ポストアポカリプスな都市開発シム『Before We Leave』。宇宙をも超えるスケールがスゴイ【海外ゲーム名作案内】

柏又
公開日時

 海外ゲーム大好きな担当ライターが実際にプレイして気に入ったタイトルを紹介する“海外ゲーム名作案内”コーナー。今回は、TEAM 17 DIGITALより好評発売中のPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Windowsソフト『Before We Leave』をとり上げます。


 本作は、文明滅亡後の世界で都市開発を行うシミュレーションゲームです。プレイヤーは文明崩壊の原因が忘れ去られるほどの間、地下のシェルターへ避難していた人類“ピープ”を指導して新たな文明を築き上げるのが目的です。

 都市開発は六角形のマス目ヘックスで分けられたマップ上で行います。近くだと平面に見えるマップが遠くから見ると球体になるというビジュアルが印象的ですね。それでは、独特な世界観でスケールの壮大な都市開発が可能な本作の魅力を解説していきます。

 なお、プレイはPS5版です。

ポストアポカリプスだけど悲壮感やグロさはない、希望に満ちた世界観が特徴的

 先に述べたとおり、本作は崩壊した地上の文明を立て直す都市開発シミュレーションです。文明の崩壊した世界と聞くとなにやらサバイバル感が出てきますが、ゲーム自体はそこまで厳しいわけではありません。

 資源を採掘する先が崩壊した都市など文明の残骸だったり、航海しているとところどころに座礁した船の墓場があったりとビジュアルには文明崩壊後の雰囲気がありますが、あくまでフレーバー的な意味合いでそれをもとに開発を進めていく感じですね。

 光景や出来事を目の当たりにしての悲壮感ではなく、それらを糧として再び人類の領域を広げていくわくわく感があるのが本作独特の世界観だと思います。

限られた土地を効率よく開発していくヘックスマップがおもしろい

 本作のマップはヘックスで区切られていて、住人の家や生産設備といった建物はもちろん、それらをつなぐ道路をしく場合にもマス目を確保する必要があります。

 このゲームでは、すべての建物は道路に隣接してなければ建てられないというルールがあるため、開発を進めていくと建物を建てる場所を確保しながら道路をしかなければならない、というジレンマに陥るころでしょう。マップ上で建物の建てられる陸地は限られているのでプレイヤーの手腕が問われるところです。

 また、陸地の気候によっては地盤が軟弱で大きくて重い建物が建てられない、乾燥していて緑地だけしか食料や水を生産する設備が設置できないなどの制約が発生します。

 本作には限られた陸地を効率よく開発し、食料や各種資源の生産を高めていく独特の難しさ、そしておもしろさがあると筆者は思いました。

生き残るだけなら難しくない、ほどよいゲームバランス

 “ポストアポカリプスもの”というとサバイバルが付きものなタイトルは多いですが、本作では住人を生かすだけならほとんど苦労はいりません。

 世界の住人であるピープは、食料と水、そして住居を必要としますが、住居そのものがすこしずつ食料を水を生産しますし、食料が不足しても住人は必要な食料を受け取るまで働かなくなるだけ。そのため、開発をミスしてもあとからとりもどせるでしょう。

 プレイヤーはおもに中盤以降に発生する、開発による汚染や労働によって下がる住人の幸福度や定期的に都市を襲撃してくる“宇宙クジラ”への対応に頭を悩まされるでしょう。特に住人の幸福度は低下の原因を探らなくてはならないので苦労すると思います。

 本作のゲームバランスは崩壊から逃れるのではなく、いかに発展していくかに重点が置かれていて、それゆえに初心者でも親しみやすい調整になっていると感じました。

海を、そして宇宙を越えて生活圏を広げていくロマンあふれるシステム

 ゲームを進めるうちに開発できる範囲がダイナミックに広がっていく要素は、本作最大の魅力と言えるでしょう。ゲーム開始時にプレイヤーが見えているのは、最初に入植した陸地のみで他のエリアは表示されない状態となっています。

 開発を進めると最初の陸地にある船の残骸を修理して移民船に作り替え、他の陸地を目指すことができます。乗り込んだ船が動くたびにその周辺のエリアが新たに表示されていく様子は、いかにも未知の領域を探索している雰囲気があってたまりません。

 新たに入植した陸地には港を建設して交易船を用意することで資源のやり取りができます。交易はプレイヤーが手動で荷物を積み下ろしする他、両方の陸地で不足するものがあれば航路と貨物を設定して自動で船を動かすことが可能です。

 さらに、ゲームを進めると宇宙船を修復して他の惑星へ入植することさえ可能となります。惑星間でも宇宙港を建設することで交易可能。ゲーム開始時に設定した惑星の数だけ増えていく、スケールの大きい開発こそ本作のだいご味といえるでしょう。

 そして移民システムには、このタイプの開発シミュレーションにありがちな“ある程度開発が進むとゲームプレイが中だるみする”ことを防ぐ利点があると筆者は考えています。

 移民先の開拓は、船に積み込まれた人員と資源の範囲内で行う必要があります。もちろん移住先には何もないので建築もいちからスタートです。惑星間移民の場合は、持ち込んだ資源で開発に必須となる“道具”の生産体制を整えることが求められます。

 つまり本作のプレイヤーは移民を行うたびに、ゲーム序盤のやたら忙しい段階をおなじ世界のなかで繰り返し体験できるというわけです。開発規模は拡大つつも、緊張感のあるプレイが楽しめるというのはうまくできたシステムだと思います。

建設シム初心者のほか、長くゲームを遊んでいたい人にオススメ!

 序盤からプレイヤーに厳しくなく、かつ失敗してもリカバリ可能な本作のゲームバランスは、都市開発シミュレーションが初めての人でもオススメのバランスといえるでしょう。価格もお手頃なところもピッタリだと思います。さらに、チュートリアルでゲームの要素はほとんど学べるのもありがたいところです。

 また、新天地への開拓を繰り返す本作のシステムは、適度な緊張をプレイに挟みつつ長い期間ゲームを楽しめるため、1つのタイトルで長い間遊んでいたいという人にうってつけと言えると思います。

 逆に、ポストアポカリプスもののハードな内容を求めている人は肩透かしの印象を受けてしまうかもしれません。

 上記の内容を頭に入れておけばプレイヤーの間口が広く、お得に楽しめる都市開発シミュレーションとしてオススメしたい作品です。

Before We Leave © 2022 @ ™ Balancing Monkey Games Ltd. Published by Team17. Team17 is a trademark or registered trademark of Team17 Digital Limited. All other trademarks, copyrights and logos are property of their respective owners.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら