廃墟ジオラマで盆栽(ただし高速で育つ)を楽しめる『クラウド・ガーデン』を遊んだ感想は?【電撃インディー#302】
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- ophion
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、荒廃したジオラマ上で、朽ちた廃墟に“緑”を拡張していく『クラウド・ガーデン』の感想をお届けします。
なお、電撃オンラインでは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
廃墟を植物でおおう雰囲気重視のパズル
本作はあえて一般的なジャンルで表現するなら、ステージをクリアしていくタイプのパズルゲームとシミュレーターを足して雰囲気ゲーのエッセンスを加えたタイトルという印象。
ゲームを始めると、プレイヤーの前には荒れ果てた街の一部を切り取ったかのようなステージが映し出されます。
ステージには植物の種を植えることができ、種のそばにタイヤやごみ箱、看板といったオブジェクトを配置すると芽が出て花が咲きと植物が成長。
与えられるオブジェクトの数(=植物を成長させる手数)に限りがあるなか、一定以上まで植物を育てるのが各ステージの目的です。
種の種類は、ゲームの進行とともに増加。“地面や柱に沿ってバランスよく全方向に育つもの”、“下によく育つもの”などをステージの構造にあわせて選択することができます。
これだけの説明では定められた手数でステージのクリアを目指すパズルゲームですが、オブジェクトを置いた際に植物がどう育つかがはっきりとはわからないため、パズルゲームとは言い切れないところ。
同じようにオブジェクトを置いたつもりでも、植物の育ち方は少しずつ異なるので個々の植物を狙ったとおりに育ててパズルを完成させるのは至難の業でしょう。
ただ、ステージクリアを目的に効率を突き詰めて遊ぼうとすれば、育ちやすそうな場所に種を植えて種の近くに敷き詰めるようにオブジェクトを配置していくだけでほとんどのステージはクリア可能。
適当にオブジェクトを配置するだけでは種の育ちが足りなくなるステージはありますが、さまざまな場所に種を植えたりオブジェクトを配置できたりするため、手詰まりになることはなし。
植物の育ち方のわかりにくさはストレスになることなくパズルへのアプローチの広さにつながっています。
滅びた世界の“映え”を楽しめる自由度
そして、本作はオブジェクトを置いたことに対して、植物がどう変化するかを楽しむシミュレーター、もしくはビオトープ的な魅力も持っています。
人がいなくなった廃墟に植えた種が、文明の残骸であるタイヤなどによって育っていく光景はなんとも不思議。人がいない世界であることを強調しているとも取れますし、世界が自然に帰ろうとしているとも取れます。
そもそもなぜ廃墟が舞台になっているかも不明。そういった謎に迫るゲームではないのですが、現実離れした光景やそこから漂う寂寥感、なぜオブジェクトを配置すると植物が育つのかに触れられずゲームが進むことから、いろいろなことに想いを馳せます。
さらに、上記のとおり好きな場所に種やオブジェクトを配置でき、種の種類も自由に選べるため、ステージをクリアしたときに完成する光景に幅があるのもポイント。
コケのような植物であたり一面がおおい尽くされたり、いくつもの木が生い茂ったり、同じステージであってもプレイヤーがどうアプローチしたかによってできあがる光景が変わります。
そのため、プレイしているうちに“ここの街灯から花が咲いていたら華やかになる”、“自動車は再起不能なほど緑でおおってしまいたい”と“映え”を意識して種を育てたくなってくるんです。ひとつの決まった答えがなく、パズルとしては決して難しくはないからこその感覚ですね。
さらに、土台を自由に選んで種やオブジェクトを自由に配置できる“サンドボックスモード”も用意されているため“映え”だけに特化して遊ぶことも可能。
本作は廃墟をガーデニングするゲーム、もしくは廃墟のジオラマを使って盆栽(ただし高速で育つ)を楽しむゲームといったところ。何かをクリアする強いカタルシスを求める人よりも、ゆっくりと自分が満足するまで遊びたい人におすすめのタイトルです。
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