『FF14』パッチ6.1インタビュー! メインストーリーからDCトラベルまで、その全容を吉田P/Dに聞く!
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昨年発売された拡張パッケージ『暁月のフィナーレ』にて、10年以上続いた“ハイデリン・ゾディアーク編”の物語が完結した、スクウェア・エニックスのオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下FFXIV)』。その新たな1歩となるパッチ6.1『新たなる冒険』が、いよいよ4月中旬に公開となる。
果たして終末の危機を乗り越えた“光の戦士”は、次のどのような冒険を繰り広げるのか……。ここでは気になるメインストーリーを含む、パッチ6.1の各種コンテンツについて、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビューを実施。第69回『FFXIV』プロデューサーレターLIVE(PLL)での発表内容を元に、その見どころをうかがった(インタビューは2022年3月8日にリモートで実施)。
なお、本インタビューの一部はファミ通ドットコム、電撃オンライン合同で実施。今回の記事で触れられていない内容についてはファミ通ドットコムで掲載されているので、そちらもあわせてチェックしてほしい。
“新たなる冒険”というパッチタイトルに込められた想い
――パッチ6.1では、いよいよ“ハイデリン・ゾディアーク編”のその後が描かれていくことになります。先日のPLLでパッチ6.1のタイトルとアートが公開されましたが、まずはパッチ6.1のコンセプトを教えてください。
吉田直樹氏(以下敬称略):パッチ6.0では、『暁月のフィナーレ』をひとつの作品として仕上げ、さらに“ハイデリン・ゾディアーク編”を完結させたことでの確かな手応えを感じていました。それと同時に、出し切ったがゆえの“最後まで遊んだプレイヤーの燃え尽き感”もあるだろうなと思ったのです。「これ以上、何をするんだろう……」という感覚に陥るかもしれないな、と。
これは開発チームにも多少は生まれる感覚で、だからこそ僕からのメッセージはシンプルにする必要があり、「まだまだ新しいことに挑戦していくよ」というメッセージを明確に伝えるためにパッチ6.1にはわかりやすいキャッチコピーを付けようと考えました。
僕が『スター・ウォーズ』好きなのもあり、エピソード4のサブタイトル“新たなる希望”のような“直球なもの”がいいなと。それをシナリオやローカライズのチームに持っていくときに、物語のスタートとなる章ですので、「今回はわかりやすさを重視して、“新しい冒険”を感じられるものにしたい」と提案しました。そうしたら、「それならいっそ“新たなる冒険”でいいのでは?」と言われて、「うん、じゃあそれで!」と決まりました(笑)。
ひとつの冒険の幕が閉じたら、当然その次の冒険が幕を開けます。プレイヤーのみなさんが『FFXIV』の世界で再び歩みだす“新たなる冒険”の始まりですし、我々開発・運営チームにとっても、次のステージへ行くための“新たなる冒険”の始まりですね。
――パッチ6.1のストーリーの段階で、その冒険の目的なども判明するのでしょうか?
吉田:“ハイデリン・ゾディアーク編”はきれいに完結しましたが、『FFXIV』の世界を広く捉えると、未知の地域や謎がまだまだ多く存在しています。今回は、誰かに頼まれたではなく、純粋にそういった“新しい何かを探しに行こう”というところから冒険が始まりますが、目的は意外と早い段階で「これか……?」というものが提示されます。ですが、解決までの道のりはいつもどおりプレイヤーの予想を裏切っていくと思いますので、楽しみにしていてください。
――物語のテイストは、これまでと比べてガラッと変わるのでしょうか。
吉田:プレイヤーのみなさんが『FFXIV』の物語において出会ってきた人物や、彼らとの信頼、彼らから託されたものが途切れるわけではありませんから、これまでと地続きの部分も少なからずあります。そういった関係性をさらに押し進めながら、“それら丸ごと全体で新たな一歩を踏み出す”という印象ですね。ですので、“これまでの物語からガラッと変わる”というわけではありません。みなさんが歩んできた道のりがリセットされるわけではないので、そこは安心してください。
――いままでと地続きでのうえで、新しい冒険に向かっていくわけですね。
吉田:いろいろなキャラクターたちの想いや目標、夢といったものを、みなさんは知っているはずです。今回は、それらを紡ぎ合わせながら冒険がスタートするというニュアンスですね。
――従来の登場人物以外にも、新しいキャラクターが登場するのでしょうか?
吉田:新キャラクターは登場しますが、現時点ではお答えしにくいです(笑)。唯一言えることとしては、新しい冒険だからといって、ただ闇雲に新キャラクターを出せばよいとは考えていません。いままで光の戦士が積み重ねてきたものが、新たな展開だからといって無になってしまうのは違うと思っていますし、あれだけの旅をともにしてきた仲間との絆というのも、そうカンタンに切れるわけがないと思っています。
パッチ6.0ラストにあるアルフィノたちの会話で、「暁の血盟は秘密結社に戻るが、それぞれにやりたいこと、それぞれに目指すことがあって、ひとつ大きな肩の荷を下ろせたからこそ、次に向かっていけるものがある」とありますが、まさにそのとおりの展開ですね。
そこで各キャラクターの想いを振り返ったときに、きっとこの先につながってくるものも見えてくるかと思います。ただし、ストーリー自体は、きっと6.1段階では「え?」「は?」となって終わるのではないでしょうか。いま言えるのは、ここまでです(笑)。
――ちなみに公開されたアートでは、これまでのオープニングトレーラーにおける、光の戦士のジョブ遍歴が描かれていますが、そのコンセプトを教えていただけますか?
吉田:各トレーラーでの彼のジョブは、そのシナリオに根ざしたものになっています。例えば、『蒼天のイシュガルド』では竜と騎士の物語を担う竜騎士ですし、『漆黒のヴィランズ』では闇の戦士をイメージさせる暗黒騎士になっています。
それに対し、今回は繰り返し言っているとおり、誰かに言われて・誰かに背負わされてというものではない冒険を始めようというコンセプトなので、アートでは特定のジョブの印象を出しすぎない形にしました。身軽さを感じさせる冒険者としての姿、あるいは“冒険者というジョブ”かもしれない姿、そんな彼を描きたかったんです。
ただ、そこに至るまで彼の歩みが否定されてはいけないと思っているので、その後ろにはこれまでの旅がちゃんと存在している形にしてほしい……という要望を発注してアートにしてもらいました。
――まさにそれを体現したアートになっているかと思います。ちなみに、冒険者はもう宇宙の果てにまで行くことができますが、パッチ6.1では再び惑星アーテリスの中での冒険になるのでしょうか?
吉田:う~ん……“アーテリスが何を指すか”によりますね。
――そのお答えはいろいろと想像をかき立てられます……。
吉田:原初世界かもしれないですし、鏡像世界かもしれない。並行世界もありえるかもしれないですし、もしかしたらマルチバースかもしれないですよ(笑)。言えることがあるとすれば、僕らの想像力が尽きない限り、“冒険は、どこまだって続いていく”んです。
――新たなダンジョンもメインストーリー関連のものということで、名称が発表されませんでした。これは名称自体がネタバレになるということですか?
吉田:僕自身は、名前を知られて「あぁそうなのね」と感じてもらうこと自体に、ネガティブさは感じていません。ただ、こういうタイミングで得た先入観は、必要以上にプレイヤーの方の想像を膨らませてしまうかなと。それによって、実際に遊んだときに十全の楽しさを得られなくなる可能性ができるぐらいなら伏せておこう、という僕のイタズラ心です(笑)。ほかにもパッチ6.1の段階から、開発チームのイタズラ心をいろいろと仕込んでいるので、どういった反応になるのかしっかり拝見していきます。
――ちなみに、今後も“1パッチ1ダンジョン”という実装の流れは変わらずでしょうか?
吉田:はい、そこは変わりません。
気になる“ミソロジー・オブ・エオルゼア”の内容、そしてヒルディブランド復活の理由とは?
――新アライアンスレイド“ミソロジー・オブ・エオルゼア”についてお聞かせください。こちらはまだほとんど情報が明らかになっていませんが、 これまでの物語から地続きとなるコンテンツなのでしょうか?
吉田:“ミソロジー・オブ・エオルゼア”は、“ハイデリン・ゾディアーク編”のエピローグに近い属性の話と言っていいかもしれません。ものすごく古い歴史のある、エオルゼア十二神の存在自体に踏み込んでいくストーリーが展開します。
『暁月のフィナーレ』で、エメトセルクが「エオルゼアにも、まだ知られざる真実がある。お前たちが奉る「十二神」の正体なんぞがいい例だ」と語っていますが、そこを掘り下げる内容です。じつは、すでに作中で伏線を用意してあるので、それをプレイヤーのみなさんがどうつないでいくか……それも開発者目線として楽しみにしています。
――エオルゼア十二神というと、『新生エオルゼア』時代から各地に石碑が存在していますが、そのあたりも関係してきますか?
吉田:そのあたりは詳しく言いにくいのですが、“エオルゼア十二神とはどういう存在か?”“十二神と呼ばれている理由は?”といったことが、キレイに判明していきます。アラアンスレイドのダンジョン自体も、入ったときに「ド直球だな!?」という印象を受けるかもしれないですね。
――イメージ的な話で構いませんので、これまでのアライアンスレイドのなかで一番似ているものはどれか教えてください。
吉田:アライアンスレイドは大掛かりで目新しいギミックを盛りやすいので、どれも遊びとしての新鮮さは意識して組み込んでいます。その中であえて例えるなら……“ミソロジー・オブ・エオルゼア”の第一弾のプレイ感覚は“リターン・トゥ・イヴァリース”に近いかもしれません。
また、難易度としては新シリーズということもあり、目新しさを感じてもらいつつもワイワイ楽しめて、ときに全滅しながらクリアできる感じを目指しています。まだ最終調整中で、僕のチェックで何点か指摘したところを再調整していますが、来週ぐらいにはほぼ初見の開発陣で通しプレイテストを行う予定です。
とはいえ、これだけ長く続いてくると開発メンバーのプレイの腕も上達してきていて、あまり参考にならなくなってきているんです。「カンタンにしすぎたか?」と難易度を上げると、かなり難しくなってしまったりして……。ちょっと気を付けないといけないな、と思っています。
余談ですが、インスタンスダンジョンのバランス調整は、この5年ほど同じメンバーで行っているんです。タンクはカジュアルプレイヤー、DPSは僕がガチプレイ、もうひとりのDPSはプロジェクトマネージャーのMちゃん、ヒーラーは極蛮神討滅戦くらいまで経験ありのプレイヤー……というメンバーでやってきたのですが、みんな以前よりも上手になってきてしまって。最近、メンバー内でジョブの変更を行いました。ヒーラーも上手くなりすぎたので、別の人に交代をお願いしました。
――約10年続いてきた影響がそんなところにも(笑)。ちなみに参加できるアイテムレベルは決まっていますか?
吉田:具体的には言えませんが、これまでの“拡張パッケージ後のアライアンスレイドの必要アイテムレベルはコレぐらい”というものと同等になっています。
――次に、パッチ6.15で“事件屋ヒルディブランド”が復活することになりましたが、その経緯と今後のコンセプトを教えてください。
吉田:まず、事件屋ヒルディブランドシリーズをお休みさせていただいた経緯から説明させてください。じつはヒルディブランドシリーズを『紅蓮のリベレーター』まで展開したとき、「全体的な流れが定型化してきたな」と感じるところがありました。
ざっくり言ってしまえば、ヒルディブランドが見当違いな予想をする→ナシュ・マカラッカが何かをやらかすけど、それがヒントになる→見当違いなまま周りを振り回すけど、全体的には丸く収まる、という“お約束”な感じですね。お約束はお約束として残すべきなので、今回もそういうお約束はあります。ですが、単純に続け過ぎたなと感じたのです。
また、ヒルディブランドシリーズは作るための制約も、じつは多いのです。ギャグでなければならない、カットシーンコストが高くないといけない、おもしろくしなければならない……といった制約の中、開発チーム内でも「おもしろくなりそうだから作ろう」ではなく「こう作らなければならない」という雰囲気になりつつあったのです。同様に、プレイヤーのみなさんもマンネリ化を感じていらっしゃるだろうなと思いました。
さらに『FFXIV』全体のカットシーンクオリティとコストが上がり続けているという問題があり、“リターン・トゥ・イヴァリース”と“事件屋ヒルディブランド”を並行して作っていくのがかなりキツかったというのもあります。こういった理由で、このまま作り続けてもよいものはできないだろうと考え、『漆黒のヴィランズ』では一回お休みをもらうことにしました。
――なるほど。
吉田:ところが、実際にパッチ5.xでの休止を発表したら、とくに海外のメディアやインフルエンサーの方々から、「ヒルディブランドはいつ帰ってきますか?」という質問がものすごく多く寄せられたのです。そのとき、僕らが思っている以上にヒルディブランドは愛されているんだなと実感しました。
先日のPLLでもお話しましたが、“事件屋ヒルディブランド”は強い装備品や見た目のいい装備品がもらえるというような、報酬ベースのコンテンツではありません。ですが、それでも待望してもらえるということは、物語としてもキャラクターとしても大事にしてもらえているのだろうと。
そう再認識できたことで、開発チームでも自然と、「ヒルディブランドを復活させましょう」という流れになっていきました。充電期間もしっかりいただいたので、これまで以上に大暴れすると思います。
そのためにも、パッチ5.3で仕込みをしています(※)。『紅蓮のリベレーター』のヒルディブランドがあのオチだったのは、「とりあえず第一世界にぶっ飛ばしておこう!」という感じでしたので……。
※『紅蓮のリベレーター』で次元の狭間に飲み込まれたヒルディブランドが、パッチ5.3のダンジョン“漆黒決戦 ノルヴラント”中に、超低確率で出現していた。
――ストーリーはどのような方向性なのでしょうか?
吉田:今回、パッチ6.15で実装となる事件屋ヒルディブランドは、メインストーリーの“新たなる冒険”と同じようにヒルディブランドの新しい事件の始まりでもあります。ちなみに、今回は僕のほうから「定番のアイデアがあるから、スタートは絶対にこうしてくれ」とお願いして作っています(笑)。
――これまでの事件屋ヒルディブランドの集大成というより、まったく新たな事件に挑む……という感じなんですね。
吉田:事件屋ヒルディブランドは、メインストーリーのように遠くまでプロットを組んで作っているわけではなく、その場その場のノリで作っているので……(笑)。ヒルディブランドはヒルディブランドなりの新しい事件、出会いがあります。
パッチ6.2以降も、「こうきたか!」という驚きがあり、みなさんに喜んでもらえるものになると思います。きっと、いつもどおりヒルディブランドが暴れまわってくれるのでご期待ください。
――ヒルディブランドと同様に物語が気になるコンテンツとして、“タタルの大繁盛商店”が実装されます。パッチ6.0終盤で集まってくれたキャラクターたちへの恩返しといった物語になるそうですが、具体的にはどういった内容になるのでしょうか?
吉田:これは、言うなれば『暁月のフィナーレ』で協力してくれた人たちへのお礼参りです。基本的には連続もののサイドクエストだと思ってください。『暁月のフィナーレ』のエクスアダマントを集めるシーンは、いままで英雄である光の戦士が歩んできた道のりをひとつに集結させるもの……『漆黒のヴィランズ』で言えば、巨大タロースが起動する場面に相当します。
ですが本編のストーリーでは、協力してくれた人たちに会いに行ったり、恩返しをしたりすることができていないですよね。ですので、このサイドクエストではシリーズものとして、今回関わった人々にプレイヤーが感謝を伝えに行けたらなと企画されています。
ただ、例えば“四聖獣奇譚“をクリアしていない人が瑞獣たちに会いに行くのはおかしいので、受諾条件が細かく設定されています。クロニクルクエストなどをたくさんプレイしている人ほど、多くのストーリーが楽しめる形です。
――シリーズものということは、パッチ6.2以降も続いていくのでしょうか?
吉田:そうですね。パッチ6.1は導入なので多くの人にプレイしてもらえる条件になっていますが、以降は特定クエストをやっておかないと受注できないものになっていきます。せっかくパッチ6.0がひと段落したので、もしまだ手を付けていないクロニクルクエストやサブストーリークエストがあるのでしたら、ゆっくりでも遊んでくださるとうれしいです。
――物語としては、『暁月のフィナーレ』でのロールクエストの完結編となる、エクストラクエストも気になります。いったいどのような展開になるのでしょうか?
吉田:基本的には終末の危機を乗り越えた後の話になりますが、これもネタバレになってしまうので詳しくはお話しできません。ただ、ロールクエストに登場した人々が協力し、最後の問題に取り組んでいくという内容になります。凝ったバトルもありますので、パッチ6.1の冒険が落ち着いたら、ゆっくりプレイしていただけるとありがたいです。
――“ミソロジー・オブ・エオルゼア”や“タタルの大繁盛商店”、そしてこのエクストラクエストで『暁月のフィナーレ』のエピローグが補完されるというイメージでよいでしょうか?
吉田:それに加え、“次元の狭間オメガ 番外編”もそれに当たります。これまでのパッチX.1のメインストーリーは、拡張パッケージから続くエピローグ的な色が強かったと思いますが、今回のメインストーリーではもう新たな冒険がスタートします。ですからそれらのコンテンツで『暁月のフィナーレ』のエピローグが描かれる、といったイメージを持っていてもらうと、しっくりくるかなと思います。
新たな友好部族クエストでは経験値報酬がアップ!
――パッチ6.15では“友好部族クエスト:アルカソーダラ族”が実装されます。今回はバトル系のクエストになるとのことですが、その概要を教えてください。
吉田:受注するには『暁月のフィナーレ』のクリアとサベネア島のサブクエストクリアが条件となっています。前提のサイドクエストでは、部族を超えた絆や、手を取り合うことの大切さが描かれていますが、友好部族クエストもその流れで、できるだけ気持ちのいい話にしています。本当に偶然なのですが、あらためていまの世界情勢と照らし合わせて考え、感じるところもあってくれたらなと思います。
報酬に関しては、みなさんが友好部族クエストに期待するであろうものはちゃんと用意されています。ジョブ数も増えましたし、経験値報酬もいろいろなところで得られるとはいえ、まだまだレベリング中のプレイヤーも多いでしょう。そのため今回はさらに経験値がもらえるようにしましたので、いろいろなジョブを遊んでもらうためにもプレイしていただけるとうれしいです。
――クエストとしては“次元の狭間オメガ:番外編“も発表されました。この後日談クエストを制作するに至った経緯と、どれぐらいのボリュームがあるのかを教えてください。
吉田:もともと“次元の狭間オメガ“に関しては、サイドクエストにしておくにはもったいないぐらいストーリーも演出も出来がいいと思っていたのです。また、“クリスタルタワーシリーズ“とともに『漆黒のヴィランズ』の根底を構成するエピソードでもあります。
さらに『暁月のフィナーレ』でウルティマ・トゥーレに至ったことで、オメガの母星アルファトロンとオミクロンという種族の在り方を知ることになりました。そこで、これらをひとつにつなげておくならいまだろうと考え、番外編を追加することにしました。
とはいえ、テキストボリュームとしては1万文字以上あるので、けっこう読み応えがあると思います。実装時期も、ボリューム的にパッチ6.15に翻訳が間に合うかどうか……というところなので、パッチ6.1の冒険が落ち着いてから遊んでいただければと思います。“次元の狭間オメガ”のストーリーや『FFXIV』の世界設定が好きな方は、ぜひ楽しみにしてください。
――“お得意様取引”についてもおうかがいします。今回新たなお得意様としてアメリアンスが実装になります。着替え機能にも対応しているそうですが、コスチュームに制限はあったりしますか……?
吉田:とくに制限は設けていません。ただPLLでもお話しましたが、キワドイ服を着せようとするとフルシュノが出てきて「いや、それは私が」と言って着替える……というのを入れればよかったと、いまだに後悔しています(笑)。
ただ、これをやると、今後キャラクターを動かしにくくなるんですよね。そういった予定はまったくないのですが、例えばフルシュノが行方不明になるシナリオを書こうとしたときに、このイベントをやれば帰ってきちゃいますからね(笑)。
――ちなみに、アメリアンスをお得意様の対象にした理由は?
吉田:いくつか候補があって、そのなかでもキャラクターが立っていて、多くの人に親近感を抱いてもらえる人物だろうと。さらに、人となりをしっかり深堀りするためにもアメリアンスにしたいという開発側からのオーダーがあったので、「いいね!」とOKしました。お得意様は、開発チームが描いてあげたいと考える人をターゲットにするのが一番いいと思っているので。
――ちなみに着替えに対応していないお得意様としては、エル・トゥはともかく、メ・ナーゴの着替え実装の可能性はあるのでしょうか……?
吉田:コストしだいですが……それは開発チームに伝えておきますね。
新たな機能“アドベンチャープレート”の詳細とは
――システム面についてもおうかがします。まずプレイヤーのプロフィール紹介機能である“アドベンチャラープレート”についてですが、詳しい概要とその魅力について教えてください。
吉田:現状、他のプレイヤーの情報を知りたい場合、その相手を“調べる”ことで味気ないUIから最低限の情報が得られます。アドベンチャラープレートでは、そのキャラクターの表現やUI部分を着飾れると思ってください。もちろん、アドベンチャラープレートに興味がない方もいらっしゃると思うので、“調べる”とは別の部分に用意しています。
例えば、昔からあるMMORPG文化のひとつに、“オフ会に自分のアバター名刺を持っていく”いうのがありましたよね。スクリーンショットを加工してキャラ名やメインジョブなどを書いた名刺を作る感じで。本当は著作権的にはアレなんですが……。簡単に言うと、それがゲーム内で作れると思ってください。自己PRはとても大事ですし、造ったプレートをSNSで公開することもできるようになると思います。
――なるほど、イメージがハッキリしてきました。
吉田:フレームも多数用意されていますし、メインジョブのアイコンを大きく表示したり、「主な活動はバトル寄りです」といった自己紹介もプロフィールとしてレイアウトしたりできます。これがアドベンチャラープレート、文字通り冒険者を表す名刺です。
そしてもうひとつが、ポートレートという機能です。こちらは免許証や社員証、学生証の“顔写真”だと思っていただけるとわかりやすいかと思います。キャラクターの角度やエモートを自由に調整してお気に入りのシーンを作ります。ミラージュプリズムやライティングにもこだわってフレームに納めることが可能です。
このポートレートは、アドベンチャラープレートにセットすることになるのですが、複数のポートレートを作成可能です。例えば、黒魔道士でのポートレート、白魔道士でのポートレート……といった具合です。黒魔道士はクールに、白魔道士はカッコよく、みたいな形ですね。
それをギアセット→ミラージュプレート→ポートレートと紐付けて保存することで、他人が自分のアドベンチャラープレートを見たときに、自身のその時のジョブに応じて“自己紹介のスゴイバージョン”が表示されるわけです。
また、いわゆる“自慢要素”も盛り込まれていて、例えば絶コンテンツをクリアしたり、PvPランカーになったりすることで使用できる特別なフレームも存在します。そういう形で、自己紹介かつ自己アピールができるものを目指しています。
また初期機能にはないですが、最終的にはアドベンチャラープレートのひな型を他のプレイヤーに配る、といったこともできるとよいなと。「せっかくだから、これ使いなよ」と渡せるイメージ。これも実演でお見せした方がよいと思いますので、次のPLLで紹介したい……のですが、開発が間に合うかは微妙なところです……。
めちゃくちゃ機能が多いうえに、グループポーズの担当チームが総力を結集して作っているので、最初から飛ばし過ぎ感もありまして(苦笑)。
――自由にアドベンチャラープレートを見ることができれば、ほかのプレイヤーの印象も大きく変わりそうですね。
吉田:親近感がわくというか、「そんなにこだわって作るなんてすごいな」と思ってもらえるかもしれません。逆に、ものすごく派手なフレームを見て、「自分も欲しい」と思ってコンテンツに挑むきっかけになるかもしれません。さまざまな面で、ゲームを遊ぶうえでのモチベーションにつながればなと思っています。
――コミュニケーションの幅も大きく広がりそうです。
吉田:また先ほどお話ししたポートレートは、PvPで対戦するときなどに、キャラクター紹介としても使用されます。未設定でもいつもの標準画像が使われますが、より凝った自己紹介をされたい方は、こだわってみると、より一層楽しめるかと思います。
――オシャレもはかどりそうです。
吉田:ポートレート作成ためのミラージュプリズムを用意しようと考える人もいるかもしれません。
――次に、いよいよイシュガルドのハウジングエリア“エンピレアム”が実装されますが、今回どれだけのハウジング需要を満たせると考えていますか?
吉田:プレイヤーベースが拡大しているので、土地に関してはいくら追加しても、プレイヤー総人口の100%を超えないと需要のすべては満たせないと考えています。ですので今後も継続的に土地の追加は行っていく予定です。
ただし、ハウジングを増やすには専用のサーバーを用意するしかないのですが、現在は慢性的な半導体不足で物理的にすぐ用意するのが難しい状況です。エンピレアムを追加するために用意していたサーバーぶんは問題ありませんが、同時に開発チームがハウジング関係のデータを最適化してできるだけ多くの土地を用意できるように努力しています。
現状からあと20%~25%ぐらい増やすことができれば、ハウジングの需要をある程度は満たせるかなというところです。また、庭具や家具の設置数も増やしていきたいのですが、これも増やすとハウジングのデータ量が大きくなり、やはりサーバー容量との戦いになってしまいます……。
ただ、いずれの需要の高さも理解しているつもりですので、引き続き、土地とハウスデータの双方を最適化して、両方を増やしていけるよう努力をしていきます。
メインストーリーの“コンテンツサポーター”はどうなる?
――パッチ6.1では『新生エオルゼア』のダンジョンが改修され、メインストーリーに必須なインスタンスダンジョンにおいて“コンテンツサポーター”が使用できるようになります。サポーターとしてパーティに参加するのは、これまでストーリーや街などに登場したNPCなのでしょうか?
吉田:『新生エオルゼア』のメインストーリーに登場する名のあるNPCたちは、それぞれに役割があって各地を飛び回っています。ですので、ともにダンジョンへ向かう人たちは、冒険者ギルドから派遣された“名もなき冒険者たち”というつもりで作っています。蛮神との戦いではテンパード問題があるので、ミンフィリアが連れてきた“超える力を持つ冒険者”になります。
『新生エオルゼア』のシナリオ中でも、ミンフィリアが「あなた以外にも超える力を持っていると思しき人に声をかけている」といった話をしているので、それに準じています。パッチ5.2でノルヴラントの人々が超える力に目覚めていましたが、それと同じことがエオルゼアでも起きていて、そこで超える力に目覚めた人たちに暁の血盟が声をかけている形ですね。そして、そのうちのひとりが冒険者であるプレイヤーであるというわけです。
――世界設定側からも違和感がないような作りになっているんですね。
吉田:そうですね。とはいえパッチ3.0ぐらいからは、「このダンジョンはこのNPCといけたほうがいいよね」というケースが増えてくるので、そういったところは一部シナリオを変更してでも対応していきます。企画自体は、けっこう先のダンジョンまで進んでいるのですが、なかにはボスの挙動を変える必要があるものもありました。調整されたボスとの戦いも楽しみにしていてください。
――先の話ですが、レベル65ダンジョン“伝統試練 バルダム覇道”の、ギミックのみの2ボスがどうなるのか気になります(笑)。
吉田:バルダム覇道は、パーティ編成含めてどうしようかなと悩んでいます。シリナはすでに別ルートで試練を超えているという設定なのでNPCとしては参加できないですし……。ともあれ、できるかぎりファンの声に応えられるように開発していきます。
例えば“邪竜血戦 ドラゴンズエアリー”ではニーズヘッグと対峙するわけですし、最初からエスティニアンといっしょに攻略したいだろうなといった、多くの人が考えるであろう要望は押さえていきたいと思っています。
――ダンジョンの話が出たので流れでおうかがいしますが、ダンジョンのボス戦で負けると、中間地点へのワープを使っても元の場所にもどるのが大変です。ボス前からやり直しできる形にはできないのでしょうか?
吉田:じつは、意図的に復帰を多少面倒くさくしています。リスタートをカンタンにしてしまうと、全滅に対するハードルがめちゃくちゃ下がるんです……。ほどよい緊張感でやらないとカンタンに「リスタートすればいい」となってしまうため、あえて再スタートを少々面倒にしています。
データセンタートラベル、そしてパッチ6.xシリーズが目指すものとは
――パッチ6.1と合わせて実装されるデータセンタートラベルについてですが、新たな仕組みを加えるにあたって、とくに気を付けた部分をお聞かせください。
吉田:じつはこの前のPLLで慎重にお話ししすぎたせいで、みなさんの不安を逆にあおってしまったところがあり反省しています……。まず、現状のワールド間テレポは、十数秒で即移動できるようになっていますが、データセンタートラベルも目指すところはあれぐらい気軽に行えるイメージだと思ってください。
唯一異なる点として、データセンタートラベルはキャラクター選択画面から行うのですが、通常時は数十秒~3分もかからず移動可能です。ただ、ワールド間テレポを実装したときを思い出してほしいのですが、実装直後は多くの人が、「試しに移動してみよう」とシステム利用へのアクセスが殺到します。パッチ当日はログインも同様に集中するので、サーバーやログイン/ログアウトに関する処理が非常に混雑します。そういった場合は、順番に処理していくので移動に時間がかかることになります。
この“初期の大混雑”を想定して、過度な期待にならないよう、できるだけ慎重なお話を……と思ったことが、逆に「データセンタートラベルはあまり気軽なものではないらしい」という雰囲気を皆さんに与えてしまいました。
しかし、パッチ直後の混雑さえ落ち着き、通常の使用になってくれば、よほどのトラブルや混雑時間帯でない限り、データセンターの移動は数十秒~3分程度で完了します。
――実際はかなり気軽に移動できるのですね。
吉田:はい。これによって『FFXIV』の遊び方がかなり変わると思っています。例えば、現在所属しているデータセンターで好みのパーティ募集がなかった場合に、別の論理データセンターに移動してパーティ募集を探すという遊び方ができます。
要は、いままでは自身の所属する論理データセンターという括りの中でしか遊び相手を捜せなかったのが、データセンタートラベル実装後は日本リージョン全体から相手を捜すことができるのです。これが、データセンタートラベル最大のメリットだと考えています。
これまでは「Gaiaでおもしろいことやってるみたい」という話を聞いても、別データセンターの人は新しくキャラクターを作って見に行くぐらいしか方法がありませんでした。それが、自分のキャラクターそのもので遊びに行けるようになります。
各論理DCでカフェやバーを経営するロールプレイをされている方、凝ったハウジングを作り一般公開されている方などは、ロールプレイの幅が物理データセンター内すべてに広がります。そのように『FFXIV』というコミュニティが物理データセンターのなかでひとつになれるというのが、とてつもなく大きいメリットだと思っていて。
そこのメリットを最大限に伝えてから、「そうなるからこそ、将来的な混雑緩和も含めてデータセンターのリグループをやらせてください」と、もっと時間をかけてご説明し、ご理解を得るべきだったと反省しています。
少なくとも、世界が広がってひとつになっていくというメリットはとてつもなく大きいと思っていますし、プレイヤーの皆さんにとっても大きな恩恵や、楽しさを提供できると考えています。データセンタートラベルとワールドリグループは、パッチ6.18で同時実装/実施となり、リグループだけがその前に行われることはありません。ぜひ、ご理解とご協力のほど、あらためてお願いいたします。
■トピックス“データセンタートラベルとワールドリグループについて”
――では、最後にパッチ6.1やパッチ6.xシリーズについて、プレイヤーのみなさんに注目してほしい、期待していてほしい部分を教えてください。
吉田:過去に何度もお話していますが、『FFXIV』は“みなさんと僕たちでいっしょに作る『ファイナルファンタジー』”だと考えています。『漆黒のヴィランズ』から『暁月のフィナーレ』にかけて、カタルシスのある物語を描けたのも、長い期間をかけて物語を紡いでこられたからこそ、という部分が大きいです。
それはストーリーだけでなく、プレイヤーのみなさんが『FFXIV』の世界に住んでいて日々の体験があるからこそ、より大きな感情の揺さぶりになったのではないかと思います。スタンドアローン、シングルプレイのRPGでは、ここまでのインパクトは間違いなく出せません。
“ハイデリン・ゾディアーク編”が終わったからこそ、この興奮をまた味わうために、再びいっしょに肩を組み、手を取り合って、僕たちと共に進んでいただけるとうれしいです。
今回のパッチ6.1は、新たな到達点に向かう第一歩だと考えています。パッチ6.5まではパッチ2.xに戻ったかのような、いろいろな変革が起こります。それによって、ガタつく部分も出てくるかもしれません。ですが、ここまで積み上げてきたからこそ、さらに大きなものを積み上げていくには一度地ならしをする必要があると思っています。これが今回、僕が覚悟を決めた要素のひとつであり、だからこそこの先10年に向かってのお話をPLLでさせていただきました。
そんなパッチ6.1~6.5は、そのための土台を頑強なものにしてさらに成長していくためのチャレンジの期間であり、開発チームには「たとえ遠回りになろうとも、いまできることをやろう」と伝えてあります。それは、最終的にプレイヤーの皆さんが、今より何倍も『FFXIV』のプレイを楽しめるようになるための、じつは最短ルートだと思っています。プレイヤーのみなさんにも、その変化やその先にある未来をいっしょに楽しみ、そして歩んでもらえると、すごくうれしいです。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします!
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