描きこみに執念を感じるソウルライクメトロイドヴァニア『デス・ギャンビット』レビュー。マルチエンドも◎【電撃インディー#275】
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- ophion
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、本日5月19日にSwitchで日本語版が発売されたハードコア2Dアクションゲーム『Death's Gambit: Afterlife(デス・ギャンビット:アフターライフ)』のレビューをお届けします。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
ソウルライクなメトロイドヴァニア
本作は“メトロイドヴァニア”と呼ばれる広大なマップを舞台にした探索型のアクションRPG。攻撃やガード、回避といったさまざまなアクションを駆使しながらマップを自由に探索していきます。
マップ上には“死神の像”という施設が点在しており、この像に触れるとセーブや主人公の育成が可能。チェックポイントやセーブポイントといった扱いですね。
戦闘は剣や鎌といった武器を使用した近接戦がメイン。自分から攻撃を仕掛けてもよいのですが、敵の攻撃にははっきりしたスキがあるので回避からの反撃が効果的。さらに、敵の攻撃をタイミングよくガードで防ぐと専用の反撃技を繰り出せたりと、カウンターが成功した際のメリットに重きが置かれています。
回避行動の無敵時間が長めに設定されていることもあり、一部の強敵やボスを除いて敵への対処はそこまで難しくはない印象。大まかに攻撃が来るタイミングをはかりつつ回避を繰り出していく程度の感覚で遊んでも十分に立ち回れます。
ただ、攻撃やジャンプなどのアクションには時間で回復するスタミナを消費するので、延々と攻撃と回避だけで自在に立ち回るのは不可能。緩急つけた立ち回りが必要になります。
そして、敵はいずれも攻撃力が高め。装備やステータスによるRPG的な育成要素はあるものの、極端な育成をしない限り道中のなんでもない敵でも一撃でこちらの体力を3割程度減らしてくることがざらにあります。スタミナがないと回避も行えないので、ちょっと油断すると大変なことに。
個々の戦闘だけを切り取るとそれほど難易度は高くないのですが、ミスに対するリスクが大きく、また探索型のアクションRPGという点から未知の場所では“次の死神の像”にいつたどり着けるかわからない。そのため、非常に緊張感のある探索を楽しめます。
さらに、ボス敵にもなると攻撃パターンを把握するのはほぼ必須。もちろん、ボス敵の攻撃力も高いのでちょっとしたミスで道中かボス戦かを問わずガンガン死にます。
と、本作はメトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルのなかでもプレイヤーが力尽きやすいバランス。
さらに、限られたリソースと、ミスに対する大ダメージという大きなペナルティのなかチェックポイントを目指して探索するゲームの流れなど、各所から『ダークソウル』などの『ソウル』シリーズからの影響を強く感じる、所謂“ソウルライク”な作品となっています。
描きこまれ過ぎた世界が失敗を納得させてくれる
また、本作は2Dドットとしては執念を感じるほどドット絵のコマ数が豊富。
例えば馬に乗るアクションではシステム的には不要にもかかわらず、馬の背に手をかけ、鐙に足を乗せと、馬に乗る過程が何コマにも渡って描写されています。ほかのシーンでも、こんなに細かく!? と驚くことがしばしば。ドット絵でありながら、ぬるぬるという擬音が適格なほどキャラクターが動きます。
そして、このコマ数の多さがプレイフィールに大きく影響するのが敵との戦闘。上記のとおり、本作の戦闘はカウンター的なアクションに対するリターンが大きくなっています。
30フレームや60フレームといったゲームに合わせてコマ数が用意される3Dのゲームならまだしも、ドット絵の場合は作り手が描いたコマしか表示されませんよね。もしも本作の敵のアクションのコマ数が少なければ、攻撃に対する唐突感が強く理不尽さを抱いた可能性もあります。
しかし、敵のアクションのコマ数も文句なし。敵の予備動作を無理なく見極めることができ、慣れてくるとより早いタイミングで敵の攻撃を察せます。そのため、唐突な攻撃でダメージを受けたという理不尽感はなし。
見えてはいたのに対処できなかった、見るのが少し遅れた。そういったアクションゲームでよくあるミスを、なんとなくゲームのせいにしたくなることってあるじゃないですか。
ですが、しっかりとコマ数を使って敵のアクションが描かれているだけに、否が応でも自分のミスだと納得させられます(笑)。
断片から物語の全貌を組み上げる楽しさ
そんな本作の物語は、主人公・ソルンの死から始まります。
王の勅命により、シラドンという不死者の住まう地に“不死の源”を求めて遠征したソルンは不死の軍勢との戦いで戦死。しかし、ある理由から死神と契約することになったソルンは死んでもよみがえる存在となり、今度こそ王の命令を果たすためにシラドンの奥地へと向かいます。と、いうのが物語冒頭で示される大まかな筋書。
さらに、ゲーム中には探索に加えて、さまざまなキャラクターとの会話をとおして物語が進んでいきます。ただ、会話などで開示される情報は断片的。読み進めていっても物語の全体像がおぼろ気につかめる程度で、進め方によってはいくつもの謎が残ります。
ただ、そういった謎だらけの断片から物語を読み解いていけるのも本作のおもしろいところ。
死神はたびたび登場して冗長に話をしてくれますが、どうにも怪しい。ほかのキャラクターも、大前提となる情報を示さないままその先を語ったり、まだたどり着いていない場所のことを語ったりと、好き勝手。特定の敵に倒されなければ見られない会話や、まっすぐ物語を進めていたらまず目にしないフレーバーテキストもあり。
このキャラクターはソルンのために語っているのか。このフレーバーテキストはなにを意味しているのか。あとあとになって「あのとき言っていたのは、これか」と納得することが何度もあります。
とくに設定のない“モンスター”的な扱いだと思っていた敵に、誕生の理由が用意されていることに気づくといったこともあったので、自分が読み解いた以上に細かなところまで設定が練りこまれていそうです。
と、偉そうに書いてみましたが実は一周目のプレイでは、最後までわからなかったことばかり。一周目の知識を前提に二周目をプレイして、いろいろと理解しつつもまだ謎が残るといった具合でした。
本作はマルチエンディングが採用されているほか、ゲーム開始時に7つのクラスから戦い方を選択可能。育成のバリエーションも豊富に用意されているので、繰り返しプレイしたくなる要素が満載です。
物語の全体像を探りながら、じっくりと何度もハードな探索を楽しめますよ。
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