スマホ新作『ディアブロ イモータル』配信直前インタビュー。クラス変更の仕様は? 過去作とのつながりは?

電撃オンライン
公開日時

 シリーズ初のモバイル向けMMORPGとして注目の『ディアブロ イモータル』の正式サービスがいよいよ始まろうとしています。

 そこで今回は、アートディレクターのHunter Schulz(ハンター・シュルツ)氏とシニア・コンテンツデザイナーのScott Burgess(スコット・バージェス)氏に、合同インタビューという形でお話を聞くことができたので、その内容を紹介していきます。

  • ▲ハンター・シュルツ氏。アートディレクターを務める。

  • ▲スコット・バージェス氏。シニア・コンテンツデザイナー。

シリーズ初のモバイル版として生まれた本作ならではの注目ポイント

――開発がひと段落した現在の率直な心境をお聞かせください。

ハンター・シュルツ氏(以下、敬称略略):最初に思ったのが“まだ終わりではない”ということです。ゲームはまもなくリリースされますが、そこで開発が終わるのではなく、むしろそこからがスタートだと思っています。ほかのフィーチャーや追加のアップデートがロードマップに入っているので、これらに着手するのが今後の目標となります。

スコット・バージェス氏(以下、敬称略):正式にリリースされることに関して、ホッとしています。そのうえで、プレイヤーのみなさんにはβテスト版以降に追加されたエリアや新しい要素に早く触れてもらいたいと思っています。

――“ハック&スラッシュ”というジャンルはPCのコアユーザー向けというイメージがありますが、スマートフォンでゲーム化するうえで遊びやすくするために力を入れた部分はありますか?

スコット:『ディアブロ イモータル』は、モバイル版をベースに作られていますので、すべてのものがスマートフォンを中心に考えています。そのため、最初に注意したのは、操作の部分になります。攻撃などを当てられないと意味がないので、ボタンの大きさだったり攻撃の当てやすさだったりといった部分に注意しました。あとはゲームをプレイするうえで、どれだけ早くこのゲームを学んでいけるかというところもポイントとしています。

 ゲームのプレイ時間もPCゲームや据え置き機のように長いものは想定しておらず、短いスパンで遊べるようになっています。もちろん長い時間プレイすることも可能です。現状モバイルゲームというのもかなり品質やクオリティがかなり上がってきているので、モバイルゲームでもハードコアなRPGやシューターをプレイするプレイヤーも増えています。それらのプレイヤーに対しても満足していただける作りになっていると思います。

ハンター:プレイしていただければわかると思うのですが、スマートフォンやタブレットで『ディアブロ イモータル』をプレイすると、手にしっくりくるのが感じられると思います。今はスマートフォン自体が1つのゲームのコンソールとして成り立っていますので、それ用に開発・デザインをして、しっかりした形のものになっていると思います。

――モバイル版のリリースにあたってPCで新シリーズを出すのとは異なる懸念点があるかと思いますが、とくにこだわった点や力を入れた点などはありますか?

スコット:自分たちもスマホでテストプレイをしたときにすごく驚いたのが、グラフィックの部分がスマホにしてはものすごいきれいになっていた点です。ほかにも技術的なところで言いますと、熱です。スマートフォンでプレイするときにスマートフォンから発する熱が、手で持っていてもそれほど熱くならない。このクオリティのグラフィックでプレイしているのにそこまで熱くならないことに驚きました。

ハンター:コンテンツの量です。スマートフォンのなかにこれだけの量のコンテンツがつまっているというのが信じられなかったです。

――PC版とのクロスプレイも予定されていますが、導入することになった理由など教えていただけますでしょうか。

スコット:まず、ファンからのリクエストが多かったことが理由ですが、開発を行っている途中で開発のメンバーもPCでプレイしたいと考えている人が初期からいたので、この判断になりました。

 もう1つの理由は、多くのモバイルゲームがPCでエミュレータを使ってプレイしている人がかなりいると聞いているからです。実際にエミュレータを使ってプレイするとクオリティが落ちてしまうので、それをさせるぐらいならこちらでPC版を作って、いいプレイ体験をして欲しいと考えたからです。

――モバイル版ということで本作からプレイしようと思っている新規のプレイヤーも多いと思いますが、それらの新規プレイヤーにどのように遊んでもらいたいと思いますか?

スコット:古参プレイヤー、新規プレイヤーともにしっかり楽しんでいただけるものになっていると思っています。新規プレイヤーに対しては、『ディアブロ』というシリーズの入門作としてゲームシステムを学んでいただけると思います。ストーリーもすごく凝って作っているので、そこも楽しんでもらえると思います。

 そこで僕らが注意した点として、システムを学ぶうえでどれだけ自然にこのシステムを学べるかを考えながら作りました。そのため、新規プレイヤーに対してかなりとっつきやすく優しいものになっていると思います。

 どのクラスをオススメするかという点も考えたのですが、どのクラスでもしっかり遊んでいただけますし、プレイヤーの好みで選んでいただければと思います。

――同一のキャラクターでクラス変更を自由に行えるシステムが発表されましたが、このシステムを採用した理由を教えていただけますか。

スコット:クラスの変更については現時点では詳しく答えられないのですが、クラス変更をしても何かが失われるということは考えていません。今までプレイしてきたキャラクターを新しいクラスに変更しても、ギアやスタッツは全部引き継がれると考えて問題ありません。

――『ディアブロ』シリーズといえば多種多様な武器や防具が存在していますが、ビジュアルは好きでも性能が微妙でどうしても使いづらいものもありました。本作は“コスメティック”というシステムのおかげで見た目にもこだわれるようになったと思います。このシステムの導入によって、イラストやデザインなどで苦労した部分があればお聞かせください。

ハンター:コスメティックは“ロールプレイができる”というのが一番大きなポイントになります。普通にプレイしていると新しい装備を手に入れたり、装備を強くしていったりできるのですが、その装備に対してのストーリーといったものがあまりないと考えています。同じ装備を別のプレイヤーが装備しても同じようになると感じます。コスメティックでは、そこに対してストーリーだったりロールプレイが入る感じになります。

 例えば、そもそも外見がプレイヤーキャラではなく幽霊の見た目になるなど、別の見た目になれるので、ゲームをプレイするうえで違った姿、違ったキャラクターでプレイしていると感じられることができます。それをデザインするうえでも、自由性が持たせられたかなと思っています。

 あまりゲームのシステムに縛られることなくおもしろいデザインを作れてそれをプレイヤーにつけてもらえたりできたので、デザインするうえでもものすごく楽しめました。

――本作ではPvPに重きを置いている印象を受けたのですが、PvPでコスメティックは制限が加えられたりしますか? 対人戦をするときに相手のビルドが気になると思いますが、例えば偽装をするのもテクニックの1つになってきたりするのか、そのあたりが知りたいです。

スコット:PvPでのコスメティックは、そこまで問題がないと思っています。本作のPvPはどちらかというとグループでのPvPがメインとなるので、そこまで敵を詳しく見る余裕はないと思います。

 実際にビルドを見て判断することは不可能ではないのですが、どちらかというとクラスの編成や、自分が相手をするクラスを見てそこらへんは判断しないといけません。そのため、コスメティックが与える影響はそれほどないと思っています。


過去作とのつながりは?

――『ディアブロ イモータル』の“イモータル”の意味を教えていただけますか?

スコット:本作のゲームプレイで重要な要素の1つとしてPvPがあります。このPvPでは2つの陣営に分かれていて、“イモータル”の陣営と“シャドウ”の陣営が存在しています。そしてイモータルの陣営のリーダーが、“イモータル”と呼ばれているキャラクターになります。このイモータルの陣営には、選ばれた戦士としてサンクチュアリの平和を守る特別なパワーが与えられています。

 敵対するシャドウの陣営ですが、こちらも悪の陣営ではなく、イモータルたちが与えられた力を悪いことに使わないために見張っている陣営になります。イモータルの陣営のほうが何か悪いことをしだすとシャドウが動いてイモータルに挑戦し、ダメになったイモータルに代わって自分たちが新しいイモータルになるというシステムなので、これをもじって『ディアブロ イモータル』という名前になりました。


――本作は『2』と『3』のシナリオを補完する空白の数十年が描かれているとのことですが、デッカード・ケインを始めとした『2』で出てくるキャラクターや、今まで描かれていない物語なども描かれているのかを教えていただけますか?

スコット:ネタバレしないギリギリのレベルでお話したいと思います。本作のストーリーのスタートポイントは『2』の直後で、ティラエルがワールドストーンを壊してストーリーが終わったところから始まります。そのため、ワールドストーンのかけらが世界中に散らばっている状態になっています。

 このワールドストーンのかけらは、バールによって邪悪に染められた状態になっています。かけらの1つ1つがかなり力を持っていて、これを地獄の軍団が集めようとしています。それと同時に地獄側の新キャラクターの“スカーン”が、三大悪がいなくなったスキを狙って地獄の王座に登ろうと企んでいます。このスカーンがワールドストーンのかけらを使って、世界中にいる人間の体内から悪意を引き出そうとしているのが、メインのストーリーとなっています。

――本作が出て『4』もリリースされるとシリーズで4作品がアクティブな状況が生まれますが、それぞれのタイトルにコンセプトや方向づけのようなものがあったりするのでしょうか?

スコット:まず『ディアブロ イモータル』はMMORPGという位置づけで開発が進められました。『ディアブロ』ということに関しては間違いないのですが、そのうえで本作はとくにPvPだったりレイドだったりといったソーシャルな要素に特化したゲームの作りになっているのがコアコンセプトになります。

ハンター:『ディアブロ』をプレイするうえで大事な部分にストーリーがあって、全部の作品のストーリーはつながっています。しかし個別でプレイしても確実に楽しいですし、まったくプレイしていない人に対しても「とりあえずやってみて、ストーリーおもしろいから」と薦めることができます。

リリース後、本作はどう進化していく?

――βテストでモバイル版の操作の一部がコントローラーに対応されていましたが、こちらの評判や今後拡張される予定などはありますでしょうか?

スコット:概ね良好で、かなりいいフィードバックを得られました。自分も最初はコントローラーでプレイしていませんでしたが、試してみたところ結構いいと思って、新しいコントローラーを買いました。今後もサポートしていきますし、アップデートしていくうえで新しいフィーチャーが入るかもしれません。

――リリース時には個性的な8つの広大なゾーンが用意され、将来的にはさらに多くのゾーンやコンテンツが追加される予定とありますが、このあたりのスケジュールを大まかに教えていただけますでしょうか?

スコット:今後ずっとサポートしていくタイトルになりますので、定期的にアップデートを行います。ざっくり言いますと、毎月新しいバトルパスが出る予定で、同じように“ヘリクアリ”のボスも毎月1体新しいボスが追加される予定になっています。

 さらに仮のスケジュールですが、3カ月ごとに新しいダンジョンとゾーンが追加されるスケジュールで考えています。これによってストーリーがさらに進んだり、さらに展開していく流れになっていますので、今後もぜひお楽しみに。

ハンター:アートサイドから言わせていただきますと、仕事は全然楽になっていません。引き続きどんどん追加される新しいコンテンツに期待できると思います。


――本作において、世界観やデザイン、ゲームシステムなどで、ここは力を入れたので見てほしいというこだわりのポイントを教えていただけますか。

ハンター:先ほども少し話したのですが、コスメティックのデザインが一押しです。自分はキャラクターのコンセプトアートからこのプロジェクトに参加したので、そういった意味でもとくにコスメティックに関してはロールプレイのところで新しいアイディアだったりを入れることができたので、すごくやっていて楽しかったです。1個1個のデザインにしっかりいろんな考えを含められました。

 もう1つアート方面から言いますと、ゾーンのデザインにはかなり力を入れました。いろんなエリアやゾーンがありますが、そのゾーンに入るたびに雰囲気が違っていることが、しっかりビジュアルのほうからも表現できたんじゃないかなと思います。自分としてはゾーンのデザインに対してはすごく自信があって、個人的にも楽しかったのがキャラクターデザインの部分になります。

スコット:一番のウリと言いますと、『ディアブロ』というゲームをモバイルで作るにあたって、モバイルでもこのゲームはしっかりと『ディアブロ』なんだと感じられるものが作れたことが自分はすごく誇りに思っています。

 自分で言うのもなんですけど、本当に『ディアブロ』がそのままモバイルに移植できたのがすごいと思っていて、完璧な移植ではないかと感じます。なので、PCでプレイしてもスマートフォンでプレイしても、間違いなく『ディアブロ』を感じられる作品になっていると思います。

――最後に日本のプレイヤーに対して一言コメントをいただければと思います。

ハンター:かなり力を入れて作った作品ですので、皆さんにお届けできるのが楽しみです。言いたいことはたくさんありますし、日本語で言いたい気分ですが自分は日本語が話せないので、早くみなさんに作品を触ってもらって感想を聞きたいです。

スコット:日本のプレイヤーのみなさんはかなり情熱があって、コミュニティーをすごくサポートすると聞いています。そのプレイヤーのみなさんに早く『ディアブロ イモータル』を触っていただいて、日本でのコミュニティを作ってほしいと思っています。

©2022 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

ディアブロ イモータル

  • メーカー: Blizzard Entertainment/NetEase
  • 対応端末: iOS/Android
  • ジャンル:
  • 配信日: 未定
  • 料金: 基本無料/アプリ内課金

関連する記事一覧はこちら