【うたわれるもの 二人の白皇 連続インタビュー:2】利根健太郎に聞く、ハクを演じるということ

電撃オンライン
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 2022年7月2日よりTOKYO MX、BS11他にて放送開始となっているアニメ『うたわれるもの 二人の白皇』。電撃オンラインではその放送を記念して連続インタビュー企画をお届けします。第2回は、オシュトル(ハク)役の利根健太郎さんにお話を伺いました。

 亡くなられた藤原啓治さんから役を受け継いだ経緯や、役への思いなどについて聞きましたので、ぜひご一読ください。

  • ▲利根健太郎さん

ハクという役を演じるまでと演じてみて

――藤原さんからハク役を引き継がれたわけですが、オーディションがあったと伺っています。どのような経緯でハクを演じることになられたのでしょう?

利根さん:ある日突然事務所から連絡が来て、「ハクのオーディションを受けてください」とのことでした。その時には詳細はなく、藤原さんの演じられたハクの音声データと台本をいただいて、オーディションに臨んだんです。

 オーディションは都内のスタジオで行われたのですが、アニメ会社、アクアプラス、制作会社の偉い方々に囲まれて結構長い時間をかけて一通り演じました。しかし、結果はすぐには出なくて……決まったら本当に僕がやるんだろうか? と、恐縮というか、落ち着かないようなもやもやを抱いていましたが、後になって「お願いします」とご連絡をいただくと、それから急にプレッシャーを感じるようになって。アクアプラスの下川さんからも「応援しています、頑張ってください」とありがたいお言葉をかけていただいて、「ああ、これはもうやるしかない!」と今は覚悟を決めて演じさせていただいています。

――ハク役を演じられたのは『斬2』からだと思うのですが、アニメの収録だと掛け合いも発生してまた違ったものになるかと思います。演じられてみていかがでしたか?

利根さん:『斬2』の時から、すごいプレッシャーで……。藤原さんだったらこう演じるだろうか? ということを、それこそ24時間睡眠学習のようにお芝居を聞き続けて考えて、それでも収録の際には時間をかけさせていただきながら演じていました。

 『斬2』でプレッシャーを感じてしまったのは、藤原さんの既録の音声を使いながら、新エピソードだけ僕が演じる形になったところですね。つまりユーザーの皆さんは藤原さんのお芝居を聞いた後、すぐ僕の芝居になるので……。ただ、ユーザーの皆さんが優しく受け入れてくださって、感想を見てホっとしました。

 ゲームは自分のペースで収録できますが、アニメは掛け合いだったり、動きに合わせたりだったり、間だったり、一番大変だったのは尺ですね。アニメはテンポがいいこともあって、「藤原さんだったら、こういう風にしゃべったり、リズムを付けるだろうな」とその場でイメージをふくらませながら演じると尺に合わなかったりするので、尺にあった形で演じることが難しいポイントでした。

 ハクは藤原さんが演じられていて完成系があるものなので、演じるにあたっていろいろ考えて、完全に藤原さんに寄せるか、自分の演技でやるかで悩みましたが、僕の中にも、ユーザーの皆さんの中にもハクがすでにいますし、それをアニメ化するので、藤原さんのやり方を踏襲していこうと思って演じています。

――周囲からはどのような反応があったのでしょうか?

 いろいろな方に意見を伺って、中には「今ハクを演じるのはトネケンなんだから、自分のものとして演じたほうがいいんじゃないか?」というお言葉もいただいたんです。でも、それはどうしても納得ができない部分でもありました。もちろんユーザーの皆さんの中にいるハクという存在の、芝居における印象を100%自分のものにはできませんし、かといって100%藤原さんになれるわけでもありません。

 藤原さんのエッセンスを入れつつ自分のやり方で演じてみて、ハクという存在がぶれないように、まったく知らない方が、違和感なく見続けられる形がベストだと思いますので、そこを目指して頑張ってきました。

――クオン役の種田梨沙さん、アンジュ役の赤﨑千夏さんと掛け合われてみていかがでしたか?

利根さん:前作では、オシュトルとしてお2人と掛け合いをさせていただきました。今作でも、こういうご時世ですが、一緒に収録させていただいて、『うたわれるもの』の世界に帰ってきたという印象が強かったです。うれしさとともに、故郷に帰ってきたような安堵感といいますか。

 ただ、クオンに関しては、ハクが死んだことでショックを受けていることもあり、種田さんのお芝居にもピリッとした空気が漂っているように思いました。赤﨑さんはとにかく熱量がすごかった。国を奪われた悔しさであったり、悔し涙を流したり、物語が進むにつれ、姫殿下が成長しているんだなと。


 ハクは最初はオシュトルであるということで、皆をだましているわけですが、前作ではオシュトルとして皆のセリフを受けていたのが、今作ではハクがオシュトルを演じながら、オシュトルと思って話しかけてくる皆の言葉を受けるという形になりましたので、若干の罪悪感といいますか、1枚フィルターを挟んで聞いている感覚でした。

――オシュトル、ウコン、オシュトル(ハク)、さらには『モノクロームメビウス』では若いオシュトルと同じ役柄でも多彩なわけですが、どのように演じ分けられているのでしょうか?

利根さん:アプリゲームの『ロストフラグ』では、いろいろ演じ分けさせていただいているのですが、ハクが形になってきたあたりで、監督に「ウコンってそんなだっけ?」と言われたりもしました。

 演じたのがだいぶ前なので、必ずオシュトル、ウコンを演じる際には、アプリ版の『偽りの仮面』の該当箇所を聞いて思い出しながら収録させていただいています。ですので、タブレットが手放せないんです。追加されたシナリオで新たな一面が垣間見えたりすると、前の音声と合わせながら演じないといけないので。音響監督さんと、相談しながら収録しています。

――ハクとオシュトルは性格が真逆ですが、そのあたりについてはお芝居の上で注意していることなどありますか?

利根さん:そうなんですよね。『偽りの仮面』のハクは、やる気がなくて、隙あらば手を抜こうとするのですが、それでも頼まれごとは断らないし、それをきっちり遂行してくれるキャラクターで、人との距離を詰めるのが上手いんですよね。

 それが『二人の白皇』だと、よく「ハクはもういない」というセリフを言うんですよ。オシュトルからしっかりと遺志を継いだと言いますか、それが根底にあるのだと思います。本作のハクは、前作のハクっぽさがあまり出てきません。友の遺志を継ぎ、それを完遂するまでは妥協しないという覚悟を決めているので、ウルゥル・サラァナの前だったり、正体を知っている人を相手にすると地が出ることもありますが、人前では絶対それを見せない意志の強さを感じます。

――前作を引き継いでの本作となるわけですが、注目してほしいキャラクターは誰でしょう?

利根さん:一番変わったのはアンジュでしょうか? 前作では自由奔放で子どものような無邪気さを持ったわがままお姫様だったのが、最後に毒殺されそうになり、今作では自分の地位を偽者に奪われてヤマトを追われることになります。つらい経験を経て、ヤマトを取り返したいという強い意志が生まれるので、だいぶ頼もしくなっています。「この帝にならついていこう」と思えるような雰囲気が出ているように思います。

――注目してほしいポイントを教えてください。

利根さん:前作の続きでもありますし、さらに本作は前作よりボリュームもあるので、全28話と話数も増えています。そのやる気や勢いを見てほしいです。

 28話を使って、見どころもしっかり押さえています。帝都を奪還する為の多くの戦いや、それ以外にも、各キャラクターとのかかわりであったり、ハク自身の葛藤であったりと言った部分があります。僕としては、友であるマロロとの掛け合い、オシュトルの母親であるトリコリに会いに行くシーンだったり、前作よりもシリアス度が高い雰囲気の中生まれるドラマや、戦のシーン、バトルシーンに注目してほしいですね。

 それと、トゥスクルのキャラクターたちも総登場しますので、シリーズのファンの方は、それを楽しみにしていただきたいです。

――ちょっと変わった質問になります。実は、先日種田さんにインタビューをさせていただいた際に、「利根さんがこの世界に生まれ変わるなら、ヤマトとトゥスクルのどちらがいいですか、そしてどのポジションがいいですか」という質問を預かっています。

利根さん:僕は田舎から上京してきたので、ヤマトに住みたいと思います。にぎやかで活気もあるし、ものにも困らないし、刺激も多いし。サコンの飴屋も気になります。トゥスクルもまぁまぁ栄えてはいると思いますが……。ポジションとしてはデコポンポがいいですよね。親のすねをかじって、自由に贅沢三昧するっていう。ボコイナンテに全部やってもらって(笑)。

――次回のインタビューは赤﨑千夏さんなんですが、赤﨑さんに利根さんが聞いてみたいことは?

利根さん:赤﨑さんといえばアンジュ姫殿下なので、赤﨑さんが一国の帝ならどういう政策をしてみたいか聞いてみたいです。

――ちなみに、利根さんが帝ならいかがですか?

利根さん:税金はナシにして支持率を上げたいですね(笑)。税金の代わりにおいしいものとかを献上してもらえれば。それとお忍びで町を歩きたいので、町で帝を見つけても一般人扱いするといいますか、声をかけてはいけないルールを決めたいですね。

――最後に放送を待っているファンの皆さんに一言お願いします。

利根さん:満を持して『二人の白皇』がアニメ化されます。シリーズのファンの方もそうですが、初めてご覧になる方も興奮して楽しめる作品になっています。僕はハクという役を藤原啓治さんから引き継いで演じさせていただいていて、様々な葛藤がありましたが、最後まで駆け抜けました。ぜひ皆さんも最後までご覧いただけると幸いです。

アニメ『うたわれるもの 二人の白皇』

【放送情報】
2022年7月よりTOKYO MX、BS11ほかにて放送開始 全28話

TOKYO MX……初回 7月2日(土)25:00~26:00
レギュラー放送:毎週土曜25:00~
BS11……初回 7月2日(土) 25:00~26:00
レギュラー放送:毎週土曜25:00~
北海道テレビ……初回 7月4日(月) 25:55~26:55
レギュラー放送:毎週月曜26:25~
AT-X……初回 7月7日(木) 23:00~24:00
レギュラー放送:毎週木曜23:00~
リピート放送:毎週月曜11:00~/毎週水曜17:00~

【配信情報】
2022年7月2日(土)よりdアニメストアにて毎週土曜25:00~地上波同時先行配信

以下サービスでも、7月9日より毎週土曜24:00~配信開始
ABEMA
U-NEXT
アニメ放題
Amazon Prime Video
GYAO!
ニコニコチャンネル
ニコニコ生放送
FOD
バンダイチャンネル
Hulu
TELASA
J:COMオンデマンドメガパック
milplus
auスマートパスプレミアム
RakutenTV
Google Play
HAPPY!動画
ムービーフルplus
ひかりTV
ビデオマーケット
music.jp
GYAO!ストア

【スタッフ】※敬称略
原作:AQUAPLUS
監督:川村賢一
シリーズ構成:横山いつき
キャラクター原案:甘露 樹、みつみ美里
キャラクターデザイン/総作画監督:中田正彦
プロップデザイン:岩畑剛一、鈴木典孝
美術設定:天田俊貴
文字デザイン:コレサワシゲユキ、灯夢
色彩設計:佐藤美由紀
美術監督:高峯義人
特効監修:谷口久美子
撮影監督:横山 翼
3DCG:サンジゲン
編集:後藤正浩
音響監督:山口貴之
音楽:AQUAPLUS
オープニングテーマ:「人なんだ」/Suara
エンディングテーマ:「百日草」/Suara
アニメーション制作:WHITE FOX

【出演声優】※敬称略
オシュトル(ハク):利根健太朗
クオン:種田梨沙
アンジュ:赤﨑千夏
ネコネ:水瀬いのり
ルルティエ:加隈亜衣
アトゥイ:原 由実
ノスリ:山本希望
オウギ:櫻井孝宏
ウルゥル・サラァナ:佐倉綾音
キウル:村瀬 歩
ヤクトワルト:江口拓也
シノノン:久野美咲
ムネチカ:早見沙織
フミルィル:儀武ゆう子
ライコウ:置鮎龍太郎
ミカヅチ:内田夕夜
ウォシス:菊池幸利
マロロ:杉山 大
シチーリヤ:三宅麻理恵
ソヤンケクル:最上嗣生
オーゼン:佐々木義人
トキフサ:志賀麻登佳
デコポンポ:大川 透
ボコイナンテ:中西としはる
イラワジ:白熊寛嗣
トリコリ:藤田昌代
シス:山村 響
ヤシュマ:田丸篤志
ゲンホウ:大川 透
イタク:小林裕介

©うたわれるもの二人の白皇製作委員会

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