『イースIX』発売直前クロスレビュー! 新機軸の『イース』がここに誕生【電撃PS】

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 日本ファルコムが贈る人気アクションRPG『イース』シリーズの最新作、『イースIX –Monstrum NOX-』の発売がいよいよ1週間後に迫ってきました! 今回は、来たる9月26日に向けて本作の見どころを語るべく、電撃PSのライターたちによるクロスレビューを掲載!!


【95点(オススメ!)】謎めいた物語とていねいな作り込みに手が止まらない!


Zenon:

 『軌跡』シリーズなどのストーリー系RPGが大好物。マップの見やすさなどプレイの快適さなどにも注目する。

 本作はただのアクションRPGではなく、日本ファルコムお得意の“物語”にも重きを置いた、ストーリーアクションRPGと言っても過言ではありません!

 冒頭からある“謎”が提示されているのですが、その真相が最初の予想とは違っているようで「おや?」と気になる作りに。「ツカミはOK」というところで、先にどんどん進めたくなりました。怪人たちに1人ずつ焦点を当てて物語を描いていくので、すんなり背景を理解することができます。

  • ▲物語のキーパーソンであるアプリリス。2つの赤い月が示す意味や、彼女の義手義足の原因とは?
  • ▲怪人の1人である《白猫》は、富裕層から奪ったお金を貧民層へ与えている義賊。その深い理由も、物語のなかで明かされる。

 本作の舞台は高い外壁に囲まれた監獄都市バルドゥーク。前作の舞台が自然豊かな絶海の孤島でのサバイバル生活だったことを考えると、もはや環境は完全に別物と言っていいでしょう。そういう意味で、前作とは違ったベクトルの『イース』になっていると感じましたね。

 バルドゥークはかなり広い街で、12の区画に分かれています。初めは1つの区画から始まって、少しずつ行ける場所が広がっていくのですが、なかなかに探索のしがいのあるマップです。なにせ平面的な広さに加えて垂直方向の高さもあるわけで、やり込み要素を含むマップの探索は「たいへんだろうなぁ」と思っていました。

 しかしそこはご安心を。かゆいところに手が届く仕組みで、時間を忘れて探索をやり込みたくなります。接近すれば宝箱などの位置がミニマップに表示される、ファストトラベルで街の主要なポイントにワープできるなど、便利な仕組みは完備。

 少しロード時間が長いとも感じましたが、街全体を読み込んでいるぶんシームレスに探索を堪能できます。そしてなにより、壁を垂直に走って登ったり、目印に瞬間移動したり、高いところから滑空したりと、気持ちのいい異能アクションで探索がまったく苦になりませんでした。

  • ▲異能を使って高台に登っているシーン。大聖堂の上には宝箱や“蒼い花びら”が見える。
  • ▲《赤の王》の異能“クリムゾンライン”。街中であっても、目印となるポイントがあればいつでも瞬間移動が可能。

 また、区画ごとに宝箱や“蒼い花びら”などのやり込み要素の全体数が表示されている親切設計なので、ついつい全部集めてからストーリーを進めたくなっちゃうんですよ! おかげでストーリーが気になるのに、街の探索に熱中してしまうことも……(苦笑)。

  • ▲監獄都市バルドゥークの全体図。やり込み要素の全体数が見えているのは、やり込み派のモチベーション向上にも役立つ。

 戦闘はあいかわらず気持ちのいい手触りで、さすがのひと言。本作では街中でも任意に戦闘を起こせるため、“探索に疲れてきたころに戦闘でひと息”みたいな遊びの転換があってグッドですね。

 もちろん戦闘では経験値やアイテムが手に入ってメリットもありますし、たまに落とす“小さな匣”からは貴重なステータスUPアイテムなどが手に入ったりして、モチベーションも高まります。

  • ▲街中で戦闘が発生するラルヴァ戦。戦闘は任意なうえ、逃げ切ることも可能なので、探索のテンポは損なわない。

 ストーリーには引き込まれ、戦闘は快適で、やり込み要素も豊富と三拍子そろった『イースIX』。間違いなく傑作といえる出来ですので、シリーズファンはもちろん、RPG好きならぜひ手に取ってみてください。“謎”とか“怪人”といった、ミステリーワードに反応する人にもオススメですよ!

【90点(オススメ!)】世界が上下にも広がり、アクションと遊びやすさも進化


佐藤Z:

 まだまだフラッシュムーブ&フラッシュガードが余裕のベテランライター。でも落とし穴には落ちました!

 シリーズの伝統といえるていねいな作り、なじみやすいシステム、爽快感あふれるアクション、ドラマチックなシナリオ展開、ノリノリのサウンドなどをしっかり継承。そのうえで、“これぞ『イース』の進化形”といえる完成度だった前作『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』に追従するのではなく、これまでにないコンセプトと作風でかつてない『イース』に仕上げている印象ですね。

 『イース』シリーズは作品を重ねるごとに自らハードルを上げている感じがしますが、こちらの心配をよそに、毎回そのハードルを軽々と越えていく気がして、今回も期待以上のクオリティになっていると思います!

  • ▲街はオープンワールドテイストの作りで、異能アクションで駆けめぐることができます。キモチイイ!
  • ▲街の内側もフィールドの一部であり、街の外側と同じく探索率(%)があったことには驚きました。

左スティックで移動、右スティックでカメラ操作、◯ボタンで攻撃、×ボタンでジャンプ、□ボタンで操作するキャラクターの交代、△ボタンでターゲットロック/解除など、大部分の操作は『VIII』と同じですので、前作をプレイしていればそのままのプレイ感覚で進められます。  

 変更点としては、L1ボタン+R1ボタンで“ブースト”が発動できるところ。この状態になると一定時間、キャラクターの戦闘能力が大幅にアップします。そしてEXTRAスキルは、ブースト状態のときに再度L1ボタン+R1ボタンという操作に変更されました。

 前作では、EXTRAスキルのみで大ダメージを狙う戦い方でしたが、本作では“ブースト状態でダメージを与え、効果時間が切れる前にEXTRAスキルを発動!”と、一連の流れで大きなダメージが与えられるようになり、バトルの戦略性が増しているように感じました。

 あと、スキル攻撃を行うと消費するSPゲージが、敵に攻撃を当てたときだけでなく、時間の経過でもたまるようになったのが好感触ですね。このおかげで、普通に戦っていればSPゲージが多めにたまるので、スキル攻撃の連発も可能になり、よりダイナミックに戦えるようになりました。

 また、“スキル攻撃→逃げ回る→スキル攻撃……”といった戦い方もできますので、混戦状態での戦いが苦手だったり、強敵のアクションを観察しながら立ち回りたいときにも重宝します。

  • ▲ ◯ボタンの連打で出せる通常攻撃のコンボもキャラクターごとに個性的。操作しているだけで楽しいです。
  • ▲ 《鷹》や《背教者》は、離れた場所から敵を狙える射撃のスキル攻撃を所有。逃げ回りながら戦うこともできます。

 本作ならではの要素として注目を集めている異能アクションですが、いずれもバツグンのレスポンスでテキパキ動き回れますね。

 とくに、《赤の王》の“王者の道(クリムゾンライン)”、《白猫》の“天空散歩(ヘヴンズラン)”、《鷹》の“猛禽の翼(ハンターグライド)”は用途の幅が広く、移動時、探索時、戦闘時には何かしらを使っている印象。しかも“クリムゾンライン”は、ターゲットロックした敵に高速で接近できるため、戦闘時の使用率が跳ね上がりました。

 そのほか中盤以降にパーティに加わる《背教者》の“影の門(シャドウダイヴ)”、《猛牛》の“戦乙女の救済(ヴァルキリーハンマー)”、《人形》の“第三の瞳(ザ・サードアイ)”の用途にも期待が膨らむところです。

 なお、街の作りも異能アクションに合わせて設計されており、“宝箱”“花びら”“落書き”を探すというやりこみ要素も用意されていて、じっくり探索が楽しめます。巧妙に隠されているものもあるらしいので、ぜひともコンプリートを目指したいですね。

  • ▲ 異能アクションは共有で、新たな怪人が仲間になった時点で、操作中のキャラクターを変えなくても使用できます。
  • ▲ ダンジョンでもフル活用。“クリムゾンライン”を使うと、敵を回避したり、ジャンプでは届かない場所に行ける場合も!

 ダイナミックな立ち回りで戦える怪人たちの活躍パートのほかに、囚人のアドルを操作するパートが用意されている点も魅力の1つですね。こちらのパートは、スキル使用不可、2段ジャンプ使用不可、異能アクション使用不可。なおかつ“錆びた剣”のみを装備し、HP回復アイテムもない状態で進むことに。

 監獄内はシンプルな作りで、途中には『イース -フェルガナの誓い-』を思い起こさせてくれるような仕掛けや、落とし穴もあったりと、怪人たちの活躍パートとは違った方向性のアクションが楽しめます。油断すると、ネズミの魔物に追い詰められたりして、こちらも気が抜けません!

  • ▲ 怪人たちの戦闘能力を大幅に下回る囚人のアドル。まさに“裸一貫”から始める探索活動にドキドキ・ワクワクです。
  • ▲ “錆びた剣”でネズミの魔物を撃退。どことなくゲーム黎明期のアクションゲームの雰囲気も味わえました。

 
 アクションゲームは苦手だけど『イース』シリーズに触れてみたい! というビギナーさんに向けて、ゲームの難易度は“Easy、Normal、Hard、Nightmare、Inferno”から選択できるようになっています。Easyで始めると、◯ボタンを連打しているだけで進めるくらいの易しさになりますので、強敵が相手でも怖くありません。

 また、移動するのが難しい場所に足場が追加されたり、2段ジャンプなどによる移動がサポートされる"アシストモード"も完備されており、移動やジャンプに関する部分もしっかりフォローされています。  

 異能アクションを利用して行う街の探索が楽しすぎて、まだプレイの進行度は中盤程度ですが、現在の手ごたえとしては大満足ですね。ストーリー部分についての感想はまったく語れませんが、いろいろと謎が多くて終盤の展開が本当に楽しみです。

 “『イース』らしさ”を継承しつつ、たくさんのチャレンジを盛り込んだ意欲作であり、この作品が1つの原点にもなりそうな予感が……。そういった手ごたえを感じる完成度ですので、『イース』シリーズに興味があるならこの機会にぜひ!

【95点(オススメ!)】ファンは絶対にプレイしておくべき『イース』の新たな方向性


編集Y:

 『イース』シリーズはリアルタイムでほぼ全部を遊んでいるおっさん編集。『イース』で一番好きな楽曲は“to make the end of battle”。好きなヒロインはエレナ

 あらかじめ言いたいのは、『イース』シリーズはナンバリングにはなっているものの、過去作の知識がなくても、十分に遊べる内容になっているということ。それこそ、“主人公のアドルが冒険家でいろんなところを冒険した有名人”“気のいい巨漢な力持ちのドギを相棒に冒険している”くらいの知識があればOK。

 とはいえ、シリーズが登場してから30年以上になる歴史ある作品なので、ゲームにはファンサービス的に過去作に触れている部分があります。今回は、ファンとして、そんな部分を中心にレビューしていきたいと思います。

  • ▲ 赤毛の人がアドルで、青毛がドキ。2人ともお人好し&困った人を見過ごすことができず、訪れた先で厄介ごとに巻き込まれることが多い。
 

 グリア・エルトリンゲン地方という今まで描かれたことのない地方での冒険を描いた本作ですが、今回もファンがニヤッとできる要素が盛りだくさん! とある会話でアドルの過去の冒険を振り返ることができたり、過去作に関連した地方のアイテムが登場したり、本作での謎に深くかかわる部分として、かつてのシリーズで戦ったことのある強敵との再戦があったり……。

 TGSの体験版にも出ていますが、『イースI』の強敵として記憶に残っている人も多いであろうヴァジュリオンが、“ルネ・ヴァジュリオン”として登場! コウモリになって分裂して襲ってくるというおなじみの攻撃を、フル3Dで体感することができちゃう!! 

 これだけで感動なのですが、これ以外にも、あんな敵やこんな敵も出てきて、過去作を知っているからこそニヤッとできるバトルが印象的なシーンで出てくるのですよ! ここは、シリーズファンの要注目ポイントの1つです。

  • ▲ コウモリになっている間は無敵なルネ・ヴァジュリオン。姿は、『イース オリジン』版のものを踏襲。

 謎に満ちた物語も、注目! バルドゥークの伝承だったり、章タイトルに気になるワードがちらほら。「これってあそこで描かれたことと似た設定じゃない?」「このワードってあの冒険と直結してるじゃん!」とか、プレイしていて妄想が膨らみまくりなのですよ。実際、どういう落とし所になるのか、すごく気になって。ここら辺も、ファンは見逃せないです!

  • ▲ やり込み要素の“蒼い花びら”集め。これにも過去作にからんだヒミツ(?)が……。内容は、実際にプレイしてのお楽しみに。

 本作はバルドゥークという1つの都市で冒険するという、これまでのシリーズとは一線を画す内容になっています。街の探索って、“冒険感”が薄いんじゃないかな? とプレイ前は思っていたのですが、そんなことは全然ありませんでした。逆に、これまでと違う探索の感覚が新鮮で、すごく楽しい! 
 
 街が舞台になってますが、アウトフィールドもしっかりと存在します。しかも、これが結構広い! 探索するのは街だけなのかな? と心配している人はご安心を。ちなみに、今回レビューの点数が100点中95点なのは、エリア切り替え時のロードがやや長めなため。とはいえ、1エリアが広いので、そこまでプレイしていてストレスは感じません(パッチで短縮される予定もアリ)。

 これまで漠然と、いつかは『イース』も、大都会的な街での冒険が描かれることになるだろうなと思っていたのですが、今回、それがかなりの完成度の高さで遊ぶことができました! シリーズファンの人は、『イース』シリーズの進化の1つとして、マストで触れておくべき作品です。

 そして、過去作はプレイしたことあるけど、『イース』から離れてしまっている人。懐かしのボスも出てくるので、ぜひともプレイして、『イース』の進化を実感してみてください。

  • ▲ 高所に上って街を見下ろすというのは、意外と『イース』では珍しい光景。街が舞台だと、高いところに上りたくなります。

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イースIX ‐Monstrum NOX‐(モンストルム・ノクス)

  • メーカー: 日本ファルコム
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ARPG
  • 発売日: 2019年9月26日
  • 価格: 7,800円+税

イースIX ‐Monstrum NOX‐(モンストルム・ノクス)数量限定コレクターズBOX

  • メーカー: 日本ファルコム
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ARPG
  • 発売日: 2019年9月26日
  • 価格: 9,800円+税

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