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『A Monster’s Expedition』レビュー。シンプルながら奥が深いとはまさにこのこと【海外ゲーム名作案内】

柏又
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 海外ゲーム大好きな担当ライターが実際にプレイして気に入ったタイトルを紹介する“海外ゲーム名作案内”コーナー。今回は、Draknek Limitedより好評発売中のPS5/PS4/Switch/Windows/iOS(Apple Arcade)ソフト『A Monster’s Expedition (Through Pazzling Exihibitions)』をとり上げます。

 本作は、人間について学ぶのが大好きな“モンスター”を操作して、過去の人間が残したあれこれが展示された島々を訪れるパズルゲームです。プレイヤーは、島に生えている木を倒して押すことで橋を架けたり、2本そろえて水上にいかだを作ったりすることで島を渡っていきます。

 帰りの船が待っている桟橋まで行けばエンディングとなりますが、そこに向かうというよりも未知の場所を探索するのが目的といった感じの内容ですね。

 それでは、基本的に“押す”だけの操作で非常に奥の深いパズルが楽しめる、本作の魅力についてPS5版をもとに解説していきます。

木の形と地形の組み合わせを利用した奥の深いパズル内容

 操作は木を倒して押すだけですが、本作のパズルは非常に奥深い法則の数々が盛り込まれています。まず木は円筒形なので、倒して横から押すとなにかにぶつかるまで転がりますし、縦に押せば1歩分押した方向へ動きます。また押すにはモンスターの入れる空間が必要です。

 さらに、倒した木をモンスターが渡れる橋にするにはただ水に落とすだけではなく、木の向きを岸に対して直角にして落とす必要があります。ちなみに同じ場所へ2本の木を落とすと“いかだ”となり木の向きが関係なくなるほか、乗ったまま岸にある障害物を押すと反動で水上を移動できるようになります。

 そして、本作には高さの概念もあります。木を倒した後の切り株を足場に岩に登ることで下からではいけない場所へ入ったり、下にある木を押して狙った場所へ動かすこともできるのです。

 プレイヤーはこれ以外にも多数ある法則を頭に入れて、倒した木を狙った場所へ移動させるために試行錯誤することに。操作は簡単ですが、パズルの難易度はそこそこありプレイヤーを悩ませてくれます。ただし、理不尽な難しさはなく解けた時のスカッとする達成感がたまらないですね。

オープンワールドのようなフィールドでボリューム満点!

 本作の価格帯を考えるとパズルゲームとしては秀逸でも、全体のボリュームが気になる人がいるかもしれません。しかし、本作は“オープンワールドのパズルアドベンチャー”と称しているだけあってそのボリュームはかなりのものです。

 さらに、マップの各所にはパズルと通常とは異なる解き方をすると、別の場所にいけるポイントが多数あり、その先にはモンスターの“友だち”になってくれるキャラクターを発見できます。

 大小さまざな島で構成された本作のフィールドは実に広大で、その島のほとんどに頭を使わせてくれるパズルが用意されています。パズルのバリエーションもよく考えられいて、比較的簡単なパズルで法則を覚えさせてから、続けて同じ法則を応用したパズルが続く構成がとられています。難易度の上昇曲線もほどよい感じです。

 この記事を書くにあたって筆者もかなりの時間プレイしたはずなのですが、それでもまだすべての島を訪れていないくらいです。

 なお、マップの各所には“郵便ポスト”があり、主人公はこれに入って行ったことのある別の郵便ポストで瞬時に移動できるので移動のストレスはほとんどありません。

展示物の解説がユーモアたっぷりでおもしろい!

 本作のフィールドは、モンスターが人類の歴史を学ぶためのさまざまなアイテムが展示された博物館のような空間です。展示物は人類の日用品や施設だったりするのですが、これらにつけられた見当はずれな解説が、ほのぼのとした本作の世界観を表していて興味深いです。

 本作は、人類が滅亡したかなどの理由ですでに存在していない世界のようで、展示物の解説は残されたものをモンスターたちの価値観で評価したものになっています。解説の多くはまったくの見当はずれなのですが、そのはずしっぷりが突飛で逆におもしろいです。

 なんというか、“自分たちの暮らしを未来人が遺物だけで想像した”感があっていい味が出ていると思います。展示物の数自体もかなりあり、また帰りの船へのルートから外れた場所にも展示物はあるので、探索のしがいもバッチリでありますね。

プレイヤーを補助するヒント機能も◎

 パズルゲームとしてはそこそこ難易度の高い本作ですが、設定でヒント機能をオンにすることである程度調整可能な仕様となっています。

 本作は、木を使って島に渡る橋を作るのが目的ですが、デフォルトではどの木をどの場所に置けば渡れるかもプレイヤーが考えなくてはなりません。しかし、設定の“島に関するヒント”を有効にすると、どの場所に木を配置すればいいかシルエットで教えてくれます。

 この機能をオンにすることで程よく難易度が下がります。かといって、木を移動させる手段はプレイヤーが考えなくてはならないので、致命的なネタバレにはならないわけです。

 あくまでプレイヤーを補助するという意味で、本作のヒント機能は非常によく作られていると筆者は感じました。

まごうことなき傑作! ピリ辛難度なパズルを求めている人にオススメ

 ここまで紹介してきた『A Monster’s Expedition (Through Pazzling Exihibitions)』。見た目は地味ですがパズルゲームとしての完成度が非常に高く、パズルゲーム好きなら絶対遊んでおきたい傑作だと筆者は思います。また、ほのぼのとした雰囲気でキャラクターもカワイイので、見た目で選んでしまっても損はないとも思います。

 価格も手ごろなので1人でも多くの人に遊んでほしいですね。

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