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探索ゲーの新作『黄昏ニ眠ル街』レビュー。迷子になりながら地図を広げるのが楽しい良ゲー【電撃インディー#225】

江波戸るく
公開日時

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、PLAYISMより4月28日にPS4、Nintendo Switchでリリースされる3Dアドベンチャー『黄昏ニ眠ル街』のレビューをお届けします。

 電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!


※4月27日現在、PSストアでは“欲しいリストに追加”のみ可能。
※本記事ではSwitch版を使用しています。
※Steam版は配信中です。

黄昏に閉ざされた東洋風の街。ゲームオーバーはないので気軽に探索できる!

 「何か良いゲームないかな」と探している時に、好み直球なイメージビジュアルを見かけると「このゲーム、やりたい……!」となりがちな筆者。ある日、新着のゲーム情報を眺めていて目に留まったのが、この『黄昏ニ眠ル街』でした。

 イメージビジュアルに描かれた少女と可愛らしい生き物、そして背景に広がる東洋風の街。本作の制作者であるnocras氏が描かれる世界観の美しさが強く印象に残り、プレイしたいタイトルの候補にすぐに入った作品となります。

 物語は、主人公である少女・ユクモが、東の最果てであるトウエンを目指して、飛行船で旅をしているところから始まります。海上をすいすいと進む飛行船を操作していると、こういった形で自由に旅ができていいなあ……という気持ちになりますね。流れていく風景を見ているだけで楽しいです。

 しかし、順調そうに見えた旅路が一転。本作の舞台である東洋の街に到着した直後、なぜか飛行船が故障してしまいます。墜落の危機からどうにか逃れたユクモが辿り着いたのは、謎の霧に包まれた静寂の街でした。



 飛行船を降り、街に入ったユクモの前に“ネズ族のコガラ”と名乗る小さな住人が現れます。彼曰く、故障してしまった飛行船は“大地の源”というものを集めれば直せるはず、とのこと。修理のための目安として90、という数字が提示されます。

 飛行船が飛べなければ、この街を発つことはできません。散らばっているそれを集めるべく、ユクモが探索を開始する……というのが、本作の導入となります。

  • ▲ちなみに、ネズ族にうっかりぶつかると「うわぁ~」という感じで倒れてしまいます。造りが細かいなぁ、と感じられて好きな部分ではあるのですが、起き上がる姿を見てちょっぴり罪悪感が。ごめんよ……!

 そんな街を探索しながらユクモが集めることになる“大地の源”ですが、エリアの端っこに埋められていたり、危険すぎる足場の先に浮いていたり、藪の中にしれっと紛れていたりと、さまざまな場所に散っています。ネズ族のお願いを聞いてあげると貰えることも。


 中には、見えているのにどう考えてもユクモの通常のジャンプでは届かず「あれ、どうやって取るんだろう?」となるものもあります。そういったものは後述の試練を乗り越える段階で取れるようになりますが、どこにあったか忘れてしまい、街をぐるぐると駆け回ることもありました。

 ですが、そのような“迷子”になっても楽しいのが、本作の魅力の1つなのだと感じました。一度通ったところでも、改めて見回しながら探索すると新しい発見があったりもするので、じっくりと楽しみたいですね。

 なお、本作にはゲームオーバーが存在せず、ユクモにHPなどのステータス設定もありません。

 どれだけ高所から落ちても大丈夫なので、絶景ポイントから街に向かって全力でジャンプ! といった遊びもできます。撮影モードで自分なりのベストショットを探すのも一興ですね。Twitterには専用のハッシュタグも設けられています。

 ただし、川や海などに落ちると一定の場所まで戻されてしまうので、足場にはご注意を! ですが、所持しているお金が減ってしまう……というようなデメリットはないので、果敢かつ自由に探索できます。

絵画の中のような街。霧の先に待つものは

 黄昏の霧が謎を包み隠すような不思議な街は、ユクモが“神木の聖域”という場所で試練を乗り越え、解放することで霧が晴れていきます。

 試練、といっても戦闘があるわけではなく、浮遊する足場をタイミングよく飛び移ったり、見えない壁が行く手を阻む迷路を進んだりと、バリエーションに富んだギミックを越えていく形になります。


 ちなみに、街のあちこちに落ちている“おカネ”を集めて払うと、その試練をスキップすることもできます。アクションがあまり得意ではない人でもクリアを目指せるので、ありがたい仕様ですね。

 親切な部分があると逆に、自力で突破してみせる! と勇敢に挑みたくなるのですが、筆者は計60回近く水に落ちました(笑)。おカネは大事ですが、使える時は使っていきましょう。



 霧が晴れると(作中では復旧、と表現されています)、行ける場所が増えるほか、時間が移り変わるようになります。

 昼と夜だけでなく、その境界の時間帯である夕方と明け方の街も美しく、同じ場所から見ていても時間が異なるとまた違った印象を受けます。撮影スポットを探して走り回っているだけで時間が溶けてしまいました。



 霧と静けさに包まれた風景もそれはそれで趣がありましたが、本来の活気を取り戻し、移ろう時間の中に佇む街も魅力的です。東洋風、というところでどこか身近な感じがするのかもしれませんが、広がる景色にはほんのりと郷愁すら覚えます。

  • ▲学園にいたネズ族と一緒に一枚。さらっとなかなかにコミカルな(?)台詞を言っているので、ぜひ自身の目で確認してみてください。

 東洋風の街を気ままに探索できる『黄昏ニ眠ル街』。あなたもユクモと一緒に、ちょっとした冒険に出てみませんか?

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