名越さんが語るゲームとの向き合い方とグローバルへの挑戦

電撃オンライン
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 “NetEase Gamesゲーム開発者サミット2022”が4月18~21日に開催されています。

 本イベントは、業界のエキスパートが集まり、ビデオゲームの開発や業界での経験について、情報を発信するというもの。

 『龍が如く』や『JUDGE EYES:死神の遺言』のプロデューサーを務めた名越稔洋さん(名越スタジオ代表取締役)が語った、“文化的特性のあるゲームジャンルのグローバル進出について”をレポートします。

 映像内で名越さんは“制作コンセプトと革新”、“ストーリーとゲームプレイのデザイン”、“グローバル化と未来”という3つの視点を語りました。

 なお、画像は映像をキャプチャーしたもの。

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制作コンセプトと革新

 “制作コンセプトと革新”では、2000年ぐらいに入ってから日本のゲーム市場に欧米のゲームがシェアを獲得するようになってきたところからスタート。市場が盛り上がることがうれしかったものの、クオリティやボリュームといった莫大な開発費をかけてくる欧米のゲームに対し危機感を覚えたようです。

 それに対して、開発費で競うのではなく“ユニークさ”を武器に中身で勝負したかったために、『龍が如く』シリーズのような文化的特性のあるゲームジャンルになったと述べました。

 ターゲットを“日本の大人の男性”に絞り、魅力あるものにしようと覚悟決めて制作しましたが、フタを開けてみると若い人や女性に加えて、海外のユーザーにも受け入れられました。

 “おもしろいものを制作する”という覚悟を決めて制作すると、最終的に広く受け入れられることを学んだそうです。

 一方でセールスが伸びてシリーズが進んでいくと、チャレンジャー精神だけでは済まされなくなってきます。新作を出すたびに「ファンから受け入れられるのか?」という心配を抱えていたそうです。こちらに対しては「本質的な感動を大事に一生懸命考えていくことでしか答えを出せないと思う」と述べていました。

ストーリーとゲームプレイのデザイン

 “ストーリーとゲームプレイのデザイン”では、ストーリーのプロット作りに映画の勉強をしてきたことが役に立っているそうです。

 ただ、映画は受動的に感動するものですが、ゲームは能動的に感動するという違いがあります。どんなにおもしろいプロットが完成しても、ゲームを遊ぶうえで向いていないと判断したら、そのプロットを捨てるというこだわりを明かしました。こちらは“ゲームクリエイター”であるため、ゲームプレイを最優先するためです。

 ゲームデザインするうえでは、近年の音楽の構成で、イントロがなくサビから入るようなものが受け入れられていることを参考に。イントロダクションを楽しみ、徐々に本編が盛りあがっていくシナリオではなく、インパクトのある話から始まり、徐々にシナリオを掘り下げていく流れにしたりと、別のジャンルのコンテンツの作られ方をゲームに応用する考えもあると、説明しました。

グローバル化と未来

 “グローバル化と未来”で語ったのは、ゲームへの没入感。技術が上がることでロード時間などゲームのスピード感があがるだけではなく、場面と場面がシームレスになることで感動がスムーズに伝わるようになるためです。

 VRやARやメタバースといったインフラについては、「デバイスそのものが感動させるわけではなく、その手段を使ってどんなことをやるべきなのかを見定めていくことが重要」とコメント。その体験から感動につなげていくことを意識しているとのこと。

 また、グローバル化に向けて、世界各国共通の感動が必ず存在するという持論を述べ、「自分たちが持っている“感性”を一番大事にしたい。そして、世界で売れるためには“これしか方法がない”というものはないと思うので、オリジナリティが高く、ユニークなもので勝負していきたい」と語りました。

 名越さんと名越スタジオはグローバルへの挑戦を前提に物作りをしていることを明かし、サミットは終了となりました。

“NetEase Gamesゲーム開発者サミット2022”の視聴方法

 “NetEase Gamesゲーム開発者サミット2022”は4月18日から21日まで開催され、NetEase Gamesの公式YouTubeアカウントで配信されます。また、NetEase GamesのFacebookとTwitterの公式アカウントでもイベントのハイライトが投稿されるとのこと。

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