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孔明が周瑜を…!? ~周瑜殺人事件~【三国志 英傑群像出張版#7-2】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 前回に引き続き、今回のテーマは【呉】の人物から、呉の四大都督(よんだいととく)周瑜(しゅうゆ)、魯粛(ろしゅく)、呂蒙(りょもう)、陸遜(りくそん)らを紹介していきたいとおもいます。

 前回紹介した【孫権】が任命した彼らは、皆優秀で孫権の人物眼はすごいの一言。(ちなみに5代目の大都督の朱然(しゅぜん)もいますよ)

  • ▲巨大三国志ジオラマより、呉の面々。

 まず今回は「周瑜」。映画レッドクリフでも主役になっています。物語の三国志演義では、諸葛孔明の最初のライバルとなる人物です。

 文武に通じ立派な風貌で「周郎(しゅうろう)」ともいわれました。(「美周郎」といったのは吉川英治)

 その周瑜、演義では孔明の引き立て役ですが、まずは優秀な彼の民間伝承をご紹介します。

才能の片鱗

 周瑜がわずか5歳のとき、祖父は彼に読み書き計算を学ばせていました。

 その成果を試すため、周瑜少年に言いました。「この3日間で買ったものを帳簿につけなさい。書けない字は、代わりに記号で表しなさい」と。

 3日間で周瑜が買ってきたのは、1日目に九斤のドジョウ、2日目に八匹のウナギ、3日目には七瓶の酒でした。

 さて祖父が帳簿を調べると、2本の太い線と1個の丸が書いてありそれぞれ上に数字が書いてあった。それはこうだ「九・‐」「八・―」「七・○」。

 周瑜は言いました。「書けない字は記号で表しなさいと言われたので、こうしました。短い直線はドジョウ、長い直線はウナギ、 丸は酒を表しています」。

 それを聞き、祖父は満足して笑ったのでした。

周瑜殺人事件

 三国志演義では諸葛亮(孔明)と周瑜の駆け引きが魅力です。周瑜が死んだあと、葬式に孔明は呉へ弔問の使者として訪れる話があります。

  • ▲巨大三国志ジオラマより周瑜の葬儀

 その話にはこんな真相があったという民間伝承があるのでご紹介します。

 三度も孔明にしてやられた周瑜、激怒し病を得て柴桑に戻っていた時。ある日、妻の小喬(しょうきょう)と話す周瑜は長いため息をついた。

 周瑜「今、私は遠く離れてしまったので、残念ながら孔明を倒す方法がない。」

 小喬「罠にかかるように仕向ける計画がありますよ」

 それを聞いた周瑜は目を輝かせた。

 小喬「諸葛亮は義の人です。あなたが死んだと聞けば必ずや弔問に来るでしょう。そこで捕まえればいいのです。」

 これを聞いた周瑜は、「素晴らしい」と手を叩いた。すぐに孫権に報告し、周瑜が突然病死したことを世間に知らせる事とした。それが発表されるや否や、荊州(けいしゅう)にもその知らせが届いた。

 諸葛亮は、劉備と話し合った後、自ら柴桑に赴くことにした。向かう理由には、“周瑜と本当の友情があったこと”、“周瑜の死によって同盟が壊れることを恐れていたこと”があった。

 しかし、張飛は「周瑜は激昂して死んだと聞いているし、呉の人は軍師を心底嫌っているから、1人で行くと危ない」と強く反対した。

 諸葛亮は微笑みながら、「私には策があります、将軍ご心配なく」と言う。劉備もそれならと送り出した。

 諸葛亮は柴桑に到着すると、周瑜の葬儀場に到着した。見ると、広間の真ん中に“水軍総督周瑜の霊”と書かれた額があり、その下に大きな棺が置かれていた。諸葛亮がよく見ると、会場にいる人は喪服姿ではあるが、悲しそうには見えない。

 棺桶に近づくと、蓋に十数個の小さな穴が開いているのが見えた。(空気穴だ)“やはり策でやっているのか!"と分かった孔明。少しいたずらを考える。

 諸葛孔明は供物を並べ、線香と蝋燭(ろうそく)に火をつけ、ひざまずいて祭文を読み上げた。読みながら泣き、皆とても感動した。

 読み終わると、棺桶に倒れこんで大泣きし30分ほど棺桶を叩いて泣いた。これを見た人々は、皆、孔明の愛と忠誠を称えた。

 諸葛亮は、周瑜が死んだふりをしているのを見て、悲しむふりをしながら棺を叩きながら、蝋燭のろうを小さな穴に詰めっていった。

 孔明が退出しても周瑜が指示をしないので小喬は棺桶の前に来てみると、蝋燭のろうが換気のための小さな穴をふさいでいるのを見て叫び声をあげた。

 棺桶の中に横たわっていた周瑜は、息ができなくなり死んでしまっていたのだ。周瑜の嘘の死が本当になってしまった瞬間でもある。

 いたずらのつもりでした事が周瑜を殺してしまった事に、さすがの諸葛亮も自分の失敗を悔やんだ。

 三国志演義で周瑜を手紙で怒らせて死なせ、その後、反感を承知で周瑜の葬式に出向いて祭文を読むあげる。というシーンは流石に孔明やりすぎだろうといえるお話。

 頭がいいのはわかるけど、冷たすぎる印象を持ってしまいます。

 さてそんな中でこの民間伝承、いたずらのつもりが過って周瑜を殺してしまう事になるだなんてっていうのが少し人間味があって私は好きです。

 こちらを個人的には物語に入れてほしかったなぁと思いました。皆さんはどうでしょうか?

  • ▲周瑜と小橋像

 次回も呉の武将に注目しながらご紹介してまいりたいと思います。

第十六回三国志祭の日程決定!

 16年続いている三国志のお祭りの日程が決まりました!

 たくさんのご参加お待ちしております。

日程 :2022年11月6日(日)
場所 :神戸市KOBE鉄人三国志ギャラリー周辺


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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