『CONTROL』が追求した魔法ではない超能力。インタビューで明かされる小島監督コラボの経緯とは?【電撃PS】

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 『Alan Wake』をはじめ、ミステリアスなストーリーがプレイヤーを引き付ける作品を得意とするRemedy Entertainment。彼らが手がける最新作『CONTROL(コントロール)』の日本語版が12月12日にマーベラスから発売されます。

 『CONTROL』は、ニューヨークにある架空の政府組織・FBC(Federal Bureau of Control)の本部ビル、通称“オールデスト・ハウス”を舞台としたアクションアドベンチャー。

 オールデスト・ハウスの内部では、1960年代に重力を変化させる異次元の力“ヒス”の研究が行われていましたが、今回、そのヒスによって建物内の職員たちが乗っ取られてしまうという事件が発生します。

 主人公のジェシー・フェイデンは、その怪奇現象を調査するため、新たな現場監督官として任命され、オールデスト・ハウスの調査に乗り出す……というのが本作の物語。

 今回は発売に先駆けて、本作を体験できる機会を得られたため、簡単にではありますが本作のプレイインプレッションをお届けします! また、来日していたスタッフのThomas Pura氏(以下、敬称略)へのインタビューで、Remedy Entertainment社(以下、Remedy)のゲームにおけるポリシーなどにも迫ります。

アクションゲームとしての手触りはかなり良好!
Remedyならではの物語にも期待がかかる!

 今回触れた範囲はそれほど長くはなかったため、軽くプレイしたうえでの所感となりますが、全体的なレスポンスはかなり良好。TPSタイプのアクションゲームに慣れた方であれば、少しプレイすれば快適にプレイできるような操作性です。

 攻撃は基本的に銃と超能力の2通り。銃はさまざまな形態を取ることができ、超能力にも種類があるようなので、厳密にはもっと多いとは思いますが、今回のプレイでは主にハンドガン&ショットガン、物を浮かべて投げつけるテレキネシス(ゲーム的には”投擲”というスキル)、といった攻撃手段でした。

  • ▲“投擲”は周囲の物を投げつけるだけでなく、敵の投げてきた手りゅう弾などをキャッチし、投げ返すこともできるようです。

  • ▲銃は黒いモヤのようなものをまとって形態を変化させる特殊なもので、こちらにも何らかの秘密がありそうです。

 “投擲”は本作の特徴とも言える攻撃方法で、周囲の物体を持ち上げて敵に投げつけるという、皆が想像する通りのもの。映写機を持ち上げても、そのまま映像を投影し続けているというように、物に対するこだわりが細かいのが印象的でした。

 今回体験したビルドでは、スキル強化もある程度進んでいたため、超能力による攻撃はかなり強く感じました。自在に空間を移動できる”空中浮遊”の能力と併せて、まさにスーパーパワーを身につけた人物としての存在感を感じられるでしょう。


  • ▲プロジェクターを持ち上げると、浮かんでいるプロジェクターの向きに合わせて投影されている映像も傾く。オブジェクトの1つ1つまで丁寧に作られていることがわかります。

 前述したようにこれらの能力や武器は強化して、性能を高めることも可能なようです。項目が多いため、どの強化から行うかはプレイヤーによって大きく異なるでしょう。

 なかには武器強化のために素材が必要な物もあり、隠された場所の探索などのチャレンジ要素もあるかもしれません。より強い力を使えればプレイの爽快感も増すと思いますし、すみずみまで探索して強力な力を振るってみたい欲求に駆られます。


 敵として登場するヒスに乗っ取られた職員や、黒い影みたいな姿をしている生物なのかすら定かではない謎の存在なども、奇妙な存在感を放っていました。このあたりの見せ方はまさにRemedyといった感じで、同スタジオの過去作をプレイした方は、世界としての統一感のようなものを感じ取れるかと思います。

 マップ内を探索すると、物語背景をうかがい知れるログなどを回収できるとのことで、物語に興味がある人間にとってはとてもやりがいがありそうです。なお、移動に関してはファストトラベルもありますし、”空中浮遊”の能力があるおかげで、ストレスは感じませんでした。

  • ▲今回のデモのボスは、謎な物体で構成された球体のようなものでした。この正体についても明らかになるのでしょうか。

  • ▲舞台となる世界も、現実と異世界が交じり合ったような、独自の奇妙な世界が描かれています。

 ほんの20分ほどのプレイではありましたが、アクションの手触りの良さ、破壊表現の細かさを十二分に堪能できました。さらに、都市伝説のような、微妙に現実感のある奇妙な世界観というRemedyの真骨頂とも言える魅力の一旦を感じました。『Alan Wake』のファンはもちろん、奇妙な世界観が好きな人は注目です!

超能力は魔法ではない! 現実感を重視したRemedy社のゲーム作りのこだわりとは

――まず、本作の大まかな物語をお聞かせください。

トーマス:プレイヤーはジェシー・フェイデンとして、ニューヨークにあるオールデスト・ハウスという場所に到着します。ここはFBC(連邦操作局)という組織の本部なのですが、ここに彼女が人生をかけて追い求めていた弟がいることは、まだこの時点では知りません。

 彼女が到着してわかったことは、異次元の存在である“ヒス”というものがこの建物を侵略していて、職員を殺してしまったり、乗っ取ってしまったりしているということです。また、監督官であったトレンチという人物も殺害されており、ジェシーは儀式を経ることで新しい監督官として就任します。ここまでは、第一のミッションで展開されることです。

――この作品を作る際、物語と超能力を使って敵を倒すというゲームプレイ、どちらが先にアイデアとして浮かんだのでしょうか?

トーマス:最初に、超能力や超自然的なものを調査する組織がある、という設定から始まりました。これは過去の作品とは異なる点なのですが、これまではスクリプトや物語の展開のしかたに沿って、直線的に物語が展開していました。

 ですが、今回はサンドボックスゲームのような形で展開していきます。レールに沿った展開ではなく、オープンワールドのような形にしたかったのです。これまでの作品と違う分、困難な作業ではありましたね。

 また、私たちは早い段階でジェシーが超能力を使うことが大切だと考えたので、銃だけで物事を進めるのではなく、超能力と併せて進めるようにバランスを取っています。

――オープンワールドという言葉が出ましたが、物語を進めるためにはストーリーミッションを中心にプレイすればいいのでしょうか?

トーマス:その通りです。ただ、我々としては本作を“オープンワールド”と呼ぶことは避けるようにしています。オープンワールドと聞くと、広大な世界をイメージしてしまいますよね。本作はもっとコンパクトな世界に集約されているため、適切な表現ではありません。なので、メトロイドヴァニア系という用語を使っています。

 メインミッションのほかにサブクエストが豊富に用意されているという形は、さまざまなゲームで取り入れられていますが、私たちとしてはプレイヤーが物語をある一定のところまでやり終えた段階で、自分たちの物語をプレイヤーが選べることが大切だと考えています。

 さまざまなドキュメントやオーディオ、過去の調査ログといったものを、プレイヤーが探していくことが、本作で起こっている事件を知るためには重要なのです。なのでサイドミッションでは、新たな事実を発見する過程が描かれるようになっています。例えば、職員に何が起きたのか、ということなどですね。

 核心となるのは、プレイヤーに高い自由度を与えるというところで、どのようにプレイするかはプレイヤーに委ねられている、というのが本作の作りになっています。

――では、プレイヤーの行動によって結果が変わる要素などもあるのでしょうか?

トーマス:物語の終わり方自体は同じです。ストーリー自体は変わらないのですが、その中で他のキャラクターやFBCについて、どれくらい真相に迫れるかというのは、プレイの仕方によって変わってきます。なのでプレイの仕方によっては、何が起こっていたのかわからないまま、物語が終わってしまうということもあるでしょう。

――今回の試遊ではマップがすべて解放されていましたが、最初からすべて行くことができるのでしょうか?

トーマス:マップの全貌自体は最初から見ることができるので、どのくらいマップが大きいのかという部分は知ることができます。ですが、実際にその場所に行ってみるまでは何があるかはわからないようになっています。実際に赴くことで、何があるのかがマップに表示されていく仕組みですね。

――先行で発売されている英語版をプレイした感想などを見ていると、「SCP(※)っぽい」という声を聞くことがあるのですが、それについては影響を受けているのでしょうか?

 ※SCP(Special Containment Procedures)財団と呼ばれる架空の組織、およびその組織が収集・管理している怪奇現象を引き起こす生物や物品を題材にしたサイト。架空神話として名高い”クトゥルフ神話”の都市伝説版のようなもの。

トーマス:影響がまったくないとは言いませんが、より影響を受けているのはアメリカの作家のジェフ・ヴァンダーミールですね。彼の書いた『サザンリーチ・トリロジー』というシリーズがありますが、クリエイトディレクターのサム・レイクやゲームディレクターのミカエル・カスリネンがよく読んでいて、強く影響を受けているそうです。

 ミカエルは『ダークソウル』も非常に愛好しておりますし、どのようにして戦うかを考えるという点も、この作品から影響を受けて考えています。

――ジェシーは超能力によってさまざまなオブジェクトを投げて攻撃できますが、投げつける物によってダメージや当たり判定の大きさなどは変化するのでしょうか?

トーマス:はい。投げる物によって、またはその物の物理的特性によってダメージなどが変化します。サイズは大まかに3つに分かれていて、小さい物は机の上のビンなどが該当します。中サイズでは小型作業車のようなもの。そしてさらに大きなものも投げつけられるようになっています。

――プレイに慣れてくると、そのときどきで適切なサイズの物を投げるという戦術が可能になると。

トーマス:そうです。プレイにおいてもプレイヤーに選択肢を与えて、コントロールする権利を持つという点に重きを置いているわけです。能力を強化すればより重い物も投げられるようになりますが、超能力を向上させることに重きを置くのか、武器のカスタマイズに重きをおくのかという点もプレイヤーしだいになります。

 武器によってはチャージが必要なものもあるため、武器と超能力のバランスをどう取っていくのかが重要です。強化とカスタマイズをどのようにするか、悩ましいところだと思います。

――さまざまなスキルやアップグレードがありましたが、最終的にすべてのアップグレードを習得することは可能ですか?

トーマス:まず、アビリティポイントを得る方法としては、ミッションのクリアや探索などがあります。十分な数が用意されているため、最終的にすべてのアップグレードを行うことは可能です。

 ただ、プレイスタイルに応じて、何を優先すべきかはプレイヤーが選んで頂ければと思います。すべての能力が最初から用意されているわけではなく、ある程度まで行くと隠れたサイドミッションなどをこなす必要もあります。物語を進めることで増える能力などもありますし、どのタイミングでどう強化するのかを考えねばなりません。

 海外で人気があるのは”シーズ”(国内版では“洗脳”)という能力ですね。敵を自分のために働くよう洗脳するというものです。最初の段階ではすぐには洗脳できないのですが、アップグレードをすることで、洗脳までにかかる時間を短縮できます。即座に同士討ちを仕向けられるようになるわけですね。自分のプレイにおいて何が重要かを見極め、選択することが重要になるでしょう。

――プロジェクターを超能力で持ち上げたとき、浮いている最中でも映像が壁に移され続けるなど細かい作り込みを見ることができました。ほかにも作り込んでいる部分や、こだわった部分などを教えてください。

トーマス:プレイ中にはあまり気付かないかもしれませんが、破壊表現に関してはとてもこだわっており、注意して見ないとわからないようなところまで作り込んでいます。3年かけて開発してきたのですが、その中で技術的にも変化してきました。物理システムやアニメーション、AIの分野など、さまざまな要素が進化してきています。

 私たちは独自のエンジンを使っているのですが、その技術が挑戦的なものでもありましたね。サンドボックスやメトロイドヴァニア的な作りを目指すこと自体、困難だったと言えます。プレイヤーにとっては関係のない話で、楽しんでプレイしてもらえればそれでいいのですが、開発会社としては新しい技術に対応していかなければならなかったです。

――超能力をゲームで表現する際、ビームを出したり、雷を出したりとエフェクト的に派手にすることもできると思いますが、本作はシンプルなサイコキネシスが中心になっています。そういった方向に決めた要因とはどんなところにあるのでしょうか?

トーマス:Remedy社の作品にとって重要なのは、すべてにおいて“現実感がある”ということです。超常現象ではあるものの、決して魔法ではないんです。

 本作だけでなく『Quantum Break』もそうですが、実際にあってもおかしくないような現実感というものを重視していて、本作に出てくる超能力についても、テーブルの上のボトルが振動するなど、そういった力場のようなものを考えて、見せていきたいと思いました。

 なので、本作の中で起こることがきちんと統一感を持っているということが重要だということですね。ビジュアルもそうですし、破壊表現においても同じです。超能力が使われて、建物がどんどん変容していく場面など、すべてがある一定の統一感を持たせたなかで起こっているようにしたかったんです。テクニカルエンジニアと技術交換をして、ビジュアルエフェクトについても素晴らしいものを作ることができました。

――グラフィックもかなり綺麗ですが、フォトモードなどは実装されますか?

トーマス:現在開発中です。おそらく日本語字幕対応版発売までには実装されていると思うので、日本の方々は発売と同時に楽しめると思います。期待していてください!

――本作に小島秀夫監督が声優として起用されているとのことですが、このコラボレーションが実現した経緯をお聞かせください。

トーマス:まず、私たちは小島監督の製作されるゲームがとても好きだということ。そして、我々の作品を小島監督が気に入ってくれて、少し奇妙であったり、本筋と離れた細かい部分であったり、そういう部分に共鳴してくださった部分もあると思います。

 今年の1月にRemedy社を小島監督とコジマプロダクションの方々が訪問されたときに、もう一歩関係を進められないかなと思い相談させて頂いたところ、ご快諾頂いたという経緯があります。お互い尊敬しあっていたことから生まれた関係だと思うのですが、"互いに協力することで新たなものが生み出される"というところがこの業界のいいところだと思います。

――『CONTROL』を心待ちにしているファンや、本作をまだ知らない人に向けてメッセージをお願いします。

トーマス:ご存知かもしれませんが、『CONTROL』と『Alan Wake』は世界観を共にしています。なので、Remedy社の作品を楽しんで頂いている方々には、本作をさらに楽しんで頂けると思いますし、そうでない新しいプレイヤーの方にも楽しんでもらえると思います。

 ゲームプレイはもちろん、ストーリー部分も魅力ですので、そちらもぜひよろしくお願いします。本作はこれまでのRemedy社の作品の到達点のような位置づけでもあります。

※今回プレイしたROMはプレイレビュー用データであり、製品版の内容とは異なります。
※ゲーム内の日本語テキストはローカライズ対応中の仮のものです。
※製品版では日本語字幕のほか、看板にも日本語訳が表示されます。

Developed by Remedy Entertainment, Plc. Published by 505 Games. Licensed to and published in Japan by Marvelous Inc. The Remedy logo and Northlight are trademarks of Remedy Entertainment Oyj, registered in the U.S. and other countries. Control is a trademark of Remedy Entertainment Oyj. 505 Games and the 505 Games logo are trademarks of 505 Games SpA, and may be registered in the United States and other countries. All other marks and trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.