PS4『シスターズロワイヤル』発売決定記念! 首脳陣がアルファ・システムの30年を振り返る【電撃PS】

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 アルファ・システムからNintendo Switch用ダウンロードソフトとして配信中の『シスターズロワイヤル 5姉妹に嫌がらせを受けて困ってます』。そのパッケージ版が、PS4用ソフトとして2020年1月30日にコーラス・ワールドワイドから発売されます。

 本作は『式神の城III』から12年ぶりとなるアルファ・システムの新作シューティングゲームです。仲の悪い5姉妹が、1人の男性を取り合って戦うコミカルなストーリー展開と、『式神の城』の系譜を継ぐ弾幕シューティングゲーム部分が特徴的で、シューティング初心者から上級者まで幅広い層が楽しめる作品です。

 PS4パッケージ版では、特典としてオリジナルサウンドトラックとアートブックといった豪華特典に加え、DLC第1弾"OZ(オーゼット)"が利用できるプロダクトコードが同梱されます。

 今回はPS4版の発売を記念して、東京ゲームショウ2019の会場にて株式会社アルファ・システムの代表取締役社長・佐々木哲哉氏と、制作部部長・須田直樹氏にお話をうかがってみました(以下、文中は敬称略)。

 Nintendo Switch版を開発した経緯から、昨年創業30周年を迎えたアルファ・システム設立時の話など、興味深い話が飛び交う内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

  • ▲アルファ・システムの佐々木哲哉氏(右)と須田直樹氏(左)。

設立30周年を記念して作られた『シスターズロワイヤル』

──まずは『シスターズロワイヤル 5姉妹に嫌がらせを受けて困ってます』が、Nintendo Switchで配信された経緯から教えてください。
須田:きっかけとしては、昨年アルファ・システムが設立30周年を迎えて、弊社の佐々木から「何か、1つゲームを作って出したい」という話がありました。ちょうどそのころラインにも空きがあったので、何か作ろうと立ち上げたのが『シスターズロワイヤル』になります。

 どうせ作るならユーザーにあっと言わせたいということもあり、当初から『式神の城』のシステムを踏襲した形で作り始めました。「新作です!」と言って売っても、わかる人にはわかるものになるだろうと。

──公式4コマでも、1発目から「まんま『式神の城』では?」と言うネタがありましたね。

須田:「これ、『式神の城』やんけ~!」と、そんな風にツッコんでほしかったんですよ。案の定、みなさんがツッコんでくれたので非常にうれしかったです(笑)。

──キャラクターの数やボリュームとしても大きめのタイトルですが、価格帯が税込1,500円という安価なインディゲームくらいの値段で驚きました。

須田:ダウンロード専売で売ろうと決めていたので、なるべくコストを下げて、価格自体も抑えめにしたいというのが僕の意向としてありました。使えるラインや予算的な面で声優さんが使いづらいということもあり、ダウンロード専売になるので低価格帯で出したいと思ったんです。

──そして今回、PS4でパッケージ版が発売されることになりましたが、これはSwitch版の評判を受けて決まったことなのでしょうか?

須田:PS4版の発売が決まったのは、もともとSwitch版を出したときに海外版も出したいと思っていたからです。日本国内だけではなく、海外にもシューティングのコアなファンがいらっしゃるので、そちらに向けても出したいと考えて、海外向けのパブリッシャーさんを探していました。

 そこでコーラス・ワールドワイドさんとご縁があり、海外向けに出す話と並行してPS4版も出すことになったんです。しかも、コーラス・ワールドワイドさんから「パッケージ版も作りましょう」という話もいただいて、ボクらとしては「むしろ、出していいんですか?」とい感じでした。パッケージ版を出すことは、まったく考えていなかったんですよ。

──なるほど。だから、PS4のパッケージ版はコーラス・ワールドワイドさんがパブリッシャーだったんですね。

須田:海外版が出せるところを探していたのが始まりだったので、海外ではダウンロード版もコーラス・ワールドワイドさんから配信される予定です。

──8月29日にDLCで新キャラクターの“OZ”(オーゼット)が追加されましたが、新キャラクターも海外版を見越して考えられていたのですか?

須田:いや、新キャラクターに関してはあとから考えました。Switch版で何回かアップデートをやらせていただいたのですが、そのなかで追加キャラクターが欲しいと思って。どうせ出すなら“アイツ”にしようと考えて仕込み始めたという流れです。

 最初からキャラを足す想定では作っていなくて、あとから考えたので、現場は結構すったもんだしていました……。

──アルファ・システムさんの作品は複雑な世界観(無名世界観)が特徴ですが、本作はそうした世界観とは違った、わかりやすい印象がありますね。

須田:『シスターズロワイヤル』は、我々が作ってきた『幻世虚構 精霊機導弾 ELEMENTAL GEARBOLT』から始まる無名世界観系のタイトルとは、いったん切り離した世界観でやろうと決めていました。

 過去作から間が空き過ぎていることもあり、10年以上前に出たゲームの世界観やストーリーを引っ張ってしまうと、ついてこられない人もいるだろうと思ったからです。まずは知らないお客様でも楽しめるものを目指し、意識的に新しい世界観でやりましょうというところから始めています。

 ただ、知っている人が見たら「あっ!」と言えるような仕込みも用意しました。そういった意味で、古いお客様にも楽しんでいただける要素がありつつ、知らないお客様でも楽しんでいただける要素がある。そんな感じを目指して作っていました。

──ファンとしては今後の展開も気になるところだと思います。『シスターズロワイヤル』は、新しいシリーズとして展開されていく予定なのでしょうか? それとも、また別の展開を考えていらっしゃるのでしょうか?

須田:せっかく新しい世界観を立ち上げて作品を作ったので、僕自身は『シスターズロワイヤル』を広げていったり、作っていけたらいいなという希望を持っています。また、その仕込みも、ちょっとだけやっています。

 もともとは別の世界観として考えていたのですが、ダウンロードコンテンツで『式神』のキャラクターを思わせる人を出して接点ができたので、その接点を生かして何かできればとも考えています。

  • ▲『式神の城』をプレイした人なら、どこかで聞いたことがありそうな魔女っぽい名前の新キャラクター・OZ。

──ちなみに、Switch版を発売されてから、ユーザーやシューティング好きの反応はいかがでしたか?

須田:遊んでいただいた方々のレスポンスは好評で、喜んでいただいている方も非常に多いという感触を持っています。『式神の城』の新作が欲しいという声も聞こえていて、そうですよねとは思っています(笑)。僕も今後『シスターズロワイヤル』が拡大していく裏で、『式神の城』が作れたらいいなと思っていますし、機会があれば作りたいという希望を持っています。

 ただ、アルファ・システム単独ではなかなか『式神の城』を作りにくいところもあります。『式神の城』はああ見えて、なかなかの規模感がある作品なんです。『シスターズロワイヤル』はプレイヤーとボスを同じキャラクターにして数を減らすといった工夫をして、抑えめに作っているんですよ。

佐々木:『式神の城』を作っていたときは、キャラクターの数×ステージ数で会話があるので、ヘタなRPGよりテキスト量が多い状態でした。

須田:多かったですね。毎回「ゴメン、今回10人くらいいるわ」と、芝村君(芝村裕吏氏)に頼むのが辛くて……。次回作を作ると順調に増え続けてしまうので、「次を作ろうとすると、ボクたち死んじゃうよなあ」と芝村君とは話していました。

佐々木:2人だったら2×2の4種類で済むものが、10人だと10×10の100種類になるんですよね。足すと倍になっていくんですよ。

須田:そういった事情もあって……。とはいえ、僕のなかで、いつかやりたいという希望はあります。『シスターズロワイヤル』のほうは、“2”なのか“シスターズなんとか”のような別路線になるのかは、まだわかりません。世界観やキャラクターを生かした何かを展開していけたらいいなと思っています。

創業から30周年を迎えたアルファ・システム

──昨年、アルファ・システムは30周年を迎えましたが、そもそもアルファ・システムとはどのような会社なのかをお聞きしてもよろしいですか?

佐々木:最近、ニンテンドークラシックミニやPCエンジンミニといったレトロハードが出ていますが、あのあたりのハードウェアが現役だった時代からソフトを作ってきた会社です。ヘタをするとほとんどのユーザーさんが生まれていなかったころなのですが、そんな時代のハードウェアでソフトを作ってきました。

 僕自身はもっと前からで、マイコンと呼ばれる時代からやっていましたが、会社としてはPCエンジンからゲームソフトを作っています。小さい会社だったので、当時はハドソンがある札幌に行き、『イースI・II』などのソフトに携わっていまいた。

 その後にプレイステーションやセガサターンなどの、いろいろなハードウェアのゲームを手掛けましたが、だいたいどんなハードウェアが出てもやれる状態でした。

 僕らは開発会社なので、クライアントさんの「これを作って欲しい」という要望に合わせて作っている形です。オープニングやエンディングにちょっと名前が載るような形でやってきました。一般的な“アルファ・システムの新作”という形でのゲームは、ほぼないんですよ。

 基本的には裏方で仕事をしているので、たまにいろいろな形で状況がかみ合ったときに新作を出しています。次の新作がいつになるのかも状況しだいではあるのですが……楽しみに待っていただければ、また変わったものが出てくると思います。

──今回は、たまたま状況がかみ合って『シスターズロワイヤル』が出たのですね。
佐々木:そうですね。今回は30周年ということもあって状況がかみ合いました。

──先ほど、札幌に会社があったハドソンで仕事をされていたというお話がありましたが、アルファ・システムさんの拠点は熊本県ですよね? かなり、距離が離れていませんか?

佐々木:当時も会社は熊本にありましたが、ほとんどの人間は札幌で仕事をしてました。マイコン時代からスタートした連中は東京にもいたのですが、九州と北海道にはおかしな……いや、優秀な開発者がたくさんいたんですよ(笑)。

 『ボンバーマン』を作った中本伸一さんという方がいるのですが、当時、その方と知り合いでした。学生のときから中本さんを知っている状況でスタートしたので、会社を作ったときに「一緒に仕事をやろうよ」と誘われて、ハドソンで仕事を始めた経緯があります。

 そのあたりの話は具体的にすると長くなるので、樹想社から出ている“アルファ・システムサーガ”という書籍をご覧いただければと思います(笑)。

──入れ替わりが激しいゲーム業界で、創業から30周年も会社を続けていられたのはスゴイですね。

佐々木:創業からの社長で、今もゲーム開発を続けているクリエイターとしては僕が一番古いらしいんですよ。古くからやっているということもありますが、変化の激しい業界で生き残るのは大変なことだとは思っています。

──そうやって30年続いてきたわけですが、今後の目標を聞いてもよろしいでしょうか?

佐々木:みなさんが遊んでくれることが大事だと思っています。遊んでくれるところにおいて「えっ、こんなことが!?」となる、ちょっと変わっている部分があってほしい。制作スタッフが僕の単純な言葉をくみ取り、おもしろいことをやってくれればいいと思っています。

 僕自身としては、今後も何かしらの形でゲーム業界に携わっていければいいと思っています。自分のやりたいこともありますが、それよりもスタッフのやりたいことを優先していますし、作りたい人が作りたいように作っていければいいんですよ。そこで、ちょっとだけ僕がやりたいことを言えればいいかなという感じです。

──アルファ・システムは社長以下全員の顔が見える状況でゲームを作る、開けた会社だと聞いたことがあるのですが、今でもそうなのでしょうか?

須田:今でもそうですよ。昔から同じフロアに全員がいます。

佐々木:フロアを分けていないのには理由があって、人間は分かれるとグループになり、お互いのことをいろいろ言っちゃうんですよ。だから、なるべく分け隔てないようにしています。物理的にそうすれば、精神的にも引きずられて「みんな一緒だよね」という心の動きが起きると思うんですよ。

──そうした社風が、アルファ・システムさんらしいタイトルを生み出しているのかもしれませんね。アルファ・システムさんはいろいろな方向性の作品を出しているイメージがありますが、リリースするゲームはどのように決められているのでしょうか?

須田:佐々木は、いつも「やりたいやつが、やりたいことをやればいいじゃない」と言っているのですが、それが形になって表れているのだと思います。

 もちろん、会社としてビジネスになるのかというところもちゃんと見ていて、ビジネスにならないものは、さすがに許可しません。ですが、ビジネスになる形であれば、クリエイターが作りたいものを作って出すのが一番いい形になるだろう、という考えを持っています。

佐々木:ビジネスにならないものは、結局何も生み出せない状況になるんですよ。生み出したとしても売れなかったら、生み出した人間のモチベーションも下がっていくじゃないですか。そこそこ売れないといけません。自分が作ったものがお客さんに届き、遊んでもらうのが大事ですからね。

 でも、なるべく作りたいものを作ってほしいんですよ。やりたくない仕事は作品に表れると思いますし、「この会社は、おもしろいことをやってるな」と思えるものは、プレイしていても伝わるはずなので。そのつもりで作っています。

須田:そもそも「シューティングを作りたい!」という話も、僕が言っていただけですからね。ほかは誰も言ってなかったのですが、作りたいですと佐々木に言ったら「じゃあ、作っていいよ」と言われたので、企画書を書き、会社と話がついたから「じゃあ、作ります」という流れで作りました。

佐々木:昔はシューティングが厳しい時代もありましたが、今はNintendo Switchでもシューティングが増えて、ある意味“シューティングのためのマシン”みたいになってますよね。

須田:昔のアーケードの移植作品やインディゲームを足すと相当量があります。個人的にはすごくうれしいですね。一時期、シューティングは全然出てこられない時代があったのですが、そのころに比べるとファンが増えて、出しやすい環境になったというのも1つの理由としてあると思います。

 インディゲームがリリースしやすい環境になりましたし、ユーザーさんの意識も変わってきました。インディゲームにもすごく楽しいゲームがたくさんあるという認知が広がったので、ユーザーさんの選択肢の1つとしてインディゲームが入り、シューティングというニッチなジャンルだけど、コアなファンからはすごく歓迎されるような流れが生まれ、今まさにNintendo Switchでたくさんのシューティングが出てきているのではないかと思います。

佐々木:初期のプレイステーションでは多彩なジャンルが生まれていたのですが、Nintendo Switchは、若干あの時代の雰囲気がありますね。

須田:玉石混淆なのですが、そのなかでも流行りのジャンルになりそうなものや、人気になりそうなタイトルがポツポツ出ている印象があります。結構思いきったものやクセの強いものがいっぱいありますよね。

 そこから、おもしろいと思えるものも出てきています。大規模で作るビックタイトルでは、商売的にそういう挑戦ができないんですよね。規模が小さいからこそ、チャレンジできるものが出てきているのだという印象です。

──最後に、ユーザーのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

須田:Nintendo Switch版『シスターズロワイヤル』を作ったときは、シューティングゲームに慣れ親しんでいない方や、初めて遊ぶライトな方も多いと思っていました。そういったものに触れてこなかった方々にも遊んでもらえように、あえて敷居が高くならないように、狙って作ったつもりです。

 『式神の城』のときから想定して作ってはいたのですが、今回は家庭用なので、より一層ハードルを下げるつもりで、調整も含めてやってみたつもりです。シューティングに興味があるけど難しそうと思っている方や、最近のゲームは難しいからすぐ飽きてしまうというような方でも、ストーリーを最後まで進めることができ、楽しんでもらえると思います。ぜひ多くの方に楽しんでもらいたいです。

 逆に、ゴリゴリのシューターの人には、手ごたえのある難易度を用意していますし、インターネットでハイスコアを登録してランキングを競える要素もあります。腕に自信がある方は自分の腕を試すつもりでチャレンジして、遊び倒していただけるとうれしいです。

 『ガンパレード・マーチ』や『式神の城』など、古くからうちのタイトルを知っている方も、見て触れていただけると「あっ、なるほど」という、腑に落ちるところがあると思います。感触的にも懐かしさを含めて、楽しんでいただけると思います。

佐々木:ゲームの内容自体もライトに楽しんでいただけると思いますが、価格の面でもかなりライトで、お手軽にご購入いただけるんじゃないかと思っています。シューティングをやったことがない方も、これなら遊べると思いますので、ぜひとも本作でシューティングというジャンルに触れてほしいです。

Sisters Royale (C)2019-2020 Developed by Alfa System Co.,Ltd. Published by Chorus Worldwide Games, all rights reserved.

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