『信長の野望・新生』プレイインプレッション。100時間遊んでみたので魅力を語る!
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コーエーテクモゲームスより、7月21日に発売予定のシブサワ・コウ40周年記念作品『信長の野望・新生』のプレイインプレッションをお届けします。
シブサワ・コウ40周年記念作品にして、シリーズ第16作『信長の野望・新生』の発売日はいよいよ間近! 知行システムや家臣の意見具申など、目新しい要素に注目が集まる本作だが、実際遊んでみないと結局よくわからない……というのが本シリーズあるある。
今回はそんな『新生』を一足先にプレイすることができたので、ファーストインプレッションをお届けしよう!
『創造』ベースの行軍戦略に、『大志』的な乾坤一擲の合戦戦略!
さて本作にはさまざまな新システム用意されているが、最初に話しておきたいのは全体のプレイ感覚、ストラテジーとしての面白さの部分である。本作は前々作『創造』を思い出させる城+街道のマップ構成になっており、各城から出撃後は街道に沿って敵勢力の打倒を進めていく。複数のルートを使い、敵部隊の挟撃や城の包囲を目指す形は、そのまま『創造』的な進軍戦略のイメージ通りだ。
しかし大きく変わったのは、『創造』はいわば兵力を流し込んで敵を飲み込む形であったのに対して、『新生』は主力を集結させて決戦に持ち込む戦略が圧倒的に望ましいということだ。攻略目標を決めて各城で“臨戦態勢”を取ると、前線に集結し、同じく集合した敵の大部隊との決戦に臨む。つまり『大志』的な決戦戦略である。
これには明確な理由がある。本作の内政はやれることが多く、領地が育つまでに手間暇がかかる。しかしその領地が戦争に巻き込まれるととたんに焦土と化し、十年かけた内政は一瞬で消え去る。
仮に敵の領地を奪ったとしても、争奪戦を繰り返した土地はやはり復興に長い年月が必要な焦土である。それを覆すのが、“合戦”で大部隊同士が激突したときのみ発生する“威風”なのだ。
自らの内政を守るため、あるいは敵の豊かな土地をそのまま奪うため、いかに相手国との決戦に持ち込むか……。『新生』の戦略はそれに尽きる。『創造』的な街道戦略を取りつつも、狙うは乾坤一擲の大勝負である“合戦”。そのメリハリが本作のストラテジーとしての面白さなのである。
盛りだくさんの内政要素。知行! シビアな兵糧事情!
さてストラテジーとしての本筋は話したので、次は戦国シミュレーションゲームとしてのさまざまな要素について。本作最大の特徴となるのが知行システムで、これは城に紐づく各郡を家臣に与えて領地を発展させるというもの。
郡には兵糧収入のある農村と金収入のある市、そして郡の収入強化や防衛強化に役立つ開発用地とがある。本拠地の郡は自由に開発ができるものの、本拠地以外の城は基本的にはその土地を与えた武将に任せることになる。
本作では『創造』や『大志』にあった人口概念は無くなってはいるが、兵力=石高=農村数となっており、豊かな郡や逆に貧しい郡は存在する。集落の多い有望な郡は、集落掌握能力(=統率)や建設能力(=政務)の高い人材を割り振りたいというもの。
これらの内政をしっかり考え、計画的に行う(行わなければならない)理由が絶妙な収入バランスにある。本作では金も兵糧も支出が厳しく、序盤のうちは政策の設定や外交に回すお金もなかなか捻出できない。そんなときに限って台風や凶作の対処で追加の出費が発生したりで四苦八苦。そして何より、兵糧が城単位の設定となったことで、遠征には城ごとのしっかりした内政が必須ということ。
これがなかなか厳しい楽しさで、一地方を統一して次の地方、さらに次の地方と進むと部隊の腰兵糧がまるで足りなくなってくるのだ。遥か遠くに遠征したものの、現地で活動できる日数はわずか……なんてこともざら。
いかに腰兵糧をもたせるかは工夫をしつくす必要があり、
●行軍日数の延びる政策を入れる
●腰兵糧を増やす城下施設を作る
●通行する領地に行軍兵糧を減らす施設を作らせる
●攻略ターゲットを定めて臨戦指示を行う(腰兵糧が加算される)
●陽動部隊を送って敵の大軍を誘い出し“合戦”一発で勝つ
●そもそも本拠地を前線に移す(莫大な資金がかかるのだが!)
などなどさまざまな方法が考えられる。
この行軍距離と腰兵糧の兼ね合いは本当に本作最大の悩ましい部分。味方の城の上に待機すると腰兵糧の消費は止まる(待機中、出陣元の兵糧が消費される)が、他城での補給や現地略奪といった概念はない。このキツキツなバランスのために意図してカットした要素とのことで、もしかするとここを楽しめるかどうかが本作の評価の分かれ目かもしれない。ちなみに筆者は好き。つらい。おこめがとける。兵もとける。つらい。でもすき。
がんばる家臣たち! 多様なシステムを家臣がサポート
考え行動する“生きた武将”、とは公式HPで最初に紹介されている本作の要素。そう聞くと、よく訓練された歴史SLGファンの多くはこう思ったことだろう。「いや結局、全部自分で指示する方が正確だし」「あんま意味ない提案してくるんだよなあ…」と。
ところが本作の家臣提言はけっこう頼りになる。本作では内政、軍事に指示できる要素が多く、城が1~2個のうちはともかく、大国になればなるほど目の届かない部分が多くなってくる。
そういうとき、今から攻める城に対する破壊工作、逆に今にも攻めてきそうな大国に対する兵糧焼き討ち、敵最前線の有能城主に対する闇討ち、年度が変わった際の在野武将探索など、有用な提言を行ってくれるのが実際にありがたい。
プレイヤー自身は外交、行軍といった戦略の大まかな部分を主に考え、枝葉の策略は家臣の進言任せというのも現実的なプレイスタイルとなり得る。
また、勝手に出撃して前線で小競り合いを起こす……という事態も稀に発生するのだが、「あいつらが嫌がらせばかりしてくるからもう許せねえ!」などの理由づけがしっかりしてあるのは好印象。勝手な出撃というと『創造』の傾奇者を思い出すかもしれないが、どちらかというと『三國志14』の猪突的な微笑ましさ(いや困るんですけど)を感じるのは、その理由に理解と納得ができるからだろうか。
ちなみに合戦ではプレイヤーをサポートする形で、AI家臣たちがある程度の自立行動を取るが、ここに関してはプレイヤーの指示が優先されるので安心してほしい。
疲労度の概念! 体力が意外に重要な合戦システム
合戦について語ると、こちらは戦略画面と同じくライン上を動かすリアルタイム制。シンプルでわかりやすく、「相手を挟撃する」、「要所の効果を利用する」といった要素で勝ちを狙っていく。難易度はやや低めとなっており、挟撃位置を考えて布陣し、敵を誘い込むのが基本戦術だろう。
合戦の大きな特徴になるのが、部隊の体力である。これはいわば疲労度。交戦すると徐々に低下し、それに伴い能力も低下。待機によって回復ができる。同一ラインに二部隊で待ち構え、交互に体力回復しながら前進後退を繰り返す……といった持久作戦も可能なのだ。
どんなに強い武将の部隊も、体力が尽きてしまうとよわよわのへろへろ。敵の強部隊を休ませないように繰り返し攻撃を加える、といった作戦も面白い。また、一部の戦法には体力回復効果、体力減少効果のあるものがあり、とくに“底力”など体力回復系戦法は地味に便利。
合戦における疲労度の概念は、今までのシリーズにありそうでなかった要素。いろいろと新しい戦い方を考えさせられるわけだ!
停戦要素は同盟国による仲介! 助けてご主人さま!
外交は『創造』ライクの信用ポイント制で、同盟や援軍にキッチリと必要ポイントを消費する形である。その外交で大きな役割を果たすのが各勢力の“威信”。威信は領地の拡大で自然と伸びるが、幕府や朝廷の役職でさらに付与可能なのだが、とくに威信の高い同盟国に“仲介”をお願いすると、その同盟国よりも威信が低く勢力の弱い大名家に対して6カ月の強制停戦が行える点は戦略を左右するレベルで強い。
織田や毛利といった大国の庇護下に入れば、いざとなれば仲介で戦争を中断できるのは弱小大名の序盤の命綱となる。これは本作唯一の停戦要素なのだが、逆にそんな大国に目をつけられてしまうと、怒涛の雪崩攻撃にわりと泣く。ギバーップ! ギバーップ! と涙目で臣従を申し出るハメになるのは弱小大名の哀しさ。
そんなこんなの『新生』だが、あえて不満に思った点を挙げるとすれば、知行がわりと早期に付け替え自由になるので、褒美として知行を与える感覚が薄いこと。領地開発が終わったら、じゃあそれは返上して次の領地よろしく~と気軽に移動させられるのは、世が世なら本能寺案件である。まあそこの縛りがあまり厳しいと、管理的に大変になりすぎるのとプレイヤーのストレスとなる部分だとも思うのだが!
それと、城と郡の紐づけが固定化されているため、敵郡の占拠はあくまで無力化であって、『天道』的な領地の奪い合いではないこと。それに伴い、新規の築城要素がないので新勢力作成ができないのは個人的には残念なところである。
しかしそれを差し引いても、シビアな兵糧事情や大勢力の容赦ない攻め攻めAIから来る歯応えのある難易度と、やれることの多さを補佐する家臣団の提言、イベントの豊富さなどは完成度の高さを感じさせるものがある『新生』。発売日はいよいよ間近ということで、気になる方は発売前先行プレイ(7月17日11時より配信開始)のほうも是非参考にして欲しい!
『信長の野望・新生』製品概要
タイトル名:信長の野望・新生(のぶながのやぼう しんせい)
ジャンル:歴史シミュレーション
発売時期:2022年7月21日
開発:シブサワ・コウブランド
プロデューサー:小笠原賢一
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