レジェンドヒーロー出演の映画『ムーンライト・ダイナー』の舞台挨拶に潜入。本作を一言で表すと…？

　特撮レジェンドヒーローを演じた役者がキャストとして多く出演する映画『ムーンライト・ダイナー』。

　本作は、すでにバルセロナ国際映画祭やロンドン国際映画祭において、“最優秀長編作品賞”などの輝く栄冠を手に入れています。

　そんな話題の作品の舞台挨拶付き上映会にお邪魔してきましたので、本作の魅力や、舞台挨拶のレポートをお届けしています。

　後編となる今回は、舞台挨拶の模様と、神威監督と萩原佐代子さん、そして牧野美千子さんにちょっとした質問に答えていただきましたので、そちらをレポートいたします。

　映画『ムーンライト・ダイナー』の詳しい紹介や、見どころなどは前回のレポートをご覧ください。

　レポートは前回から引き続き、電撃オンラインでエンタメ系のレポーターを務めさせていただいている音楽創作ユニット“終末のバンギア。”がまとめてお届けいたします。

3月16日（水）上映後舞台挨拶レポート

　本編の上映終了後、ほどなくして神威監督が登壇し、舞台挨拶がはじまりました。今回の舞台挨拶に登壇したのは、神威監督をはじめ、『世界忍者戦ジライヤ』磁雷矢／山地 闘破役などを演じられた筒井巧さん、『科学戦隊ダイナマン』ダイナピンク／立花レイ役などを演じられた萩原佐代子さん、『超電子バイオマン』のピンクファイブ/桂木ひかる役などを演じられた牧野美千子さん、そしてこの映画のダブル主演のひとり“カムイ・ガール”の中川ミコさんです。

　監督が登壇後、すぐに女性陣の萩原さん、牧野さん、中川さんを呼び込み挨拶トークがスタート。監督の説明では、筒井さんの到着がちょっと遅れていると説明されましたが……。

　「ちょっと待ちなさいよ！ワタシを忘れているじゃないの？」と女装をした筒井さんが“中川ミーコ”さんと言い張って登場ｗ　特撮ヒーローを演じたこともある、この筒井さんのサプライズ登場には会場も思わず失笑。

　どうやら以前の舞台挨拶でメンバーが男だらけのときがあり、せめてひとりは女性がいたほうが華やかだろうと、気を利かせた？　筒井さんが女装したことからはじまり、“神威組”イベントで筒井さんがいるときの名物となっているようです。

　そんな暖かい笑いで場を温めてから、本作の撮影秘話へと話題が移ります。かいつまんでレポートしますと……。

　中川さんのトークでは、神威作品の最初の作品『マイ・ガール』が映画初出演の作品とのこと。神威作品が増えるたびに、先輩たちがどんどん“神威組”に参加。その“先輩”たちがいい意味で“ふざけ倒す”のでリラックスして取り組むことができたそうです。

　牧野さんのトークでは、夫婦役で共演した工藤さんに対する、撮影時に感じていた心に秘めた想いを、ご本人がいらっしゃらない開放感により激白ｗ　若い女性陣キャストに対する工藤さんの態度が、自分と違う！　と、ライバル心？　を燃やすお姿がとってもキュートでした。

　筒井さんのトークでは、真夏の屋外での撮影がなかなかにヘビーで、とあるシーンで、しゃがみから立ち上がるときに、実際に倒れそうになっていたことを告白。当時はみんな心配するから言わないでいたとのこと。また、汗をかいているシーンは本物の汗だそうです。

　萩原さんのトークでは、屋外の森でラジオを聴くシーンでの出来事。虫（ハチ？）に腕を刺されて痛かったのだけど、報告してみたところ、大したことはないだろうと撮影は続行。じつはけっこう痛くて……そのとき、自分はここでは“男優枠”なんだなと思われたそうです。

　そんな、あっという間の20分ほどの舞台挨拶でした。

今回のレポートのためにコメントをいただきました！

　前回の見どころ紹介に続いて、舞台挨拶をレポートいたしましたが、ここでは、神威監督と萩原佐代子さん、そして牧野美千子さんに同じ質問をさせていただき、それぞれ簡単にお答えいただきましたので、お届けいたします。

Q1：ご自身の思う本作の見どころは？

神威監督：ハードボイルドという言葉から受ける最初のイメージから、観るうちに印象が変わっていき、やがて映画の本質に近づいていく過程と、その意外性。

萩原さん：ひとりひとりの人間が、それぞれの人生の交差点でなにかに気づき、ふたたびよりよき方向に歩き出そうとする場面、場面。

牧野さん：複数のオムニバス、時空を超えたお話しが最後に回収されるのですが、その“答”が観る方でそれぞれ違い、なにが正解なのか観た方々の自由……というか、委ねられているところ。

Q2：演じられたキャラクターを自分と比較すると？

神威監督：自分の役は、神威映画で全作”黒猫探偵”という同じ役なのですが、最初はクールな男だったのが、どんどん地の自分に近づいてきています。いまはほぼ自分そのままです。

萩原さん：多分、知らないかたから見たら、こんな感じなのかもしれません。実際の私は、家にいたらずっと黙々と家事をしているような昭和のお母ちゃんです。子供のころは特撮ヒーロー番組が大好きなオタクでした。ですから真逆なタイプなんです。

牧野さん：愛の沼にハマった女を妖艶に演じたつもり（笑）です。まったく素の自分と真反対。

Q3：神威さんの作品とは？（本作だけでなく総評的なコメントとして）

神威監督：“ハードボイルド”の本当の意味を表現したく頑張っています。それは“愛をもって許す精神”です。

萩原さん：人生はいつからでも、監督の世界観にあるような人生の交差点（ときには他者の人生と人生が重なる瞬間の）での気づきから、いつでもやりたいことに向かってよりよき人生を歩き出せるという……根底に愛がある……いえ愛しかない……。そんな、ノスタルジーあふれ、スタイリッシュな、神威ワールドだと思います。

牧野さん：リズム感が往年のフランス映画のような……。また、どの作品も冷めた目でみているようでいても、登場人物をとても愛おしく描いてる作品だと思います。

Q4：映画『ムーンライト・ダイナー』をひと言で表すとすれば？

神威監督：ラブ・ストーリー。

萩原さん：人は人に傷つき、それでも人に救われる。人が本当に望むものは何かを、観た人の数だけ、夜空の月を見るたびに思ってくださる作品。

牧野さん：しょーも無いけど愛すべき人たちの映画。

――コメントのご協力ありがとうございました！

『ムーンライト・ダイナー』の感想

　最後に、私たち“終末のバンギア。”が本作を観た感想を述べさせていただきますので、ご自身の感じたこととの比較、あるいは、今後の鑑賞の参考にでもしていただけますと幸いです。

『ムーンライト・ダイナー』を観て思うこと……

　強くてわがままで魅力的な女たち。強面で悪くて優しい男たち。彼らの一挙手一投足に、嘘と真実が混ぜ込まれていて、「いまのはどっち？」と目が離せなくなる本作。

　ちりばめられていた伏線がつぎつぎに回収されて、観終わったあとに、「あぁ、そういうことだったのか！　つぎはそのつもりで観てみなくては……なにか見落としている気がする」と、おかわりしたくなる映画です。

　いままでずっと頑張って格好つけて生きてきた。だけど本当は誰かの優しさに触れたい……そんなあなたにおすすめの映画です。

作品情報

『ムーンライト・ダイナー』英題：MOONLIGHT DINER

【脚本・監督・撮影・編集】神威杏次

【出演】菅井玲　中川ミコ　坂本三成　平塚千瑛　萩田博之　加賀谷崇文　平野尚美　磯崎美穂　蜂谷英昭　小林一三　野々のん　 /　筒井巧　萩原佐代子　牧野美千子　伴大介　/　永井一誠　水希友香　工藤俊作　神威杏次

【スタッフ】助監督：萩田博之　スチール：蜂谷英昭　MA：（株）こだまプロダクション（炭鎌悠　家崎大　金谷実里　安宅潤一郎）　CG：林潔
SpecialThanks：小﨑潤（男A）　岸田尚（ウサギお顔ブローチ）　萩原くるめ（写真出演）
協力：三枝プランニング　遅咲会　劇団昴　超次元電視いと、まほろば　リミックス　zeus.llc　伊井たこすけ　貴志ふゆ　
ロケ地協力：ぎゅうや　ei　萩原達也　
協賛：株式会社進成（代表取締役　土堂進）　もみや鍼灸整骨院　遠藤文具店　癒し酒場・旧道　株式会社坂本建材　富士城鷹雄　築地諏訪商店　（株）KSCふくろう薬局　 byCAMPFIREクラウドファンディング 文化庁“ARTS for the future!”補助対象事業
製作・配給：TEAM KAMUI
（2021年製作　日本/107分/16：9/ステレオ/DCP/107分）
（C)2021.KyojiKamui

　3月25日（金）まで大阪シアターセブンにて上映中、詳細は下記ページにて。

・『ムーンライト・ダイナー』公式情報ページ

“終末のバンギア。”プロフィール

　対となる白と黒のコンセプトで創作活動をする音楽ユニット。音楽を軸に、コンセプトアートやイラストの創作、メディアライティングやレポーター活動をしています。

　2022年2月に白は『癒やす歌』黒は『揚ガル歌』として、白と黒で2枚の2ndアルバムをリリース。最新情報はTwitterや公式サイトにて！

●最新作『命のカタチ』ミュージックビデオ