て決めていくのは『アトリエ』シリーズとしては常だと思っています。それでなければ『ライザのアトリエ』自体が生まれていませんから。

『アトリエ オンライン』のシーズン2は既存のユーザーが望む声に応える

――TGSのイベントステージでは、シーズン2の情報が発表されました。こちらは新規のユーザーさんを獲得するための内容なのか、既存のユーザーさん向けてゲーム内容を拡張していくものになるのか教えてください。

細井P:今回のウェイトで言えば、既存のユーザーさんにさらに楽しんでいただけるほうが、比重が大きいと思います。追加した要素としては、エンドコンテンツに近いものですね。そしてユーザーさんが期待されているのはストーリーだと思うので、ただ単純に難度を上げたハードモードではなく、「境界世界」というストーリーが付随したハードモードになっています。我々だからこそ提供できる形でお届けしたいなと。

――となると、メインストーリーとは別軸で物語が進むのでしょうか?

細井P:そうですね。ストーリーが2軸で進むことになります。そういったものを求めている方も多いと思うんです。例えるならば、オンラインRPGでメインのストーリーを追いかけつつ、所属国のストーリーも別ラインで用意されているイメージですね。だから今開催しているイベントも、あえて無期限にしています。

――舞台となるフラーレスは、和風のデザインで『アトリエ』シリーズではめずらしいという印象をうけました。こちらのデザインコンセプトはいかがでしょうか?

細井P:フラーレスという設定自体は、もともと初期からありました。やはりオンラインゲームですので、同じ景色だけでなく違う文化もやってみようというのが、今回チャレンジしたところですね。

――発表されているキャラクターも、そちらに寄せたデザインのキャラクターが多く、登場するのがまた楽しみですね。あとは細かい話になりますが、キャラクターの固有技が追加されるとのことですが、こちらは望む声が大きかった感じでしょうか?

細井P:そうですね。パッシブスキルには変化がありますが、それ以外のスキルに変化がありませんでした。だからこそ、ユーザーさんからは“ロロナを使う意味が欲しい”という声が、ものすごく大きかったんです。

――今後もアップデートでやりたいこと、変えていきたいことが多くあると思いますが、どんなスパンで考えているのでしょうか?

細井P:長期的には考えていますが、まずは10月のアップデートをしてからですね。『アトリエ』シリーズはユーザーさんの意見を聞いて、それをフィードバックしていくのは、本作でも変わりませんので。我々としての想定はありますが、10月のアップデートを行ってどういう反応をしてくれるのかを見て、その後のいろいろな施策を決めていこうと考えています。

――開発側の押し付けではなく、コミュニケーションを取りながらということですね。

細井P:『アトリエ オンライン』としても、10月のアップデートはNHN PlayArtさんと運営をしていたときに、ユーザーさんから頂いていた声をフィードバックさせていただいたものなので、これからもユーザーさんと対話をしつつ……対話と言うとおこがましいかもしれませんが、みなさんの反応を見つつ、我々開発もそれに応えていくというスタイルは変えません。

――フィードバックと対話という意味では、今回コラボレーションが発表されていた『拡張少女系トライナリー』もまさにそうでしたね。そこのコラボレーションも、どう変わっていくのか楽しみですね。『アトリエ オンライン』としても、ある意味“異質な作品”が入ってくるのは初めてになりますよね。『アトリエ』シリーズとしても新しいのかなと。

細井P:『拡張少女系トライナリー』に関しては私も開発に参加していたのですが、コンセプトがまったく違うものでした。土屋(暁氏。本作プロデューサー)も「あれはゲームではない、アプリだ」と。その作品をゲームに入れるわけですから、土屋と一緒に「どうすれば両作品のユーザーさんが喜んでいただけるか」と、いろいろと考えている最中ですね。

――ちなみにこちらの実装タイミングなどはいかがでしょうか?

細井P:年内中にはやろうと考えています。

――あとは土屋さんがステージ上で「トライナリーだけでなくIP全体を」と述べていたので、『拡張少女系トライナリー』以外のIPも? と期待せずにはいられません(笑)。

細井P:私もいろいろなタイトルに想い入れがありまして、なかでも一番は『シェルノサージュ ~失われた星へ捧ぐ詩~』なんです。だから『シェルノサージュ』はやってみたいなとは思っています。このタイトルは宣伝だけでなく、ゲーム作りのなんたるかをいろいろと学んだタイトルだけに、想い入れも強いんですよ。

――イオンは調合もできますし、『アトリエ』との親和性も高いですよね!

細井P:ですから、いつかは“七次元”の向こうから、イオンちゃんに来てもらいたいなと。

――ライザはどうですか? 待っているファンは多いと思いますが。

細井P:ライザですか。それもユーザーさんの反応を見てからですかね(笑)。

――でもやらないわけはないですよね?(笑) では最後に『ライザのアトリエ』の発売を待つファン、そして『アトリエ オンライン』のファンにメッセージをお願いします。

細井P:『ライザのアトリエ』は9月26日に発売させていただきます。新シリーズということもありまして、キャラクターデザイン、ストーリー、システムに関しても一新した作品となっております。新しいユーザーさんもそうですし、既存のユーザーさんにも楽しんでいただけるものになっていますので、ぜひ手に取っていただければと思います。

『アトリエ オンライン』は10月に大型アップデートが控えています。遊んでいただいて辞めてしまった方も、もう一度この世界に戻ってきていただいて、今の『アトリエ オンライン』を見ていただきたいです。新規の方で、少しでも気になっている方は無料でプレイできますので、ぜひ一度遊んでいただきたいと思います。ぜひどちらの作品も応援していただけると幸いです。

――ありがとうございます。トリダモノさんは、あらためて発売を前に気持ちはいかがですか?

トリダモノさん:ようやくここまで来たな、という感じです。初報が出てから評判がグッと上がりましたよね。あの時点で自分のなかでは、仕事として一回終わっている感があったんです。忙しいというわけでなく、ライザの認知度が初報の時点でものすごく上がったので、やれることは終わったのかなと。だから「ああ、やっと発売なんだ」という感想です(笑)。

――では最後にファンにメッセージをぜひ!

トリダモノさん:がんばって描きましたので、ぜひ遊んでほしいです。

(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
※『ライザのアトリエ』の画面はすべてPS4で開発中のものです。

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  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2019年9月26日
  • 希望小売価格: 7,800円+税

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  • メーカー: コーエーテクモゲームス
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