『SAOVS』竹内Pに独占インタビュー。目指すのはプレイヤーが主人公の気分を楽しめる3Dアクション

てけおんセスタス原川
公開日時
最終更新

 バンダイナムコエンターテインメントより配信予定・事前登録受付中の新作スマートフォンアプリ『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン(SAOVS)』について、竹内智彦プロデューサーのインタビューをお届けします。

  • ▲竹内智彦プロデューサー

幅広い人が楽しめる『SAO』のアクションゲームを目指して

――本作の制作が始まった経緯をお聞かせください。

 以前、『SAO』のゲームを遊んでいるユーザーさんを対象に調査をしたことがありまして、アクションというジャンルを求めている方が多い傾向はわかっていました。そこで『ソードアート・オンライン メモリー・デフラグ(メモデフ)』とは違うアクション体験を実現できないかということで、本作の制作が動き出しました。

 “プレイヤーが主人公のような体験を味える”というコンセプトは根底にありましたが、どのようなルールでそれを体現するのが最適なのか、今の形に辿り着くまでには紆余曲折がありました。何度も作り直しをして、会社にも何度も違う企画書を提出したのを覚えています。そんな中、アニメ10周年のタイミングが見えてきた時にようやく、提供すべきルールやキャラクターの動かし方、アクションの難易度などが固まっていきました。

 今年(2022年)は、原作でキリトが《ソードアート・オンライン》にログインをしたタイミングです。そこで、ユーザーさん自身が、あの時のキリトのように新しいSAOのゲームにログインする体験を提供できたらと思っています。

――何度も作り直しをして、会社にも何度も違う企画書を提出したということですが、そんな中で変わっていないものはありますか?

 『メモデフ』と異なるアクション体験による住み分けという部分はずっと考えていたことで、3D空間を活かしたアクションということに関しては企画の初期段階から変わっていない部分です。

――開発期間はどのくらいになるのでしょうか?

 開発期間で言うとだいたい3年くらいですね。企画の開始まで遡るともう少し長くなります。

――本作はキービジュアルの作り込みからもこだわりを感じますよね。

 キービジュアルは、“プレイヤーが主人公のような体験を味わう”というコンセプトもあって、キリト単体の絵にしています。顔と剣を大きく描いており、髪の毛や装備の質感も省略せずに描画することにしました。

――キリトの持つ剣《エリュシデータ》には、なにかが映り込んでいるようにも見えますが……?

 剣になにかが映り込んでいるのも……今は話せませんが、しっかりと理由があるので楽しみにしていてください。

 今後のキャンペーンでは、本作のイラストを使ってノベルティも展開していく予定です。普通使いもできるようなデザインを考えていきますので、こちらもご期待ください。

――今の形に辿り着くまでには紆余曲折があったとのことですが、その詳細はどのようなことでしょう?

 いろいろありすぎてすべてはお話しできませんが……コンセプトをどのように体験していただくか、それはどのようなルールで提供するのが良いのか、といった議論をチーム内で何度も行いました。本作がスマートフォン向けのゲームであることを再度意識して、操作が複雑になりすぎないように、かつアクションとしても気持ち良く楽しめるゲームデザインを模索しました。

 また、ゲーム内のキャラクター表現についても大きく改修を入れています。イラストもほぼすべて修正を加えていて、他にもUIやBGMなど、作品全体でも手を加え直した部分は多いです。

 長い期間制作を続けていると、他のゲームのクオリティもどんどん高まっていきますからね。それに見劣りしないためにも、ゲームクオリティはかなり意識しながら制作しています。

――3Dアクションゲームということで、制作時に意識した部分はどこでしょうか?

 3Dであることは本当に大きい部分で、3Dならではの豊富なキャラクター表現が可能になりました。4月2日の生放送でも一部公開しましたが、バトルでは奥行きの概念を生み出すことができています。バトルの開始演出にもこだわっていて、3Dにしたことで色々な角度からキャラクターを見せたり、掛け合い中に直に触れ合う演出なども入れられました。


――バトルでは奥行きの概念があるということですが、そこについて詳しくお聞かせいただけますか?

 ざっくりと言うと、バトルでは距離を意識することが非常に大事になります。キャラによって、それぞれ得意不得意な距離がある形となります。あとは、ボスを正面に捉えて戦うTPS視点は、ユーザーがキリトをはじめ、操作しているキャラクターになりきった形でプレイできます。ボスに自分自身が立ち向かっていく臨場感を体験していただけるように意識しています。

――「操作しているキャラクターになりきった形」ということは、この世界への没入感もありそうですね。そうした部分に期待されている方も多いかと思います。没入感という部分について注意したことはありますか?

 バトル中の没入感は、テンポよくスピード感のあるバトルを楽しんでもらうことで、爽快感と没入感を同時に楽しんでもらうことをイメージして開発を進めました。簡単な操作であるがゆえに、たとえアクションが苦手な方でも気持ちよくキャラクターを動かせるようになっていて“操作している感覚”を必要以上に感じさせないところは没入感にも繋がってくるかと思います。

――バトルの操作部分について、詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

 操作やシステムについては、全体的にわかりやすい形にしようと思っています。敵キャラクターの行動の予兆を見てそれに対応する……という、アクションゲームの基本的な形です。

 また、今回10周年のタイミングに重なることもあり、『SAO』が好きな方から、知っていても今までゲームをプレイしたことがない方など、さまざまな方にプレイしてもらうため、難しい要素を排斥したシステムを目指しました。

――わかりやすい形というのは、具体的にどのようなシステムでしょうか?

 『SAO』の印象的なアクションを突き詰めていくと、根本となるものは3つだと考えました。それは、“剣などの武器を使ったアクション”であること。“ソードスキルを使用して戦う”こと。“仲間と協力するスイッチ”があることの3つです。その辺りを前提としてしっかりと盛り込み、強調することにしました。

 プレイヤー1人あたりが操作できるキャラクターは3人で、スイッチで入れ替えて操作していきます。ソードスキルによる攻撃を、スイッチでキャラを入れ替えて繋いでいく、これを基本の攻撃にしています。最初はここの人数が4人だったり、完全に1人を操作するものだったりもしたのですが、『SAO』のアクションを再現できて、かつゲームの幅と管理のしやすさを考慮した結果3人に落ち着きました。


 これまで開発してきた中では、ジャンプを入れようか? ガードを入れようか? といったように、さまざまな要素の検討をしましたが、ゲームが複雑になりすぎていると感じたので、一旦そこは除外することにしました。今後どうなるのかは現時点では断言できませんが、あくまで現状(2022年4月末時点)では外しています。敵のターゲッティングやカメラ操作もオートで動きます。

 ソードスキルとスイッチについては、攻撃のアクションとして活かすことにしました。この2つの要素だけでも、プレイしていて気持ち良さを感じてもらえる作りです。特にスイッチは、キャラが入れ替わる際に無敵時間が生じるので、防御行動としても有効です。敵の攻撃をギリギリでかわすと“ジャストスイッチ”が発生するので、気持ちよく攻撃ができると思いますよ。

 ただこの辺りは、開発中のテストやインタビューなども予定しているので、そういった生の声も参考にしつつ都度改善をしていけたらと考えています。

――ハードなアクションを求める方もいるかと思いますが、そういった方も楽しめるのでしょうか?

 歯ごたえのあるアクションゲームを求めている方がいらっしゃるのも把握しておりますので、その方々も楽しんでもらえるようなエンドコンテンツを用意する予定です。

 特にPvPの上位層マッチングでは戦略的で奥深いバトルを味わえるようになると思います。PvEでも、まだ構想段階ですが、自身で難易度をカスタマイズでき、腕試しができるようなコンテンツを考えています。また、PvPとPvEでキャラクターの活躍のさせ方が若干変化するようにもしており、モードによって違ったおもしろさを感じられる作りを目指します。

――ボスの難易度はどのような形で差別化していくのでしょうか?

 ただボスのステータスを高くするだけでなく、ボス側が繰り出してくるアクションにバリエーションを設けたり、特殊条件を付与することで難易度を調整しようと考えています。

――PvPはバトルロイヤルということで注目を集めていますね。

 ここについてはまだ多くはお話できませんが、調整を重ねている部分です。他の『SAO』ゲームでもPvPを求められていることは把握していましたが、本作の情報初出後にも期待される声が多く見受けられたので、本格的に開発を進めることにしました。ただ、先ほど言ったように広い層の方に触れてほしかったので、それだけがメインになってしまうことは避けつつ、PvPもPvEも楽しめるようなデザインにするつもりです。

 バトルロイヤルにしたのも理由があります。最初は複数のプレイヤーでチームを組んで戦うルールで議論していたのですが、そうなると活躍具合が相対評価になり、満足度に差が出てしまうことになります。つまり、そのチームのメインとなるプレイヤーとフォローに回ってしまうプレイヤーに分かれてしまうということですね。また、自分がどれだけ頑張っても、チームとしては敗北……といったことも生じてしまいます。

 そうなると、“自分が主人公となって楽しむ”という本作のコンセプトとはズレてしまうと考えました。なので、キャラクターの操作感覚はPvEと変えずに、プレイヤー同士が、個々で戦う形が最適だと考えました。

――キャラクター数はどのくらいになるのでしょう?

 具体的な数についてはまだ言えません。3Dでキャラクターをリッチに作ろうとする影響で、やはり1体あたり掛かる時間が多くなってしまいます。方針としては、1人1人のキャラクターを丁寧に作っていく形で、作中での主要キャラクターを中心に登場させていく予定です。

 開発の都合上「そんなキャラも登場するの!?」という展開はなかなか難しいでしょうが、代わりに実装するキャラクターはしっかりと厳選し、こだわりを持ってお届けしていきます。もちろん、まだ発表していない登場キャラクターもいますので、そこは期待していただければと思います。

――PvPもあるとなると、キャラクターのバランス調整も一層大変そうですね。

 はい。ここは注意すべきポイントだと考えています。例えは、同じキャラクターでも衣装違いで複数登場する予定なのですが、それぞれ得意とする距離が違ったり、異なる特徴を持っていたりします。例えば“サポートに強いキリト”や、極端な話“遠距離スキルを持ったキリト”なども考えられるわけです。

 PvEでは様々な特性を持った敵を登場させる予定ですので、相手に合わせて最適な編成を組むことが重要になります。また、編成に組み込めるのはキャラクターだけではありません。パーティの強さを左右する重要な要素があるのですが……、それは5月7日に配信される次回の生放送でお伝えできたらと思います。

 PvPでも、キャラクター同士の相性が活きるようにするつもりなので、「これだけ使っていればいい」という一強のキャラクターが出たりする状態は起こりにくいようにしていくつもりです。期間ごとにさまざまなルールも検討しており、変わりゆく環境の中でバトルを楽しんでもらえるようにする予定です。

――武器にも種類があるのですね。

 ええ。剣や銃から、メイスや短剣までいろいろと用意しています。

――バランスを取り、武器も数種類用意して、もちろん原作再現も意識すると。

 原作をご覧の方からすると、例えばキリトがスナイパーライフルなどの遠距離武器を使いこなしていたら、不自然に感じますよね。そうならないために、まずはしっかりと原作に準拠した戦い方を意識しています。

――ストーリー要素はどのようなものになるのでしょうか?

 ストーリー要素もゲーム内には存在します。メインストーリーと、そちらを補完するサイドストーリー、イベント限定の3種類を用意する予定です。詳しい内容はまだ公開できませんが、いずれもオリジナルのストーリー展開で、『SAO』が好きな人にしっかり楽しんでもらえる内容にする予定です。

 アニメ10周年のタイミングということもあり、それぞれのストーリーを追体験するものではなく、その先を楽しんでもらえるようなストーリーにする予定です。キャラクターも豊富に登場します。

――PVを見ると《ラフィン・コフィン》の影がちらついているようですが……?

 《ラフィン・コフィン》についても、今のところはノーコメントで……絡むかもしれないし、絡まないかもしれませんね(笑)。

――オリジナルキャラクターも登場するのでしょうか?

 今はまだお話できませんが……。PVをよく見るとヒントがあると思います。こちらについては、5月7日の生配信で少しだけ情報公開する予定なので、楽しみにしていただければと思います。

――『SAO』のアプリゲームというと、やはり河合泰一プロデューサーが切り開いてきたところがあると思いますが、本作の開発にあたって、河合さんとはどのようなやり取りをされたのでしょうか?

 アプリゲームのプロデューサーということで、企画の内容について相談したり、意見をもらったりしています。本作がアニメ10周年のタイミングということあって、どのようにユーザーさんにお届けするかなども相談しましたね。

――竹内さんは『ソードアート・オンライン インテグラル・ファクター(SAOIF)』のプロデューサーという印象も強いですが、『SAOIF』のほうは今後どうなっていくのでしょうか?

 僕がこのタイトルを担当することで、『SAOIF』の今後を心配するプレイヤーの方もいらっしゃいました。まずは、「そこはご安心ください」ということを強くお伝えしたいです。本作が登場したことで『SAOIF』終了するとか、そういったことはありません。力配分については、今は「どちらも頑張ります」としか言えないですが、ぜひどちらの作品も今後に期待していただければ幸いです。

――最後に作品を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

 アニメ10周年に合わせて展開していくアプリということで、幅広いユーザーの皆さんに楽しんでもらえるように制作しています。今後も開発を進めていきますが、例えばβテストやアンケートを実施するなど、皆様の生の声も参考にしていこうと思っています。検証の結果、ここでお話した内容とまた変わってくる部分もあるかもしれませんが、一緒に改善をしていけたらと思います。

 さしあたっては、5月7日に生放送がありますが、以降も情報は密に出して行く予定です。まだ実際にプレイをしていただけるのは先になりますが、どうぞ『SAO ヴァリアント・ショウダウン』のこれからにご期待ください。

生放送“ライブSAOVS#2 ~SAOVS のゲーム最新情報をお届けします!~”は5月7日20時配信!

 インタビュー中でも触れられていたように、本作の最新情報を公開する生放送“ライブSAOVS#2 ~SAOVS のゲーム最新情報をお届けします!~”が5月7日20時より配信されます。

 ここでもさまざまな情報が発表されると思われますので、本作が気になる人はぜひチェックしてくださいね!

『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン』事前登録を受付中!

 『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン』の事前登録は現在絶賛受付中です!

 詳細は事前登録特設サイトをチェックしてください。

公式Twitter
公式LINE

『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン』とは?

 プレイヤー諸君、剣を取れ―

 本作は、『ソードアート・オンライン』のアニメ10周年を記念したスマートフォン向けアクションゲームです。

 各TVシリーズを代表するキャラクターが参戦し、特徴的なスキルを活かした爽快なアクションを体験できます。

 強大なボスにソロで挑むモードと、他プレイヤーとの対戦で最強を競うマルチプレイモードを搭載しており、多彩なバトルをお楽しみいただけます。

 ストーリーバトルでは、本作オリジナルの舞台設定とシナリオを通じて、キリト達の前に立ちはだかる新たな「脅威」や、シリーズの垣根を超えたキャラクター同士の交流が描かれます。

『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン』 あらすじ

 《クロスエッジ》―

 天才中学生がデザインしたというその「ゲーム」の名前は、キリトの耳にも届いていた。

 ある日キリトは、《クロスエッジ》に関する噂を知る。

 突如現れる正体不明のプレイヤーに敗れると、記憶の一部を失ってしまうこと。

 そして、その相手はフードを目深にかぶった姿をしているらしい、ということ......。

 その特徴に、かつて対峙したPKギルド《ラフィン・コフィン》を思い出すキリト。

 調査を兼ねて《クロスエッジ》をプレイし始めたキリト達は、何者かからの奇襲を受ける。



※記事中のゲーム画面は開発中のものです
©2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
©Bandai Namco Entertainment Inc.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら