罰ゲーム(ウソの告白)から始まる恋もある。新作ラノベ『朝比奈若葉と○○な彼氏』作者インタビュー

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 “スレ発ラノベ4”の第1弾として9月25日に発売されるMF文庫Jレーベルの小説『朝比奈若葉と○○な彼氏』の作者・間孝史さんのメールインタビューをお届けします

 “スレ発ラノベ4”は、Web掲示板のスレッドで人気を博した物語を書籍化する企画です。この企画で書籍化される4作品は、やる夫と呼ばれるアスキーアートのキャラクターを主人公にしたり、既存の作品のキャラクターを登場させたりして物語を展開していく、いわゆる“やる夫スレ”で生まれた作品です。

  • ▲本作の表紙イラスト(イラスト:桃餅)。

 間さんが執筆した『朝比奈若葉と○○な彼氏』は、ウソの告白から関係が始まった不器用な女の子と嫌われ者の男の子が紡ぐ、ハッピーエンドラブコメとなっています。

 間さんには、本作を執筆したきっかけや、作品を書くうえで悩んだことなどに答えていただきました。このインタビューを皮切りに、“スレ発ラノベ4”でデビューする3名のインタビューも掲載予定なのでお楽しみに。

『朝比奈若葉と○○な彼氏』プロローグ

 ちょっと内気な女子高生・朝比奈若葉はクラスメイトの悪ノリから、ある“罰ゲーム”への参加を強要される。それは、付き合いたくない男No.1にして学校一の嫌われ者・入間晴斗に“ウソの告白”をして付き合うこと。

 憂鬱な気持ちで始まった晴斗との交際――だけど“嫌われ者”の本当の性格や行動を間近で見るうちに、暗黒だった少女の学校生活は最高の青春へと変わっていく――。

初めから結末は決めていた。約束されたハッピーエンドの物語

――この作品を書いたきっかけを教えてください。

 Web掲示板での投稿を続ける中で、ご縁がありまして。編集さんから商業化の打診があり、どういった媒体で行うのが一番いいのかといろいろと話し合う中で、まずライトノベルという形に収まりました。

――作品の特徴やセールスポイントを教えてください。

 評判は最悪、特に女子から蛇蝎(だかつ)の如く嫌われている。そんな男の子と嫌々お付き合いを始めたら、実はとんでもなくいい奴で……という、ある意味ではありふれたパターンではありますが、それをそのまま王道ド直球で書き上げました。

 当初は暗く気弱なヒロインが、心情の変化に伴い、明るくハキハキとしていく姿をお楽しみください。

――書籍化する際に悩んだところ、大変だったところはどの部分ですか?

 書籍化するにあたって、感情移入しやすくするため視点をヒロインひとつにしぼり、第三者の描写を基本的に省いたところですね。他者の視点がないので、この時に裏で何があったか、を書きづらく、それを補填しようとすると、ヒロインが傍観者になりかねないため、担当編集さんとあーでもない、こーでもない、といろいろ協議を重ねました。

 あとは、タイトルでしょうか。本編自体は書き上がったのに、なかなかいいものが思い付かなくて、タイトルそのものが決定したのはだいぶ後の方になってからでした。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 執筆そのものは、2カ月ほどでしょうか。この『朝比奈若葉と○○な彼氏』は、まず物語をおしまいまで書きました。なので、それくらいの時間がかかっているかな、と。ただ、修正や校正などを足すと、そこから半年はプラスされるかと思います。

――朝比奈若葉という名前に込めた思いや狙いがありましたら、教えてください。

 お相手である入間晴斗が“お日さま”のイメージなので、彼の優しさに育まれて生き生きと成長してゆく。そんな意味を込めて名付けました。

――特にお気に入りのキャラクターは誰ですか?

 やはり、主人公カップルですね。特に、物語が進むにつれていろいろとはっちゃけていくヒロインは、書いていてとても楽しかったです。

――恋愛系ということもあり、さまざまな形での結末がありうる物語だったと思いますが、結末は最初から決めていたのでしょうか? それとも、執筆を進める中でゴールが決まっていったのでしょうか。

 はい、最初から結末ありきで物語を作りました。Web投稿時代、短編をまず3作書いてから連載に着手した、という経緯がありまして。その内2つの登場人物たちの過去を書いたのが『朝比奈若葉と○○な彼氏』の元となったお話――前日談みたいなものでしょうか。

 そこからストーリーのラインもなるべくいじらないようにしてあるので、本作も結末を初めから決めた形で執筆しました。

――今後はどんなものを執筆したいか、もしも決まっていたら教えてください。

 Web掲示板で書いた他のシリーズものや、妖精の伝承にまつわる完全オリジナルの異世界転移ものなど、書きたいものはいろいろありますが、まずこの企画が成功しないと次に繋がらないと思いますので……(笑)。

――小説を書く時に特にこだわっているところはどこですか?

 これはWeb掲示板で書いてる時もそうなのですが、状況描写や心理描写などを、なるべく読みやすく、わかりやすくするように気を付けて書いているつもりです。それと、文章のリズム感、というようなものでしょうか。

 スラスラと気持ちよく読めるな、と思ってもらえるのが理想なのですが、これがなかなか難しくて……試行錯誤を重ねる日々を送っています。

――アイデアや集中力を高めるためにやっていることはありますか?

 集中したい時は音楽をかけています。この物語にバッチリ合うぞ! と思えるものをBGMにすると執筆がはかどりますので、お気に入りの曲をいろいろとストックしてあったりします。あと、悩んだ時は外に出て散歩をすることが多いですね。特に目的地を決めるわけでもなく、あちらこちらを歩き回ってるうちに、よいアイデアが浮かんだりします。

――これまでに影響を受けた作品を教えてください。

 両親が西岸良平先生の『鎌倉ものがたり』が好きで、私も子どものころからそれを読んでるうちに、主人公の職業、小説家というものに漠然とした憧れを抱くようになりました。その後も現在に至るまで、物語を想像したり書いたりするのが好きなのは、やはりこの作品に大きな影響を受けたのだと思います。

――現在注目しているコンテンツを教えてください。

 全盛期を過ぎている、などとも言われますが……やはり“やる夫スレ”ですね。私にとっては、創作における原点みたいなものですから。

――読者の皆さんに一言メッセージを!

 この物語をすでにご存知の方も、そうでない新規の読者の方にも、どちらも楽しんでいただけるように頑張りました。どうぞ、よろしくお願いいたします!

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イラスト:桃餅

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