『春ゆきてレトロチカ』物語、俳優、推理――すべてが極上の実写新本格ミステリーゲーム【ADVレビュー】
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古今東西のミステリー・サスペンス・ホラー系コンテンツを幅広く紹介するコーナー“まり蔵探偵事務所(まり探)”。
本コーナーで、スクウェア・エニックスから近日発売予定のPS5/PS4/Nintedo Switch/PC(Steam)用ソフト『春ゆきてレトロチカ』の先行レビューを前後編の2回に分けて掲載。今回は、その前編をお届けします。
『春ゆきてレトロチカ』は、実写で描かれる新本格ミステリアドベンチャーゲームです。
100年にわたって不可解な死が続く四十間(しじま)一族。この一族の元を訪れたミステリ作家の河々見(かがみ)はるかは、“不老の果実”をめぐり時を越えて起きた4つの殺人事件に挑むことになります。
プレイヤーは、河々見はるかの“思考空間”の中で、[謎]と集めた[手がかり]をパズルのように組み合わせ、[仮説]を導き出して推理を展開します。
今年2月に開催された「Nintendo Direct 2022.2.10」で発表されて以来、各界のミステリー好きが期待を寄せている本作。電撃オンラインでも、ミステリーアドベンチャーゲーム好き・まり蔵をはじめ、多くの編集&ライターが本作の発売を今か今かと楽しみにしております。
先日、まり蔵探偵事務所の所長・まり蔵と、電撃オンラインの編集・kbjが、発売に先駆けてゲームの序盤をプレイさせていただきました。実際にゲームをプレイしてみての感想や、本作の魅力について座談会形式でご紹介します!
豪華でこだわりを感じるキャスト陣
全国のミステリーファンの皆様、まり蔵探偵事務所が再始動します。所長のまり蔵です! お久しぶりの方も、初めての方も、よろしくお願いします。
本日は所長の助手(アルバイト)として来ました、電撃のアドベンチャーゲーム好き・kbjです。
突然ですが、kbjが好きな実写ゲームってなんです? 私は、以前“まり探”でも扱った『DS湯けむりサスペンスシリーズ フリーライター橘真希「洞爺湖・七つの湯・奥湯の郷」取材手帳』なんですが。
タイトルながっ! ゼンリンさんから2008年に発売された隠れた名作アドベンチャーゲームですね! 俺はやっぱり『街』や『428 ~封鎖された渋谷で~』かなあ。
間違いなく両作品とも名作だよね。で、本日紹介するタイトルですが、スクエニさんから5月12日に発売される実写の新本格ミステリーADV『春ゆきてレトロチカ』です!
2月のNintendo Directで発表されたとき、衝撃だったよね。
私、うれしくて小躍りしちゃった。「スクエニみたいな大手メーカーが、実写のミステリーゲーム出すの!?」って。
俺は単純に驚いた。実写のミステリーゲームって最近では珍しいし、それをスクエニが出すというのも意外だったから。
なるほどね~。初報で公開された映像がすごく印象的で、平岡祐太さんが出てきた時に「あ、浅見光彦だ!」って思って、榎木孝明さんが出てきた時にまた「あ、浅見光彦だ!」って思ったんだよね~。
すごい感想だな! 確かに間違ってはいないけど!
本作に出演されている俳優さん、平岡さんと榎木さん以外もすごく豪華だよね。
まず驚いたのは、松本若菜さんと佐野岳さんが出ていることかな。松本さんは『仮面ライダー電王』に、佐野さんは『仮面ライダー鎧武/ガイム』。ここからはライダーのステージか!? って。
ライダー好きとしてはテンション上がるよね!
さらに、桜庭ななみさんは『サマーウォーズ』で主役を、平岡祐太さんはアドベンチャーゲーム『トリックロジック』で主役を演じていたので、オタクの自分に刺さりまくりの布陣。俄然、高まりましたね。
オタク特有の早口な説明が、テンションの高さを表してていいですね。私的には、ドラマ『真犯人フラグ』に出演されていた深水元基さんが刺さりました。いい人持ってくるな~って。
池内万作さんのような数々の推理ドラマに出演されている俳優さんをキャスティングしているところとかも、こだわりを感じるよな~。
物語をストレスなく楽しめる工夫がすごい!
STORY
令和4(2022)年、春。ミステリ小説家の河々見(かがみ)はるかは、科学者の四十間(しじま)永司の依頼を受け、編集者の山瀬明里とともに、富士山麓にある永司の実家、四十間邸を訪れる。
永司の依頼は、桜の下で見つかった白骨死体の正体究明と、四十間邸に眠ると言われる“不老の果実”の捜索。大真面目に語る永司と、半信半疑のはるか。そんなはるかに明里が一冊の古書を差し出す。
そこに掲載されていたのは永司の先祖、四十間佳乃が書いた”不老の果実”をめぐる、百年前のある物語。それは小説の体裁をとった、実際に起こった殺人事件だという。
古書を読み終え、事件の謎を解き明かしたのも束の間。はるかの目の前で四十間家を揺るがす殺人事件が起きた……。
序盤から作品の世界観というか、雰囲気に心を持っていかれました。あの横溝正史っぽい、いかにも「これから事件が始まる……!」って導入がもうたまらん!
横溝正史っぽい……わかるようなわからないような(笑)。
プロローグからワクワクが止まらない、とにかく物語の続きが知りたくて、どんどん読み進めちゃう。
物語のテンポがすごくいいよね。ドラマっぽい作りで、映像を見ていても飽きないし。
本当に良質なサスペンスドラマを見ているみたいだったわ。
物語をストレスなく楽しませるための工夫が随所にされていた印象。やり直した時に早送りやスキップができるとか、聞き取れなかった時にログができるとか、超便利だった。
このゲーム、時代を超えて複数の殺人事件が起こるけど、時代ごとに同じキャストがさまざまな役柄を演じるじゃないですか。
最初は強引な設定だなって思ったけど、俳優が同じだとわかりやすいんだよね。
そうなんですよ、覚えやすくていい。おかげで人物像をすぐにつかめたし、事件の内容もおもしろかった。第1章はちょっとした密室トリックで。
あと、画面下部にその章の登場人物の簡単な紹介が出て、同じキャストでやっているからこそ、迷わせないような工夫もあって。
そうそう、記憶力の悪い私には優しいシステム(笑)。やっぱりアドベンチャーゲームで、余計なことを気にせずにスムーズに物語を楽しむって大事だよね~。
推理パートはなかなかの歯応え! わからないときは……総当たり!?
SYSTEM
推理パートでは、プレイヤーはミステリ作家・河々見はるかの思考空間の中で、[謎]と集めた[手がかり]をパズルのように組み合わせ[仮説]を導き出して推理を展開していきます。
問題編で[手がかり]を入手→推理編で[謎]と[手がかり]を組み合わせ、さまざまな[仮説]を作る→解決編で作り上げた[仮説]を元に真相を暴きだし、犯人をつきとめるという流れになります。
今回は1章までのプレイだけど、「序盤は楽勝でしょ♪」って余裕ぶっこいていたら推理パートが結構大変でした……。
いきなり主人公の思考空間が現れたときは、ちょっとビックリしたな(笑)。
急に幾何学的な景色に変わったからね。
推理パートでは、[謎]とストーリー中で入手した[手がかり]を組み合わせて[仮説]を立てるワケだけど……。
[手がかり]が多いんだよね! 組み合わせるとき、かなり迷ったよ~。
盤面を謎に見立てて埋めていくんだけど、全部埋めなくていいってわかってるのに、ゲーマーは埋めたくなるんだよな(笑)。
今までの出来事を振り返ることができるのはありがたいし便利だなって思ったけど、推理自体は歯応えあったよね。いい加減な推理は許さんぞって気概を感じた。
所長、ちゃんと“ひらめき”使いました?
ひらめき?
画面の左側にある六角形のようなアイコンの数だけ“ひらめき”が使えて、その謎に関係する手がかりが浮かびあがるんですよ。
あー、アレか。いや、使わなかった。ラストエリクサー的な意味でなんかもったいなくて。
“ひらめき”は最初から3つ使えて、仮説を作ることでさらに使える回数が回復するので、推理をスムーズに進めたい人は活用するのもアリかと。
そうだね。まぁ最悪、迷ったときは総当たりだよ。ミステリーゲームのお約束♪
いや、そこはちゃんと推理しろよ!
怒られたところで、そろそろまとめに入りますか。
いや、反省しろよ。実写のドラマは想像以上によくできていましたね。特にキャスト陣の演技が素晴らしくて、見入ってしまったほど。
まだ序盤しかプレイしてないけど、物語の先が気になって、プレイの止め時が見つからないゲームはやっぱり名作ですよ。早く続きをプレイしたい!
システムは新しいことをやっている中で、簡単にクリアできるための配慮もあるので、難しく考えたくない人でも楽しめる作品になっていると思います。
推理パートは腰を据えてじっくり考えたいね。久しぶりに歯応えのある推理ゲームでワクワクしますわ。
とはいえ個人的には、先が気になる物語展開が何よりも好印象です。ぶっちゃけ、今回のテストプレイをしなくても買う予定でしたが、めっちゃ買いますわ。
というわけで、次回は同じくミステリー好きの電撃スタッフ・そみんを誘って、続きの物語について語っていきたいと思います!
え? 俺はここまで? ここで終わるとか、おあずけがひどすぎるのでは!?
いろいろな人に感想を聞いたほうがおもしろいからね。ではまた次回、お会いしましょう!
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