『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』レビュー。深さを増した物語、快適なシステムを備える
- 文
- カワチ
- 公開日時
6月23日発売予定のPS4/Nintendo Switch/Xbox One/PC(Windows10、Steam)用アドベンチャー『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』の企画記事をお届けします。
『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』は、世界中のミステリーファンから高評価を受けた傑作アドベンチャー『AI:ソムニウム ファイル』の続編。警視庁の特殊捜査班“ABIS(アビス)”に所属する“みずき”と“龍木(りゅうき)”という2人の主人公が、パートナーの眼球型AI“アイボゥ”と“タマ”とともに、現在と6年前が交差する謎めいた猟奇殺人事件に挑みます。
『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』発売に向けた企画記事。今回はプレイレビューをお届けします。
なお、本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。
ふたつの時代、ふたつの視点で描かれる深みのあるストーリー
過去と現在のふたつの視点から“ハーフボディ連続殺人事件”を追うことになる本作。“過去”と表記すると前作『AI:ソムニウム ファイル』より昔を想像してしまうかもしれませんが、前作の事件のあとに起きた、6年前のストーリーとなります。
分かりやすく書くと、前作のエンディング→6年前に起きた過去の事件→現在起きた事件という流れ。そのため、『AI:ソムニウム ファイル』をクリアした人であれば、その続きをそのまま楽しんでいるような感覚を味わえます。
ちなみに、前作の登場人物は公式サイトで紹介されていないようなサブキャラクターも登場。前回の事件を経てだったり、家庭環境の変化だったりとさまざまな理由で環境が変わっているキャラクターもチラホラいるので、意外な再会に驚かされることも。
なお、『AI:ソムニウム ファイル』主人公の伊達に関しては大きな謎があると思います。ゲームの冒頭で“前作プレイ済み”のルートを選んでいると後ほど本人から説明を受けることができます。
自分はあえて“前作を未プレイ”を選択したままゲームを進めたので、ずっと大きな謎だと思って引っかかったまま、プレイしていましたが、説明を受ければあっさり解決します。気になっている人はチェックしてみてください。
つまり、“前作を未プレイ”にしておけば致命的なネタバレを知らずにプレイすることが可能。まず本作をプレイしてみて、そのあとに『AI:ソムニウム ファイル』を遊ぶこともできます。
そんな伊達ですが、ストーリーでかなりいい役割をします。前作ファンならテンションが上がると思うので注目です!
本作の主人公は、前作の登場人物であるみずきと新キャラクターである龍木のふたり。複数主人公になったことで多角的な視点になったうえに、ミステリーとして深みが増した印象です。
例えば、龍木はときどき幻影のようなものを見て気を失ってしまうことがあります。そのため、「もしかしたら主人公のひとりである龍木自身が犯人の可能性も……?」といったことも考えられます。
なお、今回のプレイは規制範囲内に留めているため、自分も真相は知りません。本当に龍木が犯人かもしれないし、そうじゃないかもしれない。まだまだ物語的には事件が続いているなかでの、まったくの勘なので安心してください。
メインとなる“ハーフボディ連続殺人事件”は、中心から真っ二つに切り裂かれた死体の右側が発見されるというもの。その6年後に左側の死体が発見されるというストーリー展開です。
大きな謎を追うことになりますが、密室に死体がある理由など、ひとつひとつの事件のこまかい謎はストーリーの間に解いていく仕組み。そのため、謎を考える楽しみと答えを閃いた楽しみを両方とも味わえます。
捜査パートには前作になかった仮想空間で再現された現場で手がかりを集める“拡張視覚パート”と、事件の流れを振り返る“真相再現パート”が追加されましたが、このおかげで推理ゲームをプレイしている感覚が強くなりました。前作の捜査パートはキャラクターの会話が中心だったので、ここはすごく新鮮です。
“真相再現パート”は選択を間違えてもやり直せるので難易度はそれほど高くありません。ただ、自分で考える要素もあり、自分はちょっと謎解きのようなもので詰まりました。
捜査パートは、簡易的に対象者の思考を覗く“Wink Psync(ウィンクシンク)”が追加されましたが、事件と関係ないものもあるなど、捜査に幅があります。
既存キャラクターについては前半でお伝えしましたが、新キャラクターも魅力的。マジメなキャラクターが意外なところでボケたり、ギャグキャラクターだと思っていたら感動的なセリフで泣かせに来たりと意外な展開もあり、目が離せません。
ストーリー展開として、遺伝子や不死、宗教、プログラムなど多彩なテーマが登場。事件とは関係ないと思っていたものが次々に繋がっていく様子はおもしろいです。
今回プレイした範囲は主に6年前の事件を描く部分でしたが、「この伏線は6年後に繋がりそう」や「これはこの後にどうなっているの?」と疑問に感じるようなものも多く、先が気になる作りになっています。
より遊びやすく快適になったソムニウムパート
ソムニウムパートは難易度が3段階用意されていることもあり、遊びやすくなっています。いちばん簡単な難易度を選べば時間がほとんど減らないため、かなり余裕を持ってクリアできるハズです。
また、新要素として“鍵則(きそく)”が存在。今回のソムニウムパートは対象者の意識や記憶に基づくルール“鍵則”があるので正解の選択肢を選びやすくなりました。なお、“鍵則”は間違った選択肢を選ぶと少しずつ文字が埋まっていく仕組み。そのため、だんだんと情報が明らかになっていき、ヒントが多くなっていきます。
夢のなかであるソムニウムパートは、現実ではありえないような出来事が起きるのがおもしろいポイントですが、本作は泳げる場所があったり高低差があったりと、ステージ構成も多彩に。より驚きの内容になっています。
前作はアイボゥのリアクションがおもしろかったソムニウムパートですが、新キャラクターのタマもいい感じ。タマは見た目通り“Sっぽいキャラクター”ですが、実際には面倒見がよくて無茶振りにも応えてくれます。龍木とのテンポのいいやり取りは聞いていて楽しいです。
なお、本作にはアイボゥやタマと交流できるモードが追加されています。こちらでは人生相談や着せ替えを楽しめます。
ということで、本作ですが、ストーリーに関してはより深みを増して引き込まれるようになっているうえで、ソムニウムパートは洗練されており、より遊びなっていることを実感できました。
前作『AI:ソムニウム ファイル』から追っている人はもちろん、アドベンチャーゲームや推理小説、ミステリー仕立ての海外ドラマなどが好きな人もチェックしていただきたいです!
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