『ソウルハッカーズ2』新旧のアトラス作品と新たな要素が悪魔合体!【先行レビュー:システム編】
- 文
- まさん
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アトラスが、8月25日に発売を予定しているPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Windows10,11(Steam)用RPG『ソウルハッカーズ2』(Steam版のみ8月26日発売予定)。本作の最速体験会が2022年6月4日(土)~6月5日(日)に行われています。
その体験会と同じ内容を、アトラス作品の大ファンである担当ライターが、ひと足早くプレイ。システム編とストーリー編の2回に分けて、実際に遊んでわかった内容と、シリーズファン注目の要素や、新規プレイヤーに向けた本作のポイントを解説していきます。
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『ソウルハッカーズ2』とは?
本作は、『真・女神転生』シリーズから派生した『デビルサマナー』シリーズの『デビルサマナー ソウルハッカーズ』の25年ぶりの続編。『デビルサマナー』シリーズを構成するタイトルについて軽く説明しますと、『真・女神転生』シリーズの基本要素である悪魔(オカルト)とSFが融合した世界観に、探偵物+ハードボイルドの要素を導入したのが、『真・女神転生 デビルサマナー』。
次に発売されたのが、当時のネット社会と人の在り方を鋭い先見の明で描いた『デビルサマナー ソウルハッカーズ』。さらに架空の大正時代を舞台に展開した『デビルマナー 葛葉ライドウ』シリーズが2作品存在します(最近のタイトルだと『真・女神転生Ⅲ NOCTURNE HD REMASTER』に葛葉ライドウがゲスト出演していましたが、彼が主役のシリーズです)。
そして『ソウルハッカーズ2』とは、これまでに発売された過去作のエッセンスを受け継ぎつつ、テクノロジーの側から新たなテーマを描いた完全な新作になります。
システム面では、前作の『デビルサマナー ソウルハッカーズ』から要素を大きく一新。主に、近年のアトラス作品である『幻影異聞録♯FE Encore』や『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』といった別の派生作品などで使われたシステムを進化させたものや、本作独自の新要素を取り入れたものとなっています。
また、『真・女神転生』シリーズや『デビルサマナー』シリーズのみにとどまらず、キャラクターの豊富な掛け合いや、相互理解を深めることが戦力強化につながる“ソウルレベル”システム、スタイリッシュなダイレクトコマンド(コマンドそのものが各ボタンに対応している)の採用など、アトラスのヒット作である『ペルソナ5』に近いシステムも取り入れられており、往年のアトラス作品と今のアトラス作品が混ざり合ったタイトルとも言えます。
システム編のレビューでは、そうした歴代作品からの進化と本作独自の要素、アトラス作品の魅力であるバトルなどを、体験会の範囲から解説していきます。なお、新規プレイヤー向けの情報もきちんと交えますが、基本的には自分と同じアトラスの古参ファンが知りたい要素を中心にお届けするつもりです。より詳しい情報を知りたい方は、公式ホームページや公式Twitterのフォローをすることをオススメします。
歴代アトラス作品のシステムを混ぜ合わせて超今風に進化させたシステム
まず、最初に自分と同じアトラスの古参ゲーマー(自分は、ファミコン時代から『RONDE』や携帯電話の派生作品も含むすべての作品をプレイ済み)向けに断言すると……まず、間違いなくビックリすると思います。PVの時点でも、25年前とはかなり印象が異なっているように見えた人もいるでしょう。おそらく、そんなみなさんがPVや事前情報から想像している以上に、ゲームとしてのプレイ体験はガラッと変わりました。続編で、ここまで挑戦的に変えてきたこと自体がスゴイ! まず、その思い切りを自分は受け入れたいと思います。
でも、実際に遊んでみると、コレが意外なことにそこまで過去作と違和感はないんですよ。見た目やシステムこそ大きく変わってはいるのですが、単語や要素の拾い方に懐かしさがあり、ああ確かに『ソウルハッカーズ2』だなと。
文字どおり『ソウルハッカーズ2』であって『ソウルハッカーズ』ではないので、もう本当に“新作”って感じ。新しいようで懐かしいところもあって、結構これまでにない感覚かもしれません。もともと、前作の『ソウルハッカーズ』自体もそれまでの『真・女神転生』シリーズ以上にオシャレになって驚かされましたし、過去には『ペルソナ2罰』から『ペルソナ3』でスタイリッシュになったときも驚いたのですが、その時と同じような変化と言っていいかもです。
そのうえで、過去作の要素を『真・女神転生 デビルサマナー』から『デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王』に至るまで拾っており、印象としてはまったく違うのですが確かに『デビルサマナー』シリーズの系譜を感じられます。また、近年のシステムをいろいろと取り入れてアレンジされているので、ここ数年のアトラス作品を現役で遊んでいる方ならストレートに受け入れやすくもあり、順当な新作、または進化に見えるはず。
なお、最近のアトラス作品から入った人や本作から遊ぶプレイヤーは過去作の要素や単語、設定がわからないかも……と不安になるかもしれませんが、ご安心を。知らなくても作中で解説してくれますし、序盤をプレイした範囲ではTIPSも充実しています。遊ぶうえでは、ほかのアトラス作品どころか前作の『ソウルハッカーズ』を知らなくてもまったく問題なさそう。まさに新作のJRPGです。
そもそも、今回は体験会の範囲までということなので、まだまだわからないことや書けないことだらけ。断言できないことも多く、むしろ、プレイ前より気になることばかり。でも正直に言って、まだこの先はプレイしたくない! だって私、限定版もPS4とPS5で事前に予約していますし、発売までは絶対に情報を仕入れず楽しみに待っていたアトラス作品のマニアですから。
これを書く前も、編集さんから「体験会のレビューを書いてほしいんだけど……」と言われ、必死で抵抗したのです。「いやじゃー! 発売まで何も知らずに遊びたいんじゃー!!」と死ぬほど贅沢なワガママを言ったものの、やはり気になるものは気になる。結局は「先に遊ばせてもらえるなら……」と小躍りしてプレイしてきました。
いや~、それにしても25年ぶりですよ! 25年ぶり! もともと、ファミコン時代の初代『デジタルデビル物語(ストーリー) 女神転生』(正確には完全にガッツリハマったのはSFCの『真・女神転生』)から生粋のアトラスマニアになった私は、毎日のお小遣いをためてセガサターンをゲット。
『真・女神転生 デビルサマナー』では、中華街や市庁舎にある“入る方向で変わるえげつないワープ”に泣かされ、下水道で商売している米軍に対して「地上に来い!」とライジングカートをぶっ放したくなる衝動にかられつつ、セガサターン版をクリア。ベスト版と『悪魔全書(悪魔のグラフィックや解説が見られるデータベースソフト)』のセットを楽しみ、続編の忠誠度関連などの仕様が反映されたPSPのリメイク版に感動したりと、初代『デビルサマナー』は自分のなかでも思い出深い作品です。実写ドラマも全部見ましたし、サントラの喫茶アフロのBGMをアレンジした曲は今でも口ずさんでます。ゆれ~る~ムーンラ~イ~。
もちろん、続編の『デビルサマナー ソウルハッカーズ』も大好き。セガサターン版の『悪魔全書 第2集』のノベルゲームにしかいないディナーに想いを馳せ、PS版でやっと遊べるようになったエクストラダンジョン(セガサターン版は応募すると専用ディスクが当たる)と、“あの追加要素”に感動。3DS版のマダム銀子の声を聞いて「金子一馬さんの冗談みたいなひと言コメントから設定を拾ってくるのか!」と大騒ぎし……。そろそろ脱線し続けているので『ソウルハッカーズ2』の話に戻りましょう。
とにかく、それくらい懐かしい作品ではあるのですが、25年ぶりの新作ということで、やはり現代に合わせたアップデートがいろいろと入っていますね。
何よりも、今回大きく違うのはプレイヤーが操作する主人公・リンゴが女性キャラクターであることでしょう。アトラス作品では、いわゆるヒロイン役に謎の少女が登場するのはよくありますが、主人公として動かせるのはあまり例がありません。しかも、無口系が多い歴代作品と違って名前アリ、個性アリ、台詞アリ。バリバリ喋ります。
一応、過去にも『ペルソナ2 罰』で女性主人公はいましたし、選択制ではありますが『真・女神転生if...』や『真・女神転生 NINE』『ペルソナ3 ポータブル』でも女性主人公は選べました。ですが、やはり女性主人公をキャラクターとしても立たせているのは挑戦的と言っていいでしょう。
バトル自体はシンボルエンカウントなので、ここ最近の作品を遊んでいる人なら慣れたもの。ミニマップも右側に表示されていて、迷うことはないでしょう。リンゴを操作してビームサーベルのような剣を振り、悪魔を吹っ飛ばして気絶させる。そこから接触して先制攻撃でバトルを始めるのは『幻影異聞録♯FE』のシステムですね。『真・女神転生V』でも剣を振れましたが、ナホビノさんほどスイスイと振れるわけではなく、どちらかというと1回ごとの剣の振りはゆっくり。よいしょっという感じで振ります。
よりマニアックな話をすると、カメラ視点もちょっと独特。操作キャラクターが中央に映るカメラ視点ではありません。ちょっと左側に立っているんですよね。3DSの『真・女神転生IV FINAL』では、十字キーで視点を変更すると右寄り視点になるのですが、それに近い(こちらは、全身が見えるくらいにカメラが離れていてより広めの視点)です。マニアックすぎていらない情報かもしれませんが、一応書いておきたかった!
剣を当ててから接触すれば、先制攻撃できるだけではなく確率でボーナスアタックが発生。敵全体に一定のダメージを与えた状態で戦闘を開始できます。プレイヤーが大きく有利になりますが、逆に敵から接触されると先制攻撃されることも……。とはいえプレイ中はあまり先制攻撃された印象もなく、じつはけっこう優しい確率なのかも(アトラスのゲーム基準)。
仮に背後に敵が出現してしまった場合も安心です。敵に見つかったどうかは、ナビゲーションのドローン・ミミが教えてくれます。そうなんですよ。ナビもいるんですよ、今回。全体的に親切になっていますね。
よってシステム面でのプレイ感覚は25年前に出た『ソウルハッカーズ』のソレではなく、完全に『ペルソナ5』や『幻影異聞録♯FE』以降のアトラス作品。PVで想像していたよりも『デビルサマナー』で『ソウルハッカーズ』の要素はしっかりあるのですが、触った感触はPVで見えていた以上に『幻影異聞録♯FE』と『ペルソナ5』的なシステムの遊び応えです。戦闘中における軽妙な掛け合いも、人間同士の絆が強調されている印象があります。
もちろん、根底は『デビルサマナー』であり『ソウルハッカーズ』。『葛葉ライドウ』シリーズを思わせる要素も存在します。ダンジョンに入ると自動で仲魔(仲間の悪魔)たちが召喚されて各所に配置される“悪魔探索”がそうですね。これは、行き止まりなどにいる仲魔に話しかけると消費アイテムや物語進行に必要なアイテムがもらえたり、回復してくれたりするという新システムです。この仕様を聞いて、『葛葉ライドウ』シリーズの捜査用特技を思い出したファンの方も多いかもしれません。
これは自分の仲魔と話せるうれしい新要素でもありますね。本作では、ダンジョン内に回復ポイントや宝箱はない(一度しか貰えないアイテムがあるようなので、これが実際には宝箱に近い位置づけとも言えそうです)ので、彼らの探索は命綱。ファストトラベル用のポータルはありますが、ダンジョン内での消費アイテムやCOMP(武器)の強化素材、貴重品や仲間との交流に使う特殊なものなどの収集は、全部仲魔頼りです。
仲魔たちは目立つので、逆に探索が甘くてアイテムを取り逃した……ということはなさそうかな。すでに1度クリアしたダンジョンでも、仲魔が常に新しい何かを発見してくれます。再探索しやすくていいですね。
しかも! “悪魔探索”の凄さはそれだけではありません。仲魔たちが独自に悪魔と交渉を進めて、リンゴがもう一押すれば仲魔にできる悪魔を紹介してくれることもあるのです! 今までのシリーズでは、戦闘中に悪魔と会話して仲魔に加えていましたが、今回の悪魔会話はフィールド上。しかも序盤だからかもしれませんが、既に交渉を進めてくれているので、みんな要求をちょっと聞いてあげるだけですぐ仲魔になってくれる。
気まぐれな悪魔のご機嫌を取るのもそれはそれで楽しかったりもしましたが、今回は仲魔が連れてくる悪魔がランダムだからか、交渉の難度は低め。めっちゃ優しい! レベルが足りないと仲魔にはできませんが、「あ、あの悪魔が欲しい」と思ったときにわざわざ戦闘しなくても、仲魔集めができちゃいます(ちなみに後で解説する“サバト”で悪魔を倒すと、倒した悪魔が仲魔になってくれやすくもなります)。
人間(サマナー)にスポットを当てた作品ですが、悪魔の存在もきちんと重要視されています。ガンガン話していきたい。
弱点を突いて仲魔を召喚! 状態異常も駆使するアトラス流バトル
この流れで、バトルについてわかったことを書いていきましょう。本作は、ターン制のコマンドバトル。『ソウルハッカーズ』のように仲魔を召喚して直接戦わせるのではなく、リンゴを含めた4人のサマナーたちがそれぞれ自分のCOMPに仲魔をセットして戦う『ペルソナ』シリーズ(全員自由にセットできるので、もっというと『女神異聞録ペルソナ』や『ペルソナ2 罪/罰』に近い)のバトルに近い感覚になっています。
仲魔をセットする=各種パラメータが増えたり対応したスキルが使用可能になる装備のようなもの、という扱いなのも『ペルソナ』に近いですが、序盤では戦闘中に気軽に悪魔を変更することはできません。誰にどの悪魔をセットさせるのか。敵に合わせた悪魔をいかに用意するかがカギになりそう。なぜ今回は召喚方法がこれまでと違うのか。それについても、しっかり物語に組み込まれています。もちろん、その詳細は製品版が出た時のお楽しみということで……!
戦闘がターン制なのは先にお伝えしたとおりですが、アトラス作品でおなじみプレスターンバトルの派生型……ではありません。弱点を突くメリットはありますが、弱点を突いても行動回数の増減はありません。それから弱点を突いても、すぐに何かが起きるわけでもないのです。
かわりに弱点を突けば突くほど、ターンの最後に追撃が入るシステムになりました。これは、作中で“サバト”と呼ばれている新システム。本作では、弱点を突くと敵の背後に仲魔が出現(スタック)。味方ターンの終了時に、出現した仲魔たちが全体攻撃で追撃してくれる仕組みになっています。
これは、プレスターンというよりも、どちらかと言えば『幻影異聞録♯FE』で採用されていたセッションバトルや『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』のデビルCO-OP、『ペルソナ3』以降の総攻撃に近いですね。ただし、あくまでも発動するのはターンの最後のみ。弱点を突き続けて仲魔をできるだけ多く呼び出し、一気に大ダメージを与える……という流れになりそう。
あれ? ちょっと待って。でもパーティが4人しかいないから、悪魔は最大4体しか呼び出せないのでは? と思うじゃないですか。そこで生きてくるのが“コマンダースキル”。本作では、『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』のように、リンゴだけが使える特殊なコマンダースキルが存在しています。コマンダースキル“など”を活用して仲魔のスタック数を増やせば、最大16体の仲魔を召喚して一気に攻めることができるとのこと。
今回遊んだ範囲では、いわゆる最初のボスっぽい戦闘で、8体スタックまでは体験できました。序盤ということもあってか「サバトを駆使して勝った!」という感覚はそこまでありませんでしたが、敵の耐性、味方の仲魔編成、そしてコマンダースキルが揃うタイミングを待って積み上げたので、それだけでかなりの達成感アリ! うれしい!笑
いや実際、この段階では仲魔が揃っていなかったりスキルが揃っていなかったりで、4人全員で敵の弱点を突けるタイミングって、あまりなかったんですよ。大体のスタックは2とか3とかで、3はともかく2や1だとサバトの威力は控えめ。「ダメージ計算間違えて、敵が全員残っちゃった!」ということも度々ありました。
今回のプレイでは弱点を突かれてもダメージが大きいだけで、すぐさま全滅に直結するようなことはそうありませんでしたが、流石に敵を全員残してしまうと弱点を突かれまくって全滅寸前まで追い込まれる、ということは何度かありました。この戦闘バランスのさじ加減、けっこう絶妙だと思います。なんとなく手堅く進めると、そんな大ピンチには陥らないのですが、慣れてきて「1ターンで敵を全滅させたい」と欲張り出すと痛い目に遭うというか……。アトラス作品に触れたことのない初心者さんには優しい一方で、この戦闘システムに慣れてきた人は油断すると足元をすくわれる、というバランスなのかな? という印象です。
また、コマンダースキル“など”と書いたのにも理由があります。どうやら、ほかにもスタック数を増やせる要素があることが、体験会のプレイの範囲から見えてくるんですよ。あまり詳細に書いてもおもしろくなくなってしまうので止めておきますが、他作品のように自分たちの行動回数を増やし、敵の行動回数を減らす、という戦闘システムが主ではないぶん、基本は「4回ぶんのコマンドで、どうやってサバトを最大まで持っていくか」を考えるバトルになりそうです(ちなみに公式サイトのバトル解説動画によれば、コマンダースキルで行動回数を増やすこともできるっぽい……奥深そう)。
ちなみに、バトルからの逃走やダンジョンからの脱出については、比較的序盤からアイテムやスキルが充実していて優しいなぁ、という印象です。剣で敵を切りつけたあと、無視して通り過ぎれば戦闘自体を避けることもできます。なお、今回選べる難易度はEASY、デフォルトのNORMAL、HARDの3段階でした。ファンの方は「NORMALなどヌルい!」と言ってHARDに直行するかもしれませんが、新規のプレイヤーさんはNORMALか、EASYをオススメします。アトラスのNORMALは普通のゲームのHARD! これはもう、いつもそうなので、気を付けましょう。難易度が高いとスタックを積むのも難しそうだな~。
いろいろと新要素はあるものの、アトラスファンならば弱点を突くことが非常に重要な、『真・女神転生V』のプレスターンバトルや『ペルソナ5』の1MOREバトルのイメージで遊べるのは間違いありません。ただ、やはり大きく違うのは弱点を突いても行動回数が増減しないこと。弱点を突かれてもすぐさま全滅に直結するようなペナルティがないのはありがたいのですが、攻撃をブロックしても相手の行動を疎外できないので、敵の数を減らし損ねると大変なことになりがち。そこがやりごたえに繋がっている印象でした。先へ進めば進むほど、この点を試行錯誤するバトルになりそうな予感がします。
そして、驚くことに……なんと! 今回は即死魔法の破魔属性と呪殺属性がありません! 主人公たちが即死するタイプの属性がない。これはおそらく、今回の味方サマナーはリンゴの“ソウルハック”によって死から復活した設定があるからだと思われます(ちなみに本作ではHPが0になると、味方キャラクターは片膝を付いて戦闘不能になり、死亡はしない、という感じです)。
確かにリンゴがいれば絶対に死なないような状態なら、ムド(呪殺)もハマ(破魔)も出す意味ないですからね。ちなみにリンゴがやられてもゲームオーバーではなく、全滅するとゲームオーバーです。難易度EASYなら全滅しても復活し放題ですし、NORMALでも特殊なアイテムがあればリトライできます。HARDの場合は……セーブはこまめに、ね……。ちなみに本作はいつでもセーブできます。こういうところも優しい。
呪殺も破魔も今まで皆勤賞といえる属性でしたが、設定の面から必要なければなくしてしまうコダワリ。こういうところが、アトラスのゲームの好きなところです。リンゴの仲間たちは戦闘不能ではない文字通りの“死”を物語上、一度経験しており、モブも含めて敵対した相手との“命のやり取り”が演じられるのは、懐かしい感じです(異形と化した相手との戦闘に勝利した結果、相手が死んでしまう、という展開はよくありますが)。そこも含めて、今回は大人を描く作品なのでしょう。
破魔と呪殺がない代わりに、今回大きく変わったのが魔力属性。これまでは状態異常の魔法で戦うからめ手の属性で、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』や『真・女神転生V』などでも使い勝手が上がる試みがなされてきましたが、なんと今回はわかりやすくダメージも付いています! 毒にするポイズマや、ドルミナーでダメージが与えられちゃう!!
これ、何気にものすごい新要素ですよ。“状態異常+ダメージ”になったので、これまでのシリーズでは使いにくかった魔力属性の使い勝手が上がっています。というか、敵が滅茶苦茶活用してくるので、イヤでも今回便利なんだなと思わせてくれます。
子守歌を聞いてそのまま永眠したり、悩殺されて死んだり、笑えないのですが笑っちゃうようなシチュエーションが続出。戦術としても、これまでと大きく変わりそうな予感が。ちなみに状態異常の種類はたくさんありそうな感じでした。あと、状態異常を受けている時の専用ボイスもあるので、わざと食らってみると楽しいかも。従来の作品をブラッシュアップしつつ、バトルだけでもかなり違うので新鮮さを感じられました。
酒に料理にビジョンクエスト。現代的でアダルトで、どことなく落ち着く街と拠点
歴代作品と『ソウルハッカーズ』の要素が混ぜ合わさっているのは、バトルにとどまりません。本作では、サマナーたちが日常で使うお店がショップになっている『ソウルハッカーズ』らしい要素も健在。舞台設定が少し未来なので、街のつくりがきらびやかだったり、ロボットアームがピザを焼いていたりと、風景もどことなく近未来です。リクエスト(いわゆるクエスト)を受注できる“Club クレティシャス”の店名とオーナーがマダム銀子なのにニヤリとしたり、ね。
多彩なお店がある華楽町以外にも、いろいろな街が出てきて近未来感を味わえるのも好きなところ。サマナーたちしか使えない町・萬世レルムでは、タタラたんに武器(COMP)の改造を頼むこともできます。もう、施設の人たちが『デビルサマナー』シリーズ要素そのもの。過去作とまったく関係なさそうな店主もクセのある人が多いです。
ちなみに本作、それぞれのキャラクターは仲魔の持つスキルとは別に専用スキルを覚え、また持っているCOMPごとに得意な攻撃属性があるなど、若干個性付けがされています。さらに、どんな専用スキルをどのように修得していくか、どの順でCOMPを改造していくかは、ある程度プレイヤーの手に委ねられる形になっています。
たとえば、アロウは初期状態だと火炎属性の威力がアップする装備を身につけられませんが、COMPを改造すると装備可能になります。このあたりは『真・女神転生V』の“神意”と“御威”のシステムに近いかもしれません。こういった各キャラクターの個性とサバトのシステムを、どう自分なりに解釈してゲームを進めていくか……。プレイヤーごとに多彩なスタイルが生まれそうです。
今回は武器の強化やアクセサリーといった人間の味方の装備を強化することも重要になっていますが、もちろん、悪魔同士を合体させて新たな悪魔を作る“悪魔合体”も健在。シルク・ドゥ・業魔殿の主は、もちろんヴィクトルです。ここも『デビルサマナー』要素。
悪魔合体もプレイヤーの個性が出るシステムですが、今回の悪魔合体はスゴイ。基本メニュー欄に手持ちの仲魔を使ったオススメの合体が3種類ほど表示されるようになり、そのままダイレクトに合体できてしまいます。
さらに検索合体も超便利。逆引きのようなこともできますし、絞り込みも簡単・細かい。「こんな感じで~、それなりにいい感じのやつ、よろしく!」というリンゴの声が聞こえてきそうです。スゴイぞ、ヴィクトル。親切! とはいえ、自発的にウンウンと唸りながら理想の合体を自分で探すのもまたファンの私たちに与えられた楽しみ。このあたりは初心者の方向けの要素と言えるかもしれませんね(自分は検索合体結果を一瞬だけ眺めてすぐに閉じてしまいました。笑)。
最近のRPGや『ペルソナ』シリーズファン向けの要素としては、キャラクターとの交流が挙げられるでしょう。本作ではイベントの選択肢などによって“ソウルレベル”が上昇することがあるのですが、この数値は仲間たちとの相互理解度の指標。『ペルソナ』風に言うならば仲間と絆を深めていくシステムがあるのです。ソウルレベルは選択肢だけではなく“パーソナルイベント”でも上昇するのですが、まさか『デビルサマナー』シリーズで人間の仲間と交流できるシステムがあるのが驚き。
ちなみに、パーソナルイベントは、『ペルソナ』シリーズのコミュやコープのようなものだと思ってもらえるとわかりやすいかも。とはいえ、単純にコミュと同じではありません。『デビルサマナー』シリーズは硬派なハードボイルド。なので、本作では全員が大人です。大人なので、BARでお酒を飲んで交流します。
そうなのです。パーソナルイベントは、街にある“BARヘイズルーン”で発生します。お酒を飲みながら会話をする飲みニケーションで交流を深めていくのです。最近の『真・女神転生』シリーズ本家では出なくなりましたが、久々に(ゲームで)お酒をガブガブ飲めちゃう。みんなボトルビールを直でグイと飲む。ハードボイルドだ。サマナーは、戦闘も酒も強い。
学生同士の絆とはまた違ったソウルレベル……魂の相互理解をすることで何が起きるのか。じつはコレ、ゲーム的にも意味があるのです。本作では、メインストーリー以外にも“ソウル・マトリクス ”というダンジョンが存在します。詳細は後日公開とのことなので、ここでは割愛しますが、この中で記憶の追体験“ビジョンクエスト”が発生するのです。ビジョンクエスト! また、懐かしい単語が出てきましたね。今回は、レッドマンが案内人じゃないのか~。『ソウルハッカーズ』ファンなら思わず引っかかる単語ですが、過去作のビジョンクエストとは少し異なります。詳細は本編でご確認ください。ああ、最後までプレイしたい!
『ソウルハッカーズ』に存在していたビジョンクエストと、近年の『ペルソナ』シリーズにあった絆を結ぶ要素。そこへ、学生ではなく大人を描いた『ペルソナ2 罰』のようにアダルトな関係を組み合わせ、また新しい形のキャラクター同士の交流を描いている本作。会話の内容は『デビルサマナー』シリーズにおける組織の掘り下げにもなっており、メインダンジョンとソウル・マトリクスの攻略、そして各キャラクターとの交流というサイクルで、より深く世界観を知ることができるのかもしれません。
そうそう。交流と言えば、仲間たちと一緒に拠点の“セーフハウス”でミール(食事)を行う要素もあります。ミールの時にも専用の会話が用意されており、またスキルの習得時にも会話があるので、仲間たちのイベントは多めです。
当初はビジネスライクな関係ですが、仲間としての掘り下げやストーリー上での因縁が序盤から描かれていきます。その点でも、すごく今時のRPG。むしろ、これまでのアトラスのRPGと比べると、なかなか異質です。まぁ私が「今度はこの悪魔が出てきたかー!」といつも悪魔ばっかり見ているからかもしれませんが。『ペルソナ』シリーズとはまた違った方向でアニメ的なノリになっているのも注目です。
正直に書くと、おそらく私と同じくらいの古参ファンほど、最初は変化にとまどうのは間違いありません。ですが遊んでみると、さまざまな面で『デビルサマナー』から続く『ソウルハッカーズ』の続編だとわかり、さらに25年の歳月による変化も大きく反映されているのがわかるはずです。
25年間に発売されたアトラスのタイトルと、そこで培われてきた要素が投入された続編となっているので、純粋に『ソウルハッカーズ』から続く形でいきなり本作を遊んだ人は相当驚くはず。ですが、飛び込んでみてください。根底は間違いなく『ソウルハッカーズ』ですし、変化の中にある過去の味付けを楽しめるのも長年のファンの特権。
25年前の『ソウルハッカーズ』が前作である『真・女神転生 デビルサマナー』を受け継ぎつつ、雰囲気や世界観のスタイリッシュさで我々を驚かせた以上に、本作は『ソウルハッカーズ』の系譜を受け継ぎつつも、最近のスタイリッシュなアトラス作品の最新作として、2022年の現代に飛び出してきたのです。
本当はもっといろいろ書きたいのですが、まだまだネタバレ的に書けないお話がいっぱい。シリーズファンの方は「何がソウルハッカーズで、どこが新しくなったのか」を見極めるためにも、実際に製品版を遊んで確認してもらうのが一番ですね。もちろん、新規プレイヤーの方はまったくの新作RPGとして遊べるので、アトラス作品の第一歩としてもアリだと思います。実際に遊んでいると、いろいろなところで新規層を意識した遊びやすさがデザインされているな、と感じました。というわけで、まだまだ書き足りない部分があるので“ストーリー編”のレビューに続きます!
※ストーリーに関するレビューは近日公開予定です。
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