“愛”と聞いて「ケッ」と思うあなたにこそ。電撃文庫『竜殺しのブリュンヒルド』の東崎惟子先生に聞く

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 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。今回は、第28回電撃小説大賞《銀賞》を獲得した『竜殺しのブリュンヒルド』の作者・東崎惟子先生のインタビューを掲載します。

 本作は、楽園を護る高潔な竜に育てられた、竜殺しの英雄の娘“ブリュンヒルド”が、愛と復讐心との間で葛藤する本格ファンタジーです。第28回電撃小説大賞《銀賞》を受賞した東崎先生に、作品を書くきっかけや執筆中の不思議な体験談などをお話しいただきました。

──この作品を書いたキッカケを教えてください。

 小説『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』を読み、愛をテーマとした物語を書きたいと思ったからです。

 電撃大賞さんに応募した理由も、その著者である暁佳奈先生がご活躍されているからです。

──作品の特徴やセールスポイントを教えてください。

 テーマである『愛』でしょうか。

 ですが、世間一般でイメージされる美しくて侵しがたい『愛』は本作には書かれていません。私には書けませんでした。

 『愛』が持つ裏の顔。美化されて見て見ぬ振りされる側面。独占欲、性愛、エゴ。そういうものを本作では書いたつもりです。

 愛の醜さ、けれどそれが見せる刹那の煌めきを伝えられたらと思います。

──作品を書くうえで悩んだところは?

 全体の四割ほど書いた時「これは書き上げても面白くならないのではないか」という不安に襲われました。

 そこで執筆をやめていたら受賞できなかったと思うと、とても恐ろしいです。

──執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 十日です。

 電撃大賞さんの締め切りが四月十日で、私が執筆を始めたのが四月一日から。切りが良かったのでよく覚えています。

──執筆中のエピソードはありますか?

 執筆中に小説の女神様が降りてくるのを感じました。ですので、何かしらの賞を頂ける不思議な確信を持っていました。

 神様、大いなる意思、運命の存在を信じるようになりました。

──本作の主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 主人公のブリュンヒルドについて、これ以外の生き方はありえないと思う反面、どうにかしてあげたかったという心残りがあります。

 物語の根幹に関わるので、この場では詳細に書けないのが口惜しいです。

──特にお気に入りのシーンはどこですか?

 最後の一行です。

 担当編集さんに相談し、演出を含めて、やりたいことをやらせていただきました。

 是非、紙の本でお読みになってください。

──今後の予定について簡単に教えてください。

 予定は決まっていません。

 本作の続きを書きたい気持ちはあるのですが、性質上難しいところがありますので……。

 ですが、何らかの形で小説は書いていきたいです。

──小説を書く時に、特にこだわっているところは?

 わかりやすい文章を心がけています。

 短い文で、装飾せず、端的に意味を伝えることが言葉の使命だと思っています。

──アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 特筆することはないのですが、小説を書く時は音楽を流していることが多いです。

 他には徹夜をしないようにしています。

──学生時代に影響を受けた人物・作品は?

 虚淵玄先生の『沙耶の唄』です。

 『竜殺しのブリュンヒルド』が異類婚姻譚の流れを汲んでいるのは、『沙耶の唄』の影響があると思っています。

──今現在注目している作家・作品は?

 勿論、暁佳奈先生と『春夏秋冬代行者』です。

 一巻の発売前から応援してきました。

──その他に今熱中しているものはありますか?

 奈須きのこ先生の『空の境界』です。

 私が創作をするきっかけとなった作品で、今までもこれからも大好きです。

──最近熱中しているゲームはありますか?

 長岡建蔵先生の『さよならを教えて ~comment te dire adieu~』です。今に限らずずっと熱中している作品です。

 独創的で退廃的な夕暮れの世界観に強く心惹かれます。許されるなら、私も電撃文庫でああいう作品を書いてみたいです。

──それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 本作が“愛”をテーマに書かれていることは確かです。

 けれど“愛”と聞いて「ケッ」と思うあなたにこそ読んでもらいたい物語かもしれません。

 拙い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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