【イース35周年・振り返り企画】ゲームがアニメになる衝撃…。『I・II』編
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日本ファルコムの人気ARPGシリーズ『イース』は今年で35周年! それを記念して、ライター陣が思い出を振り返ります。
本企画では、ライター陣が選んだタイトルのナンバリング順に掲載を行っていきます。最初は『イースI・II』をお届けします。
声+動きで、ゲームがアニメになる衝撃。PCエンジン『イースI・II』が起こしたファルコムブーム(そみん)
息子に「昔のゲームには声なんか入ってなかったんだよね」なんて話をして、苦笑で返されたことがあります。まあ、今や音声演出なんて当たり前のことですよね。今やどころか、平成以降の20~30年前くらいから普通になってきていますが。
でも、それより前の昭和の時代の80年代、ファミコン時代には音声演出なんてなく、効果音で“声っぽい何か”を出すのが関の山。
『燃えろ!!プロ野球』の音声実況に驚いたり、『ナポレオン戦記』のエンディングで「ワガジショニフカノウトイウモジハナイ」なんて早口めいたセリフを聞いて「へえ」と思ったりしたものです。(『水戸黄門』の音声合成は意外としっかりしていて、今聞いてもけっこう感動しますが)
そんな時代の1989年(平成元年)12月21日にPCエンジンCD-ROM2で発売された『イースI・II』は、多くのゲーマーに衝撃を与えました。
それは……声優さんの声がしっかりと入って声による演出が楽しめることと、絵が動画的に動く演出があること……って、もはやアニメじゃないの!?
のちにセガサターンやプレイステーションが登場したことで一般的になった“CD”をいち早く取り入れていたPCエンジンCD-ROM2は一部ゲーマーの間で注目を集めていましたが、そのなかでも『イースI・II』は衝撃的でした。
(のち、1992年3月26日に発売された『天外魔境II 卍MARU』もすごかったのですが……それはまた、別のお話)
そもそも原作となるPC版『イース2』こと『イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter』(1988年4月)もオープニングのアニメ的な演出の評価が高い作品でした。「ダームの塔が沈黙しました」というセリフから始まる物語の導入、そして“振り向きリリア”という言葉でも知られるリリアが振り向くアニメーションは、パソコンを持っていないゲーマーにまでウワサが伝わる歴史的なもの。わざわざ電車に乗って友人と秋葉原のゲームショップの店頭までデモを見に行って、本当にたまげたもんだ……。
そんな伝説級のオープニングが、PCエンジンCD-ROM2によって……本当にアニメになっちゃった!
そのインパクトは、当時を知るユーザーにとっては忘れがたいものとして記憶に刻まれました。
(言わずもがなですが、渡辺菜生子さんによるフィーナや荘真由美さんによるレア、鶴ひろみさんによるリリアなど、声優さんが演じることでキャラクターに命が吹き込まれ、当時のゲーマーに新たな感動を与えてくれたわけです)
PCエンジン版『イースI・II』はハドソンが開発した移植版という立ち位置でありながら、この作品のヒットにより『イースIII』も移植され、さらにPCエンジンオリジナルとなる『イースIV The Dawn of Ys』もハドソンによって作られるなど、ファルコム作品はPCエンジンのキラーコンテンツ・ヒットコンテンツとなっていきました。
(余談ですが、そもそもパソコン版の『イースIII』は『WANDERERS FROM Ys』が正式名称で『Ys-III(イース3」』という言葉はオープニングに使われる副題的な扱いでした。また、『イースIV』は当時、PCエンジンだけでなくスーパーファミコンでも発売されましたが、そちらはトンキンハウスから発売され、内容もPCエンジン版とは別物。日本ファルコムが開発予定だったメガCD版『イースIV』は幻の作品となりましたが、のちにPS Vita『イース セルセタの樹海』(2012年9月)が日本ファルコムから発売されました)
『イース』シリーズだけでなく、ファルコムの傑作RPG『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』もPCエンジン版で初めて遊んだという人も多いかと。こちらもハドソン発売で、音声演出が豪華なPCエンジンの神ゲーの1つです。そういう意味でも、ファルコム作品がPCエンジンというハードのエースだった時期があったわけですね。
そんな『イースI・II』は、今ならPCエンジン miniで気軽に遊べます。先日、義務教育(?)の一環として息子にクリアさせましたが、ちゃんと“半キャラずらし”も使えるので、往年の『イース』ファンの方も久々に遊びなおしてみてはいかがでしょうか?
PCエンジン版『イースI・II』はパソコン版と比べるとオリジナル展開も多く、未プレイの方が遊ぶと「おや」と驚くことも多いはず。特に物語冒頭でサラが殺されずに生き延びることについては……PCエンジン版『イースIV』では、ある意味で伏線回収がされて驚かされます(笑)。
……余談ばかりで恐縮ですが、セガサターンで発売された『ファルコムクラシックス』に収録された『イース1』と『2』もボイス演出付きで、完成度が高いものだったんですよね。こちらもどこかで気軽に遊べるようになるといいなあ。
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