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sakoさんが振り返る2021年度のプレイ。練習方法や『ストV』の調整、キャラについてコメント

たく坊kbj
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 FAV gamingに所属しているプロゲーマー・sakoさんに、インタビューを実施しました。

 sakoさんには、2021年を振り返っての感想に加えて、『ストリートファイターV チャンピオンエディション(以下、『ストV』)』や対戦格闘ゲームのコミュニティの変化などについて質問。インタビューにはsakoさんのマネージャーである奥さんのakikiさんが同席されていたため、あわせてコメントいただきました。

 なお、収録は4月18日に実施し、インタビュー中は敬称略。


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興味があるのはあのタイトル!? 対戦格闘ゲームのおもしろさとは?

――改めて、自己紹介をお願いします。

sako:FAV gamingというプロゲーミングチームに所属し、周辺機器メーカーのHORIさんのアンバサダーを務めています。おそらく国内対戦格闘ゲームプロの中で最年長であるsakoと申します。4年前からFAV gamingに所属しており、それ以前はSCARZ(スカーズ)というプロチームに所属していました。SCARZの前はHORIさんとの契約のみで、当時はまだ専業ではなく兼業でした。

――対戦格闘ゲームの好きなところやおもしろいところを教えていただけますか?

sako:なんといっても、1対1の勝負というところがすごい好きです。最近は複数人でチームを組んで対戦するゲームが多い中、対戦格闘ゲームは昔から1対1が多いです。勝っても負けても自分の責任になるのが、わかりやすくて好きですね。

 練習しなかった部分は負けて、練習した部分は勝つということや、試合内容を見た時にどこが悪かったかがハッキリするところも好きな理由。練習すればするほどうまくなっていくし、勝てなかった人にも勝てるようになる。モチベーションにつながりやすいです。

 自分の場合は、コンボやアクションの連係が好きなのでそれを練習し、いかに実戦で決められるかをシミュレーションしています。それが決まった時には、「どや!」と心の中でドヤ顔しています。

 チーム戦だと、個人プレイが出てしまうとチームの輪を乱してしまうので、なかなかうまくいかないんです。対戦格闘ゲームは全部自分のせいなので、個々の考えを戦略に組み込んでも、誰にも文句を言われない。そういうところが性格とあっていますね。

――今でこそ、練習や対策をすぐに実行できるかと思いますが、対戦格闘ゲームを始めたばかりのころは、練習方法もわからなかったのではないでしょうか?

sako:対戦格闘ゲームとして本気で向き合ったのが、『ヴァンパイアセイヴァー(以下、セイヴァー)』で、20歳くらいでした。まったく勝てない人がいて、何度やっても勝てませんでした。その人に勝つにはどうしたらいいのかが始めはまったくわからず、勝てない期間が何カ月も続いていて「このままじゃあかん」と思い、その人のプレイを後ろから見るようにしたんです。

 それからは「この人はこういうところでダメージを取っているんだ」や「こう動いているんだ」と、動きを場面ごとに切り抜いて見るようにしました。そういうことをやり始めて、ダメージを取る方法など、1つ1つ積み重ねていきましたね。

 当時は頑張ったし、メチャクチャ時間もかかりましたけどね(笑)。1年くらいはかかったんじゃないかな。

――今でも練習を重ねるのは好きですか?

sako:一番効率よく相手の情報を得られるので、トレーニングモード(通称:トレモ)は好きです。トレモで遊んだことは知識になるんですよ。

 いきなり対戦しても、相手がどういう攻撃をしてくるのかもわからないし、どういう技を持っているのかもわからない。でもトレモで調べれば、コマンドや特徴、フレームなどがわかります。それを覚えておくことで弱点が見えてきます。

 そういう理由で、トレモが自分にあっているし、やりやすいです。

――『ストV』はトレモがいろいろと充実していると感じます。

sako:そうですね。状態保存の部分がよくできているし、いろいろなデータが表示されるので、調べるにはかなり優秀だと思います。

――『ストV』を多くプレイされていますが、他の対戦格闘ゲームに興味はありますか?

sako:どちらかというと、やりたいですね。でも、1つのゲームに時間をかけてしまうため、時間が圧倒的に足りないんですよ。やるならガッツリやりたい人間なので、下手にかじってしまうとどれも中途半端になってしまう……それが苦手で、極力やらないようにしています。

 ただ『鉄拳』はすごく興味があって、自分ではプレイしていないですが、上手な人のプレイや大会などを見ています。

――ご自身を分析された時、どういうプレイヤーだと思いますか?

sako:手先が器用な方ではあると思います。もしくは、シチュエーションごとに最大コンボを狙ったり、相手の行動に対して細かいことで返していったりする玄人好みのタイプかなと。

練習方法をときどさんから新たに学ぶ! 2021年を振り返る

――長きにわたる“ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021”(以下、SFL)や“CAPCOM Pro Tour 2021”(以下、CPT)、“FAVCUP2022 sponsored by v6プラス”、“v6プラス FAV Rohto Zファンミーティング”があった2021年度ですが、終えられていかがでしたか?

sako:CPTやIWO(Intel World Open)などの個人戦では順位一桁まで勝ち上がることが多く、アベレージは高かったですね。チーム戦のSFLは2020に続く優勝で2連覇でしたし、総合的には悪くなかったと思います。ただ、SFLでの個人戦績はあまり芳しくなく、チームメイトに助けられた場面が多かったですね。ゲームのレベル自体もかなり上がっているので、遅れをとらないように必死でした。


――SFLを経てチームメイトから学んだこと、参考になったことはありますか?

sako:“v6プラス FAV Rohto Z!”というチームで出場したのですが、同じチームメイトにときどという選手がいました。自分はある程度トレモで対策を詰めて、頭の中ででき上がってから、対戦で調整していくスタイルですが、彼の場合は、ひたすらプレイして、対戦の中で詰めていくスタイルで、自分とは真逆のタイプなんです。

 ときどのスタイルを知ってはいたものの、一緒に練習することで改めて「人によってこんなにも違うんやな!」と刺激を受けました。また、それを取り入れてみようかなと思いました。実際に勉強になったと思います。でも、最終的には自分には合っていなくて、「そこは人それぞれなんやな」と(笑)。

 ただ取り入れられる部分もあったので、自分に合うようにアレンジしてスキルアップに繋げていきたいと思います。

――一緒に練習していたのでしょうか? もしくは内容や情報を共有するのが多かったのでしょうか?

sako:ときどとりゅうせいが同じキャラを使ってたので、2人はよく一緒に練習していました。そこに通話で参加して、話を聞いたり、相談したりはありましたね。他のチームに比べると合同練習は少なかったと思います。

akiki:普段はやらない、バトルラウンジの練習もしてたよね。

――“普段はやらない練習”というと?

akiki:普段は、野良のバトルラウンジで練習することが多かったんです。でも、SFLに向けた練習では強豪と言われる人と約束して、バトルラウンジを立てて練習したことがありました。ときどさんから勧められてやった方法です。

sako:日本国内には、プロでないけど強豪のプレイヤーがメチャクチャ多くいるんですよ。そういう人をSNSで捕まえて、「この時間にどうですか?」と待ち合わせて練習することがありました。

――ここ数年で考えると、練習はかなり変わったのはないでしょうか?

sako:SFLが始まるまでは、オープントーナメントに参加することが多かったんです。そのため、全キャラクターの対策を平均点以上に仕上げることがトーナメントに向けた練習方法でした。

 SFLについては、対戦組み合わせの相手・キャラを100点に仕上げるという、今までとはちょっと違う形になりましたね。

――仕上げる際には“人読み”に重きを置かれるのでしょうか?

sako:キャラ性能での対策は、誰が使っても変わらないので一般的なものになります。それ以上踏み込むとなると、どうしても“人対策”になりますね。

 この人はこの技を振ることが多い、この距離になるとこういう行動する、こういうガード方法をしがちなどを研究して、それの対策を当てはめていく感じです。

――一方で大会だと、用意してきた“人読み”とは違うことをされるケースもありそうですが……。

sako:そうですね。対戦格闘ゲームにおいて対戦相手は人が動かしているので、前情報を信じすぎないようにしています。ある程度の知識として「こういう傾向が多いな」くらいにとどめてかないと、過信していると裏切られてしまうんです。

 ぶっぱなし気味に技を出してくることもありますし、緊張のために何をしてくるかわからない人もいます。普段のプレイとは違う動きをしてくると考えながら対戦に挑んでいます。

――大会によって開催期間が違いますが、長さによって普段と変えていることはありますか?

sako:開催期間が長いと、同じキャラクターと戦うことが多いので、特定のキャラクターに対してどれだけ糸口を見つけられるか、そのプレイヤーをどう攻略していくかがポイントになります。

 ただ、相手がうまくなるから、こちらもうまくなる必要がある……そんな感じで、練習に終わりがないのが悩ましいところです。SFLではず~~っと練習でしたね(笑)。

――sakoさんから見てレベルアップを一番感じた選手は誰でしょうか?

sako:うちのチームのりゅうせいかな。これまで個人戦績もそこまでよくなかったし、メンタルが強い子ではないというイメージでした。それが、SFLの決勝の土壇場で勝利して、個人的に感動しました。「こいつ、成長したな」とつくづく思いました。

 対戦格闘ゲームにおいて、勝たなければいけない試合をちゃんと勝ちきることがどれだけ難しいことか、僕らが一番よく知っています。そこを勝ち切ったのは、成長したからだと思いました。

『ストV』の新バージョンではKAGEに夢中!

――昨シーズンの『ストV』のバージョンを振り返って、いかがですか?

sako:前のバージョンでは、キャミィやユリアンが手強くて、自分の持ちキャラでどう崩していくか、悩んだバージョンでしたね。ぶっちゃけ、ちょっとしんどかったです(苦笑)。

――メインキャラであるメナト以外にも、ルークやGでプレイしているのを見たことがあります。それは、持ち駒を増やそうと思って練習していたのでしょうか?

sako:メナトは、オープントーナメントでは活躍できたけど、SFLのようにがっつりキャラ対策をする大会では大変なところがあった。そこが困ったところでしたね。

――他のプレイヤーが、メナトの、ひいてはsakoさんの対策をどうやっているのかが気になります。

sako:一般的なメナト対策をすれば、自分でも困りますよ。メナトは“Vトリガー”自体はかなり優秀ですが、そこまで動きに幅があるキャラではないんです。“Vトリガー”の強みをいかす過程について、他のキャラより考えさせられましたね。

――2022年3月29日から、『ストV』が新バージョンになりました。3週間が経過しましたが、所感はいかがでしょうか。

sako:メチャクチャおもしろいです。これまでできなかったことができるようになったキャラが増えてて、新しい戦略の幅が広がりました。

 今は大幅にアップデートされた影ナル者(通称:KAGE)を使っていて、とにかく楽しいです。KAGEを筆頭に、調整内容が20項目近くあるキャラクターが何体かいて、力を入れた調整になっていると感じましたね。

――新バージョンで、他に気になっているキャラクターは?

sako:ローズのように気になっているキャラはいるにはいるのですが、今はKAGEがすごくおもしろくて、あまり触れていないです。ローズの他にGも気になるのですが……軒並みルークがきついんですよね。

――過去作ではローズを使っていたこともありました。キャラに思い入れがあるとかではないのでしょうか?

sako:キャラクターが好きとか、そういうわけではないですね。『ストリートファイターIV』とはゲーム性がまったく違いますから。

 ただ、KAGEはおもしろさでいうと『ウルトラストリートファイターIV』の“殺意の波動に目覚めたリュウ”と同じくらいおもしろいですね。そもそものきっかけは技がカッコいいし、使ってみようと思ったことですが。

――sakoさんが思う、ルークに対して有利がつきそうなキャラクターは誰だと思いますか?

sako:ダルシムはだいぶ有利なんじゃないかな。「ダルシム以外で、ルークに対して有利がつくキャラいるの?」って感じですね。

 でも、自分でルークを使おうと思いません。前のバージョンは使っていましたが、あまりにも多くのプレイヤーがルークを使っているので、さすがにつまらないな、と。

 自分はそういう人間という理由に加えて、他人がやっていることを真似するのが、あまり好きじゃないんです。どちらかというと、あまり使われないキャラをイチから作り上げていく方がモチベーションにもつながるし、攻略している感じがするので、自分の性格にあっているのです。

――メインキャラをメナトにしたのは、どのような経緯だったのでしょうか?

sako:初期の『ストV』は難しいコマンドやテクニックを見直したゲームだったんですが、メナトはそれを払拭したキャラ。「こういうキャラをこのゲームに出すんだ」と思ってすぐ使いましたね。Vトリガーの自由度が高くて、全キャラで見てもトップクラスで研究のしがいもあったし、おもしろかったですね、

――sakoさんのメナトをマネしようと思っても、初心者ではとてもできそうにありません。

sako:自分も絶対に勧めないですね(笑)。むしろ自分は、どのゲームでもプレイヤーの色が出るキャラ、真似されにくいキャラを好んでいて、「真似できるもんならしてみろ」といった感じで使っています。

コンボ練習は“足”で操作!? 過去に遊んだ作品について

――先日、懐かしいタイトルを収録した『カプコン ファイティング コレクション』が発表されましたが、思い入れがあるタイトルはありますか?

sako:一応全部やってましたよ。思い入れで言うと、やはり『セイヴァー』になりますね。なにせ、対戦格闘ゲームで自分の基盤を作ったゲームです。今の自分が遊んでどれくらいできるか興味はありますが、当時できたことを忘れていると思うので、遊んでガッカリすると思います(笑)。でも、チャレンジしてみたいですね。

 当時はかなりコンボに自信があったんですが、今やったらどれくらい再現できるのか……3割できるか怪しいと思いますが。

――『ヴァンパイア』シリーズの好きなところはどこでしょうか?

sako:ゲームスピードがメチャクチャ早いところですね。あと、『セイヴァー』はラウンドの概念が薄く、1本とられた瞬間に次の1本が始まるのも好きでした。画面の状況があまり変わらなくて、テンポがよくておもしろかったですね。でも、1本とられたら結構きついんですよ。

 ラウンドが始まる瞬間は何もできない時間があるので、切り返すこともあるんですが、画面端は基本的にきついので、そこを維持する駆け引きもあって楽しかったです。

 アドバンシングガードやガードキャンセルとか、技術介入度というか、テクニックの要素がかなり複雑だったところも好みでした。

――キャラクターをバレッタにした理由は?

sako:先ほど言った地元のゲーセンで勝てなかったプレイヤーが、Kajiくんというリリス使いでした。リリスは『セイヴァー』の中ではすごいシンプルなキャラクターで、あまり評価が高くないにもかかわらず、メッチャ手強いんですよ。

 それに勝てるにはどうしたらいいかを考えた時に、当時の自分は「スピードで勝つしかない」と思ってしまったのです。そのスピードについてこれるのがバレッタでした。

――コンボを練習したのは、ゲームセンターでしたか?

sako:完全移植ではないんですが、セガサターン版が出ていたのでそれで練習していました。ただ、当時の家庭用にはトレモがなかったので、2P側の操作を足でやっていました(笑)。

 家に帰って練習して、ゲーセンで腕試しという流れをしばらくやっていましたね。

――『カプコン ファイティング コレクション』で『セイヴァー』以外に気になるタイトルは?

sako:『セイヴァー』以外だと『ウォーザード』ですね。キャラクターが大きくてインパクトがあったので、興味を惹かれて、遊んでいました。ただ置いているゲーセンがあまりなくて、対戦したことなく当時は1人用で遊ぶくらいでした。

 今まで移植されていなかったゲームなので「やっと出たか」と。格闘ゲームなのにレベルアップという概念があって、独自システムのタイトル。結構好きだったんですけど、そんなにやり込めなかったので、遊んでみたいです。

――『ウォーザード』で好きなキャラクターは誰でしょうか?

sako:タバサですね。ああいうキャラクターが好きだったので。

――以前にスピードキャラが好きとコメントされていましたが、今でもそれは変わらないですか?

sako:そうですね、今でも変わらないです。『ストV』で使っているメナトはあてはまらないんですが、足が遅くて、リーチの長さをいかして戦うキャラクターは今まで使ってこなかったので、それは“あえて”になります。

 毎回新しいことにチャレンジしようと思いつつやっています。

――他に対戦格闘ゲームでキャラクターを選ぶ際に意識していることはありますか?

sako:「これやっておけばいい」という性能より、「今の状況はこっちのコンボだよね」とコンボの判断が重要なキャラクターは好きですね。

 咄嗟に最大コンボを選べるかどうかなど、状況によってコンボが変わるキャラクターがすごく好き。ほとんどの人は気がつかないかもしれないけど、自分が満足して楽しんでいます。

――気づかないといえば、メナトは特に実況・解説が大変そうだと感じます。

sako:もはや解説していないですからね(笑)。使っている本人じゃないとわからないような知識がたくさんあるので、実況・解説の人が事前に聞いてきて、ある程度知識を共有する時もあります。

――特徴が尖っているキャラクターより、コンボキャラが好きなのでしょうか?

sako:コンボに持ち込むまでの過程が重要なキャラが好きですね。一辺倒に、同じ技を振り続けるキャラは、自分が使う必要はないかなと。先ほども言ったように、プレイヤーの個性が出にくいキャラがあまり好きじゃないですね。

 キャラによっては個性が見出しにくいところがあるので、そういうキャラは敬遠しがちです。

――sakoさんは他のプレイヤーと情報の共有について、どのようにされていますか?

sako:自分から共有せずとも、個人配信をやっているため、すぐにばれてしまいます。また、情報もすぐに出回ってしまうので隠せないんです。『ストV』内のリプレイ機能でも誰でも見られますし、練習方法とかもバレちゃうので、もともと隠す気はないですが「見たかったらどうぞ」というスタンスです。

⇒後半に続きます!


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