心震えるマルチエンド系。『エリックじいさんの不思議なブレスレット』レビュー【電撃インディー#284】
- 文
- 紅葉つかさ
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、グラビティゲームアライズのNintendo Switch用タイトル『エリックじいさんの不思議なブレスレット』のレビューをお届けします。
電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
登場人物の心情を繊細に描いたアドベンチャー
本作は、少年・ジェスパーが祖父から託された魔法のような不思議な力を持つブレスレットの秘密を探すための冒険が描かれるアドベンチャーゲームです。
ジェスパーの祖父であるエリックは病気で入院しており、ジェスパーがお見舞いに行ったところから物語は始まります。
エリックは病室にあるブレスレットをジェスパーに渡し、そこでブレスレットの力を説明します。
ブレスレットを使うことで、遠くのものや人の力では動かせなさそうな大きなものなどを触れずに動かすことができます。いわゆる魔法のような力を使えるということですね。
と、このような形で始まり、最初は祖父との感動物語が始まるのかなと思いきや、まさかの魔法的な要素がある物語とは思いもしませんでした。
最初から気になる展開を用意してくる本作。筆者はこの後の展開が気になってどんどん話を進めていってしまうことになります。
そして、このブレスレットはエリックが少年時代に住んでいた“スレップ”という島で手に入れたもので、その入手までの詳細な経緯はエリックの口から語られませんでした。
「なんで語ってくれないんだ!」と、内心思いつつ、ただ何か秘密があるようで、その秘密を解き明かしてほしいとジェスパーに託して、エリックは亡くなってしまいます。
ここから、ジェスパーはブレスレットの秘密を探るために“スレップ”に向かおうとしますが、母親に反対されてすんなりと向かうことができません。やっぱり親としては子どもの一人旅は心配してしまうもの。自分が血縁だったとしても、たぶん行かせるのは止めます!
本作では、ブレスレットの秘密を探る物語となりますが、子どもの一人旅を心配する母親の感情など、人の気持ちが繊細に描かれています。
また、他愛のないものや大きな決断を下すような選択肢なども出てきて、選択によって物語の展開が変わるマルチエンディングが採用されているので、何度もプレイして選択肢によって変わる展開や人の心情、そこから到達するエンディングにも注目。
本プレイでは全部は確認できなかったのですが、このようにマルチエンディングなところは本当にいろいろな選択肢を試したくなってしまうもの。会話1つ、気になってプレイしてしまいます。
ブレスレットの力を使って秘密を探る旅に
ブレスレットの秘密を探るために訪れる“スレップ”は、過疎化が進んでおり、住民はわずか。家屋も朽ちかけていたりして、島の探索は一筋縄ではいきません。でも、このようなちょっと廃墟的な島はワクワクしますね!
さまざまな障害となっているところをブレスレットの力を使うことで、新たな道を開いたり、建物の中に入れるようになったりするわけですが、そこの探索も何があるのかと考えながらプレイするととにかく楽しい!
ブレスレットの力を使うことができる物や場所には、特定のマークがついています。マークをタップすると2つの円が現れて、その円が重なったときにタイミングよく画面をタップすることで、ブレスレットの力が発動して、動かすことができます。
新しい道を切り開くことで行けるような場所には、ストーリーの進行に必要な場所もあるので、ブレスレットの力を使用できる物を見つけたときには、積極的に試してみるのがよさそうです。
ブレスレットの力を使うことに成功すれば、自動で効果が発揮されますが、適当に使っているだけでは、有効に使うことができない場合もあります。
途切れている道を通るために崖から岩を崩す際には、道にできそうな大きな岩に直接ブレスレットの力を使っても失敗してしまいます。
ですが、大きな岩の上に小さな岩を落とすことで負荷をかけてから、大きな岩にブレスレットの力を使うことで、大きな岩を落とせるようになります。
つまり、ただブレスレットの力を使うのではなく、順番に使わないと効果を発揮できないといった謎解きに近い要素も含まれています。
このあたり、一筋縄ではいかないところもあり、とてもやりごたえがあるゲームだと感じました。謎解き要素って、解けると本当におもしろいものです!
本作では、祖父に託されたブレスレットの秘密を探る少年・ジェスパーの冒険が描かれます。
その冒険で出会う人の心情が繊細に描かれており、ストーリーの先も非常に気になるようになっています。
また、繰り返しになりますが、マルチエンディング方式なところも本作の大きな魅力。何度でもプレイしたくなってしまうところがいっぱいある本作を、ぜひ一度プレイしてみてくださいね!
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