新作アクションRPG『エヌ・イノセンス』先行レビュー。古今東西の神様たちがド迫力のバトルを繰り広げる!

原常樹
公開日時

 アソビモが手がける新作スマートフォン用アプリ『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』がいよいよ4月20日にサービス開始! 神《シン》感覚“連携”アクションRPGという気になる看板を引っ提げてスタートする同アプリの魅力を、先行プレイレビューしちゃいます。

アクションRPGでありながら格闘ゲームのような熱いバトル!

 ……さて突然ですが、みなさん、格闘ゲームはお好きですか?

 かくいう筆者は、中学・高校時代はひたすらゲームセンターに通い、学校から出される課題もそっちのけで格闘ゲームの研究と修練に明け暮れるという青春時代を送りました。

 それから約25年。今でも格闘ゲームというジャンルは大好きなんですが、動体視力の衰えも著しく格闘ゲームを遊んでも操作しているキャラクターが何をしているのか把握するだけでも困難な状況に。

 ああ、大会に赴いて全国各地の猛者たちと腕を競った日々も過去のことか……。そんな郷愁にとらわれていた筆者が思わず目を輝かせたのがこちらの『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』。アクションRPGでありながらバトルシステムが特徴的で、これでもかというぐらいに“格闘ゲーム”のエッセンスが盛り込まれています。

 こちらがバトル画面なんですが、インターフェイスを見ただけでも“えっ、RPG? 格闘ゲームじゃなくて?”と言いたくなります。そしてキャラクターもとても個性的。

 本作で戦うのは地球の人々の想像や空想、伝承や夢の中にいる神様のような存在“アバター”たち。プレイヤーは、そんなアバターで4人編成のチームを作り(3人のアバターとサポート役のアバター1人)、敵に立ち向かうというのが本作の戦闘のキモ。

 シナリオ&経緯については後述しますが、プレイヤーはいわゆる神様たちを自在に操り、敵をガンガン討伐していくことになります。古今東西の神様をアバターとして自由自在に操れると……いやー、それだけでもなんだか心の奥底にたゆたう厨二心をくすぐられるものがありますよね。

 アバターは画面をフリックすることで移動させられ、タップすることで攻撃を繰り出します。

 こう書くと難しそうに感じるかもしれませんが、何度もタップするだけで自動で連続攻撃(コンボ)が繰り出せるので、心を無にして画面を触りまくるだけでも“玄人っぽい動き”ができちゃいます。

 これがもう身構える必要もないぐらい、簡単な操作でOK! なんならおやつをつまみながらでも片手で華麗な連続攻撃を決められます。

 攻撃の最中には別のアバターとスイッチ(切り替えるタイミングはかなり自由!)することもできるので、コンボが一区切りついたところで次のアバターに交代することで絶え間なくラッシュを仕掛けることもできます。

 キャラクターを交代しながらチームで間断なくコンボを繋いでいく──こういったシステムは古くから格闘ゲームのシーンでは取り入れられてきたので、筆者個人的にはかなりなつかしさを覚えたシステムでもあります。

 ただ、懐かしさよりも先に来るのはなんといっても爽快さでしょうか。操作感もイージーなのでアクションゲームに自信がないというプレイヤーでもその魅力を存分に味わえると思います。

 圧倒的手数のコンボを繰り出すのが楽しい『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』ですが、敵もひたすら攻撃を受けるだけのデクではありません。

 こちらの攻撃に対してものけぞらずに果敢に攻撃を仕掛けてきますし、逆にこちらが反撃で吹っ飛ばされることもあるでしょう。つまり冷静に敵を観察しつつ、反撃をうまくいなしながら戦うのが理想というわけですね。

 こう書いてしまうと一気にハードルが上がったように感じそうですが、心配はご無用。少なくとも序盤はアバターのレベルを上げればノーガードで敵を圧倒することができます。

 また、本作ではすべての敵味方が5つの属性に分類され、それぞれに有利不利がある相克の関係性になっているので、このシステムを有効活用するという手もあります。

 こういった編成の練り込みやレベリングで難局を打開することができるという点も含め、“アクション”と“RPG”のバランスがうまく取られているように筆者は感じました。

  • ▲いわゆる超必殺技的な存在である“神威(シンイ)”を使うとカットインが入ります。ゲージもたまりやすい印象なので、ガンガン撃てるのも魅力のひとつ。

物語が始まって早々、命を狙われる!?

 『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』のバトルが魅力的だ……と熱く語ってまいりましたが、それはそれとして、エネミーと戦っているアバターとはどんな存在なのか?

 そもそもなぜ戦っているのか? おそらく疑問に思われる方も多いでしょう。こちらについてはメインストーリーでしっかりと描かれています。

 本作のメインストーリーは、主人公がいきなり謎の少女・ネイと機械のような生命体・エルに襲われるシーンから幕を開けます。

 始まって早々命を狙われるというのも随分とシビアな展開ですが、そのままバッドエンド……にはなりません。白いスーツをまとった少女・ニアと、エルといかにも因縁がありそうな生命体・トラが窮地に駆けつけ、ネイの凶刃から主人公を守ります。

 実はオープニングの舞台となっているのは、地球とは異なる位相に存在する異空間(スキーム)。スキームは地球の人々の想像や空想、伝承や夢を世界として内包しており、ここで起こった出来事によって“人類の在り方”そのものが左右されるような人類と表裏一体の場所です。

 本来なら人間がやってこられるような場所ではないのですが、主人公は特別。主人公には運命に介入し、それを改変する力が備わっているようで、その力が要因となってスキームに迷い込んでしまい、そこをネイに見つかってしまったと……。

 そんな運命に介入する力を持った主人公を、ニアたちは“変革者(アルター)”と呼んで守ろうとし、逆にネイたちは“情報異常体(アノマリー)”と呼び排除しようとします。簡単にまとめると、運命に介入できる力を持った主人公をめぐってニアとネイが激しくぶつかりあっているという感じですね。

 主人公に秘められた力の全容は定かではありませんが、片鱗だけでも絶大。彼は光の柱(ゲート)の中から“神”と呼ばれる存在を召喚してみせます。

 雷神トールをはじめとする3体の神の圧倒的な力でネイの呼び出したエネミーを粉砕するも、そのまま力を暴走させた主人公は辺りの空間を崩壊させてしまいます。

 すんでのところでニアとトラに救われた主人公は、彼女たちの活動拠点・カダスで目を覚まします。まだまだ多くの事柄が謎に包まれていますが、主人公はニアたちに力を貸してスキームの中にある世界を巡りつつ、地球に帰る方法を探ることになりました。

 スキームの中にある世界は、地球の人々の想像や空想、伝承や夢を世界として内包しているので、我々がよく知っている神様たちもいっぱい登場します。

 いえ、むしろ我々が認知しているからこそ、スキームの世界にも存在できているんでしょうか……? このあたりは突き詰めると難しい話になりそうですが、ひとまずは“おなじみの神様たちが存在する、数多の世界をめぐるお話”と捉えて問題なさそうです。

第一章の舞台は“北欧神話”の世界

 第一章の舞台となるのは“北欧神話”の世界。

 ノルウェーやスウェーデン、デンマーク、アイスランドといった国々に古くから伝わっているものの総称こそが“北欧神話”であり、先ほど登場した雷神トールもこの神話に登場する神様です。

 近年ではトールをモチーフにしたアメコミ作品でも活躍し、一般的な知名度もかなり高いはず。

  • ▲巨大な槌を振り回す筋骨隆々な神様というイメージの強いトールですが、本作のトールはなんともキュートな感じ。釘宮理恵さんのお芝居がこれまたクセになるかわいらしさで……。

 『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』での“北欧神話”の世界は原典の流れを汲みつつ、そこに近未来調のアレンジを加えるということで独特の世界を形作っています。

 第一章の舞台となる9つの世界の中心・アスガルドを治めているのは未来を見通す目を持つという神王・オーディン。トールもそんな父・オーディンに協力しつつ、9つの世界を駆け巡りながら反乱分子の鎮圧に動いていたようで。ここ100年はヨトゥンヘイムの巨人族の王・スリュムの討伐を命じられ、追いかけまわしているといいます。

 オーディンは戦死した英雄の魂(エインヘリヤル)を集めて不滅の戦士として育てていました。ちなみにエインヘリヤルの候補に挙がった英雄たちにはヴァルキュリア九姉妹が赴き、その旨を伝えているようです。

 逆に言えば、エインヘリヤルに選ばれるということは“自らが戦死する”という未来をオーディンに見通されたということ。なんとも残酷な話ですね。

 鍛冶師レギンの息子・ジークフリートも、ヴァルキュリア九姉妹の八女・ロスヴァイセからエインヘリヤルに選ばれたことを告げられますが、彼は“遺された家族に悲しみを背負わせたくない、つまり死ぬわけにはいかない”とその運命を拒みます。

 オーディンの予言では、伯父であるファーヴニルと戦って相討ちになる運命だと出たようですが……。オーディンの予言は外れないといいますが、ロスヴァイセは無理に介入することなく、ジークフリートを見守る姿勢を貫きます。

  • ▲神の武器(アルヴィス)である腕輪・アンドヴァラナウトの呪いによって、不死身かつ無差別に周囲の生命力を奪ってしまうファーヴニル。彼もまた、ヴァルキュリア九姉妹のグリムゲルデからエインヘリヤルに選ばれたということを聞かされていました。

 神話の世界にやってきたニアたちは、さっそくジークフリート&ロスヴァイセに出会います。エインヘリヤルを始め、独特の秩序を持つこの世界にとって、どういった行動を取ることが最良なのかわからないまま彼らに同行するのですが……。

 表向きは穏やかな“北欧神話”の世界ですが、物語が進むと少しずつ隠された真実が明るみになってきます。

 その発端となったのは、北欧神話の誇るトリックスター・ロキの反逆でした。トールの弟であり、アスガルドの神としてふるまっていたロキですが、実はトールが追い続けていたスリュムは彼の魔術によって生み出された架空の存在。100年ものあいだ、彼はずっとロキに翻弄されていたことになります。

 そして、ファーヴニルに腕輪・アンドヴァラナウトを渡して呪いをかけたのもまたロキ。暗躍を続け、アスガルドに反旗を翻した彼ですが、トールは彼が漏らした“エインヘリヤルの真実を見よ”という言葉に引っかかりを覚えていました。

 さらにはジークフリートの父・ジークムントがエインヘリヤルの候補だったという事実や、オーディンに対する反逆でアスガルドを追われたヴァルキュリア九姉妹の長女・ブリュンヒルデが記憶を失ってジークフリートとともに暮らしていること、さまざまな事象が交錯して物語はドンドン加速していきます。

 第一章の中心軸になっているのがジークフリートが“オーディンによる予言”という運命を受け入れるか否かということ。神に定められた運命があるとして、それを素直に受け入れるのが本当に正しいことなのか……と命題が投げかけれます。

 実はこれは、救えるものがあるとしたら各世界に介入してでも運命を切り拓こうとしているニアと、世界の運命に勝手に入り込むべきではないというネイの対立構造にもつながるものがあるんですよね。簡単に答えが出るものではありません。

 こんな感じで『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』のシナリオが内包するテーマはヘビーなのですが、それでも第一章はあくまで上澄みの部分。“北欧神話”に関する物語は、まだまだ今後の章でしっかりと描かれる形になりそうです。

 専門用語が多めに登場するものの、ストーリーは難解という感じがありません。登場人物を絞っていること、またキャラクターの個性づけや関係性の構築が入念になされていることによってうまく調整されているイメージです。

 もちろん、神話に関する知識があるユーザーであれば、“この作品ではこういう落とし込み方をされているのか!”という発見もあるので、楽しみ方も広がることでしょう。

  • ▲主人公たちはその後も世界を転々としていきます。第二章のテーマとなるのは“日本神話”。しかし、その世界観は純和風ではなくサイバーなテイストが強め。登場する神々も妙に等身大な感じです。

アバター育成はやり込み要素がてんこ盛り!

 シナリオに登場するのは老若男女問わずに魅力的な神々。自然と愛着も強く湧きますし、ガチャでアバターとして入手できたら育成もしっかりしたくなりますよね……。

 『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』はRPGの要素も強いため、アバターの育成においてはやり込み甲斐があります。具体的に挙げていくと……。

アバターLV

 純粋なステータスに直結するレベル。クエストなどで手に入る“ファクター”を消費することで上げられる。

進化LV

 アバターLVの上限。クエストなどで手に入る“マイクロモジュール”を消費することで上げられる。

神力解放

 レアリティ。上げることでステータスが上がるだけでなく、コンボ・タイプやコンボ・アーツなど新しいスキルが解放されることも。各アバターに対応した“メモリー”を消費することで上げられる。

スキル

 アバターの繰り出す攻撃。“エレメント”を消費することで個別にパワーアップさせることができます。

 とにかく育成できる部分が多岐にわたります。さらには各アバターにつけることで能力を向上させる“神装”(ガチャで入手可能)もあるので、ここまで育てると……と頭を抱えたくなりますが、そこは心配ご無用。

 ありがたいことに本作にはオート周回も搭載されているんです!

 オート周回中もCPUはアバターをスイッチしながら安定した戦いを繰り広げてくれますし、周回数をあらかじめ定めることもできます(途中で中止することも可能)。欲を言えば、倍速での周回がほしかったところですが、こちらは今後に期待という感じでしょうか。

 とにもかくにも空いた時間で手軽に周回ができるので、レベリングに関するストレスはだいぶ小さそうです。

 そして、アバターの育成を進めることで、各々の強さがより深く見えてくるのが『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』のすごいところ。

 シンプルにリーチが長いフレイヤ、自身を強化するスキルを使って絶え間なくコンボを繰り出すタケミカヅチなど、“こんなにも違うの!?”と言いたくなるぐらい戦い方がバラバラなことに気づきます。

 サービス開始時点で20キャラ以上のアバターがプレイアブルとなっていますが、長所が明確かつ個性的なアバターが多いので動かしていてシンプルに楽しいんです。

  • ▲設置型のユニークアーツを持つオモイカネ。コンボでガンガン攻めるだけでなく、デコイとなる“ヤタガラスくん”を置くというからめ手を駆使してじっくり戦えるので強敵相手で頼りになりそうです。

 中には格闘ゲーム愛好家にとってはたまらないようなキャラクターもチラホラ散見されます。

 たとえば、こちらのプロメテウス。

 レアリティこそ★1ですが、ユニーク・アーツ“よそ見はいけませんね”を発動すると“受け流しの構え”をとります。このとき攻撃を受けると敵の背後に移動しつつカウンターで一撃。そう、彼は格闘ゲームの分野で俗に言う“当て身技”の使い手なんです。

 コンボによる攻めが基本となるアクションRPGにおいて、当て身技がどこまで実用的なのかは未知数な部分もありますが、うまく使えたらダメージ以上の爽快感を味わえるはず……!

 ほかにも筆者が個人的に心をくすぐられたのがアメノタヂカラオ。

 彼のユニークアーツ“破邪顕正・厄苦祓い”は相手に対する掴み攻撃──つまりは“投げ技”です。掴める範囲が狭い代わりに成功したときに与えるダメージが絶大という、まさにハイリスクハイリターンな必殺技。

 長押しすることで移動しながら投げることもできますが、溜めている最中は無防備なのでこれまた使いどころが難しい……でも、そこがいいんですよね、投げキャラは。

 古来より多くの格闘ゲーマーが傾倒していることからもわかるように“投げキャラ”にはロマンがあります。そして、このアメノタヂカラオにもロマンがあります。敵の至近距離まで突っ込むのはなかなか大変ですが、状況さえ整えばワンタップで大技を繰り出せるというのはこの作品ならではという感じがします。

 ちなみに、アメノタヂカラオもプロメテウス同様にレアリティは★1。入手しやすいアバターの中に一部ピーキーなキャラクターを織り交ぜているというのも“ユーザーに多様なバトルを楽しませたい”という開発チームの心意気を感じる部分でありました。

 ジャンル名に“神《シン》感覚”とつくだけあって、神々の魅力がこれでもかと詰め込まれている『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』。アクションの側面を始め、挑戦的な試みが盛りだくさんなので、ぜひとも一度触ってその爽快感を味わってみてください。

©Asobimo, Inc.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら