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『ソウルハッカーズ2』裏社会の人間が贈るドラマ。クリエイターコメントも【先行レビュー:ストーリー編】

まさん
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 アトラスが、8月25日に発売を予定しているPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox OneWindows11,10/ Steam用RPG『ソウルハッカーズ2』(Steam版のみ8月26日発売予定)。本作の最速体験会が2022年6月4日(土)~6月5日(日)に行われています。

  • ▲ヴィクトルがお出迎え。隣には『真・女神転生V』で登場した、あの悪魔の姿も。
  • ▲主人公・リンゴの衣装が展示されていました。
  • ▲限定版の同梱物の見本も。

 その体験会と同じ内容を、アトラス作品の大ファンである担当ライターが一足先にプレイ。前編となる“システム編”では、シリーズのファン視点でみたシステムの概要をレポートしましたが、今回はストーリーやキャラクターを中心に本作の魅力をお伝えしていきます。まだ読んでいない方は、よろしければ“システム編”のほうもご覧ください。

『ソウルハッカーズ2』先行レビュー:システム編はコチラ

 『ソウルハッカーズ2』は今よりも少し未来、21世紀中頃を舞台に“人とテクノロジー”の物語を描いた、完全新作のRPGです。

 神話上の悪魔が登場する『真・女神転生』シリーズから派生した『デビルサマナー』シリーズのなかの、『デビルサマナー ソウルハッカーズ』の世界観を受け継ぎつつ、ニューハードボイルドRPGとして新たなテーマを描く本作は、システム、ストーリーの両面から前作(『ソウルハッカーズ』)とは大きく印象を変えた作品となっています。

 そのためシリーズ未体験の人もイチから楽しむことができるでしょう。

 以下のストーリー編のレビューでは体験会でプレイ可能な序盤の部分を中心に、キャラクターや物語の面から『ソウルハッカーズ2』の見どころをピックアップ。実際にプレイして判明したキャラクター関連要素に触れつつ、さまざまな年代のアトラスファンが気になるポイントや、新作RPGとして気になっている新規プレイヤーさんに向けた見どころなどを、往年のアトラス作品ファンである担当ライターが解説していきます。

感情も個性もある知性体・リンゴと訳アリのサマナーたちが織り成す物語

 やたらとマニアックな面ばかり取り上げてしまったシステム編に続き、こちらはストーリー編です。実際に遊んだゲームの流れに沿いつつ、ストーリーとキャラクターについてわかったことを書いていきたいと思います。

 なお、大きなネタバレは極力避ける予定ではありますが、今回体験できた序盤の範囲内の物語については、どうしてもネタバレが避けられません。気になる人は、発売日まで情報を遮断して待ちましょう。

 というわけで、さっそくゲーム開始から。人間の側からテクノロジーにアプローチしていた『ソウルハッカーズ』とは逆に、今回の主人公はテクノロジー側のキャラクターです。物語は、情報の海から生まれた新たな知性にして事象である“Aion(アイオン)”から、主人公・リンゴと相棒のフィグが生み出される場面から始まります。

  • ▲“情報の海”といったアトラスゲーマー的には懐かしい単語もあり、リンゴの誕生ポーズにどこか『アバタールチューナー』のセラのような懐かしさを感じる自分。ラーイシャーイ、オンザヘブン。

 世界の破滅を止めるため、Aionによって生み出されたばかりの存在であり、人間の感情に興味を抱いている……と聞くと、「ああ、感情がないヒロインがいろいろあって、感情を理解して個性を獲得していく系の話なのね」と思うかもしれません。

 でもその予想とはまったく異なり、リンゴさん、ゲーム開始時から滅茶苦茶感情があります。個性バリバリ。表情豊か。流石、情報の海から生まれた存在。あくまでも情報としてはすでにいろいろなことを知っているため、人間の実態などに興味がある、好奇心旺盛なネコのようなおねーさん、という感じ。相棒のフィグも、癒し系のおねーさんです。

  • ▲メインキャラクターは3Dモデルの表情もコロコロ変わり、会話画面の2Dイラストも台詞に合わせて口パク。表情パターンも多いです。イベントシーンでも、3Dモデルがグリグリ動くので、見ていて楽しいです。

 ときどき「これが雨の感覚なのか~」のような、“話には聞いていたけど、新鮮!”的ムーブをすることはするのですが、基本的には世界のさまざまな事象を情報として知っているので、理解が早い。天然ボケもすればツッコミ役にも回ることができて、登場人物のなかでも個性が際立ちまくりです。

プレイ前はもっと秘密めいたキャラを想像していたら、むしろ前面に出てグイグイ話を引っ張る主人公。謎でも記憶喪失でもない、ガンガン積極的に動く女性主人公でした。めっちゃ喋る。呆れる。突っ込む。叱る。ボケる。Aionさん、人間の再現度高すぎ。いったい人間のどんな情報を見てきたんだろう。

 そんなリンゴさんが、世界の破滅を止めるために行動を開始するところから、プレイヤーによる操作が可能に。いわゆるチュートリアルにあたる最初のダンジョンでは、世界の破滅を防ぐキーとなる人物の1人、ヤタガラスに所属するデビルサマナー・アロウと出会うことになります。

  • ▲ヤタガラスのサマナーというだけでも『葛葉ライドウ』シリーズのファンが気になっているであろうアロウさん。これまでのアトラス作品なら、むしろこちらが正統派の主人公的なキャラ付けです。持っているCOMPもGUMPっぽいですし、パーカーの背中には懐かしの“悪魔アイコン”があしらわれています。

 ヤタガラス! という単語でもう『葛葉ライドウ』シリーズのファンが前のめりだと思うのですが、いやあ、令和の時代でも健在だったんですね~ヤタガラス。本作は『ソウルハッカーズ』の“2”ではあるのですが、そもそも『デビルサマナー ソウルハッカーズ』自体が『真・女神転生』シリーズからパラレルワールドとして派生した『真・女神転生 デビルサマナー』の続編。

 また、『デビルサマナー』シリーズには『デビルサマナー 葛葉ライドウ』シリーズ(最近のタイトルだと『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』に葛葉ライドウがゲスト出演していましたが、彼が主役のシリーズです)も含まれていて、設定的にも繋がっているということもあり、今回はそちらからもガッツリとネタが拾われていきます。

 シリーズのファンは、次から次へと飛び出す“ファントムソサエティ”などの単語や、「そういえば『デビルサマナー』の時からあんな設定あったわ……」と、ファンサービスでありながらも同じ世界線であることをにおわせる単語の使い方にニヤニヤしつつ、いろいろ考察しながら遊んじゃいましょう。

 そうそう、PVを見た人なら“葛葉”の単語が聞こえて驚いた人もいるのでは? じつは、体験会の範囲でもこの単語が出てくるところまで行けると思います。そこはプレイしてのお楽しみということで。ただ、この“葛葉”も体験会の範囲では謎だらけなんですよね……。

 もちろん、本作で初めてアトラスのゲームに触れるというプレイヤーにとっては、「ヤタガラスとかファントムソサエティとか、なんのこっちゃ……」だと思います。そういったわからない単語の解説をうっかり読み飛ばしてしまったとしても、メニュー画面のSYSTEMから、いつでもストーリーに関連する用語説明を読み返せます。ぜひ活用してください。

  • ▲見た目は今風のアニメチックなRPGでありつつ、組織名や人物、背景には『デビルサマナー』からの繋がりが感じられます。ファントムソサエティも大いなる存在も前作では決着がつかなかったので、どうなるのか気になる!

 チュートリアルでは、意気揚々とアロウに会いに行ったリンゴさんがいきなりアロウの死体とご対面。死んでしまったアロウを生き返らせるべく“ソウルハック”で彼の魂に触れていきます。前作の『ソウルハッカーズ』はテクノロジーを使ってソウルをハックしようとする敵側と戦っていく物語でしたが、今回はハックする側になるわけですね。

 さらに、いつもだったら主人公がアロウでリンゴのほうがヒロインっぽい関係なのに、そこが逆転しているのもポイントでしょう。序盤からいつもの『デビルサマナー』シリーズとは作風を変えてきている印象があります。

 本作では、ヤタガラスに所属するサマナー・アロウ、ファントムソサエティのサマナー・ミレディ、フリーランスのサマナー・サイゾーという立場も組織も目的も異なる3人のサマナーが仲間になるということで、これまで描かれていなかった組織ごとの内情なども掘り下げられるようです。

 「ヤタガラスって葛葉以外にもサマナーがいたのか~」とか、「ファントムソサエティってやっぱりモブのサマナーも含めて変な人たちばっかりだな~」とか、シリーズファンだとそういう細かいことばかり気になっちゃうのですが、本作はニューハードボイルドであり、本筋のシナリオはシリアスです。また、敵も悪魔ではなく、野心のある人間なのです。

  • ▲敵もサマナーなので、モブサマナーでも悪魔を召喚してサマナー+悪魔の組み合わせで襲ってきます。人間の敵と戦えるのも個人的にうれしい。あと、敵の召喚演出があるのも◎。

 まあ、チュートリアルの時点でラップを刻んでくる変な敵サマナー、R.S.が出てくるという割と軽い面もあるのですが、ほら『ソウルハッカーズ』も最初の敵はギターを持っているキャロルJだったしベイベー。個性があるのがファントムソサエティなのです。見た目は変でも、容赦がないからこそ怖いんですよ。

 さらに今回はモブの敵サマナーとも命のやり取りが発生します。ノリが軽くても、やっていることは重く、命の保証もない。アトラスのゲームだと悪魔化した後に結果死んでしまう、というのは結構あるのですが、味方キャラクター(=プレイヤー)が、敵である“生身の人間”と命のやり取りをするシーンがあるのは久々かも。

  • ▲ライム刻むぜR.S.。思い出すぜキャロルJ。つられちまう文章。頭使う戦闘。と、思わず真似したくなるキャラクターですね。ふざけたまま脅してくるので、逆に怖い。

 ただし公式の表記がハードボイルドではなく、“ニューハードボイルドRPG”であることからもわかるように、シビアな描写はあるものの、ノリとしては明るく前向き。登場人物は全員プロのサマナーで、モブも含めて死と隣り合わせなのですが、悲壮感は薄めです。もちろん序盤の範囲では、ですが。みんなプロ意識が強い。

  • ▲やけに印象に残るので、一部で人気が出そうな気もする恩田一郎。彼のように、サマナーではないキャラクターも登場します。

 メインとなる物語は、アロウとファントムソサエティのサマナー・カブラギの対立といったサマナー同士のしがらみや因縁を交えつつ、謎のアイテム“コヴェナント”をめぐる争奪戦が主軸。メインとなる物語が進みつつ、個々のサマナーたちの物語が掘り下げられていきます。みんな話したくないことは話さないですし、あえて聞かないスルー力を持った大人たちなので、先が気になる作り。

 システム編で紹介したビジョンクエストをこなしつつ、彼らのパーソナリティを知ることは本作を楽しむうえで欠かせません。実際に仲間にしてみると、みんないいキャラしているんですよ。ミレディもサイゾーも、わりとお茶目な面を見せてくれます。

 新規プレイヤーはもちろん、シリーズファンにとっても気になる要素が多く、やはりなんだかんだ言っても本作は『ソウルハッカーズ』の続編。人類に破滅をもたらす“大いなる存在”と、それに関わる謎のアイテム“コヴェナント”とは何か。ファントムソサエティの目的であり、シリーズを通して貼ってきた伏線でもある“大いなる存在”は今回こそ姿を現すのか。私も25年ぶりに進むシリーズ全体としての展開が気になっています。8月……発売日までまだ遠いんだよな……。

ビジネスライクな関係……のはずがなんだかんだと仲がいい仲間たち

 悪魔あるいは仲魔を中心に、神話的な物語設定をうまく落とし込んでストーリーを構築しているのが『真・女神転生』シリーズおよび、派生作品でもある『ソウルハッカーズ』の特徴。それゆえに、これまでは人間よりも悪魔の描写に重きが置かれていたように感じていました。しかし本作では悪魔だけではなく、人間の仲間と、敵のサマナーにも多くの描写が割かれるようになり、昨今のRPGらしさが増しています。

 注目したいのは『ペルソナ5』や『幻影異聞録♯FE』のような日常を描いているわけではなく、あくまでも“職業=サマナー”として裏稼業に身を投じるアロウたちや、彼らと同じサマナーたちが日常と非日常の狭間でどう生活しているのか、を描いているということ。おそらく過去に『ソウルハッカーズ』を体験した人が驚くほどに人間的な描写がマシマシです。一応、過去作でもアジトだったトレーラーに戻るとイベントが発生することもありましたが、本作はその比ではなく、より深く仲間と交流できるようになりました。

  • ▲街にいるメッセンジャーには、モブのサマナーや悪魔たちも。下っ端の悲哀を感じさせるサマナーたちが多いです……。

 アジトであるセーフハウスでは仲間たちと食事をしながら会話できますし、街に出ればBARで仲間たちとのパーソナルイベントが発生。システム編でも紹介しましたが、本作ではイベント中の選択肢で仲間ごとの“ソウルレベル”が上昇します。本編の進行に合わせて、リンゴとサマナーたちが相互理解を深めていく流れになっているのです。

  • ▲体験版の範囲では、ソウルレベルが上昇する選択肢はあっても下がる選択肢はなさそう。好感度ではなく、あくまでも相互理解だから?

 ストーリー中では、序盤からたびたび仲間たちが衝突をする場面もあるのですが、そこは大人。引きずらない。全員、目的のために割り切っていますし、リンゴを中心とした繋がりがあるからか、むしろ非常に和気あいあいとしているのが印象的でした。君たち本当は仲がいいな!? 例えるならスプーキーズや心の怪盗団くらい和気あいあいとしてますね。

  • ▲戦闘中の掛け合いも楽しそう。仲間同士で名前を呼び合い、軽妙な掛け合いを見せてくれます。画像のような死闘だと、聞いている余裕はないかもしれませんが……(ちなみにこのあと全滅した)。

 ここらへんは、とても現代的なRPGになったなーと感じます。いや、今のJRPGや『ペルソナ』シリーズなら驚かないのですが、本作は『ソウルハッカーズ』の続編ですから。もっと殺伐としたドライな雰囲気一辺倒の作品なのかなと想像していたのですが、意外とメリハリが効いていて“日常の地続き”感があります。

 敵も含めて、サマナーたちは日常生活がある“普通の人間”なんですよ。街のあちこちにサマナーがいるので、普通の悩みとサマナーの苦しみが同時に聞こえてくるんです。友だちはみんな結婚したのに、アタシだけデビルサマナーで出会いがない……みたいな悩みを抱えていたりするモブサマナーなんかもいたり。笑っちゃうけど切実。

 古いアトラスファンだと主人公たちの現代的な仲のよさやモブサマナーたちにとまどいそうにもなるのですが、前作のスプーキーズのメンバーも仲がよかったですし、これもまた時代に即した正当な進化と言えるでしょう。『ペルソナ』シリーズにあるコミュやコープのようなシステムとは趣を異にした仲間たちとのイベントも、それに近い感覚です。

 『ペルソナ』シリーズがジュブナイルなら、こちらはニューハードボイルドと、それぞれ差別化ができていると思います。大人たちが主役になるアトラスのRPGは、『ペルソナ2 罰』以来ですね(RPG以外だと『キャサリン』もありますが)。もちろん、仲魔や悪魔も個性的。序盤の時点では、敵側の悪魔の存在が見えないので、今回はどんな大物悪魔が話に絡んでくるのかにも期待しています。

  • ▲自分が好きなのは、女性悪魔の口調の1つにあるダルめな感じのギャル風口調。文字だけじゃなくて、音声のセリフがいちいちおもしろいです。

 システム編でも少し触れましたが、スキルの入手時にもちょっとした会話があります。スキルごとに違う会話が発生するなど、とにかく仲間たちの出番が多め。

 このようなちょっとした会話でも、登場人物それぞれの人間としての特徴をしっかり見せようとしているのがわかります。世界観として重要な会話をサラッと言ったりもするので、わりと見逃せません。BARでの会話でも、シリーズを遊んでいる人ならニヤニヤしちゃう会話が飛び交います。

  • ▲『デビルサマナー』シリーズも『真・女神転生』シリーズから派生する作品ということで、今回のシステムやメインストーリーには直接関係しなさそう? なのですが、ロウ、カオスの概念がちゃんとあるんですよね。

 こういった細かい会話を拾いつつ、キャラクターの性格や組織の背景を見ていくのも楽しみの1つです。体験会の範囲でも、すぐにリンゴ、アロウ、ミレディ、サイゾーの4人が揃って行動できるようになりますし、みんな意外にキュートな一面があるので、彼らに愛着が湧くのではないでしょうか。

 さてさて、ストーリー編の先行レビューではありますが、あまり書きすぎると楽しみを奪ってしまうのでここらへんでやめておきます。これまで解説したのはまだまだ序盤の範囲なので、ここからどう勢力やキャラクターが動くのか、自分でも製品版が楽しみです。

 最後に全体的な感想としては、前作から25年を経た続編ということで、大幅にシステムや見た目が変化しただけでなく、シナリオのノリやキャラクターの描写といったストーリー面も、現代のゲームとしてイメージが大きく変わっていますね。これまでアトラスのゲームに触れたことがない人や、『ペルソナ』シリーズから入ったファンの方でも、すんなり本作の世界に没入できる作品になっていると思います。

 一方で自分のような古参ユーザーは置いてけぼりにされたのか、と言われると答えはNO。歴代アトラス作品のシステムが、本作においてどのような形で吸収、反映、進化しているのかを楽しめますし、変化のなかにある過去作からの要素や単語に気が付けるのも、古参だからこその楽しみ。いろいろと変わってはいますが、さまざまな面で『ソウルハッカーズ』であると感じられる部分が用意されているので、ぜひプレイしてみてください。あ~、早く8月が来ないかな……。

  • ▲いかにもなハードボイルドの記号が飛び交うオープニングムービー。たぶん、起動してすぐに流れるので驚くと思います。アロウ、あざとい。

クリエイターからのコメントをご紹介!

 最後に、本作のプロデューサー兼ディレクターを務める、石田栄司氏と平田弥氏のコメントをお届けします!

――『ソウルハッカーズ2』の注目してほしい所や魅力は、どういった点にあるのでしょうか。

石田:前作を遊んでいただいた方も、本作で初めて興味を持っていただいた方も、両方の方に楽しんでいただきたいなという思いは強くありました。そのため、『ソウルハッカーズ』のエッセンスを保ちつつ、あまり臆病にならずに、大きな新規要素や変更点をできるだけ盛り込んだところでしょうか。キャラクター像を一新して、『真・女神転生』シリーズとは異なる主人公像を提示したのもその1つですね。

平田:アトラスの最近のタイトルはキャラクターたちが紡ぐ物語にも力を入れていますが、『ソウルハッカーズ』もまた、ビジョンクエストという形でキャラクター像を深めようとしたタイトルでした。そのため、本作でもそういった要素は継承しつつシナリオを作っています。キャラクターたちの掛け合いによって描かれるドラマを見ていただきたいですね。

――大人に焦点をあてたドラマ、という点も意識されたことなのでしょうか。

石田:はい。前作はティーンエージャーがデビルサマナーたちに立ち向かう、という形でしたが、今回はなぜデビルサマナーたちがその職業に就くことになったのか、そこも深堀りしたいと思ったんです。ファントムソサエティのサマナーもいれば、ヤタガラスのサマナーもいて、フリーランスのサマナーもいる。それぞれの事情を描くことで、本作の世界観が深められるのではと思ったんですね。そういう意味でも、大人を描くことは必須でした。

平田:前作においては敵役のデビルサマナーに魅力的なキャラクターが多かったので、本作でもさまざまなデビルサマナーたちを深堀りしたい、という意味がありましたね。

――制作中に意識していたことや気をつけていたことがあれば教えてください。

石田:『真・女神転生』シリーズは、オカルトと人間が紡ぐ物語だと思っているのですが、『ソウルハッカーズ』は、オカルトとテクノロジーと人間の3つの要素で構成されている物語です。その3すくみ感はすごく大事にしたいと思っていましたね。ただ前作ではテクノロジーは人間が扱うものとして描かれていましたが、今この要素で物語を構築するなら、この構図は逆転していたほうがおもしろいだろうな、とも思いました。本作では、テクノロジーが人間の力では解決できない問題を解決するために人間社会にやってくる、という形で物語が始まるのは、そういう着想からですね。

平田:ゲームシステムのメカニズムというものは、10年、20年もたてば、大きく変わっていくものです。そのため、『ソウルハッカーズ』らしくありながらも新しさを取り入れる、というのは非常に気をつけたところです。具体的には、デビルサマナーとして悪魔を使役する要素として実装した“悪魔探索”、そしてアトラスのタイトルでは定番となる弱点を突くシステムと組み合わせた“サバト”です。

――本作に興味を持っている方々にひと言お願いいたします。

石田:繰り返しになってしまうのですが、前作を遊んでいただいた方も、本作で初めて興味を持っていただいた方も、両方の方に楽しんでいただきたいなという思いを強く持って制作していきました。みなさんぜひ手にとって、遊んでいただけますと幸いです。

平田:25年ぶりのタイトルということで、どれぐらい変わっているのか変わっていないのか、さわり心地はどうなっているのか、気にしてくださる方もいらっしゃるかと思うのですが、実際に遊んでいただければ、アトラスの最新タイトルであり『ソウルハッカーズ』の続編であることを理解していただけるのではないかと思います。プレイくださるとうれしいです。

 というわけで、ストーリーのレビューをお届けしました。よろしければシステムのレビューも御覧ください。

『ソウルハッカーズ2』先行レビュー:システム編はコチラ

 なおアトラスでは本日まで、事前応募制の“世界最速プレミアム体験会”を実施しています。参加者さんの感想が本日より“#ソウルハッカーズ2体験会”を付けて随時ツイートされていますので、そちらもこのレビュー記事と合わせてチェックしてみてください。

 また、本作の公式生放送“【実機プレイ初公開!】ウェルカム・トゥ・業魔殿 ソウルハッカーズ2 生特番SP”が6月8日(水)20時より放送されるとのことなので、本作が気になっている人は要チェックです!


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